楽しみたいだけの転生者   作:黒色エンピツ

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今回の話は結構やり過ぎた感じがします…。
正直書いてて自分自身やっちゃったなと思いました。
それでも良ければどうぞ。


その18:そうだ、北海道に行こう…。

side 黒

 

 

 

前回の獣耳事件から数日後、今日は前にアルトリアと話していた所謂デートの日だ。

ふむ、ただ男女が出掛けるだけでもデートと言うのだろうか……そこら辺はよく分からないな。

そして、前日になって俺はふと思い付いた。

 

「そうだ、温泉旅館に行こう。」

 

この一言で二泊三日の北海道温泉旅行が決定した。予約も既にした。

でも、これもうデートじゃなくなってるよな?普通に旅行になってる。……まあ、いいか。

それとすずかちゃんとはやてちゃんには悪いがをもう一泊してもらうこととなった。

 

「アルトリア〜!準備出来たか〜?」

 

「あ、はい。今行きま〜す。」

 

現在の時間は9時、はやてちゃんは8時くらいにすずかちゃんが迎えに来て家を出た。

俺は荷物を詰めた旅行鞄を袋に入れてバイクに乗ってアルトリアを待っている。

服装は旅行だからいつもより少し気合を入れてみた。まあ、やはり基本は黒で青、赤、白のラインがどっかに入ってる程度だが。値段はいつもより高かった服だ。

 

「お待たせました。」

 

「ああ、問題ない。……おおっ。」

 

思わず声が出てしまった。

綺麗だ。もっと他の比喩表現や言い方もあるだろうがこれしか出てこない。

いつの間に買ったのか、服には詳しくないから名称はよく分からないが、上は白い半袖の中に黒いシャツを重ねて、下は黒いミニスカート、そして薄めの青い上着を着ていた。

 

「いつの間に…。」

 

「内緒ですよ。」

 

気になるところだが…止めておこう。

 

「こういう時なんて言えばいいか分かんねぇけど、すごい似合ってるぞ。綺麗だ。」

 

「そ、そうですか?……ありがとうございます。」

 

照れているのか少し赤くなっている。

へぇ…珍しい表情が見れた。この顔は綺麗と言うか、可愛いな。

 

「……まあ、その、なんだ?バイクなのにミニスカートで大丈夫か…?後、北海道に行くのに寒くないのか?」

 

「あ……。」

 

考えてなかったのか…。

 

「…まあ、任せろ。寒くなったら俺に言えよ?」

 

「はい…すいません。」

 

「気にすんな。アルトリアのその姿が見れただけで充分だ。」

 

「そ、それなら嬉しいです…。」

 

アルトリアの赤面をこんなに見れるとは、レアだな。

アルトリアから受け取った荷物を袋に入れてバイクに乗る。

 

「ん、行くぞ。」

 

「あ、はいっ。」

 

ヘルメットを渡し、後ろに乗って俺の腹に手を回したのを確認してバイクを出した。

まあ、ミニスカートのことは……認識阻害で頑張るか。

 

 

 

 

途中のサービスエリアで昼飯を兼ねて休憩をすることにした。

 

「少し冷えてきたけど、寒くないか?」

 

「えっと……少し…。」

 

「んじゃ、これ着てろ。」

 

黒い厚いコートを袋から取り出して渡した。

 

「これは…?」

 

「俺が寒い所で着るコートだ。」

 

「これを……。」

 

…あの、コートを抱き締めるのは流石に恥ずかしいから止めてくれないか……。

 

「あ〜、昼飯食いに行くぞ。」

 

「あっ!?ま、待ってください!」

 

やれやれ……。

この後財布が薄くなった。…金を引き出しとかないとな。

 

 

 

 

「到着。」

 

時間は16時か…高速道路だったからそこそこか…?制限速度途中超えてたのもあるし、こんなもんかな。

 

「お〜…キリツグの時を思い出しますね…。」

 

ああ、雪国だったっけ?

 

「今日はもうチェックインして散策とかプレゼントとかお土産は明日探すか。流石に疲れたろ?」

 

「ええ、そうですね。ずっと座って居ると馬に乗っていた時とはまた違った腰の痛みがきますね…。」

 

「まあ、そうだろうな。」

 

旅館に入ると中居さんが出てきた。

 

「ようこそいらっしゃいました。」

 

「予約していた楽島です。」

 

「楽島様ですね。お待ちしておりました。こちらです。」

 

そして中居さんに案内されながら部屋へ向かう。

 

「この部屋です。夕食は19時に用意させていただきますので、その時には部屋にいてください。」

 

「わかりました。風呂はどうすればいいですか?」

 

「お風呂でしたら、そちらの方にありますので、そちらを。」

 

指を指した方を見ると隣の部屋、ではなく、斜めを指していた。

 

「えっ?あっ、はい。」

 

「では、ごゆっくり。」

 

そう言って中居さんは出ていった。

 

「……なあ、アルトリア。」

 

「……はい?」

 

「さっき、中居さんは斜めを指してたよな?」

 

「指してましたね。」

 

嫌な予感がして隣の部屋を覗く、普通の部屋だ。

そして、問題の指を指してた方を見ると……。

 

「………あ〜…。」

 

窓の外に露天風呂があった。いや、露天風呂自体は良い。むしろ、だからこそ選んだ。景色も見たかったからな。でも、でもよぉ。

 

「なんで、部屋の窓の外に備え付けてあるんだよ……。」

 

源泉から引いてきたんだろうけどさ。

 

「ま、まあいいじゃないですか。ほらっ、見てください。景色がとっても綺麗ですよ?」

 

「……そうだな。こんなのもいいだろ。」

 

つーか、俺の予約した部屋はこんな部屋じゃ無かったはずなんだけどな…?

 

「まあ、いいか。そこまで気にするほどのことでもないか。」

 

旅行なんだし、気にしても無駄だろうしな。

 

「クロ、先にお風呂に入ってきてはどうです?ずっと運転してて疲れたでしょう?」

 

「ん?いや、確かに少しは疲れたがそこまで疲れては……。」

 

「いえ、きっと疲れてるはずですよ。気付かない時だってあるんですから。」

 

それは確かに…。

 

「そうだな。じゃあ、先に風呂入らせてもらうか。」

 

目の前で脱ぐのはあれだし、襖を閉めとけば仕切りになるか。

 

『マスター。』

 

「ん、どうした?何かあったのか?」

 

『いえ、今日は私は外していってください。』

 

「?今まで外したことなかったのに、いいのか?」

 

『はい。』

 

急にどうしたんだ…?

 

「まあ、たまにはいい…のか?」

 

風を外すと少し違和感があるな…。

慣れるだろうし、いいか。温泉でゆっくりするか。

そして窓を開けるとだいぶ暖かい季節になってきているからか、そこそこ寒いくらいだな。

 

「ふむ…。」

 

温泉に入る時は体を洗うか湯で流すのどちらかだが、ここは先に体を洗うか。温泉はその後の楽しみだ。

ただ、やっぱり寒いから急いで洗おう。

そして、体に湯をかけようとした時だ。

 

 

カラカラ

 

 

カラカラ……?ポケ〇ンでいたよな。って違う違う。

俺が入った窓も開けた時にカラカラって音がしたよな…。

 

「あの…クロ?」

 

「……あ〜、アルトリアか?どうした?」

 

「その、背中を流そうと思いまして。」

 

あ〜、これは。まさか、俺に?

 

「そ、そうか。じゃあ、俺は出ておこう。」

 

「いえ、私のではなく、クロのです。」

 

やっぱりか……。今日はなんだかグイグイ来るな。

 

「えっと、アルトリア?若い男女が共に風呂に入るということはだな…。」

 

「私もクロも100歳超えてるじゃないですか。」

 

「いや、でもな…。」

 

「それとも……私じゃダメ、ですか?」

 

 

涙目上目遣いにこの言葉……テンプレだが、実際にされるとすごい威力だな…。これは確かに断れないな。

ん?こんなの前にもなかったか?

 

「じゃあ、頼む…。」

 

「!!任せてください。」

 

ん?そういえば服は着ているのか?

 

「なあ、アルトリア、お前って服はうおっ!?」

 

振り向こうと後ろを向くと目を塞がれて前が見えなくなった。

 

「今は…ダメです。」

 

声が少し上擦っていた。

 

「おまっ、もしかして服着てないのか…!?」

 

「そ、それは、お風呂では服は脱がなければいけないのでしょう……?」

 

確かに服を着て風呂に入るなんてことはないだろうけど…。

 

「………くしゅんっ!」

 

「寒いんじゃねぇか…。全く。」

 

目を塞いでいるアルトリアの手に触れてリンカーコアからの魔力を流し、アルトリアの体を覆うように魔力を形成して暖かい程度の熱に変化させた。

別に風がなくてもこの程度は出来る。

 

「わっ、暖かいです…。」

 

「あんまり無理するなよ?」

 

「はい…。」

 

「んじゃ、背中流してくれるか?」

 

「ま、任せてください!」

 

ふう…まあ、たまには誰かに流してもらうのもアリか。

 

「な、流しますよ?」

 

「ああ。」

 

「い、いきます。」

 

ゆっくりと背中を擦られる。

 

「あの、どうでしょうか…?」

 

「ん?……良いと思うぞ?」

 

「そ、そうですか。それなら良かった。」

 

前に背中を流して貰ったのは6年前だったっけ。あの時はなのはちゃんにやってもらったな。……また今度一緒に入ってみようかな?

 

「流しますね。」

 

「おう。」

 

背中を流れてく湯が気持ちいいなぁ…。

 

「終わりました。」

 

「ん、じゃあ…「次は頭を洗いますね?」うん?」

 

「え?もう自分の方をするんじゃ…?」

 

「?いえ、頭もしますよ?」

 

「…わかった。」

 

折角の旅行なんだし、今日は好きにさせるか。

 

「痒いところはありませんか?」

 

「ああ、大丈夫だ。むしろ自分でやるよりも良い感じだ。」

 

丁寧に洗ってくれるしな。

やっぱこういうのも性格出るのか?

 

「……気持ちいいな。」

 

「それは良かったです。」

 

穏やかな気持ちだ…。時間がゆっくりと流れていくような、そんな感覚だな。

 

「女性と風呂に入るのも何年振りかな。」

 

それも1〜2ヶ月前?くらいだったはずだ。旅館でなのはちゃん、フェイトちゃん、アリシアちゃんと入った時だな。

 

「その時は誰と入ったんですか?」

 

「ん?なのはちゃん、フェイトちゃん、アリシアちゃんの3人だな。」

 

「……………。」

 

「ど、どうした?」

 

急に手も止めて。無言になってしまった。

 

「……やはり子供が趣味なのでしょうか…。いえ、それなら私も体型は近いですし問題ないはずです……。」

 

「お、おい、アルトリア?」

 

「はっ!?い、いえ、なんでもありませんよ!?」

 

「そ、そうか。それならいいけどさ…。」

 

驚いたな…どうしたんだ?

 

「あ、流しますね!」

 

「ああ、よろしく。」

 

湯が髪を流れていく。

もうずっと髪切ってないしそろそろ切ろうか…。髪を乾かすのに時間がかかったりするんだよなぁ。

 

「はい、終わりました。」

 

「おう、サンキュ。

なあ、アルトリア。髪切ろうか悩んでるんだけど切るとしたらどんなのが似合うと思う?」

 

「え……?切るんですか?」

 

「いや、まだ考え中だけどな。ダメか?」

 

「私としては少し勿体ない気がしますね。クロの髪は好きですし。」

 

「ん〜…じゃあ、切らずに現状維持でいいか。」

 

頭を降って水を多少飛ばしてから上で紐で結ぶ。所謂ポニーテールだ。

風呂に入ってる時はこれが楽だな。

 

「クロも髪を洗ったらその髪型なのですね。」

 

「ああ、まあな。」

 

「私とお揃いですね。」

 

どうやらアルトリアも髪を洗うとポニーテールにするみたいだ。

というか、今度は急に機嫌が良くなった。

女心ってのはよく分かんねぇな。

 

「では、私も体を洗いましょうか。」

 

「……んじゃ、お返しに俺がやってやるよ。お前よりは下手だろうけど。」

 

「では、お願いします。」

 

「ああ。」

 

ふむ、こうしてアルトリアの素肌を見ることは滅多に無いが…綺麗だな。俺と同じで戦場に居たはずなのに俺とは全く違う。

愛おしむように優しく背中を洗っていく。

 

「こんなもんか?」

 

「す、少し強いですね。」

 

「え!?わ、悪い…。」

 

「い、いえ、大丈夫ですから…。」

 

「「………………。」」

 

き、気まずい…!

無言のまま手を動かしていく。

 

「あ、あの…。」

 

「な、なんだ?」

 

「なんだか、恥ずかしいですね…。」

 

「今更かよ……。」

 

「い、勢いで入ったので…。」

 

無計画ぅ…。

 

「あ〜、まあ、旅行なんだしいいんじゃないか?」

 

「いいのでしょうか…?」

 

「いいんだよ。俺がいいって言ってんだ。

ほら、流すぞ。」

 

「は、はいっ。」

 

なぜ緊張する…。

背中を流してる間終始ガチガチになっていた。

 

「よし、終わりだ。

頭は自分でやってくれよ?髪は自分でやった方が良いだろうしな。」

 

昔やった時はなのはちゃんだったし、小さかったから俺がやったけど。

 

「い、いえ、頭も良ければ…。」

 

「……了解。」

 

やるからにはしっかりやらないとな。確か、前にテレビとかで見た方法はこうだったか…?

 

「…んっ。」

 

「どうだ?」

 

「気持ちいいです…。」

 

「そうか…良かった。」

 

一安心だ。

 

「んじゃ、流すぞ。」

 

「ええ、どうぞ。」

 

ゆっくりと流していく。

その、なんだ、泡が落ちていって光を全て反射するような綺麗な、いや、美しいってのが正しいな。美しい髪が出てきて、ついつい見蕩れてしまった。

 

「クロ…?」

 

「うおあっ!?」

 

いつの間にか目と鼻の先にアルトリアの顔があった。

髪を結んで振り向いて顔を近付けられるまで気付かなかったとは…。思ってたより惚けてたんだな…。

 

「どうかしましたか?」

 

「いや…少し考え事をしてただけだ。」

 

「そうですか?ですが、あまり考え過ぎなのも良くありませんよ。旅行なのですから楽しみましょう。」

 

「………そうだな。」

 

惚けてただけとは言えないよなぁ…。

 

「さあ、お湯に入りましょう。温泉なのですからお湯に入らなければ損ですよ。」

 

「ああ、それもそうだな。少し寒いしな。」

 

もう少し暖かい場所にしてれば良かったか?

まずは足先から湯に入れるといつも俺が入るよりも熱めの湯が足先から身体を温めてくれてような感じがする。膝、腰、腕とゆっくり身体に熱を慣らしていく。そして肩よりやや下まで入ってから大きく息を吐く。癖みたいなものだ。

 

「はぁ〜……気持ちいいな…。」

 

「ええ…とても気持ちいいです。」

 

湯にタオルを入れるのはマナーとして良くない。個人によって違うだろうが俺は温泉ではタオルは頭の上だ。

そうだ、アルトリアは知らないんじゃないのか?

 

「アルトリア、タオルは湯に入れたらダメだぞ?」

 

「知ってますよ。ちゃんと頭に乗せています。」

 

アルトリアの方を見ると確かに頭の上にタオルがあった。だが、どうにもタオルに乗られているように見えてしまう。小柄だからか?

頭にタオルがあると言うことは少し目を下に向けると____

 

「待て待て待て!?違う!違うんだ!?別にそんなことは考えては……断じて否ァァ!!」

 

「ク、クロ!?どうしました!?」

 

「ぜぇっ……ぜぇっ…いや、うん、大丈夫だ、問題ない。」

 

「不安しかありませんよ!?」

 

「いいんだ!よし、落ち着け俺。そんなことのために来た訳じゃないだろ。そうだろ、楽島 黒!!」

 

「あ、あの、クロ…。」

 

唐突に手を握られた。自分でも驚く程にビクビクしている。

 

「クロが何を心配してるかは分かりませんが、クロなら大丈夫ですよ。私は信じています。」

 

そんなことを満面の笑みで言ってきた。

柄にもなく顔が赤くなっているみたいだ。それも自分でも分かるくらいに真っ赤だろう。現に分かっているんだから。

そしてどうしようもなくなって顔を背ける。

………今日はどうにもアルトリアに調子を狂わされる日だ…。

 

「おや…?なるほど、あのクロが珍しいですね。」

 

バーレーたー…。

 

「クロの赤面など滅多に見ることが出来ませんから、じっくりと見させていただきます。」

 

「は……何をするつもんぎぃっ!?」

 

 

パキョッ!

 

 

両頬を優しく両手で包まれたかと思うと鬼のように力で強制的にアルトリアの方を向かされた。

あの、今首からパキョッて音が…。

 

「い、いってぇぇ!?な、何しやがる!?」

 

「これがクロの赤面…なるほど、これはこれで……。」

 

あの、アルトリアさん。せめて会話はしてください。

先程までの桃色のような雰囲気は消え去り、そこからは俺が弄られ続けたのは言うまでもないことだ。

結局、温泉から出たのは2時間後だった。目的の景色を眺めることは出来なかったが、いいものご見れたからよしとするか…。

 

 

 

 

『温泉ではお楽しみでしたね。』

 

「貴様!風、図ったな!?」

 

このっ、まさか外した後にアルトリアに吹き込んだな!?

 

『まあ、そんなことはどうでもいいです。』

 

「ええぇ…。自分から振っといてなんだよそれ。」

 

『とりあえず、マスターから見てアルトリアさんはどう見えましたか?』

 

「どう見えたって…そうだな。簡潔に言えば綺麗だった。」

 

『本当に簡潔ですねぇ。まあ、いいです。なかなか収穫もありました。』

 

「何のだよ…。」

 

風が何がしたいのかがいまいち分かんねぇな。

 

「クロ、そろそろ夕食の時間です。」

 

「ん、じゃあ、もう座って待っとくか。」

 

風呂から上がって、俺はいつもの真っ黒の浴衣、髪もポニテではなくいつものだ、アルトリアは青い浴衣でこっちはポニテ、ちなみに浴衣はどっちも自前だ。

 

 

コンコン

 

 

「失礼致します。夕食をお持ちしました。」

 

テキパキと目の前に豪華な食事が置かれていく。それに比例してアルトリアの目もどんどん輝いていく。

ん、酒も置かれた。うん?……………おい、一升瓶20本置いてったぞ。普通2人の客に出す量じゃねぇぞ。

 

「失礼致しました。」

 

中居さんが出ていった。…酒は、まあ、ありがたく飲ませてもらおう。

すると今にもアルトリアが食べ始めそうだったから一応止めた。

 

「む……。」

 

「まずはいただきますだろ?」

 

「そうでした…いただきますっ。」

 

手を合わせるとすぐに食べ始めた。どれを食べるか悩まないのがまた…。

俺も苦笑いを浮かべながら刺身をひと切れ食べる。

 

「クロッ、この料理はとても美味しいですね…!」

 

「ん、そうだな…。こんなに美味しいとは…正直驚いた。」

 

今まで食った刺身とは全然違うな…。土地や気候によってこんなにも変わるもんなんだな……。

そこからは俺も一心不乱に飯を頬張った。

これは、酒への期待も高まるな。

 

 

 

 

「さて……お待ちかねの酒だ。」

 

飯を腹一杯食べて少し食休みを挟み、楽しみだった酒を開けた。

 

「ニホンシュ、と言うのですよね。私は飲むのは初めてです。」

 

「だろうな。まあ、飲んでみたら分かる。」

 

百聞は一見にしかず、ってな。飲むから違うか?

袋からいつもの大盃を取り出し、アルトリアには普通の盃を渡した。

 

「……日本人とはそのような大きな器で飲むのですね…。驚きです…。」

 

「いや、違う違う。これは俺だけだ。普通はそっちで飲む。」

 

「ふむふむ…。クロがすごいのですね。」

 

「まあ、そうなるのか?」

 

先にアルトリアの盃に注ぎ、次に自分の大盃に注ぐ。

早く飲みたいところだか、ここは先にアルトリアに飲んでもらおう。

 

「では。」

 

くいっと一息に煽る。

 

「………ワインなどとは全然違いますね…。」

 

「まあ、そうだろうな。んで、どうだ?」

 

「そうですね、割と好きかもしれません。」

 

「おお、そりゃ良かった。」

 

よし、これで酒飲みが増えた。

 

「ほら、どんどん飲め。まだ沢山あるからな。」

 

「あ、はい。いただきます。」

 

アルトリアが酒に強いかどうか、酔ったらどうなるのか、この時の俺は全然考えてなかった。

 

 

 

 

「んっく……ぷは〜。」

 

「お、おい、アルトリア。そろそろ止めといた方が…。」

 

「いへっ!アルトリアちゃんはまらまらいけましゅよ〜っ!!」

 

どうしてこうなった。

最初は俺も気分良く酒を飲んでいたが、少し酔ってきたところでアルトリアは既にベロンベロンに酔っていた。しかも止めようとするとまだいけると酒を要求される。まるで上司と部下のようだ。実際には逆だが。

これ以上はまずいと思って俺も途中から大盃も使わずにラッパ飲みで本数を減らそうとして更に酔いが回った。

だが、甘いぜ。俺の意識はまだはっきりしている。

 

「む〜…。あついでふ…。」

 

「わ〜!?バカバカ!服を脱ぐなぁ!?」

 

なぁ、和服って日本人じゃなくても滅茶苦茶似合うんだな…。

………さて、現実逃避もここまでだ。

アルトリアは既に浴衣を肩まで脱いでいる。胸はなんとか隠せているが…いや、これはしかし、エロいな。

 

『……マスター、アルトリアさんの写真なら撮ってあげたので頑張ってくださいね〜。

ふわぁぁ…おやすみなさ〜い。』

 

ナイス!!……じゃないっ!?

 

「おしゃけ〜…。」

 

「おっと…酒がもう無くなったみたいだな。いや、残念だ。でも、無くなったものは仕方ないな。よし、寝るか。」

 

ついに開放されたそう思った瞬間だった。

 

「ちゅー。」

 

「…………んぅ?」

 

唇を塞がれた。誰に?アルトリアに?目の前には自分が見慣れた。しかし今日は見蕩れた顔があった。

アルトリアは離れて嬉しそうに笑って。

 

「ふふー、ついにクロとちゅーしちゃいましたよ〜。」

 

などと呑気に言ってるが俺はそれを気にする余裕がなかった。

風呂の時は顔だけが熱かったが今は体全身が真っ赤になって熱くなっている。

 

「おや〜?これはチャンスれふっ!」

 

アルトリアが俺に凭れてきた。

ここでやった意識が復活した。

 

「あ、ああアルトリアァ!?こ、これは流石に俺がランスロットとかエミヤ シロウに殺されかねないから!?」

 

「わらひがとめるのれもんらいないのれふっ!」

 

「そういう問題じゃっんむっ!?」

 

「ちゅー♪」

 

また口を塞がれ、今度は押し倒された。心臓の鼓動が五月蝿い。ああ、もういいや。俺も酔ってるんだ。酔った勢いってのは男としてどうかと思うが、もう我慢しなくても良いだろう?もう、ゴールしてもいいよな?

ザ・童貞卒業ってか。………124年も童貞だったのか…。

でも、初めてがこんな綺麗な女性が相手なのは最高だな。

この後どうなったかは、言うまでもないな。

 

 

 

side out

 




これは……セーフ、ですよね?一応。

感想・評価等あればよろしくお願いします。
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