それでは、続きをどうぞ。
side 黒
「ん………?」
誕生日会の後に家に帰って寝たはずなんだが…また夢か……。次はどんな夢だ?
「この部屋は前世の俺の部屋か。」
思い出した記憶の中にこの部屋もある。よく覚えている、と言うか基本的にはこの部屋に居た。
すると場面が切り替わった。
「………俺か。」
今の俺とほとんど同じ背格好、服、顔、紛れもなく俺だ。
前世の俺はパソコンの前に座りすぐに何かを始めた。パソコンの場面は見えないが何をしてるかは分かる。
「二次小説を読んでるな。」
今の俺とほとんど同じ背格好なら高校くらいだな。
「ーーーーーーーーー。」
例の如く何を言ってるかは聞こえないか。
「今回の夢は特にこれと言って収穫は無しか……。」
意識がゆっくりと遠のいていく、起きるのか…。
ゆっくりと目を開けて上半身を起こして溜め息を吐く。
「………眠い。」
この夢って滅茶苦茶眠くなるな…。
「コーヒー飲もう。」
目を覚ますなら、コーヒーだよな。
コーヒーを飲んだ後、俺は1人で広間に居た。いや、1人と1機と1つが正しいか。
『それでは、風ちゃんの1分ニコニコデバイス講座始まりますよ〜!』
「わー。」
風の体操のお姉さんのような掛け声と共に俺の気の抜けた声が広間に響いた。そしてそれに合わせて光ったジュエルシードが眩しい。
『では、材料から紹介します。
工具一式
謎の鉱石適量
多種多様な金属適量
後は……まあ、適当に揃えてください。』
「ずいぶん適当だな…それで大丈夫なのか?」
『ええ、大丈夫ですよ。』
ふむ、風がそう言うなら大丈夫だな。
「んじゃ、作るか。」
『何を言ってるのですか?』
「は…?」
こいつこそ何を言ってるんだ?作るんじゃないのか?
『最初に言いましたよね?1分って。』
「おいおい、流石に風でも1分じゃ無理だろ?」
『甘いですよ。甘々です。』
「ほお…?じゃあ、どうやるのか教えてもらおうか。」
『いいですよ。賭けますか?』
「ああ、いいぞ。可能な事ならなんでもいいぞ。」
『いいんですね?』
「ああ。」
出来るはずが無いだろ。1分だぞ。
「んじゃ、スタートだ。計測してるからな。」
『ええ、それでは完成した物がこちらになります。』
ふっ、と目の前に黒い腕輪が現れた。
「は………?」
『はい、私の勝ちですよ?』
「い、いや、なんだ、今の!?ずるいぞ!」
元々準備してたとかずるいだろ!?
『手段は問われていませんからずるくありません。』
「そ、それは……。」
『問題ありませんね?』
「…………ああ。」
『では、今度お願いするのでよろしくお願いしますよ?』
「約束だしな……。」
まさかこんな方法でやるとは…。
「…………んで、どうするんだ?」
『説明ですね?腕輪の窪みにジュエルシードを嵌め込んでください。』
「分かった。」
言われた通りにジュエルシードを嵌め込むとジュエルシードを中心に騎士は徒手にて死せずに似ている青い筋が広がった。
『え〜、あ〜……ここをこうして…完了です。』
『え、えっと、聞こえますか…?』
風が何かを調整すると女性、と言うより女の子の声が聞こえた。まさかジュエルシードの人格のようなものか?
「あ、ああ、聞こえるぞ。」
『わあっ!やっとあなたとお話が出来るんですね!』
「お、おお…。」
『こら、マスターが驚いてるでしょう。落ち着きなさい。』
『あ、ごめんなさい。僕は元ジュエルシードの人格です。』
おお、人格あったのか。それにしても僕っ娘か。
『僕に名前を付けてくれませんか?』
「名前か…どんなのがいいとかあるか?」
『えっと…僕も漢字にしてほしいです。いいですか?』
「ああ、いいぞ。」
名前ね……そうだな…。
「
『夜雫…ありがとうございます!!』
「まあ、呼び方は雫にするけどな。」
『それはそれでいいですね!』
雫がすげぇいい子…。
『マスター、形状の設定をしないといけませんよ。』
「ああ、そうだな。ん〜、補助としてだからな……。」
あ〜…あ、そうだ。
「ヘッドホンに出来るか?形は俺のイメージ通りにしてくれ。」
『やってみますっ。』
腕輪が光ると黒をベースに所々青の線が入ったヘッドホンが装着された。
「おお、ふむ…。んじゃ、もう一度イメージを読んで形を変えてくれ。」
もう一度ヘッドホンが光るとバイザーに変わった。
「おお……!!」
『ど、どうですか?』
「完璧だ!」
俺がイメージしたのはメタ〇ギアライ〇ングの雷〇の装備しているバイザーだ。かっこいいよな、あれ。でも、髪下ろしてると邪魔だからこれの時は髪を上げないとな。ゲームでも邪魔だから上げてたのか?
「んじゃ、これがラストだ。」
『は、はい!』
今度は光るとサングラスになった。
「ふむ、これもいいな。」
『き、気に入りましたか?』
「ああ、この三つで満足だ。ありがとな。」
『いえいえ!喜んでくれて良かったです!』
元気だな〜。
「………雫なら常時展開しててもいい気がするな。」
サングラスなら邪魔にもならないし、ヘッドホンも音楽入れたら聴けるし。
『僕はそれでもいいですよ?』
「んー……まあ、普段は腕輪がいいか。」
『分かりましたっ。』
さて、これから何をしようか……はやてちゃんは復学の手続きで小学校だし、アルトリアとヴォルケンズも一緒に行ったから今1人なんだよな…。
「……………暇だ。」
趣味が無いからな…。
「修行?いや、そういう気分でも無いしな。」
ふむ…仕方ない。
「寝るか。」
さっきから眠いし、誰も居ないから丁度いいだろ。
『おやすみなさい。』
『おやすみなさい!』
「ああ、おやすみ。」
広間の中心で布団に入るのも面倒だったからその場で横になって目を瞑るとすぐに眠気がやって来た。
「……んお?」
誰かが上に乗った…?はやてちゃんか?
「あっ…。」
「ん、フェイトちゃんか……どうした?と言うかどうやって入ったんだ?」
鍵は掛けてたはずなんだが。
「え、えっとね、その…転移で………。」
転移か〜、そっか〜。
「誰にも見られたりはしてないよな?」
「うん、ちゃんと気を付けたよ。」
「そうか、ならいい。んで、なんで上に乗ってるんだ?」
別に重くはない。寧ろ軽いくらいだ、でもなんで上に乗ってるかが分からない。
「………な、なんとなく?」
「なんとなくか、なら仕方ないな。」
なんとなくってのは直感と同じようなもんだからな。
「ま、いいや、おやすみ。」
二度寝するか。
「あ、おやすみなさい。って、寝ちゃうの!?」
「ふむ、確かにフェイトちゃんが目の前に居るのに放置して寝るのは良くないな。」
「私じゃなくてもダメだと思うよ…?」
「知り合い以外は知ったこっちゃないな。」
他人に優しく出来る程俺は優しくない。
「はい、フェイトちゃん。ぎゅーってしてくれ。」
「え?う、うん。ぎゅーっ…!!」
力いっぱいぎゅーってしてきたのを俺も優しく抱き締める。はぁ、可愛いな。
「…………よし、フェイトちゃん分補給完了。」
「何を補給したの?」
「フェイトちゃんにはまだ分からなくていいさ。」
さて、そうだな。折角フェイトちゃんが来てくれたからな…。
「そうだ。昨日話してた水族館、早速行くか?」
「え?でも、明日学校あるし、お母さんも心配するし……。」
「大丈夫大丈夫。風、プレシアさんにメッセージ送っといてくれるか?」
『了解しました。いつもながら甘いですね。』
「いいだろ?」
子供の時に色んな経験をさせたり、見せたりするのも大事な事だからな。
「んじゃ、行くか。」
「うん!」
実は俺も水族館は初めてだから少し楽しみなんだよな。
「んじゃ、ヘルメット被ってくれ。」
「んしょっ……。いいよ!」
「よし、しっかり掴まってろよ?」
「はーい!」
エンジン全開!風が気持ちいいな。
「到着っと。」
「早く早く!!」
「こらこら、水族館は逃げないから焦るなよ。後、危ないから走るなよ?」
「分かったよ!早く行こ!」
分かってないじゃねぇか……まあ、いいか。
「えー、チケットはっと…あそこか。」
機械か。最近は色んな機械化が増えてきたな。
「子供1人に大人1人…よし。
はいこれ、あそこの機械の間を通る時に差し込み口に入れるんだぞ?」
「うんうん!!」
あー、ほとんど聞いてないなこれは。まあ、楽しみってのは分かるけど。
「はぐれるといけないから手を繋ぐぞ?」
「う、うんっ!」
チケットを機械に通して水族館の中に入った。
「あ!ふれあいコーナーだって!行ってみようよ!」
「はいはい。」
ふれあいね、触れる魚?いや、貝?
「ねぇねぇ、この星みたいなのってなんて魚なの?」
「これはヒトデだな、触ってみたらいい。噛んできたりはしないから安心しな。」
そう言うとフェイトちゃんは恐る恐るヒトデに手を伸ばし人差し指でつついたが感触に驚いたのか足に抱き着いてきた。
「ほら、大丈夫だぞ。」
「う〜…。」
袖は握ったままだがまた触り、少しすると慣れたのかつついたり持ち上げたりしている。興味津々だ。
「なんか不思議な感じ……。」
「生き物なんてそんなもんだ。」
ドラゴンなんて不思議じゃ済まないからな。
「そろそろ次行くか?」
「う〜ん…そうするっ。」
そこからは小さめの水槽や中くらいの水槽が続いている。
「可愛い……!」
どうやらフェイトちゃんはクマノミを見てるみたいだ。
「美味そうだ…。」
俺はそんな中で同じ水槽のタカアシガニを見ていた。
北海道旅行で食べたのを思い出すな。
そのまま少しの間フェイトちゃんがクマノミに夢中になっていたから必然的に手を繋いでる俺はその場から動けない。だが、俺のスペックが異常だから離れていたとしても説明文も魚も見える。
「ほお、深海魚ってあんな見た目なのか。」
なかなか興味深いな…。
「クロ、次行こ?」
「ああ、悪いな。行こうか。」
次は大水槽だったかな?と思いながら歩いていると急にフェイトちゃんが足を止めた。
「っと、どうしたんだ?」
「えっとね、この、透明みたいなのって何?」
透明…?ああ。
「そいつはクラゲって名前だ。見た目も特徴的だな。」
「じゃあ危なくないの?」
「いや、逆だな。寧ろ危ないぞ?毎年クラゲの毒での被害が発生してるからな。」
「こ、怖いね…。」
「まあ、水槽の中なんだし、怖がることもないぞ。」
フェイトちゃんの反応がいちいち可愛いな。俺がこの子と同い年の頃は……ダメだ、既に色々諦めてたからこんな反応出来ない。
「わーっ!すごいすごい!!」
「ん…?」
少し考え込んでたか。前を向くと大水槽があり、様々な魚が泳いでいた。
「これは、確かにすごいな…。」
海をそのまま切り取ったみたいに見える。
「うー…。」
フェイトちゃんが唸っているが……ああ、なるほど。人が増えてきたから前が見えなくなったのか。
「よっと。」
「わわわわっ!?」
肩車をすると少し慌てたが、まあ、いいだろ。前にも肩車はした事もあるし。
「よく見えるかい?」
「うんっ!」
それなら良かった。
それからフェイトちゃんを肩車したまま見続けていたが急に周りの人が同じ方向に歩き始めた。いや、同じ方向に歩くのはおかしくないけど、こんな人数が多いのに全員が同時に移動する事はおかしい。
周りを見ると理由が分かった。
「ペンギンの散歩だってよ、行くか?」
「ペンギン!?行く!!」
「りょーかい。」
ペンギン、確か鳥だよな?まあ、どうでもいいか。
「また混んでるね。」
「でも、見えるだろ?」
「うん、黒のお陰でよく見えるよ。」
ん〜、もうちょい前に行けたらもっと良いんだけど…。流石に時間がかかるな。
「ふぅ…。」
人混みを通り抜けて前に行くと丁度ペンギンが来た。
「ペンギンって可愛いね!」
「ああ、可愛いな〜。」
ああ、フェイトちゃんも可愛いな〜。
なんて考えながらペンギンの列を眺めていると1匹のペンギンの子供が足元に来て、俺はしゃがんで列に戻るように手で促した。
「俺の方に来てないで親の所に戻りな。多分心配してるぞ?」
「ば、バルディッシュ!写真!写真だよ!」
『了解。』
うん、目の前に来て興奮するのは分かるけど抑えような?
「む……。」
ペンギンの子供がそのままペチペチと近寄って来て膝に乗ってきた。おい、飼育員仕事しろよ。
「だから、親の所に戻れって──」
と言った所で直感が働いて目線を上げると散歩してた全てのペンギンが全力で走ってきて、その波に飲まれた。あ、もちろんフェイトちゃんは逃がしてある。
「ちょっ、ばっ!?おい、飼育員さん働いてくれ!?周りの奴らも見てるだけじゃなくて助けてくれよ!?」
散歩を見に来ていた客と飼育員はポカーンとしており写メを撮る人も居た。
「いたっ!いたたたっ!?つつくな!痛いから!?」
ここで魔法使う訳にもいかないし、力技だと怪我をさせるかもしれないからそれも出来ない。困ったな…。
「むぐっ!?誰だ、今俺の口に小魚入れた奴!ヒレが口に刺さったじゃねぇか!」
「ペンギンってスベスベしてるんだ…!」
あー、うん、楽しそうで何より。
「あー!くそ!てめぇら整列しやがれ!」
怒鳴ると2列縦隊で並んだ。出来るんじゃねぇか……!!
「よーし、いいか、このまま散歩コースを歩いていつも通りの所に行くんだ。いいな?」
すると全ペンギンが頷いた。
「よし、行け。」
並んだ列を乱さずにペチペチと歩いて行った。
「…………。」
「黒、すごいね!!」
「……ああ、うん、ありがとう…。」
疲れた……。
「あっ、次はイルカショーだって!行こ!」
「ま、待ってくれ、引っ張るな…。」
子供は元気だな……。
「ここの席に座ろっ!」
「あ、ああ……。」
や、やっと休憩が出来る…。
座るとフェイトちゃんが膝に座ってきた。もう慣れたもんだな。
少し経つと女性の飼育員が出てきてショーが始まった。輪をくぐったりボールでの芸をしたりした。
「すごいすごい!!」
フェイトちゃんが拍手する。
でも、確かにすごいな。よくこんな事が出来るな。
『誰かイルカさんと遊びたい人〜!』
周りの子供達が手を上げる中、フェイトちゃんは少し遠慮をしていた。
「イルカと遊びたいんだろ?遠慮しなくていい。」
「う、うん…。」
それでも遠慮しながら手を上げた。
『じゃあ、そこの金髪でツインテールの女の子に出てもらいましょう!』
「行ってきな。」
「うん!」
『あ、そちらの和服のお兄さんも一緒に来てください!』
「は、俺もか!?」
「行こうよ、黒!」
「わ、分かったから引っ張らないでくれ…。」
ステージの上に引っ張られた。
『先に自己紹介をしていただきましょう!』
「じ、自己紹介だと!?」
そ、そんなもんあったか!?テレビとかでも見た事ないぞ!?
「……まあ、いいか。」
『あなたの名前はなんですか?』
『ふぇ、フェイト・テスタロッサです!』
『フェイトちゃんですね、可愛い子ですね〜。
そちらのお兄さんは先程ペンギン達にもみくちゃにされてた人ですね。お名前は?』
もうその話広まってんのかよ……!
『楽島 黒だ。』
『へぇ〜、楽島 黒さんですか!前にテレビに出ていたのを覚えていますよ。
それで、苗字が違いますが?何かあったんですか?』
おい、芸を始めろよ。何を面白そうに目を光らせてんだよ。頼むから仕事してくれ…。
『はぁ……この子の家族と交流があって、前に水族館に行こうって約束してたんだ。』
『仲が良いんですね〜。
それじゃあお話はこの辺にして、芸をしていただきましょう!』
ワァァァッ!と歓声が湧く。
やっとかよ……。
『フェイトちゃんと楽島さんは前に出て来てください!』
言われた通りに前に出る。目の前には水面が広がっている。
『イルカにキスしてもらいましょう。ほっぺを水面に向けて手を叩いてください!』
「先にフェイトちゃんがやるといい。」
「うんっ。」
フェイトちゃんが手をパチパチするとイルカが飛び出てきてほっぺにキスをした。
「わっ!?ね、ねぇ、黒、見てた!?ほんとにしてくれたよ!」
「ああ、良かったな。」
撫でてあげるとそれはもう本当に嬉しそうに笑ってくれた。
『はい、次は楽島さんにしていただきましょう!』
「あー、おいでおいで〜。」
フェイトちゃんと同じようにするが反応がない。なんでだ?
「っ!?うおぉぉ!!?」
水面からイルカが飛び出して突っ込んで来たのを受け止める。だが、唐突だったのもあり体勢を崩された。
「何しやがっガボボボ!?」
叫ぼうとした瞬間に他のイルカに足を噛まれて水槽の中に引き摺り込まれた。
『ら、楽島さん!?ど、どうしたのでしょうか……。』
いいから助けて欲しいんだが……下から水槽見てる客も驚いてんじゃねぇか。
〔マスター、どうしますか?〕
〔まあ、やるだけやってやる。〕
魔力とか使う訳にはいかないしなぁ。強化は無しでいいか。動物だし、怪我をさせたらいけない。
(水の中も水面を走る時の要領で…いや、足の裏の水を魔法陣だとして進行方向とは逆に蹴ればやれるな。)
イルカ2匹が突っ込んで来るのに合わせて水を蹴る。そして、交わる瞬間に体の向きを変えて2匹の上顎と下顎を掴む。ジタバタ暴れて別の向きに行こうとするが甘い、俺が力を入れて無理矢理2匹を同じ向きに向かわせる。
(これで、終わりっと。)
2匹を水面に行くように向きを変えさせて同時に水面から飛び出す。
「よっ、と。」
掴んでいた手を放してステージに着地する。怪我はしてないよな…?
「おかえり、黒!すごかったよ!!」
「はっはっは、ありがとな。まあ、なかなか面白かったよ。」
周りがポカーンとしてるが知った事か。
『な、何が起こったかは分かりませんが楽島さんが自力で戻って来ました!
何をしたんですか…?』
『内緒です。』
『おや、これは残念です。
そろそろお時間が来たようです。皆様、最後にイルカ達とフェイトちゃんと楽島さんに拍手を!』
会場の客が拍手をした。たまには、悪くないかな。
「ねぇねぇ、これなんてどうかな?」
「そうだな、サブレは定番だし、美味いから丁度いいと思うぞ?」
土産屋に来たが、割と種類が多いんだな。
「黒、これは?」
「チョコか、それもいいと思うぞ?それに、そんなに悩まなくてもいいぞ?」
結構持ってきたから全部変えるだろうし。
「ううん、しっかり決めないと。」
真面目だな。
「これも、でもこっちいいかなぁ……。」
「ああ、フェイトちゃん、ちょっと御手洗に行ってくるから選んでてくれ。」
「は〜い。」
「水族館のトイレはトイレの中も水族館風なのか…。」
少し驚いたぞ。
「さて、フェイトちゃんは─」
「ねぇ、お嬢ちゃん、可愛いね〜。お兄さんと一緒に来て欲しいんだけどいいかな?
それ買ってあげるから。」
「え?い、いいです。一緒に来てる人も居ますから…。」
「いいじゃないか。来てくれたらお菓子や玩具もあるよ?」
「い、いりませんっ。」
「そんな事は言わずに「おいこら。」ああん?なんだよ?」
「あっ、黒!」
俺に気付いたフェイトちゃんが安心した顔で俺の後ろに隠れる。
「大丈夫だったか?何もされてないか?」
「うん、大丈夫だよ!」
「それならいい。
さて、てめぇ分かってんだろうな…?」
子供にナンパをする時点で許せないが、フェイトちゃんに手を出すとは……。
「なんだ、兄ちゃん、かっこよく出てきて王子様気取りかぁ?」
「そんなもんじゃない。知らない男に話しかけられてたら心配になるだろ?」
「どうだかなぁ?」
しつこいな……。
「めんどくせぇな、ちょっと来い。
あ、フェイトちゃん、雫を渡すから待っててくれ。」
暇になると思って雫を投げ渡した。
それから丁度人から見られないような所に入った。
「こんな所に連れ込んで何をするってんだぁ?ああ、分かった、ガキの前じゃ土下座なんて出来ねぇもんなぁ!」
男のゲラゲラと笑う声が耳障りでイライラしてきた。
「ほら、土下座でもなんでもしてくれよ!」
「………なんでもって言ったな?」
つまり、いいんだな?
「ああ、なんでもしてくれよ!」
「んじゃ、ありがたくさせてもらう。」
顎先をデコピンで打つ。すると男が気絶した。
「……よわっ。」
まあ、早く終わる事に越した事はなんだけどさ。
「戻るか…。」
『記憶は消しておきますか?』
「ん、頼む。」
さて、フェイトちゃんが心配だからさっさと戻るか。
まあ、そこまで距離は離れてないからすぐに見つかった。
「〜♪」
雫をヘッドホンにして音楽を聴いていた。まあ、気分転換にはなるだろうしいいか。
「フェイトちゃん。」
声をかけると雫が知らせたのか振り向いた。
「あ、大丈夫だった?」
「当たり前だろ。」
まあ、心配してくれたのは嬉しい。
「はい、雫返すね。」
「ん、ああ。
それで、土産は決まったのか?」
「うん!これとこれにしたよ!」
ふむ、サブレとチョコか。
「んじゃ、買うか。」
「うん!」
会計を済ませて水族館から出る。フェイトちゃんもご満悦みたいだ。
「晩飯はどうする?」
「いいの?」
「ああ、元々そのつもりだったからな。何が食べたい?」
「う〜ん…お寿司!」
「回る所か?回らない所か?」
「回らない所はルールがあるんだったよね…?」
「詳しくは知らないけど、らしいな。」
「う〜ん、回る所!」
「ん、分かった。ヘルメット被りな。」
「は〜い。」
寿司も久し振りな気がするな。
それから寿司を食べて帰った。
俺も楽しかったし、良い休日になったな。
side out
まだまだ続きそうですが、こういう事が書きたいって言うのがどんどん出てくるんです。
A'sまでまだかかりますが、付き合ってくれると嬉しいです。
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