それでは続きをどうぞ。
side 黒
「兄ちゃん!ちょっとええか?」
「ん?どうした?」
水族館に行ってから少し経ったある日の夜。あれからはやてちゃんの復学も出来てはやてちゃんはバイクで送る事になった。ちなみになのはちゃん達と同じクラスらしい。
「えっとな、参観日があるんやけど……。」
少し俯いてプリントを渡してきた。
参観日か……。
「ああ、アルトリアと一緒に行くよ。」
「ほんまに!?」
「もちろん。流石にヴォルケンズを連れていくのは難しいだろうけど、俺とアルトリアが行く。」
「やったぁ!」
そんなに嬉しいのか…?嬉しいのか。
「基本俺とアルトリアは暇だからな。俺はたまに依頼があるけど、それも日が被ってないから大丈夫だ。」
「私頑張るから、見ててな!」
「ああ、見てるぞ。」
参観日か………俺の前世だと誰かが来た記憶が無いな。あの頃は周りの子供がどうしていつもよりも真面目にしてるのかと思ったら頑張ってる所を見て欲しいからか。
ふむ、転生してから知ることも多いな。
「いつもよりもいい服を着て行かないとな。」
「兄ちゃんって同じ和服やないん?」
「実は生地とか作りが結構違うんだぞ?値段も高い。」
「むう……違いが分からん… 。」
「まあ、それは仕方ないと思うぞ。」
俺も最初の頃は違いが分かんなかったし。
「クロ、楽しみですね。」
「ああ、そうだな。………スーツの方がいいか?」
「和服でいいと思いますよ。」
「いや、でも、ピシッとした服装の方がいいんじゃないか?」
「それでは逆にハヤテが緊張しますよ。」
「……んじゃ、和服でいいか。」
あ、そういえば参観日は何日だ?さっきは考え事してて見てなかったからな。
「3日後の土曜日か。」
土曜日か…これならヴォルケンズも連れて行けるかもな。ヴィータも見た目があれだから小学生だと間違われてなんか怪しまれそうだけど、土曜日なら大丈夫だろ。
「ん〜、ザフィーラ。」
「呼んだか?」
ああ、いつも犬の姿で喋ってるから人の姿をしてるのが新鮮…じゃなくて。
財布から1万円を抜いてザフィーラに渡した。
「?これは…?」
「明日か明後日にでもニット帽とか耳の隠れそうな帽子かパーカー買ってこい。」
「は……?」
『マスター、説明が足りてませんよ。』
「分からなかったか……。」
『当たり前です。唐突に言われても困るでしょう。』
「んじゃ、順を追うか。
3日後にはやてちゃんの参観日があるから耳が隠せる帽子かなんか買って来てくれ。後、尻尾も隠せるようにしてくれ。」
「なるほど、了解だ。」
あ、ついでにシグナム達の服も買ってもらおう。
追加で財布から10万円を抜いて渡した。
「後、他のヴォルケンズも連れてってあいつらの服も選んで来てくれるか?」
「それはいいが……こんなに良いのか?」
「良い良い。どうせ金は余ってるんだ。それに、俺は食材とか生活必需品とかしか買わないからな。」
「そういう事なら分かった。後で他の騎士にも話しておく。」
「ああ、頼む。」
後は参観日まで何をしようか?
「みんな〜、晩ご飯出来たで〜!」
ん、飯か。まあ、後で考えるとしよう。
「…………。」
目の前が暗い。だが、視界が少しぼやけているのは分かる。
「クロ…。」
「ああ、分かってる…。」
俺とアルトリアは周りに人が居るのも気にせず互いを抱き締めあった。
まあ、何があったかと言うと少し時間が前に戻るんだが、つまらない話だろうがしておこう。
今日は参観日当日だ。はやてちゃんを先にバイクで送って家に帰ってから準備をしてバスで小学校に来た。
「へぇ、小学校って中はこうなってるんだな。」
「思っていたよりも綺麗ですね。」
いつも外観しか見てなかったからな。
ヴォルケンズも不思議そうに校舎を見ている。
「えっと、はやてちゃんの教室は…。」
どこかと探していると先生だろうか、女性がこっちに来た。
「保護者の方ですか?」
「ええ、そうなんですが。どうにも場所が分からなくて。良ければ案内図のある所で良いので案内してもらえませんか?」
「案内図ですか。それならあっちに行くとありますよ。」
あっちか、真逆だったな。
「ありがとうございます。」
「いえいえ、それでは。」
さてと、あっちか。
「行きましょう。」
「そうだな。ヴォルケンズー、迷うなよ?特にヴィータ。」
「なんであたしだけ名指しなんだよ!」
「だって、なぁ?」
アイスとか物で釣られてホイホイ付いていきそうだからなぁ…。いや、まあ、ただの予想だからアテにはならないが。
「……だって、なんだよ? 」
「…まあ、気にするな。」
誤魔化すように頭を撫でた。だが、ムカついたのか脛を蹴られた。
「馬鹿にするなよ!迷子になんてならねぇからな!」
「はいはい、分かった分かった。後でアイス買ってやるから機嫌を直してくれ。」
「いいのか!?分かった!」
……………心配だ。
話しながら歩いてると目的の教室に着いた。授業はまだ始まってないみたいだが親が何人か来ている。教室のドアを開けて入ると音に反応して生徒達がこっちを向く。
「黒お兄ちゃん!」
「黒!」
「兄ちゃん!」
教室に入るとなのはちゃんとフェイトちゃんとはやてちゃんがすぐに来た。
「来てくれたんやね!」
「ああ、アルトリアとヴォルケンズも一緒だぞ。」
教室全体を見ると俺に驚いたのが数人、アルトリアに見蕩れてるのが数人、後は不思議そうにこっちを見ている。
ちなみに衛宮はアリサちゃんとすずかちゃんに何か言われてオロオロしている、その横でアリシアちゃんが愉快そうに何かを言っている。
見ている方としては面白いな。
「なー、兄ちゃん、抱っこしてや〜。」
「ん、いいぞ。」
まだ授業も始まって無いからいいだろ。
抱き上げるとはやてちゃんは教室内をキョロキョロと見回した。
「どうした?」
「高い所から見たことないから新鮮やなって思ったんよ。」
まあ、そうないか。大人になってから来るなんて事もないだろうし。ああいや、子供が出来て参観日になら来るか。
「なのはもやって!」
「黒、私も…!」
「ああ。」
結局、なのはちゃんとはやてちゃんを片手に抱き上げ、フェイトちゃんを肩車をする事になった。
それにしても、軽いなぁ。
少しすると高町家とユーノが来て、すぐ後にテスタロッサ家が来た、アルフも帽子を被ってるな、考えることは同じか。
「やあ、黒君。」
「どうも、士郎さん達も参観日っすよね。」
「そうだね。その為に今日は店を閉めたよ。」
それは大丈夫なのか…?
「プレシアさんも来たんだな。」
「当たり前でしょ?あの子達の参観日なんだから。」
プレシアさんはあの子達Loveだから、それもそうか。
そう思っていると教室のドアが開いて先生がやってきて、それと同時にチャイムが鳴った。
「さあ、授業ですから座ってください。
高町さんとテスタロッサさんと八神さんも、お兄さんに引っ付くのはいいですが、授業なので降りてください。」
すると周りから少し笑い声が聞こえ、先生も微笑ましそうに見てきた。
ふむ、俺は兄に見えるのか。まあ、見た目は18だからな。
「「「は、は〜いっ!」」」
言われて急いで飛び降りた、っておい!?
「ちょ、はやてちゃんは飛び降りようとするな!?」
「ご、ごめんなさい。」
ほっとしつつゆっくり車椅子に乗せてあげる。
「頑張って来な。」
「うん!」
そのままはやてちゃんは席に戻り、俺はアルトリア達の所に行くとアルトリアが話しかけてきた。
「楽しみですね。」
「ああ、授業を聞くなんて100年振りだからな。」
懐かしいな。
「では、今日はみんなが書いて来てくれた家族についての作文を家族の前で読んでもらいます。」
ほお、作文か。最近何かを書いてるかと思ったらこれか。
「番号順に読んでもらいます。まずはあから始まる子から。」
「はいっ!」
元気よくアリシアちゃんが手を上げて返事をした。
さて、どんな作文なのかな?
「私の家族は──」
まあ、ここは作者の文章力の都合で書けないから大幅カットだ。………む?また変な電波を受信したか?まあ、いい。
それから時間が経ち、はやてちゃんの番になった。
「次は八神さん。」
「は、はいっ!」
少し緊張してるな。あれは。
さて、どんな事を書いているのかな?
「私にはお父さんもお母さんも居ません。」
………暗い始まりだな。事実ではあるんだが。
「ですが、今年になってから近所の兄ちゃんと姉ちゃんに会って優しくしてくれました。それからは兄ちゃんの家に良く行くようになってその繋がりで友達も出来ました。」
なのはちゃん達の事だな。
「兄ちゃんと姉ちゃんは料理は出来ませんがいつも優しくてよく頭を撫でてくれたりしてくれて、それがとても嬉しいです。」
………料理が出来ないのは、仕方ないよな?いや、でも焼いたり煮たりするのは出来るし…。
「それから海外から親戚の人が来てくれて更に私の周りが賑やかになって生活が楽しくなりました。」
うむ……。
「今では兄ちゃんや姉ちゃんも家族みたいに思えてとても幸せです!」
いい話だ……。
この時点で俺は指で瞼を押さえていて、アルトリアとヴォルケンズも涙ぐんでいる。
これが冒頭に繋がる。
「クロ…。」
「ああ、分かってる…。」
周りの親や先生が戸惑っているが気にせずに少し息を吸って一言。
「「俺達(私達)の影響を受けてなくて良かった……!!」」
〔そこなのですか……。〕
大事な事だ。
俺とアルトリアは…その、なんだ、日常生活に関しては色々ダメな所があるからな……。
「あの…お兄さんとお姉さん、教室では静かにしてください。」
「あ、すみません。」
「これは、申し訳ない。」
ついやってしまった…。
「に、兄ちゃん、姉ちゃん、恥ずかしいからやめてや……。」
「「ご、ごめんなさい……。」」
………ああ、恥ずかしい。
それから授業が終わると真っ先にはやてちゃんが俺達の所に来た。
「もう、恥ずかしかったで…。」
「あ〜、ごめんな。」
「すみません…。」
これは反省だな。
「ところではやてちゃん。これはもう帰るのか?」
「うん、授業参観が目的やから午前中で終わりやね。」
「んじゃ、帰りにどこかで飯食った方がいいかもな。はやてちゃんはどこ行きたい?」
「う〜ん、お昼ご飯の材料はあるけど折角やから翠屋に行きたい!」
ん〜、でも今日は店を閉めたって言ってたしな…。
すると肩を叩かれ、振り向くと士郎さんがサムズアップをしていた。
「丁度プレシアさん達や衛宮君とユーノ君を誘っていてね。君達も誘おうと思ってたんだけど、どうだい?」
「是非にっ…!」
流石士郎さん……!
「よし、じゃあ、翠屋行くか。」
「やった!」
「やりましたっ。」
目に見えて喜んでるのははやてちゃんとアルトリアだけだが、ヴィータよ、にやけてるのが隠せてないぞ?楽しみなんだな。
俺はいつも通り、スパゲティとコーヒーとシュークリームでいいか。
ああ、そういえばアメリカでシュークリームって言っても笑われるらしいな。英語ではクリームパフらしい。ちなみにシュークリームでゴリ押すと靴の中にクリームが入った物が出てくるらしいぞ。
「とうちゃ〜く!」
となのはちゃんが大きく声を出すと思ったよりも考え込んでいたらしく翠屋の前だった。……くだらない事でこんなにも考え込むとは…。
「ん?どしたん、兄ちゃん?」
「いや、なんでもないぞ。ただ、無駄な集中力があるなって思っただけだ。」
「?そっか。」
「ああ。」
む、あんな無駄な考え事でも頭を使うと腹が減るな。やっぱりたまには違うものを頼んだ方がいいかもな…。
「はい、黒君。あなたで最後よ。」
む…桃子さん早いぜ。
そういえばカルボナーラもあったような無かったような…?いや、それだとなんで俺はナポリタンを頼んでたんだって話になるな、カルボナーラの方が好きなのに。
「桃子さん、カルボナーラってありますか?」
「カルボナーラ?メニューには無いわね。」
「そうですか…。」
「あ、でも材料はあったはずだから作ってあげるわ。」
「いや、でも…。」
「そんなに遠慮しなくてもいいのよ?」
「……じゃあ、お願いします。後、食後にコーヒーとシュークリームを。」
「は〜い、ブラックよね?承りましたっ。」
そう言って厨房に入っていった。
「それにしても、カルボナーラがあるとはな。」
「黒はカルボナーラが好きなの…?」
「ん、フェイトちゃんか。ああ、カルボナーラは好きだぞ。」
そのまま自然な流れで膝に座ってきた。……まあ、何も言うまい。とりあえず撫でるとパッと笑顔になった。実に和む。
「フェイトちゃんは何が好きなんだ?」
「えっと…お母さんの料理ならなんでも好きだよ?あっ、でも、桃子さんの料理も好きだからね!?」
桃子さんの事を気遣ったのか慌てて言った。別に気にしなくても桃子さんだからいいと思うけどな。
それとプレシアさん、嬉しいからってこっちをガン見するんじゃねぇ。フェイトちゃんを見てるのは分かるけど俺も寒気を感じる。
「はい、ご注文の料理です。」
っと桃子さんが来たみたいだな。
目の前にカルボナーラとナポリタンがの皿が置かれた。
ふむふむ、フェイトちゃんはナポリタンを頼んだのか。初めて翠屋に来た時もナポリタンだったっけな。
「これじゃ食べられないな。フェイトちゃん、悪いけど降りてくれるか?」
「あ、うん。ちょっと待って。」
そう言うとフォークでカルボナーラを巻く。
美味そうだ、しかも半熟卵入りとは…。それにフェイトちゃんもカルボナーラ食べてみたかったら言えばいいのにな。
「はい、あ〜ん。」
「あ〜ん。」
俺は別にカルボナーラをさの1口くらい食っても怒らないのに。ん、流石桃子さんだな、このカルボナーラ美味いな、半熟卵がトロッとしててソース─カルボナーラだとクリームだっけ?まあいい。─も絡みあってるのがまたなんとも言えない。……………む?
「あれー、おかしいねぇ。」
「何が?」
なんでフェイトちゃんは退かずに俺に食べさせてるんだろうねぇ?
「フェイトちゃん、それじゃ自分のが食べられないだろ?」
「大丈夫だよ、黒に食べさせた後で食べるから。」
「いや、そういう問題じゃなくて冷えるだろ。作りたてを食べた方がいいと思うぞ?」
「大丈夫だよ、桃子さんのご飯は冷えても美味しいもん。」
「だからそうじゃなくてだな……まあ、いいか。」
別にこんな感じのは今に始まった事でもないしな。
「あ〜ん。」
「あーん………美味い。」
やれやれ……。まあ、役得とだけ考えておくか…。
「帰って来たぞ…我が家!」
飯の風景なんて食べ始めくらいで充分だろ。男が飯食ってる所を見て何が楽しいんだ。いや、最近の飯漫画は面白いと思うぞ。ハズレも多いが。
「それで、衛宮はどうして着いてきたんだ?珍しい。」
「どうしてって、いい加減に修行をして欲しいんですけど?」
少し怒り気味に言ってきた。そうだな、そういえばそんな約束もしてたな。
でも、他の子達ともするって約束したからなぁ…。
「あ〜、そうだな、夏休みに入ってからでいいか?」
来月からだったか。
「そんなに遅くからやってたら闇の書との戦いに間に合わないでしょう!!」
荒れてるな。
「お前はもう既に修行をしてるだろう?見ただけで分かる。無理してるだろ?」
「無理でもしなければ勝てないですよ…。」
「それで体を壊したら意味が無いだろ。勝てる戦いも勝てないぞ?」
「それでも、それでも……!!」
「今は言う事を聞いとけよ。そしたら最低限今よりかは強くなれるはずだ。」
まあ、強くなると言うか多対一の戦いに慣れるだけだろうけど、その中で何かいい感じに強くなってくれればいいな。………俺との組手も混ぜるかな?
「……分かりました。」
「おう、年長者の言う事は聞いとくもんだぜ。」
少し肩を落として去って行ったが今はこれでいい。じゃなきゃいつか潰れかねない。
「………さて、昼寝するか。」
いつもより早起きしたから少し眠い。
適当な部屋に入って横になる。何も無い部屋も結構あるから別にいいだろ。何も敷いてないが問題ない。
「風、雫、起こさなくていいから。誰か来てても、まあ、急ぎじゃなかったら起こさなくていい。」
『了解しました。』
『はいっ。』
さて、おやすみ…。
「む……くああぁぁぁ…。」
よく寝た…何時だ?
目を薄く開くとアルトリアの顔が見えた。なるほど、膝枕か。
「あ、おはようございます。クロ。」
「アルトリアか…今何時だ?」
「5時ですよ。」
2、3時間くらいか。
「ところでアルトリア。ずっと膝枕してくれてたのか?」
「ええ、畳だと体を痛くしそうなのでせめて頭はと思いまして。」
「ん、そっか。サンキューな。」
「いえ、もう起きますか?」
折角の膝枕だ。今起きるのは勿体ない。
「いや、まだこうしておく。いいか?」
「ええ、もちろんです。」
そんな言葉に少し嬉しくなりながら腿に擦り寄る。
「きゃっ…!…もう、くすぐったいじゃないですか……。」
「む、悪いな。でも、今の声、可愛かったぞ。」
「か、からかわないでください……。」
そう言いながら顔を赤くするアルトリアが可愛くて堪らなくなる。
「くっくく……はははははっ!」
「わ、笑わないでくださいよ!」
「悪い悪い、ついつい楽しくなってな。」
「楽しくなってきたではありません!全く……。」
少し怒った表情も可愛くてつい意地悪したくなるのも惚れているからだろうか?
腹筋で起き上がってアルトリアの方を向き、右腕を引っ張ってこちらに引き寄せて抱き締める。
アルトリアと俺の身長差だとアルトリアの体がすっぽり収まる。
「な、ななななっ……!?」
「アルトリアは可愛いな〜。」
そのまま顎をアルトリアの頭に乗せる。ジタバタしても筋力はランクでも性別的に考えても俺の方が上だから暴れたって抜けられるもんか。
「は、放してくださいっ!?」
「ダメだ。たまにくらいいいだろう?」
そのまま抱き締める力を痛くない程度に強くする。
「ううううぅぅぅ…。」
「……まあ、どうしてもダメなら止めるぞ?」
「い、いえ……このままで、いいです…。」
「ん、そうか、ありがとな。」
お礼とばかりに頭を撫でる。俯いてはいるが髪の隙間から見える耳は赤くなっているのがよく分かる。
『風さん、私達はどうしましょう?』
『スリープモードに入るといいですよ。おやすみなさい。』
『そうですね。おやすみなさい。』
空気を読んでくれるのは嬉しいんだが…なんか恥ずかしいな。まあ、いいか。
そのまままた顎をアルトリアの頭に乗せて目を瞑る。夕日が窓から入って来たのとアルトリアと密着しているから温かくて眠くなってくる。まあ、はやてちゃんが来たら起こしてくれるだろう。
「え?ク、クロ?もしかしてまた寝るつもりなのですか?」
「ああ。」
「ちょ、ちょっと!?は、外れない……。」
そりゃあ力を入れてるからな。
「………寝にくいな。」
「きゃあっ!?」
抱き締めたまま横に倒れる。うん、いい感じだ。
「ク、クロ?クロ〜!?」
そのまま呼吸をゆっくりとして眠った。
「……に…ゃん……てや………に…ちゃん……!!」
む?誰だ?
片眼を開けて確認するとはやてちゃんが体を揺すっていた。
「ん……?どうした?」
「晩ご飯出来たから呼びに来たけど寝とったから起こしたんよ。姉ちゃんが動けないから起きてな。」
「うぅ…。」
前を向くと寝る前と同じく顔を真っ赤にしたアルトリアがいた。
「よっ、おはよう。」
「おはようございます……って、そうじゃありません!!」
「じゃあ、おそよう?」
「間違いではありませんが違います……!」
「ええから、姉ちゃんを放してあげたら?」
「ん、そうだな。」
パッと放すと顔を赤くしたままはやてちゃんの後ろに逃げて行った。
「アルトリア?」
「がるるるる………。」
威嚇されても可愛いだけなんだが…。
「兄ちゃん……。」
「いや、うん、悪かった。」
「私に言うんやなくて?」
「……アルトリア、悪かった。」
「…もう急にしないでくださいよ?…………先に言ってくれれば私も拒否しないのに…。」
「…………。」
小声で言っても俺は聞こえているんだが…。まあ、次は事前に言おう。
「それじゃ、晩ご飯食べよっか?」
「ああ。」
「そうですね、私はお腹ぺこぺこです。」
「ふふっ、じゃあ姉ちゃんのは大盛りやね?」
「お願いします!」
こう見ると本当に姉妹に見えてくるな。見た目も年齢も全く別なのに、不思議なもんだな。
「はやてちゃん、俺も大盛りで頼む。」
「兄ちゃんはいつもより少なめや。」
「なっ…なんでだ!?」
「姉ちゃん怒らせたんと私をほったらかしにしとったからや。」
「さっき謝ったろ!?」
「それとこれとは別や!」
「そんな事言わずに、頼むって!」
「ダメ!!」
「マジかよ…。」
どうやら俺の晩飯は少なめになるようだ……。だ、大丈夫だ、たくさん噛めば満腹中枢がなんとかってあったからたくさん噛めばいいはずだ!
…………必死で頼めば許してくれるだろうか…?
この後必死で子供に謝り続ける男の姿があったそうな………というか、やはり俺だった。
side out
後でアンケートを取りたいので暇でしたら活動報告の所でも見てくれたら嬉しいです。
感想・評価等あればよろしくお願いします。