海未ちゃんと小鳥ちゃんと別れて家に着いてから、私は部屋にこもりっきりだった。
別に何かやることがあったわけじゃないけど、なんとなく何もやる気がおきなくてずっとベットに横になっていた。
小鳥ちゃんから
「穂乃香ちゃん、お疲れさま」
ってLINEが来てたけど、たった一言返事するのも億劫で返せないでいた。
「おねえちゃん、そろそろ夕食食べないの?」
そんなとき部屋のドアが開いた音がして、雪穂の声が聞こえた。
私は、顔を向けずに声だけで答えた。
「うん、もうちょっとしたら、食べる」
家に帰ってきた時にはお母さんが夕食を用意してくれていたけれど、食べる気になれなくてそのまま部屋に来ちゃった。
「お母さんが食器片付けたがってたから、早めにね」
「わかってるー」
「・・・おねえちゃん大丈夫?」
その声色に違和感を感じて、雪穂の方を見ると雪穂の顔が心配そうにゆがんでいた。
「どうして?」
「だって、お姉ちゃんが学校帰ってきてすぐにご飯食べないなんておかしいじゃん」
そんな私が食いしん坊みたいなこと言わなくていいのに。
私はぷくっと頬を膨らませて反論する。
「私だって、こんなときくらいあるよ」
「そんなのお姉ちゃんがインフルエンザで寝込んでたときくらいしか思い浮かばないけど」
「失礼な。私だって食欲無い時くらいあるよ」
「まあ、別にいいけど。食欲無くても少しでいいからご飯食べなよ」
そう言って、雪穂はドアを閉めようとして、その間際に、手を止めた。
「あ、今日の入学式お姉ちゃん格好良かったよ。お姉ちゃんじゃないみたい」
「なにそれ、褒めてるの?」
この子はほんと私を何だと思ってるんだろ。
「褒めてるって。」
「アリサもすごく格好よかったって言ってたよ」
それだけ言うと、雪穂はドアを閉めて行っちゃった。
「私じゃないみたいって」
先ほどの雪穂の言葉が頭の中をぐるぐる回ってる。
その言葉とともに今日の入学式での挨拶の一幕を思い出していた。
入学生の前で淀みなく話をしていた私。
私を緊張した面持ちで見ている新一年生達。
その中にはきらきらしたまなざしで私を見ている子達もいた。
半年前の私は、勢いだけで壇上に立って、考えていたことを全部忘れて、
何を話しているかもわからない状態だったのに。
成長したってことなのかな?
でも、自分の中で、言葉出来ないもやもやが残ってる。
「だめだ、だめだ!」
考えても仕方ないんだから、とりあえずご飯食べよう!
重い体に力を入れてベットから起き上がって、お母さんが用意してくれていたご飯を食べに一階へと降りていった。