少しでも楽しいと思って頂ければ幸いです。
今回は班分けをしてそれぞれのハロウィンの様子をお届けします。
〇班分け
・供恵班
供恵、古鷹、吹雪
・睦月班
睦月、如月、三日月
・弥生班
弥生、卯月、文月、菊月
・時雨班
時雨、夕立、海風、江風
・秋月班
秋月、照月、若葉、初霜
・酒匂班
酒匂、名取、U-511
となっております。
それでは本編へどうぞ…
時刻は午後四時三十分。
少し前ならまだ明るかったこの時間も今となっては日が沈みかけ、電気をつけなければならないほどである。
そんな中、講堂には舞浜鎮守府に所属している駆逐艦と潜水艦、軽巡達が集まっていた。
そして、そこにいる全員がそれぞれ思い思いの仮装をしている。
時間が経つにつれ、事前に決めておいた班のメンバーが集まり、次々と出発して行った。
しかし、吹雪はまだ出発できずにいた。
というのも、一緒に回る予定の供恵と古鷹がまだ到着していないのだ。
「供恵ちゃん達、遅いなぁ…どうしたんだろ?」
五時を知らせる時計の音が響いた時、講堂の扉が開き、供恵と古鷹が入ってきた。
供恵と古鷹はつば広のとんがり帽子を被り、黒いワンピースに箒という魔女の仮装をしている。
「吹雪さん、お待たせしてしまいすみませんでした」
「ごめんね! ちょっと手間取っちゃって…」
揃って頭を下げる二人に、吹雪は笑顔で返した。
「大丈夫だよ。…それより、早くお菓子貰いに行こ! 」
吹雪がそう言うと供恵達は笑顔で頷き、講堂を出ていった。
〜弥生班〜
とある部屋の前で、弥生達は円になって話し合いをしていた。
「…本当に…やるの…?」
無表情ではあるがどこか不安そうな声で弥生は卯月に尋ねた。
「当たり前ぴょん。いたずらはうーちゃんの十八番ぴょん」
「うまくできるかなぁ…えへへ…」
「せっかくのハロウィンだ…楽しもう」
卯月に続いて文月と菊月も乗り気のようなので、弥生も渋々ではあるが頷いた。
「よ〜し! 作戦開始ぴょん!」
卯月を先頭に四人は扉を開け、中に入った。
中で待っていたのは、伊勢、日向、長門の戦艦トリオだった。
卯月達が入ってくると長門の目を輝かせた。
「ふっ…来たな。さぁ! このビックセブンの前に来るがいい!」
そう言って両手を広げる長門に卯月達は向かって行き…そのまま横を素通りした。
「…伊勢さん、トリ…」
「トリック・オア・トリートっぴょん!」
「Trick or Treatだ…日向」
素通りされた長門は広げた両手をだらりと下げ、がっくりと項垂れた。
「何故だ…普段から十分な愛情を持って接していたというのに…」
ぼそぼそと独り言を言っていると、長門は目の前に人の気配を感じた。
長門がゆっくり顔を上げるとそこには…
「長門さん、とりっく・おあ・とりーとぉ~♪」
白い服、背中には羽、頭の上に輪っかを乗せた天使の仮装をしている文月が立っていた。
その文字通りマジ天使な文月の姿は卯月達のスルーによって傷ついた長門の心を轟沈させるには十分すぎるものだった。
「グハァッ!!!」
長門は轟沈(気絶)し、そのまま仰向けに倒れた。
「あれぇ? 長門さぁん? お菓子は~?」
「お菓子くれないなら、いたずらするぴょん!」
卯月がそう言うと全員が長門の周りに集まり、いたずらをし始めた。
「…まあ、そうなるな」
「言ってる場合じゃないでしょ、日向。早く止めないと…」
~時雨班〜
時雨達姉妹がやってきたのは、大和の部屋。
しかし、部屋に入った四人を出迎えたのは摩耶と矢矧の二人だった。
「おっ! 来たな。待ってたぜ」
「あれ? 二人だけかい? 大和は…」
時雨が尋ねると摩耶達は後ろを指さした。
覗いてみると、縄で縛られた大和が部屋の隅で座らされている。
「大和さん!? 一体何が…」
海風が矢矧に尋ねると、矢矧は説明を始めた。
「…皆さんに配るお菓子を作っている時や待っている間にも、事あるごとにつまみ食いをしようとしたもので…」
そう言ってあきれ顔になる摩耶と矢矧に時雨達は思わず苦笑いを浮かべた。
「…そりゃそうなっても仕方ねえな」
「自業自得っぽい!」
「ごめんなさい、もうしませんから解いてください〜…」
〜睦月班〜
「睦月班、目的地にとうちゃ〜く!!」
そう言いながら睦月は重巡達が集まる部屋の扉を開け、中に入った。
「ぱんぱかぱ〜ん! 睦月ちゃん達、いらっしゃ〜い♪」
「愛宕さん! トリック・オア・トリートなのね〜!」
部屋に入って早々ハイテンションな愛宕と睦月を見ながら、高雄はくすりと笑った。
「あの二人は本当に仲がいいわね」
「やっぱりこうなった…私の計算通りね」
「全くもう…睦月姉さんったら…」
少しあきれ顔になりながらも三日月は柔らかい口調で呟いた。
その時、加古が三日月にお菓子の入った袋を差し出した。
「ほら、三日月。せっかくの機会なんだからさ。少しはハメを外してもいいんじゃない?」
「加古さん…そうですね。ありがとうこざいます!」
三日月は加古からお菓子を受け取ると、高雄達の方へ走って行った。
一方、如月は筑摩からお菓子をもらっていた。
「ありがとうこざいます、筑摩さん」
「いえいえ…あら?」
筑摩がふと隣を見ると利根がなんとなく不自然な様子であった。
それに気がついた筑摩は利根に向かって問いかけた。
「利根姉さんもお菓子が欲しいのですか?」
「!? な、何を言っておる、筑摩! わ、吾輩は別に…」
「もちろん、利根姉さんの分も作ってありますから…もう少し待っていてくださいね」
筑摩が笑顔でそう言うと利根は少し顔を赤くしながら小さく頷いた。
〜秋月班〜
「ほわぁ…焼き芋、美味しいです!」
「ん〜! 甘くて美味しい!」
空母達の部屋にやってきた秋月達は千歳姉妹から焼き芋をもらっていた。
「…喜んでもらえたようね」
「うん! 頑張ったかいがあったね、千歳姉! …ところでさ、龍驤?」
千代田は隣で飴を配っている龍驤に話しかけた。
「何や?」
「お菓子貰いに行かなくてよかったの?」
「…千代田、お前喧嘩売っとるんかいな…?」
「飛龍さん、蒼龍さん、Trick or Treatです」
「Trick or Treat? 何それ、おいし…冗談よ、初霜。ちゃんとお菓子はあげるからにじり寄って来ないでぇ…」
からかうつもりが逆にからかわれることになった蒼龍の姿に飛龍は肩をすくめた。
「やれやれ…。情けないわね、蒼龍」
「…こんなものしか用意できなかったけど…」
そう言って加賀が手渡したのは小さなチョコレートだった。
確かに他の者が用意しているお菓子に比べれば大分見劣りはするが、それをもらった若葉は表情を緩めた。
「ふむ。こういうのもシンプルで…悪くないな」
「…そう」
素っ気なく言いながらも加賀の顔は少し和やかなものになっていた。
〜酒匂班〜
「えへへ…阿賀野お姉ちゃん、能代お姉ちゃん、お菓子ありがとぉ~」
「長良姉さん、五十鈴姉さん、お菓子ありがとうございます…大切に食べますね」
「お菓子…Danke…です」
酒匂達が訪れたのは、姉や仲間達が集まる部屋であった。
真っ先に来た理由を尋ねると…
「「「…安心できるから」」」
気の弱さはいつになったら治るやら…
〜供恵班〜
「間宮ちゃん、伊良湖ちゃん、Trick or Treat!」
そう言いながら供恵は間宮達の部屋に入った。
だが、そこにいたのは間宮と伊良湖だけではなかった。
「Oh、供恵ちゃん達が来マシたヨ〜!」
「! 本当ですか? では早速取材を…」
「はいはい、そういうのは後にしましょうね〜」
金剛姉妹に青葉姉妹、大鳳がこの部屋に集まっていた。
「…なんか大御所帯ですね。どうかしたんですか?」
吹雪がそう聞くと、大鳳がそれに応えた。
「供恵さんがここに来ると聞いて…間宮さん達のお手伝いをしながら待っていたんですよ」
「本当!? みんな、ありがと〜!」
供恵はとても喜んでいたが、吹雪と古鷹は絶対にそれだけじゃないと思っていた。
お菓子を貰い終えた供恵達は一旦全員で講堂に集まり、最後の目的地に向かった。
そして、目的地に着くとすぐに扉を開け中に入った。
中で待っていたのは、言わずもがな提督だ。
「ふふっ、来たね。じゃあ…お菓子を配る前に一言もらえるかな?」
提督がそう言うと全員が口を揃えて答えた。
『Trick or Treat?』
ハロウィン終了後、古鷹と供恵が部屋に戻ると供恵が古鷹に尋ねた。
供恵「古鷹ちゃん、Trick or Treat?」
古鷹「ふえ!? お、お菓子なんて用意してませんよ?」
供恵「…それじゃいたずらしなきゃね~♪」
供恵は古鷹の前に立つとニッコリと笑った。
古鷹「な、何するんですか…?」
供恵「そんなに心配しなくても大丈夫だよ、…『古鷹お姉ちゃん』♪」
その瞬間、古鷹の顔が真っ赤になりそのままベッドに倒れてしまった。
今回は艦娘紹介は無しです。
では、また次回をお楽しみに…