ということで、舞浜鎮守府のクリスマスの模様をお届けいたします
※今回は少しはっちゃけました(笑)
今日はクリスマス。
ここ数日の間に街の街路樹にはきらびやかなイルミネーションが施され、夜になると幻想的な雰囲気を醸し出している。
もちろん、ここ舞浜鎮守府もまたクリスマスムードに包まれていた。
今日の出撃・遠征は全てオフとなっており、全員総出で飾りつけや夜に行われるクリスマスパーティー(という名の宴会)の準備に追われている。
そして、ここ司令室でも…
「お兄ちゃん! クリスマスツリーの飾りつけ、終わったよ〜!」
「司令官、こっちも終わりましたよ!」
そう言いながら駆け寄ってきた供恵と吹雪に提督は優しい笑みを浮かべた。
「お疲れ様。二人とも手伝ってくれてありがとね」
提督は二人の労をねぎらいつつ、優しく頭を撫でてあげた。
「はぅ…司令官の手、あったかいです…」
「えへへ…頑張ったよ〜♪」
そう言いながら、二人は少し惚けたようなふにゃっとした笑顔で提督の手を受けいれていた。
そんな二人に提督はこう続けた。
「手伝ってもらったことだし、二人にはお礼をしないとだめだね。…二人とも、何か欲しいものとかある?」
「ふえ!? わ、私は別にそんな…ひ、秘書艦として当然のことをしただけですし…」
しどろもどろになりながらそう言う吹雪に対し、供恵は我が意を得たりというようなそんな表情を浮かべた。
「本当!? …それじゃあ、お兄ちゃんに一つお願いがあるんだけど…」
そこで供恵はちらっと吹雪の方を見た。
「吹雪ちゃん、ちょっとだけ外に出てもらえるかな?」
「え? …う、うん、わかった…」
そうして供恵は吹雪を部屋の外に出すと提督の方に振り返り、ニッコリと笑った。
その笑顔に何か嫌な予感を感じ取りながらも、提督はおずおずと供恵に問いかけた。
「えっと…それで、ともちゃんのお願いって…?」
「ふふふ…それはね〜…」
供恵は部屋の隅に置いてある紙袋を持ってくると不敵な笑みを浮かべた。
一方、吹雪は司令室前の壁に背をあずけ、司令室の扉をじっと見つめていた。
「(…それにしても、供恵ちゃんの『お願い』って何だったのかな…?)」
一旦そう思ってしまうと、供恵達が中で何をしているのかが急に気になりだしてしまう。
吹雪はこっそりと扉に耳を当て、中の様子を探ってみた。
……ワァ………テイルヨ…! …ウゥ……ハ……シイ……
耳を当てるとそんな声が聞こえてきた。
「(…本当に何してるんだろう…?)」
その時、こちらに近づいてくる足音が聞こえた。
吹雪がその場から一歩さがった瞬間、扉が開き、供恵が顔を覗かせた。
「吹雪ちゃん、入っていいよ! 早く早く!」
「ちょっ、ともちゃん! ふ、吹雪ちゃん、絶対入っちゃダメだからね!」
部屋に入るよう急かす供恵と入るなという少し焦ったような提督の声に吹雪は戸惑った…が、さっき聞いてしまった声に加え、提督の慌てている理由が知りたいという好奇心を抑えることができなかった。
「(司令官、ごめんなさい!)」
吹雪は心の中で謝ると司令室に入った。
「…失礼しま………え!?」
入った途端に吹雪は驚きの声をあげた。
それもそのはず、そこで吹雪が見たものは…
「…入らないでって言ったのにぃ…うぅ…恥ずかしいよぉ…」
サンタクロースの女物…いわゆる、サンタガールの格好をさせられ、顔を真っ赤にしている提督の姿だった。
「大丈夫! 大丈夫! すっごく似合ってるよ!! ね? 吹雪ちゃん?」
目を輝かせながらそう問いかける供恵に吹雪は思わず首を縦に振った。
「そ、そうですね! えっと…司令官の可愛らしさというか、そういう感じが全面に出ていて、いつもの凛々しい感じとはまた違った良さがあります! これは是非ともみんなにも見てもらいたいような…って何言ってんだ私いいぃぃ!!!」
パニックに陥ってしまった吹雪を気にせず、供恵はさらに輝きの増した視線を提督に向けた。
「お兄ちゃん! 吹雪ちゃんもそう言ってるんだし、今日のクリスマスパーティーはその格好で行こう! ね?」
「『ね?』…じゃないよ!! こんな格好、みんなに見せられるわけないでしょ!?」
「大丈夫だよ〜♪ 何か減るわけじゃないんだし!」
「減る! 私の威厳とかが減るからあああぁぁぁ!!!」
そして時は流れ、続々と艦娘達が食堂に集まってきた。
「あら…? 提督がいないわね」
「吹雪ちゃんもいないにゃしぃ!」
「あの…供恵ちゃん、どこに行ったか知りませんか?」
そんな声が上がり始めた時、供恵と吹雪が食堂に入ってきた。
「みんな、お待たせ〜! ほらほら、お兄ちゃん! 早く早く! みんな待ってるよ!」
「だ、だからダメだって…」
供恵は提督の手を懸命に引っ張るが、提督は一向に中に入ろうとしない。
そんな二人の様子に夕立が吹雪に問いかけた。
「吹雪ちゃん、提督さんはなんで入ってこないっぽい?」
「あ〜…実はね…」
「!? 吹雪ちゃん!? 言っちゃダメだよ!!」
その時だった。
供恵は提督の意識が吹雪に逸れたその一瞬を見逃さず、一気に提督を食堂の中に引きずり込んだ。
「うわっとと………あ……」
提督が食堂に入った途端、一瞬にしてその場が静まり返り、全員が提督の姿を見つめた。
「…提督? その姿は…」
静寂の中、加賀が最初に口を開いた。
「ち、違うよ! ともちゃんが無理矢理…」
「えへへ…似合ってるでしょ〜?」
喜々とした様子でそう言う供恵の姿にその場の雰囲気が少しずつ高揚していく。
「…ぷ…っははは!!! 供恵の言う通りだ! 面白いくらいよ〜く似合ってるぜ、提督ぅ!!」
摩耶がそう言ったのを皮切りに、会場全体の熱気が一気に高まった。
「摩耶ちゃん!? そ、そんなこと言わな…」
「提督ゥウ!! バーニング ラアァブ!!!」
「ふぐおぉう!? こ、金剛ちゃん、いきなり抱きつかないで…ってちょっと!? なんで他のみんなもにじり寄って来てるの!? 後、青葉ちゃん! 写真撮るのだけはやめてええぇぇ!!!」
それから数十分後、提督はなんとかその場を落ち着かせ、全員の前に立った。
服装についてはもう開き直った…というよりは半ば諦めたといった感じで、なるべく意識しないようにいつも通り振舞おうとしている様子がはっきり見て取れる。
「…え〜と…まずはみんな、メリークリスマス! 今年も誰一人欠けること無くこの日を迎えられたことを嬉しく思います。…とまあ、堅苦しい挨拶はここまでにして…乾杯!」
「「「乾杯!!!」」」
挨拶を終えた提督は、どこか空いている席がないか食堂内を歩き回っていた。
途中、金剛達戦艦組のテーブルに誘われたが…何か嫌な予感しかしなかったため、丁重にお断りさせてもらった。
そうして歩き回っているうちにたどり着いたのは…
「加賀ちゃん、ここ…空いている?」
空母達が集まっているテーブルだった。
というのも、いつも頼りにしている吹雪が供恵に毒されている今、一番頼りになりそうなのはいつも冷静な加賀のいる空母組のところしかなかったからだ。
「…構いませんよ、どうぞ」
素っ気ない様子でそう答える加賀。
表面上はとても冷静に見えるが内心では…
「(提督が私の隣に…やりました…!!)」
とても喜んでいた。
提督にはわからないだろうが、他の空母達にはそのことがはっきりとわかるほど加賀の表情は穏やかなものになっていた。
「いやぁ…それにしても、提督のその格好よく似合ってるよね〜」
「本当…多聞丸も大笑いしそうなくらいだよ」
改めて提督の服装をまじまじと見ながら、蒼龍と飛龍の二人がそう呟くと提督はムスッとした表情を浮かべた。
「…言わないでよ、もう…! また恥ずかしくなってきちゃったじゃん…」
「大丈夫ですか? お水でも飲んで落ち着いてください」
提督の向かい側にいた千歳がそう言ってグラスを差し出した。
「千歳ちゃんありがと、もらうね………っ!?」
グラスを受け取り、一口、口にした提督はすぐに違和感に気がついた。
「ち、千歳ちゃん! これ、水じゃなくてお酒じゃない!?」
「あら? 本当ですか? ごめんなさい…私ったら、うっかり間違えてしまったようで…」
もちろん、嘘だ。
千歳に限って酒と水を間違える訳がない。
普段から酒を呑もうとしない提督が酒を呑んだらどうなるか…という興味本位からでた行動だった。
「ああもう…飲んじゃったじゃん…」
「本当にすみません、提督。…もしかしてお酒はダメな方ですか?」
「…呑めなくはないけどさ」
提督がそう言った瞬間、二航戦の二人と龍驤が目を輝かせながら提督の方を向いた。
「なんや、きみ! 呑めるんならもちいと早う言うてえな〜」
「提督! 今日くらいは呑みましょうよ〜!」
「…はぁ…わかったよ。…後でどうなっても知らないからね…」
そう言って提督は手に持ったグラスを再度傾けた。
その様子を供恵と古鷹が別のテーブルから眺めていた。
「提督ってお酒大丈夫なんですね…てっきり飲めないかと…」
「…飲めないんじゃなくて、飲まないんだよね〜…さてさて、空母のみんなはどの位生き残れるかな…?」
「…? それはどういう…」
「ふふふ…見てればわかるよ〜♪」
そう言って、供恵は再び視線を提督達の方に向けた。
その様子はまるで楽しいショーが始まるのを待つ小さな子供のような、そんなワクワクした雰囲気を醸し出している。
そんな供恵の様子を不思議に思いながら、古鷹も提督達の方に視線を向けた。
「……ふぅ、…久しぶりに呑むけど…やっぱり、美味しいね…♪」
飛龍達と呑み始めて数十分、提督はすっかり出来上がっていた。
想像以上にハイペースで酒を呑み続ける提督を心配した加賀が恐る恐る声をかけた。
「…提督? そんなに呑んで大丈夫ですか?」
「ん〜? 大丈夫だよ〜? …加賀ちゃん、もしかして心配してくれてるの〜?」
「…心配になりますよ。普段は全くお呑みにならないのに…」
加賀がそう言った瞬間、いきなり提督が加賀に抱きついた。
突然の出来事に目を白黒させる加賀に提督は耳元で小さく囁いた。
「…ありがと…そうやっていつも私を支えてくれる加賀ちゃんのこと…大好きだよ…♪」
そう言うと、提督は加賀に混じりっけのない笑顔を見せた。
その威力は…先程の甘い言葉で大破しかけた加賀の心を轟沈させるには十分すぎるものであった。
「クハァッ!!!」
その一部始終を見ていた飛龍達は背筋が凍りつくのを感じた。
「あの加賀を一撃で沈めた…? …ていうか、あれはヤバ過ぎでしょ…そ、蒼龍? もし提督がこっちに来たら全力で止めてね?」
「無理無理無理!! あんなの近づいた瞬間(萌え)殺されちゃうって!!!」
「あ、あかん! 今度は大鳳がやられかけとる! こっち来るのも時間の問題やで!!」
…その数分後、さらに三人の犠牲者が出たことは言うまでもない。
「…と、供恵ちゃん…あれは一体…?」
こちらもまた一部始終を見ていた古鷹が供恵にそう尋ねた。
「私は『抱きつき魔モード』って呼んでるけどね。…お兄ちゃんってさ、普段あんまり甘えたがらないじゃん? その反動からなのか、酔っ払うと誰彼構わず抱きついてくるんだよね〜」
「…止めなくていいんですか?」
「え〜? しばらく放っておこうよ〜…その方が面白いし…お願い、古鷹お姉ちゃん♪」
「っ! …そ、その呼び方はやめてくださいって言ってるじゃないですかぁ…」
古鷹は真っ赤になった顔を隠しながら、消え入りそうな声で抗議をするが、こうなってしまっては、もう古鷹に供恵を止める手立てはない。
結局、供恵は提督が眠りにつくまで放置し、艦娘達の反応を楽しんだそうな。
〜翌日〜
青葉「どうぞ、約束の品です!」
供恵「うわぁ…よく撮れてるよ♪ 流石は青葉ちゃん!」
青葉「恐縮です、供恵さんも被写体の提供ありがとうございました」
供恵「ふふふ…今度は振袖でも着てもらおうかなぁ…そうなったら、またお願いね♪」
青葉「了解…あなたもなかなかの悪ですねぇ…」
吹雪「あ、青葉さん! 昨日の司令官の写真、ください!」
阿賀野「あ〜! 私も欲しい〜!!」
加賀「…これ(写真)は譲れません」
提督のサンタガールコス写真、好評販売中!
詳しくは舞浜鎮守府の青葉まで♪
いつもに比べ、カオス成分が多いような…気のせいかな?
何気に提督の男の娘体質を全面に出したのは、初めてですね。描いてて楽しかったです(笑)
次回はバレンタインの予定でいます。誰かしらをピックアップして描く感じになるのかな…
それでは、次回をお楽しみに…