「多少開けた場所に出ましたね」
ロイヤルプリンセスが言う通り、森を抜けた俺たちがやってきたのは丘陵地帯。
「ガルデの裾野、ですね」
遠くにはウィンターローズとの国境となる針葉樹林が見える。だがその前に……。
「あのバカでかいのも害虫なのよね?」
「あ、あれは。春庭の脅威! 難敵です。注意してください!」
三本角の大型害虫……。いよいよ、ボス戦ってわけか。
「ああいった固い外殻を持つ害虫は魔法が有効です。ワレモコウさん、頼みましたよ」
「断じて、了解したです?」
ワレモコウが術を唱え発動すると、大型害虫を紫炎が襲う。怯んだ隙にセントポーリアやアブラナが剣戟をたたき込む。狙うは眼球や口といった比較的脆い部分。
「せやあ!」
「てい!」
短剣士と細剣士が魔法の発動と発動の間に攻撃を続ける一方で、ロイヤルプリンセスはその長剣で春庭の脅威の反撃を必死で凌いでいた。
「バスタースイング!!」
普段から、戦闘の時でさえ淑やかさを崩さないギンランの裂帛の気合いが響く。春庭の脅威の最大の武器である三本角を狙った一撃を放つ。
「く……そろそろだというのに……」
フォス丘陵地を抜ける前に陽力の祭壇を通過した。ソーラーリングに力はかなり溜まっている。だが、もう少し足りない。
「あ~ぅ、ぼんやりしちゃってた」
セントポーリアが春庭の脅威の一撃をもろにくらってしまった。このままではマズい。気持ちばかりが急いでしまう。
「団長様、焦ってはいけません」
隣に立つナズナに諭され、冷静さを取り戻す。
「ソウルウェーブ!!」
ワレモコウの術が春庭の脅威の動きを鈍らせる。
「今だ、極陽解放――ソーラードライブ!!」
天高くリングを嵌めた右手を伸ばす。温もりとともに、力強さを感じる。
「総員、一斉攻撃!!」
降り注ぐ極太の光柱に怯む春庭の脅威へ、セントポーリアのナイフが、スズランのナックルが、アブラナのレイピアが、ワレモコウの魔術が、ロイヤルプリンセスの長剣が命中する。そして……
「勝ったんですよねぇ?」
「ええ、私たちの勝利です!」
「ふん、これくらい当然よ」
「断じて、いい采配です?」
「皆さんとの連携、上手くできて良かったです」
春庭の脅威を撃破。しばらく張っていた気が緩んで……思わず草原に座り込む。
「皆さん大変お疲れ様でした!」
ナズナが五人をねぎらうが、ロイヤルプリンセスは少し浮かない顔をしていた。
「とはいえ……ノヴァーリス様を見つけることが出来なかった……」
確かにそうだ。今回の任務の目的は春庭の脅威の撃破ではなく、ウィンターローズ女王ノヴァーリス様の捜索なのだ。まだ任務は終わっていない。
「一度、街へ戻りましょう。皆さんの怪我もありますし、街に情報があるかもしれません」
「そぉですねぇ。みんな、ボロボロですものねぇ」
「どうしますか? 団長」
セントポーリアがパーティメンバーを見回して、ギンランが代表して聞いてくる。
「そうだな、一度街へ戻ろう。案外、女王様は既に街へ到着している、なんてこともあるかもだしな」
こうして俺たちは、来た道を引き返すことになった。
メインシナリオを踏襲しますが、完全に沿うわけでもないです。
メイン、イベント、キャラクエ、国家防衛戦、いろいろと齟齬が生じないよう、頑張ります。
感想お待ちしております。よろしくお願いします。