1-1攻略戦 提督着任す
「提督が鎮守府に着任致しました。」
本来提督とは将官以上の人間を指すものだろうが私のような新米少佐を「提督」と呼ぶところから人員不足であることが身をもってわかる。
元々私は陸軍の士官であったが、海軍出向経験があることからシーレーン防衛の役につかされて今鎮守府に着任した。
とはいえ、私が出向時にやってたことなど只の砲雷長であって作戦指揮などしたことがない。軍人が言うのもなんだが不安の渦の中にいた。
「貴方のような素敵な提督で良かったわ。」
嫌味で出迎えてくれたのは驚くことに出向時の乗艦の艦長だった。名前は高雄。つい一年ほど前は自分の上官だったのに今は私が上官だ。つくづく思うがこの国のシステムは全く理解出来ない。
それはさておき、仕事を始めなければならない。作戦のイロハは陸軍大学の専科で習ったが実戦はしていない。家から持ってきた陸軍の士官服に袖を通すと慣れない手つきで縫い合わせた船舶兵のマークが目に入る。
「提督にはまず鎮守府近海の制圧に挑んでいただきます」
どうしても耳に障る「提督」はさておき、予想以上に状況の悪いことに気がつく。鎮守府近海すら制圧できていないのだ。とにかく国防省に手配して海軍から船を廻してもらう。書類の処理すら追いついていない現状に一喝しようと思ったが秘書官たる高雄大佐さんに止められる。
実のことを言えば私は彼女に好意を出向時からいだいていた。彼女は部下に慕われている程優しく真面目であった。幾つか彼女の指令には意義を申し入れたことがあったが、彼女は他の士官と違い真摯に向き合ってくれた。そんなことから上官にいだいてはいけない感情をいだいていたのだろう。
出撃は駆逐艦の回航が終わり次第になった。
「高雄!出撃します!」
砲雷長時代に聞きなれたセリフも艦橋で。しかも指揮官として聞くのには新鮮である。
重巡に随伴艦をつけるのもなんだが致し方ない。白露型駆逐艦五月雨と特型駆逐艦深雪を随伴艦に付け港を離れる。
よく映画だと「見送り無しの寂しい出撃であった」というセリフを聞くが陸軍船舶隊の数すくない鎮守府の一つの初陣のため陸軍参謀長を初めとする数多くの上官たちが祝いに来てくれた。軍楽隊の演奏も華々しいものだったが意地でも軍艦行進曲は吹いて頂けないらしい。船の出撃に歩兵の本領とか雪の進軍とか本音でいえば、勘弁してほしい。
後任の砲雷長や高雄艦長とたくさん話したかったがそうも行かなかった。登舷礼を終えると直ぐにマストには作戦会議のため艦長は集合せよとの旗が上がった。
「五月雨っていいます!」
作戦は単純であった。事前に海軍軍令部から高雄が持ってきていた作戦指示書に従って航海してればいいのだ。
「深雪様一番乗り!」
敵艦は深雪が発見、我々に直ぐに無線が飛んできた。素直なやつは好きだ。直ちに私は副官に「S」「N」を掲げさせる。意味は「停船命令」だ。
勿論奴らには伝わらない。私にとっても好都合である。モールス等も形だけ行う。
最後に一つ旗を掲げた。戦闘旗である。
「砲雷撃戦用意!」
艦長の叫び声に反応してしまったことは置いておいて、敵主力に当たった。
「敵!巡洋艦1駆逐艦3!」
見張り員の叫び声と艦長の指示と怒涛の飛び交う艦橋は何故だか落ち着いた。しかし私は大まかな指揮権しかないので仕事は少ない。
「作戦終了。艦隊が帰投します。」
戦果は四隻撃沈内一隻軽巡という大戦果であった。艦隊決戦理論でいえば米粒ほどの戦果だが制海権把握には1隻でも多くの敵を撃破しなければならない。故に大戦果であった。
翌日私は高雄と東京の国防省に向かった。戦果報告だ。海軍軍令部ではほぼ相手にされなかったが、陸軍参謀本部ではとても歓迎された。聞けば他の船舶鎮守府はあまり戦果を挙げられていないらしい。個人スコアとか言っている場合ではないが、嬉しいものは嬉しいのだ。
国防省の友人等と話していたらいつの間にか日が落ちて交通手段がなくなっていた。まあ、鎮守府までおおよそ12時間はかかる故に致し方ないのだが。幼い頃の新幹線はもうない。
実家に若い女を連れて帰るわけにも行かないので東京で飲み明かすことにした。
入ったのは士官学校時代によく通った下町の飲み屋である。
流石に少佐と大佐の軍衣を纏ったまま入ったのが悪かったのか士官学校の後輩たちは飛び起きて敬礼をしてきた。焦った高雄さんは無礼講を許した。ただ店に学生時代のツケを請求されたのには参った。よく覚えているな。
高雄さんとは思い出話や今の仕事の話がやはり多かったが、プライベートな話も沢山した。嬉しいことに彼氏は居ないそうだ。
夢のような一晩はアッという間に始発の時間になっていた。軍人同士の謎の交流であった。
第1話完
初投稿になりました。驚くまでに短文ですが堪忍してください。
まあ、1-1だし多少は.....
ちなみに艦これは冬頃からやってますが未だに3-2と4-4はクリア出来ていません。物語がここまでいったらどうしようかと悩んでいます。
最後に提督のモデルは自分です。高雄さん可愛いですよね。