おのれスカイリムとFALLOUT4
攻勢準備
「…よし」
シャルティアの一件から数日後。アインズはナーベラルと共に冒険者モモンとしてナザリックを離れている。一方はくたくはナザリックの自身の居室にいた。そこで何をしているのか。彼は巨大な鏡の前に普段付けている装備を全て外し、装飾のない黒い金属の指輪を付け立っていた。はくたくはその指輪を起動させる。指輪の効果はすぐさま現れた。はくたくの体がグニャグニャと変形し始め数秒後にははくたくがいた場所には一人の人間がいた。いや、その人間には常人と違う所が一か所あった。爬虫類じみた瞳孔の瞳が暗褐色に輝いている。
「おお、成功だ」
巨大な鏡の前で指輪以外一糸まとわぬ全裸の男は指輪に込められた魔法が成功した事に喜ぶ。はくたくはシャルティアの事件から外部の世界に警戒する必要性をより強く感じていた。そこで一つ思いついたのが、自身もアインズ=モモンのように別の顔を持つ事だ。はくたくは本来の姿でナザリックの外に出ているのでナザリックの者として振る舞う仮初めの姿を用意する。だがアインズと違い人型でないはくたくはアインズのように鎧と幻影魔法で誤魔化すことは出来ない。
そこで<
今回使用したデータは細身で筋肉質の長身。精悍な顔はこの世界の人間ならばモモンの幻影の顔と同じ南方の出と分かる特徴を備えている。現実の顔を元にしたモモンの顔と比べていささか美系ではあるが。眼球が魔獣の頃のままというのは想定外だがおそらくデータクリスタルに目は弄らないとでも記述されていたのだろう。
はくたくはさっそく人間の姿を取った自身を調べる。
「これで一時的に人間に戻れた、という訳じゃないようだな」
人間の体になってまず感じたのは四肢のバランスの違いと尻尾の喪失から来る違和感。はくたくの『基本』は魔獣の姿であり、今はそれを無理やり捻じ曲げた形でしかないということか。
(魔法一つで人間になれるなんて都合よすぎるか)
いつまでも裸でいる訳にもいかないのではくたくは用意していた服を着る。その上にいつもの防具を装備すれば南方から来た軽装戦士がそこにいた。
(目は…タレントのせいだとでも言い張ればいいか。それにしてもここまで人間っぽくなれるなら魔獣として表に出たのは失敗だったなあ)
はくたくは人間への変装が想定より上手く行ったという事実から自分の浅慮を恥じる。これならば人間の冒険者として表の世界に出て行った方が色々と都合が良かっただろう。だが終わったことは仕方がない。気持ちを切り替えはくたくは後ろで待機しはくたくを見守っていたパンドラズアクターへ労いの言葉を掛けた。
「モモンと並んでも問題ない風貌のデータクリスタル。宝物殿の膨大なデータクリスタルの中から適切な物を選ぶとは流石だ」
「その様なお褒めの言葉を戴き恐悦至極です」
パンドラズアクターは労いの言葉に大仰な礼を返した。至高の四十一人からの労いの言葉はナザリックの者にとって最高の褒美なのだ。
はくたくはパンドラズアクターを下がらせると早速仕事に取り掛かる。
時は少し戻り、シャルティアを蘇生させた時の事だ。ナザリック強化計画に取り掛かると宣言したアインズにアルベドが提案したのだ。人間の死体では低レベルのアンデットしか生成できないならば、亜人種のリザードマンならばどうでしょうか。リザードマンの集落を攻め滅ぼして死体を集めましょう、と。
(アライメント極悪は流石だったな…)
アルベド提案を受けてすぐさま<伝言>会議を行った二人は強化が必要とはいえ、いきなり侵略行為に出るのにはNOということで共通見解を得た。二人が否定的な意見を述べて誘導しようとするも守護者統括はそれを上回るメリットを示すことで自らの提案を強化していく。
困り果てた二人だがアルベドと同等の知力を持つデミウルゴスが助け船を出した。リザードマンの集落を襲撃するのは同じでも目的を攻め滅ぼす事から支配する事にすればいいと。ナザリックの強化として幾つもの力を束ねる、場合によってはナザリック外の何かを支配する時が来るだろう。その際に上手く統治するための実験場にしてはどうかと。アンデット化の素材も侵攻の過程で確保できる。これにはアルベドも反論できない。アルベドは自身の提案とデミウルゴスの提案好きな方を選んでくださいと後退せざるを得なかった。当然二人はデミウルゴスの提案に飛びついた。
侵攻部隊の編成はアインズからはくたくに一任された。冒険者組合からの依頼ではくたく向きでない任務の間にそれをする時間がある事に加え、はくたくはナザリック内ではいわゆる「タカ派」に属していたからだ。はくたく自身はそう思っていなかったが能力の関係上ギルドが責める時にはほぼ出張っていた為、ナザリック内では防衛や生産よりも攻撃に長けた者たちと親しかったと言うのは事実ではあった。編成にあたってアインズから幾つか条件が課されている。
侵攻担当はコキュートス。守護者の中でナザリック防衛以外の命令が与えられていない彼を抜擢する。次に部隊指揮官の
(リザードマンの集落ってどれくらいの戦力なんだ?)
アウラの報告書を読んでも湖周辺に複数リザートマンの集落がありますよとしか分からない。向こうの戦力が分からなければどれだけの兵が必要かわからにではないか。はくたくは少し考えた後に
(軍の戦闘力は武器性能×兵員数だったっけ?)
どの集落にも
(うーん、少なめに見積もって3750、多めに見積もって4500あれば大丈夫かな)
はくたくは適当な情報収集で見積もった必要兵数である事、防衛側が地勢に詳しく有利である事、別にコキュートスの敗北が見たい訳でもないという事で4500の兵を与える事にした。次は兵科だ。ぱっと思いつくのは歩兵と騎兵による包囲戦術、陽動部隊と伏兵による挟み打ち戦術、アンデットである事を有効活用した同士討ちを無視する弓兵やエルダーリッチによる射撃戦術。兵科はコキュートスがどのような戦術を取ってもいいように歩兵弓兵騎兵、複数種類のモンスターで構成する事にする。はくたくは無い頭でどうにか軍勢の内訳を絞りだした。
リザードマン攻撃部隊
担当 コキュートス
部隊指揮官
りざーどまんに1週間の猶予を与えその後集落を一つづつ攻め落とし配下に置く。彼らがバラバラに抵抗するなら個別に攻め落とし、一致団結するならば一度の会戦によって決着を付ける事。
(こんな物でいいだろう)
はくたくは部隊の内訳と上記の支持を紙に書きつけた。これをアルベドが確認し問題なければそのままアインズに決を求める。アルベドが問題ないと考えればアインズもはくたくの案を追認するだろう。はくたくは改めて内容を確認する。これが自分の手を離れれば一つの民族の運命が大きく変わるのだ。確認し終えたはくたくは覚悟を決め部屋に待機しているメイドを呼んだ。
「これをアルベドの所へ」
賽は投げられた。
軍事記述はスーパーににわかです。
それは置いといて疑問なんですが、ファンタジー世界で三兵戦術や諸兵科連合やランチェスターの法則の概念って通用するんでしょうか。
ランチェスターの法則は
昔ながらの戦いの第一法則 Ao-At=E(Bo-Bt) (軍の戦闘力)=(武器性能)×(兵員数)
近代戦の第二法則 Ao×Ao-At×At =E(Bo×Bo-Bt×Bt) At =√(Ao²-Ex(Bo²-Bt²)) (軍の戦闘力)=(武器性能)×(兵員数)²
AoはA軍の初期の兵員数
Atは時間 t におけるA軍の残存する兵員数
BoはB軍の初期の兵員数
Btは時間 t におけるB軍の残存する兵員数
Eは武器性能比(Exchange Rate)=(B軍の武器性能)÷(A軍の武器性能)
だったはずです。多分。ファンタジー世界だと多分武器性能Eの値が滅茶苦茶になりそうですね。雑兵が何万いようがEの値がぶっ飛んだアインズは独りで皆殺しちゃぶ台返しが出来る訳ですから…