ポケットモンスターBW【主人公は転生者】   作:シューティングスター

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第9話 ここにも解放されるべきポケモンがいたか

「マジでふざけてんじゃねーぞ、てめぇッ!!」

 

 

 

今、確かにポケモンセンターの外から聞こえて来た。

 

さっきは空耳かと思ったけど、窓を開けて聞いたから間違いない。

 

 

窓から身を乗り出して、目を凝らすと、オレやサトシよりも年上に見える人間が一人と赤いボールのようなポケモン、ダルマッカのすがたが見えた。

 

 

声の音量的に、あまりいい話じゃないハズだ。

 

ちょっと覗きに行くとするかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

センター内から外に出たオレは、さっき外から出た人間を見つけた。

とりあえずは見つからないように、木の陰に隠れることにする。

 

 

 

 

「てめぇ何回攻撃はずしゃァ気ィ済むんだよッ!!

お前のせいであんなガキにまで負けちまったじゃねぇかッ!!

 

「ダ、ダルゥ……」

【ご、ごめんなさい……】

 

 

どうやらバトルで負けた八つ当たりをしているらしい。

 

ダルマッカの姿や、意思を見る限りどう見たって怯えている。

 

 

かわいそうに……。

あんなトレーナーに捕まっちまったから……。

 

 

 

「てめぇみてぇなポケモンなんざオレの手持ちに要らねぇんだよッ!!」

 

「ダッ!?」

 

 

男は大きく足を振りかぶる。

間違いねぇ、ヤローはダルマッカを蹴るつもりだ!!

 

止めなきゃダルマッカが危ない!

 

そう考えると、オレは木の陰から飛び出していた。

 

 

 

「てめぇッ!なにをしようと___」

 

 

 

 

 

 

 

 

バギャッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うがぁっ!!?」

 

「ダルっ!?」

 

「へ?」

 

 

 

 

 

 

オレは確かにヤローを殴ってでも止めようとした。

 

 

でも、殴ったのはオレじゃない。

 

先に殴った人間がいた。

 

 

 

 

 

「大丈夫かい?」

 

「ダルル?」

 

 

 

ヤローを殴った人間は、自分が殴り飛ばした人間には目もくれず、ダルマッカに声をかけた。

 

 

「ここにも開放されるべきポケモンがいたか。

全く、つくづくこの世界は腐っていると思わされる。」

 

 

 

その人間は、緑の長髪。

ベースボールキャップのような帽子。

腰にぶら下げたルービックキューブ。

 

 

ゲームをしたことがあるはずの人間なら、誰もが知っているNだった。

 

 

「っぐ………。

て、てめっ……それを返せ……ッ!」

 

「なにを言ってる?

キミはもうこの子を要らないと言ったじゃないか。」

 

 

Nは、殴った人間からダルマッカのモンスターボールを奪い取った。

 

そして___

 

 

 

パキンッ!!

 

 

 

___いとも簡単に。

トレーナーとポケモンの繋がりを踏み砕いた。

 

オイオイ、マジかよ……?

 

 

 

「さぁ、キミはこれで自由の身だ。

野生の世界に帰るんだ。」

 

【え、で、でも……。】

 

「ここにいるとキミは幸せになることは出来ない。野生ならずっと幸せになれる。さぁ、行くんだ!」

 

【………っ!】

 

 

少し戸惑いを見せながらも、ダルマッカは森の中へと去って行く。

 

どうやらあいつは野生で生きることを選んだみたいだな。

 

でも、なんだか仕方なくって感じだったな……。

 

 

 

「てめぇぇぇッ!!

人が捕まえたポケモンになんてことしやがんだァァァッ!!!」

 

 

さっきまで動けなかったトレーナーが、手元にあった手頃な石を持って、Nに襲いかかった。

 

Nも反応が遅れて、とてもじゃないけど避けきれそうにない。

 

ここはオレが……!

 

 

「ミロカロス!あの男を拘束しろッ!!」

 

「ミッ!」

 

「どわっ!なんだァ!?」

 

 

ボールから出た直後に、男に巻きついたミロカロス。

これでヤツの動きは封じたな!

 

 

 

「おいっ!!

てめぇがこいつのトレーナーかッ!?

離すように指示しろよッ!!」

 

「そんなこと出来るかクソヤローがッ!!

てめぇがあのダルマッカにしようとしたことも、Nにしようとしたことも立派な犯罪だってんだよ!!」

 

「え?」

 

「ぁんだと!?

オレとやるってぇのか!?」

 

くっそ、腹立つわコイツマジで!

こうなったらトレーナーとしてこいつをボコボコにしてやるしかーーー

 

 

 

「あれ?ユウキ?

こんなとこでなに騒いでんだ?」

 

「!? サトシ!?」

 

 

ここでの騒ぎを聞きつけたのか、サトシがオレたちのところまでやって来た。

 

 

「げっ!?

てめぇは昼間のクソガキ!!」

 

「ッ!! お前はダルマッカの!!」

 

 

ミロカロスに巻きつかれてる男と、サトシが出会った瞬間に睨み合った。

 

てゆーかこいつら会ってるのか?

 

 

「知り合いなのか?」

 

「………今日ユウキたちと会う前にこいつとバトルしたんだ。

ピカチュウのおかげで勝てたんだけど、こいつはバトルを頑張ってくれたダルマッカに対して『マジで弱ぇわ』なんて言いながらボールに戻したんだよ!!

それでちょっと揉めて……」

 

 

なるほど、そーゆーかことだったか。

別にサトシに限ったことじゃないが、いいトレーナーはポケモンを大事にしないヤツが一番嫌いなタイプだからな。

揉めるのも当然だろ。

 

 

「はっ!

弱ぇポケモンに弱ぇって言って何が悪りぃんだよ!?

結果あいつが攻撃を外すから負けたんじゃねぇかよ!!」

 

「ふざけるなッ!!

お前、ダルマッカの攻撃が外れてから何の指示もできてなかったじゃないか!!」

 

「ぐっ!

ガキの癖に偉そうなことばっかり……」

 

 

男の反応から伺うに、全部ホントのことみたいだな。

許せねぇな、負けた理由を全部ポケモンに押し付けやがって……。

オレが一発ガツンと……。

 

 

「っ、それでも_____」

 

スッ、と

男にガツンと言おうとしたら、Nに制されて止められた。

なんてゆーか出鼻を挫かれたな……。

 

 

「キミはダルマッカのとくせいを理解しているのかい?」

 

「は?とくせいだァ?

知るかよ、ンなモン。」

 

「!!

それでよくもトレーナーを語ってくれる……!!

ダルマッカのとくせいは【はりきり】だ。

こうげきの威力は上がるが、その分めいちゅうが下がるとくせいだ。

自分のポケモンのとくせいも知らないで、何がトレーナーだ。

思い上がるなよ……!」

 

 

冷静な口調ながらも怒るN。

その怒りは、離れてても伝わってくる。

 

 

 

 

「あぁん!?

誰が思い上がってるってぇぇ!?」

 

 

まだ分からんのかこのアホは。

 

こっから先はオレの仕事だな。

こいつをボコボコにするっていうな。

 

 

 

 

「お前に決まってんだろ、三流トレーナー。

自分の実力をオレの手でわからせてやるよ。

ミロカロス、バトルだ。」

 

「ミロォッ!!」

 

 

男の拘束を解いて、オレの元に戻ってくるミロカロス。

負けらんねぇ……!

こんなトレーナーの風上にもおけないヤツになんて負けらんねぇ!!

 

 

「デンチュラ、バスラオ、ミルホッグ!!

おれのためにこいつをぶっ倒せ!!」

 

「ヂュラァ……」

【んだよ……】

「キシャ……」

【おれのためとか、こいつマジでうぜぇ。】

「……ミル…」

【……チッ…】

 

 

なんだ?

これからバトルするのに全然やる気が感じられねぇぞ?

なんだか自分たちのトレーナーを軽蔑するような目で見てるし……?

 

 

「ミロカロス、れいとう____」

 

「待ってくれ。」

 

 

バトルを始めようとした時だった。

 

オレとあの男の間にNが割って入り、そのまま男のポケモンたちに話しかけた。

 

 

 

「キミたちはトレーナーに不満があるのかい?」

 

【不満があるのかだって?】

 

【むしろ不満しかねぇよな?】

 

【ああ。】

 

 

どんだけトレーナー嫌ってんだよ。

苦くて有名な漢方薬でも与えてんのか?

 

 

 

「どういうところが不満なんだい?」

 

【ほとんど全部だな。】

 

【俺たちポケモンをバトルの道具としか思ってねぇんだよ、あいつは。】

 

【自分の指示ミスで負けた癖に、全部ポケモンのせいにしようとしやがるんだぜ?】

 

「じゃあ、あのトレーナーの元から解放されたいかい?」

 

【………ああ。】

 

【そうだな。】

 

【当然だ。】

 

「フッ。

その言葉を聞けて安心したよ。

ボクはトレーナーからポケモンを解放して回っている人間だ。

キミたちが解放されたいという気持ちを示したからには、ボクが責任を持ってキミたちを解放してあげるよ。」

 

【本当か!?】

 

「ああ。本当だ。

キミたちはそこで見てるといい。」

 

 

 

____終わったな、あのトレーナー。

これであいつの味方はゼロだ。

 

 

「なにタラタラしてんだよてめぇら!!

さっさとあいつを____ 」

 

「ムダだ。

もう彼らはキミなんかのポケモンじゃない。

彼らはキミのポケモンであることにうんざりだそうだ。」

 

 

ぽかーんと口を開けて唖然とするトレーナー。

そりゃポケモンと話せる人間がいたら誰でも戸惑うわな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、オレもじゃん。

 

 

「な、なにいってんだよてめぇ!?

あいつらの言葉がわかるってのか!?」

 

「そうだ。キミの元から離れたいと言っている。」

 

「デタラメばっか言ってんじゃねぇよ!!

オラ、さっさとあいつをブチのめせッ!!」

 

「ヂュラ!!」

 

「キシャァ!」

 

「ミルホッ!」

 

「うわぁっ!?」

 

 

男のポケモンたちが____、

いや、男のポケモンだった奴らが、元トレーナーを攻撃した。

幸い足元を狙うぐらいですんだが、

目を見ると、【次俺たちに命令するなら当てる。】と、物語っていた。

 

 

「オイ、あんたはもうなにも言わない方がいーぜ。

次命令したら当てるだとさ、あいつら。」

 

「……!」

 

 

攻撃食らって死なれるのも困るし、一応忠告はしておいた。

 

 

「な、なにしてんだよ!?

正気か、お前ら!?」

 

 

うろたえる元主人。

今まで大切に触れ合ってあげなかったツケがここに来てきたんだな。

 

 

「チョロネコ、どろぼうだよ。」

 

「フニャッ!」

 

「あっ!オレのボール!!」

 

 

Nの持ち出したモンスターボールから、チョロネコが出て来た。

そのチョロネコは、一瞬で男の背後に回ってモンスターボールをかすめ取った。

 

モンスターボールさえ手元になければ、あの男の命令を聞く義務が無くなる。

 

これであいつらは開放されたことになるな。

 

 

「ダルマッカは急いでいたから野生に逃がしたけど、この子達はボクが解放させてもらう!」

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁっ!!

ポケモンドロボーーーー!!!」

 

 

 

自分の手元から、武器となるポケモンが居なくなり戦意喪失。

男は叫びながら走り去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでキミたちも晴れて解放されたことになる。

でもボクらの家までは遠い。

不本意だけど、しばらくモンスターボールに入っていてくれないか?」

 

 

三匹に確認を取る。

元いたトレーナーの時とは打って変わって、素直に頷いた。

 

 

「ありがとう。ホントにゴメンよ。」

 

 

そしてNはモンスターボールに戻した。

 

 

 

「大変だったな、ユウキ。」

 

「全くだ。

お前がいてくれて助かったよ。

ありがとな、サトシ!」

 

「気にすんなって!

じゃ、また明日な!」

 

「おう!」

 

 

一応問題を解決したため、サトシは自室へと戻っていた。

 

 

オレも戻ろっかな?

 

 

 

「待ってくれないか?」

 

 

 

部屋に戻ろうとしたら引きとめられた。

 

なんか話すことでもあんのか?

 

 

「なんか用か?」

 

「キミに聞きたいことが2つある。」

 

 

えぇ~~、早く寝たいのにィ。

めんどくせぇけど、仕方ないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「キミとボクは初対面のはずだ。

なのにキミはどうしてボクの名前を知っていたんだい?

それにあの時、どうしてポケモンたちが『次に命令したら当てる』と、言っていることが理解できた?」

 

 

「………!」

 

 

ヤバい………!

ここに来て原作の知識がアダになったか…….!

後者の質問は答えられる。

でも、前者の質問は答えられない!

転生しましたなんて素直に言えるわけねぇし……!

 

なんていえば………。

 

 

 

「あんたほど言葉が分かるって程じゃない。

ただ、生まれつき、ポケモンの目を見たらそいつの意思が理解出来るだけだ。

悪いけど、前者の質問には答えられない。」

 

「そうか……。

ならいい。ボクもあまり人にポケモンと喋れることは知られたくないからね。」

 

 

 

上手い誤魔化しの言葉が見つからなくて、答えられないとだけ言う。

意外にも、Nはそれ以上詮索してくることはなかった。

 

 

「じゃあ、質問を変えよう。

キミもボクと一緒にポケモンを解放して回らないかい?」

 

 

 

なんじゃそりゃ。

スカウトのつもりか?

ま、答えは決まってるけどな。

 

 

「やなこった。

誰がプラズマ団なんかに入るかよ。」

 

 

 

 

 

 

ニヤリ、Nが笑う。

 

 

 

 

 

 

 

あっ。

 

やっちゃった。

 

こいつ____カマかけやがった………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクはただポケモンを解放しようと進めただけだよ?

それなのにどうしてボクがプラズマ団の関係者だと知っている?」

 

「や、あ、その……。」

 

 

あああああ……。

もうダメだァ……、言い訳が見つからん……!

 

 

 

 

 

「どうやらなにを言っても答えないつもりのようだね。

それじゃあポケモンバトルで決めようじゃないか。」

 

「ーーー? バトル?」

 

 

これまた予想外な答えが帰ってきた。

まさかあのNからバトルを挑んでくるとは……。

 

 

「ああ、そうだ。

キミが負けたら抱えている秘密について答えるんだ。

そして持っているポケモンを、解放してもらう。」

 

「………!!」

 

 

正直、自分のポケモンを賭けの対象なんかにしたくない。

 

そんなことは最低なトレーナーのする真似だ。

 

だからといって、秘密を知られるわけにもいかない。

そんでもってプラズマ団は大嫌いだ。

ここで王であるNに勝って、オレのポケモンたちの意思を見せればひょっとしたら考えを改める可能性も出てくる。

 

ここは___、

勝負に出るか…!

 

 

 

 

 

「分かった。引き受ける!」

 

 

これまでで一番負けらんねぇ戦いになりそーだ……!!

 

 

 

 

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