ポケットモンスターBW【主人公は転生者】 作:シューティングスター
「どうやら、ネズミが紛れ込んでいるようですねェ。」
ライブキャスターのせいで、隠れている場所がバレたのは確実。
ローブの男の足音が、どんどん大きくなってくる。
(まずい!こうなったら---!)
極限状態の中、チェレンは一つの策を講じた。
コツ、コツ、と、洞窟内に乾いた音が鳴り響く。
音が近づくのと比例するように、自分の命が短くなるような錯覚に襲われた。
そして、時は訪れる。
足音が止むと同時に、ボールを二つ取り出す。
そして---
「さぁ、顔をおがま………!?」
---男が覗き込んだ瞬間に、ミジュマルとバオップをボールから出した。
そう。
チェレンはオーソドックスな奇襲を掛けて、その隙に逃げることにした。
だが。
場数を踏んでいる相手には奇襲は通じないものだった。
ガキュインッ!!
「…………」
「ミジュ!?」
「バオッ!?」
何か硬いものにぶつかったような音が鳴った。
その正体は、ローブの男が繰り出したギガイアスだった。
「っっ、くそぉ!!」
奇襲でひるんだ隙に逃げる予定だったのだが、奇襲そのものを失敗してしまったチェレン。
悔しそうな声をあげながら、2匹をボールに戻し、出口に向かって走った。
「デンチュラ、出口にエレキネットを貼りなさい。」
「ヂュラァ!!」
ローブの男は、新たにデンチュラを繰り出し、洞窟唯一の出口をエレキネットにより塞いだのだった。
「おっとォ、触らない方が身のためですよ。
感電したく無ければね?」
「ぐっ……!!」
エレキネットを無理矢理引きちぎろうとしたチェレンに、男は忠告する。
「………。
ボクをどうするつもりだ?」
「分かっているのでしょう?
わたくし達がしたこと、そしてそれを聞いてしまったことも。」
ヒリつくような緊張感の中、問答をする2人。
チェレンは、どうやってやり過ごすかを考えるので必死のようだが、ローブの男は、幾つもの修羅場を潜ってきたのか、余裕すら感じられた。
「みなさん、絶対に逃がしてはなりませんよ。
口を割らせないよう、少し痛めつけてやりなさい。」
「「「「はっ!」」」」
「!!
い、いくぞ!ミジュマル、バオップ!」
「ミジュゥ!!」
「バォッ!!」
「っくそ、どこにいんだよあの
3人て手分けして探すという方法をとった結果、オレは道路を探し回っていた。
「おーい!ユウキぃぃーー!!」
「ベルにトウコ!
そっちはどうだった!?」
オレが探していた道路の反対側から、ベルとトウコが走って来た。
あいつらはなんか手がかりでも見つけたかな?
「トウコ、どうだった?」
「ダメだったわ。
とりあえず隠れてるなら森だと思ってさがしてみたんだけどね、手がかりはゼロだった。」
うーん。
この辺は木が多いからな、そこにもいないとなると……。
もっと人目がつかなくて、あり得ない場所に隠れてるのか……?
「ベルは?
なんか掴めたのか?」
「ごめんねぇー、ダメだったよぅ……」
「どこを探してたの?」
「ふぇ?
幼稚園の中と、ヒヤップには池の中を流してもらってたけど?」
「「どこ探してんだお前はァァァァァァァァァァ!!?」」
シンクロ率100%。
まさにフルシンクロなオレとトウコのツッコミを叩き込んだ。
「どーして幼稚園なんか探してんのよ!?
犯人は幼児!?幼児なの!?」
「だ…だって、絶対に隠れないような予想外な場所にいると思ったんだもん……!」
「予想の斜め上を登るどころか垂直に駆け上ってるわよ、あんた……」
全くだ。
ベルの考えてることについてけねぇ……
「期待はしてないけど、一応聞く。
なんで池の中を探してたんだ?」
「ひょっとしたら犯人は鼻がギザギザの魚人だったり、腕が6本ある魚人だったりするのかと思って……」
「それなんて魚人海賊団!?
泳ぐのはお前の目ェだけで充分だよッ!!」
どーすんだよ……、手がかりゼロじゃねぇか!
こーしてる間にもチェレンがヤバいかもしんねぇのに……ッ!
「あ、そー言えばさぁ……」
なんだこの野郎。
もうお前の言うことはアテにしてねぇぞ、ベル。
「最初にチェレンがライブキャスターに出た時、何だか薄暗くて洞窟みたいな背景だったんだよぅ!」
ホォ、そーかそーか。
チェレンは薄暗くて洞窟みたいなところに居るのか。
---ってぇ!!
「それ先に言えよッ!!!」
「うひゃぁっ!?」
クッソ!
ベルもベルだけどオレもオレだよ!
原作とはちょっと違うけど、3番道路のプラズマ団事件で隠れてたのはあそこだったじゃねぇかよ!!
「二人とも!
チェレンの居場所がわかった!!
さっさと行くぞ!!」
「え?あ、うん!」
「ふぇぇ!?待ってよぅ!!」
頼むから無事でいてくれよ……チェレン!!
◇
「ミ、ミィジュゥ………」
「バォ……ップ……」
「ミジュマルッ!バオップ!」
プラズマ団との集団に囲まれるチェレン。
その足元には、戦闘不能になったミジュマルとパオップが転がっていた。
「なかなか粘ったようですね。
よくもまァたった二匹のポケモンでここまで戦ってくれましたよ。
部隊の半分はやられてしまったようですね。」
ローブの男の言うとおり、20人近く居たプラズマ団の、半数のポケモンは戦闘不能になっている。
確かに二匹にしてはよく戦った方だった。
だが、やられてしまっては意味が無い。
じりじりと、ローブの男はチェレンを追い詰める。
「ちくしょうッ……!!
もっと力さえあればこんな目には……ッ!!」
自分の力不足を酷く後悔するチェ レン。
そんな様子をローブの男はじっと見つめていた。
「そんなに力が欲しいのですか?」
「---なぜそんなことを聞く?」
一瞬、奴が何を言ってるのか分からなかった。
だから今言われた事を聞き返した。
「力が欲しいのならば、すぐ手に入りますよ?
---プラズマ団に入るのならばね?」
「!!」
思いもしない展開だった。
自分を倒そうとしている組織が、逆に勧誘してきたのだ。
これにはチェレンも戸惑った。
「我々プラズマ団がポケモン解放と言う建前で強いポケモンを奪い取り、それを貴方が使えば、簡単に強い力が手に入りますよ?
悪い話じゃないと思いますが?」
「どうしてボクを勧誘なんてするんだ?」
そもそも勧誘される事に納得がいかなかったチェレンは思いきった質問をした。
「第一に貴方の口封じが目的ですよ。
私たちのやっていることと、場所を見られたんですから。
第二に、貴方は見込みがあるからです。
未進化のポケモン二匹であそこまで立ち回れるのもなかなかできることじゃありませんよ。
貴方がこちら側で強いポケモンを持っていれば、将来仕事で武力行使になった時に役立ちそうですからね。」
「………。」
チェレンも黙り込む。
確かに美味しい話と言えば、その通りだ。
おそらく奴のいうことはすべて本当だろう。
奴に着いていけば必ず力が手に入る。
だが。
そんなものは自分で手に入れた力では無い。
与えられた力など無意味に等しい。
しかし、またこのような緊急事態になった時、力がなくては自分の身すら守れないのだ。
この二つがチェレンを迷わせていた。
「ボクは……。
ボクは………!!」
ドッゴォォォォンッッ!!!
と、
チェレンの言葉を遮るように、洞窟入口で爆音が鳴り響く。
爆風による土煙が晴れた先に立っていたのは---
「こんにちは、チェレンくんいますかァ?」
「軽いわね、友達の家クラスの軽さだわ。」
「あ!チェレン!無事だった!?」
彼の友、もとい救世主の3人だった。