ポケットモンスターBW【主人公は転生者】   作:シューティングスター

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第5話 文句しかねぇよ

「っっぎゃうーーーーーーっ!!!」

 

 

ユウキとミロカロスの間に入り込こんだのはサンダース。

 

 

ユウキも、ミロカロスが起きたならばサンダースに知らせさせるつもりだった。

 

しかし、ミロカロスは起きて一瞬でハイドロポンプを放とうとした。

 

サンダースとミロカロスの距離からして、止めさせることは不可能だと判断したし、何よりも自分の身体でゴンベ達を守ることしか考えてなかったユウキはサンダースに指示を飛ばす余裕も無かった。

 

 

けれどもサンダースはミロカロスのハイドロポンプの射程上に入ってきた。

 

 

愛する主人を守る為に、まもるを使おうとした。

 

 

「ぎゃう!?」

 

 

だがしかし。

まもるは成功しなかった。

 

何故ならまもるは連続で使用すれば、失敗する確率が高まるわざだからだ。

普段はこんなミスをしないハズのユウキが、先程トウコを庇う為に、2回連続のまもるを指示してしまった。

 

そして今のが3回目のまもる。

2回連続は成功したが、3回目は成功したかった。

 

 

「ぎゃいんっっ___!?」

 

 

 

結果、サンダースはノーガードでハイドロポンプを浴びた。

サンダースの決死の行動により、2人と1匹は無傷で済んだ。

 

 

「ッッサンダースッ!!?てめぇぇぇぇぇぇッ!!!」

 

 

トウコを人質に取られたことも含め、今まで溜め込んでいた怒りという感情が、サンダースを傷つけられたことにより爆発しそうになった。

 

だが、そんな主人の怒りを抑えたのは意外な人物だった。

 

 

「ぎゃうっ!!ぎゃ、ぎゃうん!!」

 

【落ち着いて!!ぼくならまだいける!!】

 

「サン………ダース……。」

 

 

なんとか立ち上がったサンダースの目を見て正気に戻るユウキ。

 

落ち着いて、という言葉通りすぐに頭を冷やした。

 

そして状況を確認する。

 

ミロカロスもゴンベも想定外の事が起きた故に、動きが止まっていた。

こんなときに先に動けるのは、どちらのポケモンだろうか?

答えは当然、トレーナーが居るポケモンの方だ。

 

 

「ゴンベ、尻尾にメガトンキック!!」

 

「ッ!!ゴォォォン、ベェェッ!!」

 

「ミッッ!!?」

 

 

あくびを決めてからは、起こすを避けたいという理由で攻撃を避けていたが、もう関係が無かった。

 

主人の声で我に帰ったゴンベは力のこもった重たい蹴りで、尻尾を攻撃した。

 

あまりの痛みで、尻尾の力を緩めてしまうミロカロス。

トウコが脱出するには充分な緩さだった。

 

 

「今だトウコ!脱出しろッ!!」

 

「う、うん!」

 

 

緩まった尻尾から脱出したトウコ。

これでついに人質がいなくなった。

 

 

「よし、サンダース!でんじは!」

 

「ぎゃおーーん!!」

 

「ミィ!?ミロォ!?」

 

 

サンダースから放たれた微弱な電気によって、ミロカロスは動けなくなった。

 

 

 

「………ミ、ミィィ………」

 

 

ヤバい。このままじゃ確実に殺られる。

そういった恐怖がミロカロスを支配し、震え上がらせていた。

 

だが、ミロカロスに掛けられた言葉は、全く予想もしていない言葉だった。

 

 

 

 

「別に殺しゃしねぇよ。

ちょっとキレちまったけどさ。

な、トウコ?」

 

「ええ、とりあえずどうしてあんなに怒ってたか訳を教えてもらわないと……ね?」

 

 

【………え?どうしてわたしの考えていた事が……?】

 

「オレは生まれつき、ポケモンの目を見たらそいつの意思とか考えてる事が分かるんだ。今はそれを使ってる。」

 

 

ミロカロスはただただ驚愕していた。

 

 

考えていたことや、言葉を理解されたことも含めてだが、イッシュの知名度は低いとは言え、1番道路には自分を釣ろうとするトレーナーもごく稀にいた。

そのトレーナー達は自分をゲットしたいという欲望しかなかった。

だからミロカロスは、人間はみんな欲望の塊だと思っていた。

 

しかし目の前にいる人間2人は違った。

 

 

「ちょっとずつでイイから話してみ?」

 

「………ミロォ。」

 

 

 

そしてミロカロスは淡々と話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、つまりこういう事だな。」

 

 

 

 

 

 

・このミロカロスは群れのリーダー。

・その群れのヒンバス達が、最近になってバスラオの群れに襲われるようになった。

・いくら追い払ってもやって来るからミロカロスのイライラは最高潮。

まさに いかりの ボルテージが あがっていく!

・そんなところに上から石が降ってきて、ミロカロスの頭に当たった。ここで今まで我慢していたものが全て爆発した。

まさに がまんが ときはなたれる!という訳だった。

 

 

 

 

 

「そりゃあイライラしてるとこに石なんて当てられたら誰だって怒っちゃうわよねぇ。

誰なのよ、まったく!!」

 

 

ゴチン!

 

ゲンコツの音が鳴り響く。

 

 

「誰なのよ、じゃねぇよッ!!

どう考えたってお前がオレに向かって投げた石だろーが!!」

 

「ハッ!!そういえばそんな事が………!!」

 

「今気付いたの!?

てっきりボケだと思ったのに!?」

 

「ちちち、ちがっ、違うわよ!

アレは………そうよ!避けたあんたが悪いのよ!!」

 

「この状況でオレのせいにするのッ!?

アレは頭に当たったら軽く死ねるレベルだったんですけどッ!!

ふざけろよォォォォォォォ!!!

100人に聞いたら10000人がお前が悪いって言うわッ!!」

 

「なんで人が増えてんのよォォォォォ!?

影分身!?影分身なの!?人間みんなナ○トなの!?」

 

「うるせェェェェェェ!!

そんぐらいオレが正しいんだよッ!!

人が増えるくらいよくあるこった、気にすんな☆」

 

「あり得ないしそのセリフは爆発頭のチンピラぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぁあ!?てめぇゴールドさんディスってんの!?

お前が名前を出すのも恐れ多いぜ!!」

 

「うっさい!!ユウキの○○(ピー)←ものすごく汚い言葉!!」

 

「お、女の子がそんな言葉使っちゃいけません!!

お母さんそんな風に育てた覚えはないわよッ!!」

 

「ダレがママよ!?

こっちだって育てられた覚えもないわよッ!!」

 

「「こうなったらーーー勝負!!」」

 

 

夫婦(?)ゲンカに取り残されるポケモンたち。

ミロカロスたちも会話を始めるようだ。

 

 

「うおォォォォォ!!

くたばれェェェェェェエエエ!!!」

 

「うぎゃぁぁぁぁぁぉ!!?」

 

 

【あ、あなたのトレーナーさん、喧嘩してらっしゃいますけど、止めなくてもよろしんですか?】

 

【うん!ヘーキだよ!だって日常茶飯事だし?】

 

【オラ、お腹すいた~。】

 

 

「チェストぉぉぉぉ!!!」

 

「ぐぉっ!!あ、ちょ、まっ、!!ギブ!ギブぅぅぅぅぅ!!!」

 

「えー!?何ィ!?聞こえなァいwww」

 

 

 

【あの、男の方が女の方に寝技をキめられてますけど大丈夫なんでしょうか!?】

 

【うん!ヘーキだよ!だって(ry】

 

【オラ、腹減った~。】

 

 

「ほらほらァ~!ギブって言わないとガチで落ちちゃうよォ~?」

 

「…ぃ……ぅっ……。(首がしまって喋れない」

 

 

【ホントにホントに大丈夫なんでしょうか!?

男の方が首しめられてますけど!?】

 

【うん!ヘーキ(ry】

 

【オラ、空腹~。】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このたびは誠に申し訳ございませんでした……………ヒック………。全てオレが悪かったです………くすん。」

 

「んー、分かればイイのよ、分かれば。」

 

 

ケンカに見えたが、一方的なユウキフルボッコタイムだった。

ユウキはガチ泣きしながらトウコに土下座をしている。

 

……男のプライドなんてあったもんじゃない。

 

 

 

「ミ……ミィ!」

 

 

そんな中、ミロカロスが遠慮がちに鳴き声をあげた。

 

 

【あ………あの……?

襲ったあなた方にこんな事を頼むのはちょっと心苦しいんですけど、バスラオを追い払うのを手伝っていたたげないでしょうか?】

 

「ん?いいよ。」

 

【そうですよね、やっばりダメ………え?】

 

「だから手伝うって。」

 

【ど、どうしてですか?

あなた達にはメリットも無いし、悪い事しかしてないのに………!!】

 

「その悪い事をさせちまった原因はオレたちだろ?

お前が助けてって言ってきたんだから、メリットなんざどーでもいいよ。」

 

「なになにー?何話してんのー?」

 

「ん?バスラオ撲滅運動に参加してくださいだって。」

 

「ふーん。じゃああたしも手伝うね!」

 

「おー、頼むわ。」

 

【……………】

 

 

ミロカロスは断られるとしか思ってなかった。

それなのに、ここにいる人間たちは自分が困っているから助けるんだという。

 

今までそんな人間を見た事が無かったミロカロスは、

ただただ驚くしかできなかった。

 

 

「それにさ、普通に追い払ってもダメなんだろ?」

 

【ええ、まぁ……。】

 

「ならオレに考えがあるからさ…………!!」

 

 

ユウキが怪しすぎる笑みを浮かべる。

それをミロカロスは見逃さなかったし、トウコはそれを見て面白くなってきたと言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミロカロスは川の奥深くに居た。

 

言い方を変えれば、自分の群れがあるところに向かっていた。

 

 

「お前は群れに合流して、たつまきかなんかでバスラオどもを陸地に撃ち上げてくんね?

そっから先はオレに任せてくれて大丈夫だからさ?」

 

 

あの男のトレーナーの指示を思い出す。

本当にあのどうしようもないバスラオたちを追い払えるのだろうか?

 

そんな事を考えてるうちに、自分の群れに遭遇した。

 

 

ミロカロス率いるヒンバスの群れは、バスラオの群れに追い詰められて、まさに絶体絶命のピンチだった。

 

 

【げっへっへ!今日もボコボコにしてやんよ!】

 

【ひぇぇ……たすけてぇ……。】

 

【誰も助けになんか来ねぇよ!野郎どもォ!ボッコボコにしちまえェェェェ!!】

 

【【【【【うおォォォォォォォ!!!】】】】】

 

 

まさに絶体絶命。

このままではヒンバスが襲われる末路しかないと思われた。

 

 

 

【ボコボコになんてさせません!!たつまき!!】

 

【どわぁぁぁ!?なんだ!?撃ち上げられるぅぅぅ!?】

 

【【【【【ぎゃぁぁぁぁぁ!!!】】】】】

 

 

バスラオがヒンバスに襲い掛かる直前に、たつまきを発動させたミロカロス。それによってすべてのバスラオが陸地に向かって撃ち上げられた。

 

 

【みんな、ケガはない?】

 

【あ、リーダー!!どこに行ってたんですか!?】

 

【ちょっと、ね?

それよりみんなここにいるのよ!?

わたしは少し用事があるから!】

 

【え?あ、ハイ。分かりました。】

 

 

群れの無事を確認する。

幸い襲い掛かる前にたつまきで撃ち上げたから、ケガをしたヒンバスはいなかったようだ。

 

撃ち上げたバスラオをどうするか気になったため、ミロカロスは地上に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上に出ると、大量のバスラオと、ユウキ、トウコ、ユウキのサンダース、ゴンベ、トウコのヤナップ、ポカブが対峙していた。

 

 

「やぁやぁ、君たちが暴れん坊のバスラオたちだね?」

 

 

いつもとは違う穏やかな口調で話しかけるユウキ。

違和感バリバリだと知っているトウコは影で笑いそうになっている。

 

 

【んだてめぇは!?てめぇがこんなとこに撃ち上げたのか?】

 

「何言ってんのwww?撃ち上げたのはミロカロスじゃんwww

てか君たちも見てたでしょ?なんでそんな事も分かんないのwww?バカなの?見たもので判断できないのwww?」

 

【ふざっけんなよ、てめぇぇぇぇぇぇぇ!!

どんなケンカでも買ってやんぞゴラァァァァッ!!】

 

 

完全に頭に血を登らせた群れのリーダー的なバスラオ。

 

すでにユウキの手のひらで転がされている事に気付くわけが無い。

 

 

「どうしてバスラオ達はヒンバスの群れを襲うのかな?」

 

【あ?この川に弱ぇやつなんざいらねぇんだよ!!

強ぇ俺たちだけがいりゃァいいんだよ!!

文句あっかゴラァ!!】

 

 

 

 

 

 

 

「____は?

 

 

 

 

 

 

文句あるかだと?

 

 

 

 

 

 

 

___文句しかねぇよッ!!

このクズポケモンがッッ!!!」

 

 

穏やかな口調から一転、雰囲気まで元に戻したユウキ。

突然の変化に何匹かのバスラオはビビっていた。

 

 

「トウコぉ、頼むわ。」

 

「おっけーい!!ヤナップ、つるのムチ!!」

 

「ナップ!!」

 

【わっ!!な、なにしやがるッ!!】

 

 

トウコに頼むと言った瞬間、彼女のヤナップがつるのムチでバスラオを拘束した。

そしてヤナップのあなをほるで、あらかじめ作っておいた穴の中に、バスラオを放り投げた。

 

 

先程ユウキがリーダーのバスラオを挑発したのは、

この奇襲を成功させるためだった。

挑発して、ユウキだけに目がいってなければ、奇襲が成功してなかった可能性もある。

だからあのようにあからさまにおちょくったのだ。

 

 

【親分ーーーッ!?】

 

【てめぇ親分になにしやがるんだ!!】

 

【親分に何かしやがったらタダじゃ____】

 

「黙れこの腐れ外道どもッ!!

次言葉ァ発したらてめぇらの親分丸焼きにしてゴンベに喰わすぞッ!!」

 

【なにっ!?】

 

【マジかこいつ!?】

 

【オイ、おめーら、ぜってぇに喋るんじゃ___】

 

「ハイ喋ったァァァ!!丸焼き決定ィィィ!!」

 

【【【【【コイツ鬼だァァァァァァァァ!!!!】】】】】

 

「やっちまえ、サンダース!10まんボルト!!」

 

「ポカブはひのこよ!!」

 

「ぎゃうぅーーー、ぎゃおーーーんっ!!」

 

「カァァァ、ブゥーーーッ!!」

 

【いぎゃぁぁぁぁ!!?

やめてくれェェェェェェエエ!!!】

 

 

穴の中に入れられたバスラオから悲鳴が聞こえる。

このままでは電気と炎のせいであと数分で、完全な焼き魚になってしまうだろう。

 

 

【親分ーーー!?大丈夫っすかァーーー!?】

 

【ひ、卑怯だぞォ、てめぇぇぇ!!】

 

「卑怯?」

 

 

卑怯、というワードにユウキは反応した。

そしてユウキの顔がまた険しくなった。

 

 

「寄ってたかって弱いもんいじめしてたてめぇらが卑怯なんて言葉ァ口にすんじゃねぇよッ!!

あ、2人とも、こいつら喋ったからちょっと火力上げてくんね?」

 

【【【【【鬼じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!悪魔だったァァァァァァァァァァ!!!!】】】】】

 

 

「ぎゃうぅぅ……!!」

 

「ポッカァァ……!!」

 

【……も、もぅ……ゃ…め…………】

 

 

二匹が火力を上げた頃には、バスラオの意識はほとんど飛んでいた。

 

これ以上喋るとヤバいと判断したバスラオ達は、本当に喋らなくなった。

 

 

「よーし、もうイイぞ、2人ともお疲れさん!」

 

サンダースとポカブの頭をよしよしと撫でてやる。

二匹は嬉しそうに目を細めた。

 

 

「もういいのね?ヤナップ、つるのムチであの汚い炭の塊を拾い上げて!」

 

「ナァップ!」

 

【【【【【あの女も結構ひでぇ………】】】】】

 

 

確かに今、トウコは親分バスラオの事を“汚い炭の塊”と呼んだ。

女の割にはとんでもない暴言を吐いた。

 

 

「さて、最後の交渉だ、クズども。

もしお前らがもう二度とヒンバスを襲わないと誓うのなら、こいつの命だけは助けてやる。

誓わねぇのならこいつはゴンベのエサになる。」

 

【は、は、ハッタリだ! そ、そんな脅しにのの、乗るとおもってんじゃ、ね、ねぇぞ!!】

 

【馬鹿野郎ッ!マジで親分が食われたらどーすんだ!】

 

【わ、わかった!わかったから親分を解放してくれェェェエエエ!!!】

 

 

半数のバスラオたちは強がりを言っているつもりだが、全員声が震えていて、強がりになっていない。

 

もう半数のバスラオたちは親分の解放を頼み込んでいる。

そんなバスラオを見て、ついにユウキは決断した。

 

 

「やなこった。ゴンベ、食っていーぞ。」

 

「ゴーン♫」

 

【【【【【悪魔じゃねぇぇぇぇぇぇ!!!魔王だったァァァァァァァァァ!!!!】】】】】

 

 

 

ゴンベに食っていいと指示した瞬間、ヤナップはゴンベに向けて、持っていたバスラオを放り投げた。

 

 

そしてゴンベは、そのバスラオを

 

 

 

パクリ。

 

と、食した。

 

 

【【【【【いやぁぁぁぁぁぁ!!!親分がァァァァァァァァ×^○*¥$€%°#☆♪〒:|^|\>=<】】】】】

 

 

自分たちの親分を食べられたショックでもはや何を言っているか全く理解できないバスラオたち。

 

そこにユウキがトドメの追い打ちをかけた。

 

 

「さぁて、次は誰が食われたいんだ?」

 

 

すでにユウキのやっている事に対してビビりまくっていたバスラオたち。

当然この脅しに耐えられるはずもなく___

 

 

【うわぁぁぁぁぁ!!ごめんなさぁぁぁぁぁぁい!!!】

 

【親分ーーーッ!!星になっても見守っててくださーーーーい!!!】

 

【ヒレとかすげぇ臭かったけど、アンタは最高の親分でしたよォォォォォォ!!!】

 

 

___アクアジェット並みの速さで、色々と叫びながら逃げて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、全員逃げたな。」

 

 

川の遠くの方もしっかりと見渡したユウキが、そうつぶやいた。

 

 

「そろそろいいんじゃないの?」

 

「だな。ゴンベ、そろそろ吐き出していーぞ。」

 

「オーン、ーーーペッ!」

 

【ふぎゃっ!】

 

 

ユウキに指示された通り、何か黒いものを吐き出したゴンベ。

それは先ほど食べたリーダーのバスラオだった。

 

 

【……ぅぅ……どうしてだ……!?】

 

 

自分が生かされている理由が分からないバスラオは、ユウキを問いただした。

 

 

「今回だけは見逃してやる!

二度と弱い者イジメなんてするんじゃねぇ!!

次に同じ事したら、今度は一匹残らず喰らい尽くすぞッ!!

群れの連中にもそう言っとけ!!」

 

 

流石に殺す事ができなかったユウキは、

ゴンベに食ったフリをさせた。

 

一足先に逃げたバスラオたちは、慌てすぎて飲み込むところを見ていなかったのだ。

 

 

【ち、ちくしよォォ……お、覚えてやがれェ……。】

 

 

以下にも悪人が吐きそうなセリフを吐いて、バスラオはのそのそと逃げて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミィ、ミロォォォッ!!」

 

「おー!ミロカロス!ご苦労さん!バスラオどもはどっか行ったぜ!

一生忘れられない思い出と一緒になw」

 

 

全部を終わらせたユウキの元に、ミロカロスが戻ってきた。

やってる事をすべて見ていたミロカロスは、ユウキの冗談に苦笑いすることしかできなかった。

 

 

【本当に、本当にありがとうございました!

何かお礼がしたいのですが……。】

 

「え、マジで?じゃあ一つ頼んでいい?」

 

【はい、わたしにできることならば。】

 

「じゃあ、言うぜ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____オレと一緒に来てくれ。」

 

 

 

 

 

 

【____はい?】

 

 

「あり?言い方が悪かったか?

オレのポケモンになってくれねぇか?」

 

 

【え、あ、えっと………。

どうして急に?】

 

「お前のバトルの強さもだし、仲間のために敵だった人間にすら頭下げる優しさも気に入ったから。

是非、お前を仲間にしたいんだ。」

 

 

あまりに急過ぎだ。

 

そして全く予想もしてない頼みごとだった。

 

当然、自分がトレーナーのポケモンになることなんて考えたこともなかった。

 

だから戸惑った。

 

 

【申し訳ありませんが、わたしには群れのリーダーという立場があるので………」

 

多くは語らなかった。

 

意思や、気持ちを読むことに長けている彼ならば、理解してくれると思ったからだ。

 

 

「そっか。ま、強要はしねぇけど___」

 

【行って来て下さい!!リーダー!!】

 

「!?」

 

【あ、あなたたち!?】

 

 

ユウキが、スカウトを諦めようとした時だった。

 

 

声の主とその群れが、水面に姿を現した。

 

その正体は、ミロカロスが率いるヒンバスの群れだった。

 

 

【何を言っているの!?またバスラオが来たらどうするの!?】

 

【もうバスラオたちは絶対に来ません!僕たちだって、リーダーに頼らなくても生きていけます!!】

 

【で、でも、それにしたって!】

 

【もっと自分に正直になってください!リーダーだってあの人のこと、気になるんでしょ!?】

 

【っ!!】

 

 

核心をつかれて、言葉が詰まる。

自分の群れの子たちが言っている事は確かに正しかった。

 

なにせ、自分の言葉を理解してくれる人間だ。

 

それに、自分がサンダースを攻撃した時、彼は本気で怒っていた。

 

裏を返せば、それだけポケモンに愛情を注いでいるという事だ。

きっと、ゲットされても大切にしてくれるだろう。

 

でも、ミロカロスの中では、どうしても踏ん切りがつかなかった。

 

【やっぱり、あなたたちだけじゃ___】

 

【いつまで迷ってるんですか!?

僕たちはずっとあなたに守られなければならないほど子供じゃない!!

だから!!

僕たちを信じる意味でも!!

行って来てください、リーダー!!】

 

 

自分たちのリーダーに対して、最後の後押しをするヒンバスたち。

ここで自分たちが自立できると証明しなければ、いつまで経ってもミロカロスが群れから離れなれない。

だからヒンバスたちは、彼女を強くつきはなそうとした。

 

 

 

 

 

ちなみに、この時ユウキは____

 

 

 

 

 

「あぁ、ええ話や………。」

 

「わっ!?なんで泣いてんの!?」

 

 

 

____号泣していた。

 

言葉の分からないトウコは、ユウキが壊れたと思っていたそうな。

 

 

「ミロォォォォォゥッ!!」

 

 

大きな、大きな声で叫ぶ。

その声はただの大きい声ではなく、決意の籠った美しい声だった。

 

 

そして、

お願いします。

と、言わんばかりに、ユウキに頭を差し出した。

 

 

「___分かった。一緒に行こう。」

 

 

言葉と同時に、空のモンスターボールを取り出す。

 

投げはせずに、ミロカロスの頭にコツンと軽くぶつけ、ボールの中に収容した。

 

 

本来のゲットならば、ポケモンがボールの中で抵抗をする。

しかしこのゲットでは、一切の抵抗もなく、ボールのボタン部分が赤くひかり、カチッと鳴った。

 

 

「ミロカロス、ゲットだ……!!」

 

 

自分の体にわからせるつもりで、軽く呟いた。

 

 

「出て来い、群れとのお別れだ。」

 

 

ボールに入ったばかりのミロカロスをすぐに外に出した。

ゲットという出会いがあれば、他に別れもあるからだ。

 

 

 

【みんな、今までありがとう。

あなたたちがしっかりと生きていける事を信じているわ。】

 

【そちらこそ!お体には気をつけてください!

トレーナーさん、リーダーのことをお願いします。】

 

「ああ、お前らの大切なリーダーだもんな。

絶対に大切にするから、安心してくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてユウキたちは、バスラオの群れを撃退し、さらにミロカロスが新たに仲間に加わった。

 

 

 

ユウキたちは、次なる目的地、カラクサタウンに向けて、再び出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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