Infinite Fairys《IS×FAIRY TAIL》 作:ネヘモス
シャルロットがハートフィリア姓を名乗る事が決定してから三十分後、ナツが千冬の部屋に帰ってきた。
「ナツ、お前はなんでトラブルばか…りを…」
途中で千冬が押し黙ってしまった。何故なら、ナツの背中に自分そっくりの少女が負ぶさっていたからだ。
「千冬、お前らに一体何があった?」
「分かった。それについては話す。ところで、お前が連れてきたそいつは、マドカ、なのか?」
「本人が言うにはそうだ」
瞬間、千冬の両目から涙が溢れた。よかった、生きていたのか。あの時以降、連絡が取れなかったから心配でならなかったのだ。
「それなら、話しておこう。私達、織斑家の真実を」
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私達は元はちゃんとした家で生まれた兄妹だった。だが、両親がどうしようもないクズでな、稼ぎを全部自分の服や装飾品に使うか、ギャンブルに突っ込んでいたんだ。
そして、両親が借金をするようになり、最終的に私達兄妹の目の前から蒸発した…「一生懸命生きなさい」という書置きを残して。しかも、物心がついていた私はマドカの姿が無いことに気がついた。書置きには続けてこう書かれていた。
「あなた達は自分の意思でやっていけるでしょう」
私はしばらくの間、大人を信じられない子供になってしまった。幸い、一夏が幼かったからかしばらくの間は篠ノ之道場に住み込むことになった。だが、大人を信じられない私は高校に入学した際に一夏と二人暮らしすることにした。当然、周囲からは反対された。それでも、私は一夏と束しか信じられなくなった。
そして、高校の二年くらいの時に束が白騎士事件を起こすことを提案した。当時、大人を頼ることを忘れた私は白騎士に乗り込み、ISのマッチポンプである白騎士事件を起こした。それに世界が震撼し、ISが普及、兵器としても転用できるそれを女性しか扱えない事からこの世界は女尊男卑の思考に染められてしまった。アラスカ条約のお陰で兵器転用こそされないものの、それでもISを使ったテロ行為や自分は女だから偉いという思考をもつ者が減ることは無かった。
当然、ISの生みの親たる束がそんな事態を望んでいたわけではなく、男性でも反応するISを作ろうとしていた。そして、第二回モンド・グロッソ決勝戦のあの日、お前というイレギュラーが異世界から現れた、という事だ。
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そこまで話した千冬がナツの方を見るとナツから異常なまでの怒りが放たれていることを感じた。
「ぁ…ぅ、ここ、は…?」
この時マドカが意識を取り戻した。
「マドカ!!」
千冬が意識が回復したマドカに抱きつく。マドカは事態が飲み込めず、混乱していた。
「千冬、一夏を呼んでくる。俺はしばらくは邪魔だろ?」
「すまない、ナツ…」
そして、ナツは部屋から出ていった。
「千冬…姉さん…?」
弱々しい声で自分を抱きしめる人物を確かめる。
「ああ…、生きてたんだな!良かった…!」
「姉さん…姉さあぁぁぁぁん!!」
再会した姉妹はしばらくの間、喜びを噛み締めるように泣いた。
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一方ナツはホテルを出た後、炎龍王を展開し、超越加速翼を装着してフランス上空に飛び立った。
『どうしたの、ナツ?一夏を呼ぶんじゃないの?』
ハッピーがナツの真意を確かめると、
「薄々感じていた気配が、濃くなりやがった。そこか!!」
紅蓮爆炎刃を展開して虚空を斬る。すると、
「何でバレるかな…、お前、なかなかセンスいいじゃねえか?」
ブラウンの髪をたなびかせた蜘蛛の様なISがそこにはいた。
「お前、マドカの跡をつけてやがったのか?」
「そこまでお見通しか。流石、本当の一人目だな」
ナツはその女からただならぬプレッシャーを感じた。だが、同時に彼の悪い癖が出てしまった。
「お前、そこらのヤツとは次元が違うな。燃えてきたぞ…!ハッピー、戻れ!」
『あいさー!』
足に炎を灯し、超越加速翼をリストバンドに戻す。そして、
「モード嵐火竜!!」
その身に炎と嵐を纏い、女の前に立ち塞がった。
「面白いものを見せてくれるじゃねーか?冥土の土産にアタシの名前を教えてやるよ!」
すると、女の機体の至るところから小さな刃が浮遊する。
「アタシはオータム、『亡国機業』の一員で、お前を殺す者の名前だ!」
「ISギルド『妖精の尻尾』のナツ・ドラグニル、行くぜ!」
フランスの上空で火竜と蜘蛛の戦いが始まった。
最初に動いたのはオータムだった。彼女が刃を飛ばし、ナツはそれを避けた…筈だった。
ザシュウ
「がぁっ!?」
見えない何かに斬られる感覚がナツを襲う。まさかと思い、斬られたところを見ると、刃とオータムの間に極細のワイヤーがあることを視認した。
ナツは確信する。やっと、手加減なしで張り合えるヤツと出会えたと。
「燃えてきたぞ…、この野郎ぉぉぉぉ!!」
刹那、炎龍王に紫電が走る。オータムはナツと炎龍王の変化に気が付き、咄嗟に後ろに下がった。
いや、何かとてつもない恐怖が彼女を襲った。
(一体何を…!?)
ふと、炎龍王のシールドエネルギーを見やる。既に最大値の半分を切っており、普通なら焦るはずだ。だが、目の前の男はそれを待っていたかのように喜んでいる。
(何か、来る!)
実際、オータムの判断は正しかったと言える。何故なら、炎龍王の所々に雷のようなマークが描かれていた為である。
「…モード『雷炎竜』!!」
ナツの宣言と同時に嵐は止む。その代わりに、今まで以上の炎と雷を纏った竜がそこに存在した。そして、
ナツが消えた。
「雷炎竜の撃鉄!!」
「っ!!?」
気がつくとオータムは殴られていた。しかも、その反動で海岸の方角に追いやられる。
(ハイパーセンサーが捉えきれていない!?どんな動きをしたらこんな化物になるんだ!?)
そして、後ろには海以外何も無い。理解が及んだ時、ナツは既にブレス攻撃の準備を終えていた。
「雷炎竜の、咆哮ぉぉぉぉ!!」
雷を纏ったレーザーがオータムのISを掠める。
『ダメージレベルB、これ以上の戦闘は危険です』
「マジかよ…」
ドカアァァァァン!!
オータムのISの警告と遥か彼方の地平線から爆発があったのはほぼ同時だった。
「マドカをこれ以上付け回さないなら、生かしといてやる」
「誰がそんなこと…!」
すると、一機のラファールがこちらに向かってきた。搭乗していたのは、金髪の女だった。
「スコール!?」
「オータム、それにナツ・ドラグニル、戦いは終わりよ。私達『亡国機業』とあなた達『妖精の尻尾』は手を結ぶことになったわ」
金髪の女、スコールが言うにはマドカを付け回していたのを篠ノ之束に見つかり、亡国機業がフェアリーテイルに吸収されるなら今までの暴挙は水に流してやると持ちかけられたという。亡国機業は裏で理不尽な女性権利団体を潰す代わりにフェアリーテイルが機体の整備をすることで利害が一致したそうだ。
「そういうわけだから、よろしくね?ナツ・ドラグニル」
それだけ言うとオータムとスコールは去っていった。
「さて、一夏に連絡を入れておこうか」
ナツはモード「雷炎竜」を解いて一夏に連絡を入れるのであった。
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ナツが部屋を出て二十分くらい後、一夏は千冬の部屋を訪ねた。
「千冬姉、一夏だ。入るぞ?」
扉を開けた瞬間、
「一夏兄さん!!」
誰かが自分の名を呼んで自分に突撃してきた。
「ごふぅ!?」
「ああ、兄さんだ。本物の兄さんだ!!」
突撃してきた人物、というか声からして少女は自分のことを兄さんと呼んだ。そして、自分の記憶に何かがフラッシュバックした。
両親が蒸発する前の深夜、一夏は両親が何かを話してるのを偶然耳にした。その内容は、千冬と一夏を残してマドカを連れて逃げようという最悪の会話だった。
……マドカ?
「お前、マドカなのか?」
「一夏!?覚えてるのか、マドカの事を!?」
「ああ、あのクズ親が俺達を捨てる前の夜にマドカだけを連れていく算段をしてた事を思い出したからな」
自分の胸に頬をスリスリしてくる無邪気な少女、マドカは十分に堪能したのか一夏から顔を離した。
「えへへー、でも、あのクズ親ならポックリ逝ったよ?私と兄さんたちを引き離した1年後に」
マドカが言うにはその後、行く宛もなく彷徨っていたのを亡国機業に保護されて、ついさっきまでナツと戦闘。負けた後、千冬の部屋に運ばれて今に至るという。それを聞いた一夏は、
「モード嵐火竜を使われてよく無事だったな、マドカ」
幸いサイレント・ゼフィルスのダメージレベルはAで止まっていたので、すぐに修復は出来るとの事だった。
そして、その5分後、束からフェアリーテイルが亡国機業を吸収したとの連絡が入った。
フェアリーテイル、亡国機業を吸収。
モード雷炎竜、とうとう発動させてしまいました。
自分で書いてるからなんですが、一夏達の両親をクズにしすぎたか?(・ω・`)
そして、次回からタッグトーナメント。ラウラのファンの皆さん、お待たせしました。次回からラウラが参戦します!