Infinite Fairys《IS×FAIRY TAIL》 作:ネヘモス
IS学園に特級警戒態勢が敷かれた。突然のVTシステムの起動、そして、それから現れた黒い竜は生徒に多大なる恐怖を与えた。そんな中、一夏の生命に危機が訪れる。それを(人工衛星をジャックして)見ていた束は黙っているだろうか?
答えは、否だ。
「急いでいっくんの元に行かないと、嫌な予感がする!」
束はナツの機体の最終チェックを終えると、ニンジン型のラボを飛ばしてIS学園に向かった。
視点を戻してVTシステム。目がなく、両翼を折りたたんだ六肢の竜の形をとったそれは一夏の息の根を止めようとする。ところが、
「何してやがんだ、テメェは!!」
突然ナツが現れ、竜を殴り飛ばした。だが、その竜は何も無かったかのようにけろりとしている。
「束、面倒なことになった」
『なーくん、あれが何か知ってるの!?』
束と通信で会話するナツ。
「アイツは『黒蝕竜ゴア・マガラ』、詳細は追って説明するとして、一夏を安全な所へ!」
『気をつけてね、なーくん。今のなーくんに炎龍王が無いんだから』
そう、今ナツの手元には炎龍王が無い。先日の戦いでほぼ強制的に「モード雷炎竜」を発動したため、束が整備中である。
「「ナツ(さん)!」」
そこにミステリアス・レイディを纏った楯無と打鉄を大幅改良して束が調整を施した「打鉄天狼」を纏った簪が現れる。
「一夏!?しっかりして、一夏!!」
倒れている一夏を見て簪が顔色を変える。顔色が全体的に悪くなり、いかにもキツそうな面持ちの一夏とその元凶であろう黒い竜を見やり、
「……こいつが、一夏を、ヤッタノ?」
纏っている雰囲気がガラリと変わった。これには姉である楯無も少し引いていた。
ガアァァァァァァ!!
黒い竜が吼える。だが、簪は怯むどころか、中近距離武器の薙刀「
「誰かは知らないけど、一夏を殺そうとするなんてイイドキョウダネ?カクゴハデキテルノカナ?」
「簪ちゃん!?一体どうしたの!?」
更に無数のレーザーがゴア・マガラを襲う。
「お前、兄さんに何をしたあぁぁぁぁ!!」
イギリスの第三世代機「サイレント・ゼフィルス」がそこにいた。確かあれって亡国機業の誰かが使ってた筈だが、簪の薙刀とレーザーがゴア・マガラを容赦なく攻撃する。
そして、突如蓑のように畳んでいた翼を展開し、紫色の二本角が現れ、空が薄暗くなる。
ガアァァァァァァ!!
ゴア・マガラは再び吼えると更に増えた翼腕を2人に叩きつける。
「キャア!?」
「ぐっ!?」
「簪ちゃん!?この!!」
吹っ飛ばされた簪とサイレント・ゼフィルスを見た楯無は流石にトサカに来て、ミステリアス・レイディの単一仕様能力を発動した。
「ちょっと、おいたが過ぎるんじゃない?クリア・パッション!!」
持っていた薙刀を一閃し、その切り傷についた場所に付着した水を一気に気化させる。気化の時の温度差により爆発を起こしたが、それでも竜は怯まない。
「俺を無視すんなぁぁぁぁ!!」
すかさずナツが不意打ちのストレートをお見舞いしようとした瞬間、
黒い竜がナツに黒いブレスを吐き出して、ナツはその場所に倒れふした。
「ナツ!!」
楯無がナツに駆け寄る。珍しく彼が虫の息であることに気がつき、周りをはばからずにナツを抱き締める。
「お願い、あなたは強いんでしょ?ねえ、起きてよ」
だが、ナツが起きる気配が無かった。
「ナツ…!」
「更識姉!どうした何が……!?ナツ?しっかりしろ、ナツ!!」
ようやく現れた織斑千冬は倒れているナツを見るなり、ナツに駆け寄った。楯無は初めて見た。世界最強が取り乱し、落ち着きを失っているところを。
黒い竜はまさに、絶望を体現したように空を舞っていた。
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「……っくん?いっくん!!」
一夏は何も無い場所で目を覚ました。そうだ、俺は確かラウラを負かした後、VTシステムが起動してそれで…
「いっくん、私が分かる?」
横を見ると不安そうな面持ちでこちらを見ている束の姿があった。
「すみません、俺が弱いばかりに…」
「いっくん、あれは私たちじゃ無理だよ…」
束の口から普段の彼女なら考えられない弱音が飛び出してくる。
「何でですか!アイツは、千冬姉を侮辱したんですよ!?」
「それでも無理なのよ、織斑一夏」
束とは違う落ち着き払った声。いつの間にかスコールが一夏のそばにいた。
「あなたは今『狂竜ウイルス』という未知のウイルスに感染してるの。幸い他人にうつすことは無いけど、怪我の自然治癒能力や免疫力が極端に下がっているわ。今あなたが行っても無駄死にするだけよ?」
「くそっ!でも、アイツは俺が倒さないと…」
パァン
ここで束から平手打ちがかまされた。
「いっくん、落ち着いて。何も私達はあの異物を排除する準備が出来ていないわけじゃない」
どこからか取り出した仮想スクリーンにあるものを映し出す。そこには専用機を展開して、苦戦しながらも戦っている簪、マドカ、動かなくなったナツを抱えている楯無と千冬の姿があった。
「俺は、黙って見てろってのか!?」
「まあ、そのうちわかるよ。何でわざとこれを見せたのか。ミューちゃん、なーくんにこれを届けてきて」
束からナツのいつも巻いているマフラーを受け取ったスコールはラファールに搭乗してどこかへと行ってしまった。
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ナツが負けた。
嘘だ、あんな規格外のISを使えるのに、負けるなんて、そんなの嘘だ。
認めないし、信じない。
私の弟を救ってくれたこの男が負ける筈がない。
私に家族の大切さを教えてくれた人間が負ける筈がない。
私を惚れさせた男が負けるなんて有り得ない!!
「お願いだから、起きてくれ…ナツゥゥゥゥ!!」
千冬の叫びに呼応するように魔水晶で作られたイヤリングが輝きを放つ。
眩い輝きを放っていたイヤリングは音もなく砕け散ると、ナツの身体にその光を宿した。
「ぐっ…!?」
「ナツ!?」
ナツが意識を取り戻す。そして、千冬はとある違和感に気がついた。
(何だ!?身体が…)
何かが自分の身体を蝕んでいる、そんな嫌な感覚だ。そんな中、ナツが立ち上がり、絶望の権化たる黒い竜を見やる。金色の炎を身に纏い、何故かは分からないが目の下の辺りに竜の鱗のような紋様が見えた。
それに気づいた黒い竜は翼腕を叩きつけんとナツに攻撃を仕掛ける。だが、
「炎龍王の崩拳!」
黒い竜に向かって拳を突き出し、そこから金色の炎の柱が黒い竜に命中した。
ガァウ!?
上手く不意をつけたらしく、黒い竜は翼を折りたたみ、角は無くなっていた。そこに、
「ナツくん!炎龍王の調整が終わったそうよ!受取りなさい!!」
スコールが待機状態の炎龍王を投げつける。マフラーの形をとったそれは自分たちの危機を幾度となく救った炎の鎧に姿を変える。鎧を纏ったのを確認したナツは目の前のウィンドウにあるものが表記されているのを見た。そして、
「コードDF、起動!!」
希望の炎が今再び燃え上がる。
そして一夏も、
「束さん、ありがとうございます。目が覚めました」
戦う覚悟を決めた。全ては姉の偽物をこの手で叩き斬るために、そして、ラウラを救うために。
妖精の反撃の狼煙が今上がる。
ちなみにこのゴア・マガラは本物のあれではありません。
一夏が倒れた原因が狂竜ウイルスだとは…、一体なぜなんだ?(白目
そして次回、あのお方が遂に動き出す!
※12/11 訂正しました(おせーよ