魔法少女リリカルなのはDRIVE   作:tubaki7

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この回は短めです。なのは本編はまだ先になります


PROLOGUE 1

サイレンが鳴り響く、時間にしておおよそ正午を回った頃。普段であればそう騒がしくないこの時間帯だが、今日はいつもとは違う。外からも見えるはずの店内はシャッターで仕切られ外部からは完全に遮断、出入口も全て鍵がかけられており、人どころかねずみ一匹通ることもない。第一世界、ミッドチルダの首都クラナガン。とある銀行にて、その事件は起きていた。

 

「銀行強盗とは、これまた定番中の定番だなあ」

「気の抜けた声ださない。少しは緊張感持ったらどうだい?」

 

 そうは言われても、持てないものは持てない。そんな屁理屈をごねてみようかと口を開きかけるが、そう言ったところでまた後で小言を言われるに違いないと口を閉じる。もう何年も前からの付き合いになるが、この相棒のこういう細かいところは正直苦手だ。自分はもう少しこう、緩く生きたいのだ。肩の力を抜いて、のほほんと日常を過ごしていければそれでいい。争い事なんて無縁、トラブルなんてノーサンキュー、そんな平和な人生。それが理想だ。

 

 そう述べてみれば。

 

「たしかに魅力的だけど、ならどうして管理局員なんかになったのさ」

「金、大事」

 

 キリッと言ってみれば隣から聞こえてくる溜息。事実なんだから仕方ないだろと言えば、それに反論するもう一つの声が聞こえてくる。

 

≪それはそうだが、君は些か気が抜けすぎてはいないかい?≫

「だってギア入んないんだもん。俺今回出番ないし」

「拗ねてるんだよクリム」

 

 子供か。そう言いたげに視線を投げれば華麗にスルーされてしまう。これだから此奴は気に入らない。でも、嫌いというわけではない。むしろ友人としては最高だ。ただ相棒としてはどうかと思う。こういうデキた人間の近くにいれば楽ができると踏んで近づいたのが最初であったが、それが間違いだったと最近になって気づいても、もう遅い。今ではすっかり役割分担されてしまっている。頭を使うなど、肉体労働の次にしたくないのに。

 

≪だったら何がいいのだね?≫

「ニート」

≪ダメ人間とは君のような男のことを言うのだと心底思うよ・・・≫

 

 もはや呆れて物も言えん。そうやって顔―――のような表示がされたディスプレイを相方の腰から覗かせる。この人間じみたデバイスとも、そこそこ長い付き合いだ。

 

  銃声が聞こえる。それと同時に悲鳴。負傷者が出たか、あるいは・・・。どちらにせよ、こんなくだらない会話をしていられるような状況ではなくなってきたことだけは確かだ。

 

《ランスター執務官、轟執務官補。犯人は武器を所持。質量兵器で、現在人質の男性一人が負傷。一刻を争うわ。行ける?》

「行けるも何も、こっちはもう準備万端ですよナカジマさん」

《さっすが、本局の若手ナンバーワンコンビは違うわね。それじゃ、犯人グループの逮捕、お願いするわ。こっちは包囲網を固めておくから》

 

 了解、と短く返せばホロウィンドウが消える。

 

「昼は何がいい?」

「ん~、最近食堂のメニューに新しく追加されたハンバーグ定食。あれ、一度食べてみたかったんだよね」

「あいよ。んじゃ」

「うん。・・・行くよ、クリム」

≪オーケイ。スタート、ユア・エンジンッ!≫

 

  多発する魔導犯罪や人的災害に主観を置き開発された、新型デバイス。それは通常のインテリジェントデバイスとは違い、人間に近い意志を持つ。従来のスタンダードな杖の形ではなく、〝ベルト〟の形を成し、それと同期する複数のツールを用いることで適格者と定めた人間に超人的な力を与える。黒一色に彩られ、頭からつま先までを覆うスーツに、白く発光する複眼。マスクの部分だけのみならず、所々に見受けられる装飾はモチーフとなった車を連想させる。

 数多の事件を解決し、ミッドの地上を守護する存在。その活躍は組織内でのみまことしやかに囁かれ、市民の間では都市伝説とさえされる存在。彼らはそんな人知れず戦う英雄を、その姿からこう呼ぶ。

 

 

  〝仮面ライダー〟と。

 

 

 

  ~ 魔法少女リリカルなのはDRIVE ~  

 

 

 

 ◇

 

 

「んまい!これなら一か月は喰い続けても飽きないぞ」

「大げさだよ」

 

 絶賛する相方を苦笑して自分も一口。味は確かにうまい。値段もリーズナブルで懐にも優しい。これなら妹にも食べさせてあげたいなと思いつつ、突如テーブルに現れた、さながらおもちゃのミニカーのようなものに目を向ける。知らない人間がみたらただのおもちゃであろうが、これも立派なデバイスの一つ。むしろそんじょそこらの物より高性能だ。

 

「シフトカーの整備、終わったんだ」

≪ああ。ついでに事後報告も終了している。あとはグランガイツ隊長のもとに口頭での報告を終えれば今日の任務は完了だ≫

「あ~・・・」

「どうかした?」

「ってことはナカジマ陸尉もいるんだよな」

≪まあ、同じ隊だから必然だね≫

「俺、あの人の熱血感苦手なんだよなぁ・・・」

 

 そういえばそうだったと再び苦笑い。まるで絵にかいたように正反対なのだから、今からがさぞかし憂鬱だろう。これからその苦手な人物のいる隊に報告に行こうというのだから。だが、これは義務。しいて言うのであれば職務なのだ。いくら苦手でもやらなければならないものはやらなければならない。サボろうなどと考えるものなら後で制裁を加えなければと心に固く誓うが。

 

≪そういえば、アルピーノ陸尉も今日はシフトだったな≫

「よし行こう」

 

 この素直さだけは、認めざるをえないのかもしれない。認めたくないけど。

 

  場所は変わり、地上本部から車でおよそ一時間。クラナガンから少し外れた郊外に、その部隊はある。陸士108隊、現在はその部隊長室の前だ。

 

「鬱だ・・・」

「もう諦めなよ。大体クイントさんが僕らの指揮を執ってたんだし、そもそもあの銀行はこの隊の管轄―――」

「わかった、わかったから。・・・帰っていい?」

「ランスター、轟。入室します」

「ですよねー・・・」

 

 悪あがきも虚しくスルーされ扉がスライドすると共に入室。ドアをくぐれば進んだ先のデスクにはガタイのいい白髪の男性と来客用のソファに腰掛ける屈強な体つきの男と、淡い紫色のポニーテール、そしてロングヘアの女性がそれぞれ座っていた。中に入れば彼らの視線が一斉にこちらに向く。

 

「お、来たか。進太郎はよく逃げないで来たな」

「まあ、相方の小言を聞くくらいならマシかなと。でも胃がストレスでマッハですけど」

「公の場だっていうのに貴方という人は・・・ッ」

「まあまあ、クイントも落ち着いて」

 

 マイペースというか、相変わらずカオスというか。この一室にいる人間の階級と経歴を知れば普通は恐れ多いのが通常の反応なんだろうがプライベートでも付き合いがあるし、今に始まったことではないのでそう気にする必要もない。ましてやこの部隊は割とフランクな人たちが多い為そういったことに気を遣う必要性もほぼ皆無だ。

 

  とは言っても、流石に上官と部下、先輩後輩というものはあるが。

 

 しかし、先ほどからのやり取りの通りそこまで気を遣う必要もないので自分も普段通りに話す。

 

「現時刻をもちまして、ティーダ・ランスター。轟 進太郎。任務終了の報告と致します」

「おう、ご苦労さん。・・・と、言いたいが」

「すまないが、これを見てほしい」

 

 ゼストからホロウィンドウがこちらに飛んでくる。

 

「これは?」

「・・・人造魔導師生成の、実験プラントよ」

 

 意地でも帰ればよかった。そんな進太郎の内心のボヤキとは裏腹に、物語は動き出す。

 

  新暦63年。ここから、運命の歯車は動き出す・・・




いかがでしだでしょうか?すこしでも作品の雰囲気というか、そういのが伝われば幸いです。

この時点でのドライブはまだプロトドライブの状態で、変身者はティーダ。原作ではスナイパーのような戦闘スタイルでしたが今作では近接もこなします。
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