かなり好きなキャラですのでニヤニヤしてしまいます。
第1話
アイナ達に別れを告げた3人は、ギルドから出て時計台に向かう。エステルと初めて出会った場所だ。ロレントから離れる前に挨拶をしたいとエステルたっての希望だった。
「ここは風が気持ちいいわね~、あっ家が見えるよ」
「ほんとだね、でもここに来たいなんてどういう風の吹き回しだい?」
「…」
エステルは静かに話し始める。10年前の百日戦役で帝国軍はロレント市民に降伏を促すために、象徴である時計台を砲撃した。当時軍人だったカシウスは帝国軍と第一線で戦っており、その様子を見たいがためにエステルは時計台に登っていたという。
「時計台が壊されて、気が付いたらお母さんが瓦礫の中から守ってくれていたの…。その時だよね、レオン兄が私を助けてくれたのは」
「もっと早ければ、助けられたかもしれなかった…」
レオンは未だ悔やんでいた。
「ううん、私は助けてもらったよ。ここに来ないようにしてたのは辛い思い出があるからじゃないの。ここに来ると心の何処かでお母さんに頼ってしまいそうだったから…。頼ってばかりじゃお母さんみたいに強くなれない気がして…」
「エステル…」
「でも今日くらいはいいよね…、お父さんが無事に帰ってくるようにお母さんにお願いしても…」
「君のお母さんが守っているんだ、父さんはきっと無事さ。万が一無事じゃなくてもエステルが助けてあげればいい…。僕も手伝うからさ」
元気のないエステルにヨシュアが励ます。いくら明るく振舞っていても抱え込んでしまうことをレオンは知っている。強く在ろうと必死に努力をしている姿をレオンは知っている。(本当に強い妹だよ…、エステルは)
「君の悲しみを完全に分かち合うことはできないけど…、側にいることはできるから。僕の胸でよかったらいくらでも貸してあげるから。だから…」
「…ふふっ」
暗い雰囲気だったのが一転、エステルは笑い始めた。
「ヨシュアってばかっこつけすぎ~。ほかの女の子だったら誤解してるわよ?」
なかなかいい雰囲気だと感じていたが、エステルにとってはそうでもなかったらしい。それなりの覚悟をもって話していたヨシュアも不貞腐れている。だが、その様子を眺めていたレオンは優しい笑みを浮かべていた。
(大変だと思うけど、頑張ってね…ヨシュア)
カシウスが行方不明となって落ち込んでいたエステルだったが、完全にいつもの明るさを取り戻した。
「そろそろ降りよっか」
時計台を降りたそこにはシェラザードが待っていた。
「いやあ、いいモノを見させてもらったわ♪お姉さん赤面しちゃった♡」
シェラザードの言葉にヨシュアの頬に赤みが増した。しかし、エステルは単なるスキンシップだとはっきりと説明し、ヨシュアは少し落ち込むのであった。
知人への挨拶周りを完了させた3人は、ミルヒ街道から町を出ようとする。ついにロレントを旅立つ時が来た。
(レオン君、エステルをお願いね…)
「え?」
突然、女性の声が聞こえたような気がしたレオンは、後ろを振り返る。だがそこには誰もおらず首をかしげた。
「?レオン兄?」
「…ううん、なんでもないよ」
レナさんだったのだろうか…。レオンは一層の決意を胸にロレントを後にしたのだった。
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東ボース街道を西に向かって歩き続けて、ようやく目的地の商業都市ボースに辿り着く。
ボース地方はリベール第2の都市であり商業の中心地である。中心にあるマーケットは様々な商品が立ち並び活気に満ちている。
「まずはギルドに挨拶だね」
ボースの町に入り、すぐにギルドへと向かう。
「おお、お主らがカシウスの伜達か。ワシはボース支部を預かるルグラン爺じゃ。よろしくな」
さっそく例の事件について詳しい話を聞く。だが、軍の情報規制により遊撃士協会には全くと言っていいほど情報が入っていないとの事。なんでも今回の事件にはモルガン将軍が関わっているらしい…。
(モルガン将軍ねえ…、ん?モルガン将軍!?)
「モルガン将軍?」
「百日戦役で帝国軍を撃退した功労者だよ。歴史の教科書にも載ってたはずだよ?」
「聞いた話だと大の遊撃士嫌いだそうよ」
自惚れるわけではないが、その原因の一つになったレオンとしては何も言えなかった。また情報規制だけでなく、調査地域の立ち入り禁止まで行っており、通常の任務でさえ支障が出ているらしい。ますます申し訳なさでいっぱいになるレオンであった。
一連の話を聞いた一行は情報収集とともに依頼をこなし始めた。
そして市長の依頼から飛行船捜索の細かな内容を確認することとなった。
~ボース市長邸~
「うわ~、豪華な屋敷…、見て見てシャンデリア!」
「エステル、はしゃがないの」
「これも依頼だからね、気を引き締めよう」
豪華な内装に思わずはしゃぐも、ヨシュアとレオンに諌められる。
「おや?お客様ですかな?」
執事のメントスに遊撃士協会の依頼で来たという事を伝える。
「申し訳ございません。ただ今教会に礼拝に行っているのです」
どうやら留守にしているようで、外見を聞き教会へ向かうことになった。だが市長邸から出ようとするとメントスからレオンに向けて声を掛けられた。
「…もしや、あなた様はレオン殿では?」
「そうですけど、どこかでお会いしましたか?」
「いえ、会ったことはございませんが…」
少し驚いた様子でありながら、どこか笑いを含んだ雰囲気にレオンは疑問を浮かべながらも市長邸を後にした。
教会に着いたものの肝心の市長がおらず、メイドのリラの案内の下マーケットへ行くことになる。入口から入るとすぐに市長を発見した。
「あら、その紋章は…。あなた方が依頼したブレイサーの方々かしら?」
メイベルと名乗った女性は若くしてマーケットのオーナーと市長を務める人物である。前市長であった父の死後に市長職を継いでおり、並外れた経営手腕を以って商業都市を支えている。
レオンたち三人は自己紹介を始める。そして…
「あなたがレオン君ですわね?お会いできて光栄ですわ」
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~アンテローゼ~
「ボースの市長さんが若いとは聞いていたけど、ここまで若いとはね…」
「私と4、5歳しか変わらないように見えるわね~」
どうやらメイベル市長は20代前半らしく、エステルとシェラザードは驚く。そして雑談を交えつつ、依頼の話へ入っていく。市長からの依頼は飛行船失踪事件の捜索。モルガン将軍と面識があるようで紹介文を手渡された。
「…ところでメイベル市長は兄さんを御存じなんですか?」
依頼の確認を終え、ふと思い出したかのようにヨシュアが訪ねた。
「ええ、もちろん存じ上げておりますわ。」
メイベル市長はにこやかに答える。
「市長はレオン様のファンクラブの会長なのです」
リラからの突然の告白に、レオンは口に含んでいたジュースを吹きだしそうになった。
「ちょ、ゴホゴホッ、どういうことですか!?」
「ファンクラブはファンクラブですわ」
当然と言ったように返事をするが、レオンは未だ混乱している。さすがに不憫だと感じたヨシュアが助け船を出す。
「兄さんのファンクラブとは一体…?」
「7年前のグランセル武闘大会、私も見に行きましたの。お父様の体調もすぐれなくて私が何とかしないといけないと悩んでいた時期でもありました…。その時でしたわ、私よりも小さな子が大人相手に対等にやり合う姿を見たのは」
メイベルは思い出す様に続けた。
「あの姿は私に希望を与えてくれました。年齢など関係がないと…。気が付いたらレオン君に夢中になっておりまして、その気持ちを共有しようとファンクラブを結成致しましたの」
(それで執事さんが僕を知っていたのか…)
あの時の思わせぶりな態度にようやく得心が言ったレオン。ただ自分のファンクラブがあると知り、照れてしまう。…後ろからの視線がなければ。
「モテモテだねー、レオン兄は」
「そうね、さすがレオンね」
頬を少し染めて話すメイベル市長とは対照的に、冷ややかな目でこちらを見つめるエステルとシェラザード。これからが大変だというのに、レオンはため息が出そうになった。
メイベルさんはレオンのファンでした。
ちなみにエステルがレオンの女性関係に敏感なのは、ブラコンだからです。恋愛対象ではありません。
武闘大会によってかなり有名になっています。それがどう影響するのかあまり考えていませんが、今後もお願いします。