第2章始まります。
第1話
『例の集団が運んでいた品を確保したので保管をお願いする。機会を見て、R博士に解析を依頼して頂きたい K』
帰ってきた積荷には謎の漆黒のオーブメントと手紙が同封されており、その謎を解くためにも旅を続けることにしたレオン一行。ボース地方の正遊撃士の推薦状も頂戴した中、シェラザードとオリビエは定期船でロレントへ向かう事となり、一時の別れを惜しむのであった。
二人を見送った後ボースを離れる前にお世話になったメイベル市長へ挨拶をするため、市長邸に向かう。
「いやはや、皆様方には大変お世話になりました」
執事のメントスからお礼を言われ、それぞれが言葉を返す。メントスに案内され市長室へ入ると、書類にサインをするメイベル市長がいた。事件が解決し流通が回復したことにより、メイベル市長の机には書類が溜まっていた。
「もしかして出発されるのかしら?」
「あ、はい」
「どうも色々とお世話になりました」
ハーケン門への紹介から釈放まで様々な件でお世話になりお礼を言うレオンたち。
「ふふ、お世話になったのはこちらですわ。ボース市民を代表してお礼を言わせて頂きます。本当にありがとうございました」
逆にお礼を言われ、恥ずかしくなったレオンは思わず頬を掻く。
「ではそろそろ失礼します」
話が終わり市長室を出ようとするとメイベル市長に呼び止められた。
「レオン君、少しお話がありますので残っていただけますか?」
この後の予定はマーケットで買い物をするだけだったため、エステル達には先に行くよう簡潔に伝え、再び元の位置へ戻った。
「それで、お話とはなんでしょうか?」
「そう畏まる必要はございませんわ。お話をする時間も取れなかったので、この機会にゆっくりお話をしようと思いまして」
「そうだったんですか…」
レオンのファンクラブ会長であるメイベルは、会員からの情報を管理・統合を行い、発信している。ロレントにも会員がいたらしく、準遊撃士に至るまでの情報も入っているとか…。
「今回の件本当にありがとうございました。さすがは《天剣》と言ったところでしょうか?」
「いえ、皆の力があったからこそです」
「謙虚ですわね」
戦闘では無類の強さを誇るレオンだが、こういった事件の解決は一人ではできなかったと心から思っている。頭は悪くない、むしろ賢い部類に入る。だが圧倒的に経験が足りない。それを補うために旅をしているわけだが――。
「ボースでの一件は解決しましたが、モルガン将軍のお話ですとカプア一家の裏には何者かがいたようです。これは始まりに過ぎない…、そんな気がしてならないのです」
確かにヴァレリア湖にいた黒装束の男に関しては何の情報も得られてはいない。だが――
「これが始まりだとしても、皆が力を合わせれば必ず解決できます。今回がそうだったように…」
レオンがそう言うとメイベルは表情を和ませた。
「ふふ、エステルさんが太陽、ヨシュア君が月だとしたら、あなたはそれらを映す大空のようですわね」
「大空?」
「ええ、全てを包み込んでしまうような方ですから♪ それにレオン君はこの国を救う英雄になるような気がしますわ」
「それは商人としての目利きですか?」
「女の勘ですわ♪」
ニコニコしながら言うメイベルの顔はいつもよりずっと輝いていた。気恥ずかしくなったレオンは思わず目を逸らす。そう、目を逸らしたことによって何かを思いついたようなメイベルに気が付かなかった。
「レオン君、少し目を閉じてくれますか?」
「…? いいですよ?」
言われた通り目を瞑るレオン。メイベルが段々と近づいてくるのがわかる。かなり近くまできたことに怪訝な表情になっていく。我慢できずに目を開けようとしたその時…
ちゅっ
額に柔らかな感触。その一瞬に呆然とする間にメイベルは離れた。少し意地の悪い笑みを浮かべて、わけのわからなくなっているレオンを笑うようにメイベルは声を掛けてきた。
「これからも頑張ってくださいね! 応援してますわ」
状況を飲み込めないまま市長室を後にしたレオン。やっとのことで理解できたのはマーケットに入ってからだった。
(うわあ、どうしよ? 絶対顔真っ赤だよ…)
ほとぼりが冷めるまで待つレオン。ようやく落ち着いたレオンはエステル達を探した。先程の出来事を思い出さないように、他ごとを考えつつ探す事10分。スニーカーを吟味していたエステル達を発見した。
「レオン兄、なんの話をしてたの?」
「遅かったね、兄さん」
(思い出さないようにしてたのに!)
「なんでもない! そろそろ出発しよう!」
再び赤くなった顔を見られないよう、踵を返し歩き出すレオンに疑問を感じながらも後ろに続く二人。新たな謎を解くために一行は、ルーアンを目指しボースから旅立ったのだった。
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ボース市と開港都市ルーアンをつなぐクローネ峠の関所までやってきたレオン達。既に日が落ちてきており、これ以上進むのは危険だと判断したため関所で泊めてもらうことにした。
ボースの一件で色々あり、レオンは王国軍に対して含む所があったが、この砦に駐屯している軍人は皆優しく快く受け入れてくれた。さらに夕食も御馳走してくれることとなり、至れり尽くせりだった。
「はぁー、美味しかった」
「そうだね。軍で出る食事とは思えないな」
丁度食べ終わった頃、扉をノックしてセーロス副長が入ってきた。
「もう一人客が来てな、相部屋でも構わないだろうか?」
こちらも無理を言って泊めてもらっている身分でもあり、特に抵抗もないため二つ返事で了承した。
そこに現れたのは“重剣のアガット”巨大な剣を振り回す赤毛の遊撃士である。
「またてめぇらか」
「あ、あんたはー!」
どうやら顔見知りのようだが、馬が合わないようで話は徐々にヒートアップしていき、口論するまでに至ってしまった。何とかエステルを宥めていると事件は起きた。
ボース側の関所が狼型の魔獣に襲われたのだ。エステルが加勢しようとするもアガットに止められる。
「なんで止めるのよ!」
「これはこいつらの仕事だ。それにここの連中は練度も高いからすぐに決着がつくだろ」
「彼の言う通りだ! これは自分たちの仕事だ!」
納得のできないエステル。しぶしぶ関所内へ戻ろうとする中、剄で強化した聴力がルーアン側の関所の異変を一番に気付かせた。
「っ!」
一秒。
アガットが遅れて気づいた時には、レオンは既に剄を溜めた刀を降り下ろしていた。
【外力系衝剄の変化、針剄】
鋭く尖った剄は通路を抜け、兵士を襲わんと飛びかかった魔獣を貫いた。力尽きた魔獣は兵士の前で動かなくなり、周りの魔獣は困惑する。
二秒。
刀身を鞘に納め、高速で通路を抜ける。仲間の死を把握した狼型の魔獣が警戒を始める中、アガットがルーアン側に向け走り出す。
三秒。
魔獣を前にしたレオンは鞘から刀を抜きだす。
【天剣技 流星霜】
降り抜いた刀身から流星のような光が全方位に放たれる。無数の光は魔獣を食らい、それでも止まることはない。兵士を中心に囲んでいた魔獣はバラバラになり、原型を留めてはいなかった。
「ふぅ」
レオンが一息ついたところでようやくアガットが到着。破壊後の現状に思わず息をのむ。
「こ、こりゃあ…」
さらに遅れてエステルとヨシュアが到着。
「さすがレオン兄ね…」
「兄さん、早いよ…」
兵士の方は軽傷で済んだようだが、念のため医務室へと連れて行かれた。
「《天剣》の話は聞いていたが凄まじいな…、本当に助かったよ」
「いえ、大したことはしていません」
エステルとヨシュアの出番はなかったが、レオンの活躍によりアガットの認識も少し変わったようだ。
その後の魔獣の襲撃はなく、ゆったりと休んだ一行はクローネ峠の関所を後にし、再びルーアンを目指し旅を続けるのだった。
最初のアガットはあまり好きじゃなかったので、レオンの実力を見せつけてやりました。ウケケ
あとメイベルさん若干のキャラ崩壊ですが気にしないで下さい。