鋼殻の軌跡   作:かめぞう

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再び投稿。
閃の軌跡をやり直そうか考えてます。


第2話

「始めッ!」

 

クラウスの合図とともに前に出たのはレオン。その踏込は正に神速と呼ぶにふさわしい。

 

【内力系活剄 旋剄】

 

剄で強化された脚力によって一瞬でサラの前まで詰める。

さすがのA級遊撃士も並みの武芸者を上回る速度に驚く。しかし長年の経験が無意識にサラの身体を動かした。すぐにブレードを構え直し、鉄同士が衝突した甲高い音を鳴り響かせる。

 

「ちょ、ちょっと急過ぎるわよ!」

 

「作戦に参加したいの、でッ!」

 

最後の言葉を言う前に苛烈な連撃を浴びせる。距離を開けたいサラも防戦一方でなかなか間合いを離すことができない。

 

(なんて子なのっ!! ……こうなったら仕方ない)

 

「ハァッ!」

 

クラフト【雷神功】

 

《紫電》の二つ名の通り、サラの身体の周りに電気が奔る。

 

「っ!」

 

今まで防戦一方だったサラのスピードが上がり、連撃の中の一太刀を見切りレオンの刀を弾いた。それと同時に後方に跳びつつ左手に持つ導力銃でレオン目掛けて撃ちまくる。

しかしレオンも並みの武芸者ではない。弾道を正確に見切り、切り伏せた。

 

「あ、あんた本当に準遊撃士!?」

 

「そうですよ!」

 

先の踏込の速さと言い、A級遊撃士である自分を追い詰める攻撃。本当に準遊撃士か疑うレベルである。

射撃によって距離が開いたこともあり、サラは次なる技を繰り出す。

 

クラフト【鳴神】

 

先程と同じように弾丸を切り裂こうとするが、剄によって強化されている瞳は弾丸に闘気が込められていることを知らせる。何かある、レオンがそう感じた瞬間身体は回避行動をとった。弾丸は着弾と同時に広範囲に渡って雷を降らした。

 

「ぐっ」

 

予想以上の範囲にわずかに掠ってしまったレオンは呻いた。

対するサラは自慢の範囲攻撃にあれだけしかダメージを負わせることができなかったことに驚く。ヒットアンドウェイを得意とするサラの戦術は常に先に動き相手を翻弄し一撃で相手の息の根を止めるもの。必殺とまではいかなくても致命的なダメージを与えるには十分な技を繰り出したはずなのに、目の前の少年は最小限のダメージに留めた。

 

「さすがに決まると思ったのだけれど、なかなかやるわね」

 

「それはどうも。それにしても厄介な技をお持ちですね」

 

「平気そうな顔をしてよく言うわよ」

 

「普通に痛かったですよ」

 

喋りながらもレオンは更に剄の密度を高め、【鳴神】によって負傷した部分に意識を集中した。

 

(この程度なら数秒で痺れはとれるな……、よしっ!)

 

この程度のダメージなら問題ないと判断すると、十八番である【疾影】を繰り出す。相手の知覚に残像現象を起こすが、今のサラは自己強化のクラフトである【雷神功】を使用している。心眼付与の効果もあるため、サラは迷うことなく正確な射撃を行った。

 

「見えてるわよっ!」

 

「それならっ!」

 

放たれた弾丸を弾きながら、刀に収束させた剄を解き放つ。

 

【外力系衝剄の変化 渦剄】

 

渦巻きながら放たれる無数の剄の塊が、今なお放たれる弾丸を受け止める。練武場は大気の渦によって土埃が立ち煙幕となって周囲を覆う。

サラは射撃を止めレオンの出方を伺う。彼は塞がれた視界を利用して何かを仕掛けてくるはず。

幸い【雷神功】の効果はまだ切れていない。相手の出方を見た上でも十分な対応ができるはずだ。

対応した上で相手が躱せぬほどの広範囲かつ最大火力での攻撃を行う。

刹那の間で、サラは冷静に判断した。

 

「さあ、どっからでもかかってきなさい」

 

土埃が収まり始め、レオンの姿を探す。探して……サラは驚愕した。

 

「なっ!」

 

サラの目に映ったのは無数のレオンの姿。

 

「わ、分け身のクラフト!?」

 

サラを取り囲むようにしてレオンの姿がある。

 

【活剄衝剄混合変化 千斬閃】

 

実際には千もない、せいぜい十数人というところ。残像から実体のある幻像を生み出すルッケンス秘奥の技。レイフォンと共に習得した技。

名のある武芸者でも会得できないその技を、見ただけでコピーしたのだ。ルッケンスの者が聞けば、その理不尽な境地に怒りを感じることだろう。

逃げ場もないほどに囲んだレオン達が一斉に襲いかかる。出方を窺っていたサラも想像を超えた反撃に、完全に隙を晒してしまった。

レオンはその斬撃のほとんどを外す。動けない程度に手加減した斬撃を打ち込み、サラが崩れ落ちる姿を確認する。

 

「そこまで!」

 

クラウスの宣言により、模擬戦は終了する。それと同時にレオンは起き上がろうとするサラに近づく。

 

「痛たたたた……。アンタね、もう少し加減は出来なかったの?」

 

「だってサラさん、あの時奥義クラスの技を出そうとしてましたよね? それを防ぐにはあれが最善だと思いまして……」

 

「……はぁ~」

 

サラはティアの薬を飲みながら溜息をついた――。

 

 

 

 

 

 

**********************************

 

 

 

 

 

 

~遊撃士協会レグラム支部~

 

「さて、俺も想像以上だった強さに驚いているが、これで作戦参加に異論はないよな? サラ」

 

「当たり前じゃない。それにしてもアンタ、本当に何者なのよ?」

 

「ブライトっていう姓で気が付かないか? カシウスさんの息子さんだよ」

 

「! なるほどね~」

 

「僕は養子なんですけどね、というか父さんは帝国でも有名人なんですか?」

 

「正遊撃士にはA~G級までの階級がある事は知っているな? 最高ランクであるA級遊撃士は大陸全土でも20人程しかいないんだが、非公式でA級の更に上にS級というランクがある。カシウスさんは正にそのS級遊撃士、大陸に4人しかいない英雄なんだ」

 

「私はまだ生で見たことないんだけどね~。かなりダンディーなオジサマらしいじゃない♡」

 

「は、はぁ……」

 

黙っていれば相当な美人であるサラだが、その特殊すぎる好みと性格もあって現在恋人はいないらしい。(トヴァル談)

ニヤニヤ笑っているサラの中では妄想が膨らんでおり、レオンは空返事しかできなかった。

 

「と、ところで例の作戦について詳しくお聞きしたいんですが!」

 

収拾がつかなくなりそうだったので話を切り替える。

 

「あ、ああ、そうだな。まずは現状を整理しようか」

 

トヴァルの説明によれば、ギルドの襲撃は『ジェスター猟兵団』によって行われた。エレボニア帝国周辺の自治州を中心に活動している猟兵団である。ミラを受け取る事で仕事を引き受ける傭兵、その中でも特に優れた傭兵団に与えられる称号が「猟兵団(イエーガー)」であり、民間人保護を掲げる遊撃士協会との対立は激しく度々揉める事がある。

 

「ジェスター猟兵団……」

 

「そうだ。『赤い星座』や『西風の旅団』に比べれば大したことはない奴らだが、猟兵団は猟兵団。使用する武器も道具も高性能な物ばかりだ」

 

ギルドの襲撃後、カシウスは帝国遊撃士教会の臨時代表を担当。すぐに分散していた遊撃士を辺境に集結させ、また敵勢力の諜報活動を封じるために、導力通信を完全封鎖した。

更に、帝国軍部にまだ健在のギルドに対する厳重な警備要請を出す。

しかし、リベールと同じく遊撃士協会と軍の仲が良好とは言えず、動きは鈍く対応するのに時間がかかったそうだ。

 

「その間にカシウスさんは敵勢力の動向から補給地点を推測して、その地に詳しい遊撃士を派遣した。この作戦が見事に嵌って実行犯が判明したんだ」

 

「父さんが指揮していたんですね。……それで?」

 

「そこからは急に敵集団の行動が消極化してな、膠着状態が続いてるんだ。今はこの状況を打開するべくカシウスさんが動いているそうだ」

 

「でもね、問題はそこだけじゃないわ」

 

今まで黙っていたサラが口を開く。

 

「問題?」

 

「ジェスター猟兵団の他にも動いている奴らがいるのよ。目的や規模も不明だけど、最近になって動きが活発になっているらしいの。……その名も『身喰らう蛇』」

 

「身喰らう蛇?」

 

レオンは繰り返した。

 

「この間の作戦でもそいつらがでてきて、猟兵団をあと一歩の所で逃しちゃったのよ! あ~、今思い出してもムカつくわ!」

 

白熱してきたサラを横目にトヴァルが話の続きを始める。

 

「結社のエージェント、『執行者』と呼ばれる奴らには気をつけろよ? この間出てきたのは二人だったが、そいつらは達人級かそれ以上の強さだった」

 

「……」

 

レオンが思い出すのは銀髪の青年。あれの強さも尋常ではなかった。

 

「まあ、ジェスター猟兵団程度ならお前さんの強さがあれば大丈夫だろ! とりあえず、2日後に猟兵団の補給拠点を襲撃するから準備はしておけよ?」

 

「わかりました」

 

あの青年と身喰らう蛇……、その二つは繋がっている。

理由はわからないがレオンはなぜかそう感じた―――。

 




サラとの戦いは圧勝でした。
それにしても親父はまさにチートですね。
剣聖と呼ばれるほどの腕前に、あの軍略……
かっこよすぎます(笑)
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