鋼殻の軌跡   作:かめぞう

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ついに戦闘開始。
好きなキャラも登場です。


第5話

~ザクセン鉄鉱山~

 

ここはルーレ北東に位置する巨大な鉄鉱山で、200年以上帝国の屋台骨を支える場所。

エレボニア皇帝の直轄地として、ラインフォルト社とノルティア州が共同管理しており、採掘された鉄鉱石は隣接する製鉄所に運ばれて鉄鋼となり、帝国全土へと送られている。

所々設置されている街道灯により夜でも明るく照らされているが、巨大故に隠れるにはもってこいの場所でもある。

 

「おーおー、正規軍のほかに鉄道憲兵隊までいやがる。こりゃあ俺らの出番はないかもな」

 

「鉄道憲兵隊ってギリアス・オズボーン宰相が設立したというアレですか」

 

帝国に入国し、事件の聞き取りの際によく耳にした言葉だ。

帝国全土に張り巡らされた鉄道網の安全を確保する為、鉄道沿線においては本来各州の領邦軍が担う地方であっても治安維持活動を行う正規軍の精鋭部隊である。

 

「噂の若き将校―――クレア大尉は、別ポイントの作戦に参加しているようだが……」

 

「いなくていいわよ、そんな奴。作戦に参加したってどうせ役に立たないわよ」

 

どうやらサラはクレア大尉が嫌いらしい。理由はわからないが……。

いつになく不機嫌な様子にトヴァルが苦笑いしている。

 

「ほんと嫌いなんだなぁ……」

 

「気に入らないだけよ」

 

そんな会話の中、軍の伝令役がこちらにやってきた。

 

「間もなく作戦が開始されます。遊撃士の方々も準備の方を完了して下さい」

 

すでに戦闘用具、回復アイテム等の確認は済ませている。

 

「こっちは準備できているぜ」

 

「大丈夫です」

 

「いつでもいいわよ」

 

各々が返事をし、伝令役は敬礼をして元の持ち場に戻っていく。

今回カシウスがわざと漏らした情報によって立案された作戦だが、抹殺に適したポイントが何か所かある。

それぞれに正規軍と何名かの遊撃士を配置しており、あとは相手の出方を伺うだけである。

 

「無事に終わればいいが……」

 

「そうですね。『身喰らう蛇』という組織も気になりますし」

 

「気をつけなさい。やつr―――」

 

ドゴォォォォンと突如大きな爆発音が起こり、次に多くの銃声が響き渡った。

 

「始まったわね。いくわよ!」

 

「「おう!(はい!)」」

 

3人が共に飛び出し、現場に急行する。

味方が何人か倒れているものの、それ以上に敵が無力化されている。正規軍は元より鉄道憲兵隊の練度が高い。チームワークと的確な指示によって、着々と敵の数を減らしている。

猟兵団の数はこちらの半数ほど、まさに多勢に無勢でありこちらの勝利は時間の問題だ。

 

「加勢します!」

 

レオンは味方に放たれた銃弾を難なく弾き、振り向き様に剄を凝縮させ解き放つ。

技も何もない、ただの衝剄だが意識を奪うには十分の威力。真っ直ぐに放たれた衝剄は正確に敵の胸に吸い込まれ、猟兵団一人を吹き飛ばした。

サラはブレードと導力銃を交互に使い、バチバチと電光を走らせながら敵を攪乱している。紫電の名に恥じぬ戦いぶりだ。

トヴァルに関してはアーツを駆使し、味方の補助と援護をするだけでなく、短い駆動時間で攻撃アーツも放っている。武具や装備品を自分で改造しているらしいが頼もしい限りだ。

 

「このまま敵を制圧するぞ!」

 

「「「「イエッサー!」」」」

 

味方の士気も十分。このままいけば、もうすぐ完全制圧できる。

誰もが勝利を確信した―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――俺も混ぜろや……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その呟きを捉えたのは恐らくレオンだけ。

剄によって強化された聴覚がそれを認識した。

だが気づいた時にはすでに遅かった。一瞬で詰め寄ると味方を5人も蹴散らし、その姿を露わにした。

 

「あー、弱ぇんだよ雑魚どもが」

 

「ちっ!」

 

それはリベールでも珍しいサングラスをかけたスーツの男だった。

 

「てめぇは俺を楽しませてくれそうだなァ、オイ。あいつの頼みを聞いた甲斐があったぜ」

 

「何者だ?もしかして『身喰らう蛇』の……」

 

「そんなことはどうでもいいだろ? 大事なのはてめぇが俺を楽しませてくれるかどうか、そんだけだ」

 

そう言うや否や、一気に殺気が膨れ上がった。

 

「レオンっ!」

 

殺気に気づいたサラが叫ぶ。今なお戦っているトヴァルも異変に気付き、サラに援護するように叫んだ。

 

「サラ!ここはもういい!レオンの援護に向え!」

 

「言われなくてもわかってるわよ!」

 

サラがレオンに向って走り出した。が―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――行かせませんわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

踏み出した足の前にいくつかの傷跡が一瞬で出来上がった。

 

「なっ!」

 

「お久しぶりですわね、《紫電》のバレスタインさん?」

 

「ちっ!……今はあんたに構っている余裕はないんだけど? 執行者No.Ⅸ《死線》のクルーガーさん?」

 

「あらあら……、冷たいお人ですこと。それでは周りの殿方も寄ってこないのではなくて?」

 

「んだとゴルァ!」

 

サラが気にしていた部分を挑発され、ブレードを構えたまま襲い掛かる。

対する《死線》と呼ばれたメイド服の女は大型のナイフを構え、迎撃する。

両者の間でブレードとナイフが交錯し、互いの位置が入れ替わった。

 

「……悪いけど、後輩を助けないといけないから。アンタは無視させてもらうわ」

 

切れたフリをして攻撃し、サラの狙いは自分と女との位置を変えることだった。

最初から目的は一つだけ、レオンの援護に向うこと。

 

「じゃあね」

 

「……フフフ」

 

サラが離脱しようとしているのに、メイド服の女は笑うだけ。

怪訝な顔をサラだが、レオンを助けないといけないという気持ちが勝り、彼のもとに向かおうとするが―――。

 

「つっ!」

 

サラの頬に血の線が走った。

 

「……ですから、行かせませんと申したではありませんか」

 

「……鋼糸」

 

糸はその細さ故に振れば刃となって標的を切り裂く。また鞭と違い目視し難く攻撃を受けた者は何が起こったのかわからない。

非常に扱いが難しい武器であり、相当の熟練を要するはずだが、それを簡単に操っているのだからこの女の技量がいかに高いのかがわかる。

 

(早くこの女を倒して、レオンのもとに行くしかないわね……)

 

《紫電》VS《死線》の戦いが始まった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!これじゃあサラも援護できない」

 

クルーガーの仕掛けたトラップもあり、味方が多く戦闘不能にされた。それがこちらの士気にも影響し、いつの間にか五分五分か、こちらが危うい立場になっている。

そのためトヴァルまで持ち場を離れるわけにはいかず、軍の援護に徹するしかない状況だ。

もどかしいが、この場を踏ん張るしかない。

 

(死ぬなよ!レオン……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――これで邪魔者はいねぇ、だからよぉ……俺をゾクゾクさせてくれよ?」

 

「っ!」

 

「オラァ!」

 

地面が陥没するほどの踏み込み。強靭な脚力で間合いを詰め、拳を振り下ろす。

振り下ろされた拳はいとも簡単に地面を砕き、石の礫が襲い掛かる。

それを紙一重で避けつつこちらも反撃する。

薙ぎ、突き、振り下ろし、切り上げ。

相手を間合いに入らせないような高速の乱撃。それをヴァルターは手甲と足甲でいなしていく。

 

「こんなもんじゃねぇだろ!」

 

刀を弾かれ、レオンの胴が開いた。その隙を見逃さずボディーブローを放つ。

岩をも砕く拳がレオンの腹に食い込んだ。

 

「……あぁ?」

 

だが、ヴァルターに手ごたえは感じられなかった。

それどころか傷ついたのはレオン―――ではなく、ヴァルターの拳。

 

【活剄衝剄混合変化 金剛剄】

 

活剄による肉体強化と同時に衝剄による反射を行う防御専門の剄技。しかし、

 

「……っぐ」

 

(ダメージ全てを返せなかった。)

 

ヴァルターは寸勁も体得している。外部破壊だけでなく内部破壊もお手の物。

寸勁による威力を逃しきれずダメージを負ってしまった。

 

「クク、やるじゃねぇか。俺に傷を負わせた奴は随分久しぶりだぜ」

 

「知らないね、そんなこと」

 

「生意気なところも気に入ったぜ。……そういえば名乗ってなかったな、執行者NoⅧ《痩せ狼》ヴァルターだ」

 

「……あんたの仲間に黄金の剣を使う奴はいるか?」

 

「さあな?俺に勝ったら教えてやるよ」

 

「わかった。あんたを倒してゆっくり聞いてやるよ」

 

 

《天剣》VS《痩せ狼》 その戦いの幕が切って落とされた―――。

 




ヴァルターさんも好きだが、シャロンさんはもっと好きだ。
てかゆかなさんも好き。

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