鋼殻の軌跡   作:かめぞう

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それではグランセル武闘大会の始まりです。

どうぞ!


プロローグⅣ

~王都グランセル~

 

地方としてはヴァレリア湖の南東に位置し、南西のツァイス地方・北東のロレント地方と接する。リベールの首都であり、政治・文化の中心地。地方全体が《アーネンベルク》と呼ばれる古代の城壁に囲まれており、王城はとても美しい。リベール王国の女王である、アリシア・フォン・アウスレーゼは巨大な軍事力を誇る帝国と大量の人口を持つ共和国に挟まれながらも、したたかな外交力で互角以上の政治力を発揮する女傑であり、慈愛をもって国政に励む姿から国民に慕われている――。

 

 

「ここがグランセルかぁ」

 

初めて飛行船に乗り、上空からの景色を十分に満喫したレオンはかつてない高揚感に包まれていた。

(向こうの世界じゃあ、空なんて見れないもんな…。)

 

「あんなに興奮してるレオン兄は初めて見た!」

 

「うっ…」

 

妹の前であんなにもはしゃいでしまった自分が恥ずかしい。だが、初めての経験でもあり、いつかきれいな空を見てみたいと、常々思っていたレオンにとってはそれほどの衝撃だったのだ。

 

「確かにな」

 

そんな息子の様子に、カシウスも嬉しそうに微笑む。いくら強いといっても、まだ10歳の少年なのだ。年相応の反応をするレオンを見てカシウスは安心すると同時に、力の使い所を導かなければならないと、決意を新たにした。

『大いなる力には、大いなる責任が伴う』

レオンの力は正しく一騎当千。これほどの力があれば、いずれは何かのトラブルに巻き込まれるだろう…。そんな時に自分の力の強大さを認識し、正しく力を使えなければ、それはただの暴力に成り下がる。大切な人を守るためにその力を振るってほしい…。願わくばこの息子の平和がずっと続くようにとカシウスは思う。

 

「レオン兄、お店がいっぱいあるよ!早く行こっ!」

 

たくさんのお店にエステルは大はしゃぎしながら、レオンの手を引っ張る。

 

「悪いがエステル、受付が先だ」

 

「ぶぅ!」

 

はは…、レオンは苦笑いをし、拗ねているエステルをなだめる。

リベールの中心地だけあってものすごい人が集まっている。ロレントと違う雰囲気に圧倒されつつも一行は大会会場へ向かう――。

 

 

***********************************

 

 

「大会にエントリーしたいのだが」

 

「おおっ!カシウスさんではないですか!今回の大会に出場されるのですか?いやぁ、これでこの大会もさらに面白くなりますよ」

 

以前は軍に所属しており「剣聖」とまで言われたリベールの英雄である。カシウスの知名度は高く、受付の男性は興奮していた。

 

「いや、今回出場するのは私の息子だ」

 

「へっ?この少年が…ですか?」

 

「ああ、この大会には年齢制限などなかったはずだが?」

 

「確かにそうですが、まだ少年じゃないですか!いくら大会が非殺傷設定だとしても怪我はするかもしれないんですよ?」

 

確かに大会に出場するものは大人か、若いといっても準遊撃士になったばかりの16歳以上である。受付が困惑するのは無理もない。

ただこういった子供だからといった理由で、グレンダンでも様々なことを言われていたレオンにとっては、あまり面白くない。だが…

 

「レオン兄は強いんだよっ!そこらの人には負けないんだからっ」

 

エステルの叫びにレオンは一瞬呆然としたものの、すぐに笑顔になる。自分を認めてくれる父、そして妹がいる。ドロドロとした暗い感情が軽くなっていくのを感じる。

 

「そういうことだ。こいつの実力は私が保証する。」

 

「カシウスさんがそこまで言うのなら…」

 

カシウスの言葉があっても、すぐに信じられるはずもない。半信半疑のまま受付の男性はレオンを出場者として登録した――。

 

 

「さて、エントリーもしたことだし、レオンとエステルは大会開始まで自由にするといい。俺はギルドに顔を出してくる。夜には戻るから、二人はホテルで待っててくれ」

 

「うん」

「やった!」

 

カシウスから1500ミラを受け取り、二人はグランセルを堪能する。

レオンは無邪気に走り回るエステルに先程の出来事を感謝しながら、迷子にならないようしっかりと付いていくのだった――。

 

 

 

***********************************

 

 

翌日

 

「さあ!ついに始まりました今回の武闘大会!優勝は誰の手に!?」

 

ようやく始まった武闘大会。会場は観客で埋め尽くされかなりヒートアップしていた。

そして女王陛下からのお言葉、選手宣誓といったオーソドックスな流れから、ついに予選開始となった。多くの予選が終わり、レオンの順番が回ってくる。

 

「では続きまして選手の紹介をしたいと思います。赤コーナーから、今大会で4回目!帝国からやって来たクラン・ディール選手です」

 

ワァァァァァァァァァーーーー!!!!!

 

歓声に包まれた中、クランは軽く観客席に会釈した。

 

「「「きゃー、クラン様ぁぁ!!!」」」

 

観客席にはクランのファンと思われる女性陣がいた。確かにクランは俗にいうイケメンと言われる容姿をしており人気なのも頷ける。

 

「そして青コーナー・・・、おおーっと、今大会出場者の中で最年少!レオン・ブライト選手です」

 

先ほどとはうって変わり、ざわざわとした空気が会場を包み込んだ。大会に出ているのは明らかに少年。しかも相手は以前の大会でもそれなりの成績を残している人物だった。

 

「おやおや、これでは弱い者いじめになってしまうじゃないか。是非ともリタイアをお勧めするよ」

 

気障な動きをしながらこちらだけに聞こえる声でレオンにリタイアを勧める。何度も言うが、グレンダンではこのような状況になることは多々あった。だが、同じような事を何度も聞くのはさすがのレオンもムカついた。レオンから徐々に表情がなくなっていく。

しかしクランは女性陣への対応に忙しいらしく、レオンの様子にまったく気づいていなかった――。

 

一方観客席では…

 

「ご無沙汰しております。カシウスさん」

 

「おお、シード中尉か…、いや今は大尉に昇格したんだったな」

 

「ええ、おかげさまで。ところで彼があなたの息子さんですか…、しかし予選の最初に彼と当るとは「うわぁ、レオン兄やばいね」…運がない」

 

シードが話している最中、レオンの様子を見ていたエステルが呟く。

 

「ああ、あれはやばいな」

 

「ええ、彼は前大会でも3位入賞した実力者ですからね。レオン君も「いや、そっちじゃない」…え?」

 

――開始のゴングが鳴り響いた。

 

「僕は《双銃》のクラン・ディール、君はリタイアするべきだよ…、女性陣の前でh「どうでもいいから始めようよ」後悔しないでくれよ!」

 

クランは素早く二丁の導力銃を引き抜き、レオンめがけて発砲した。

しかし、次の瞬間宙で小さな爆発が起こる。

まさか、発射された導力弾を衝剄で撃ち落としたなどわかるはずもない。クランがその爆発の意味に気が付く前に、彼の意識は闇に落ちた。

いつの間にかクランの後ろにいたレオンが審判に終わりを告げるまで、会場は妙な静けさに包まれた――。

 

「なな、なんということでしょう!全く見えませんでした!この勝負を制したのは青コーナー、レオン・ブライトです!」

 

一気に観客席が盛り上がる。

 

「うおお!すげえ!」

「何が起きたんだ!?」

「クラン様ぁ…」

 

様々な言葉が飛び交う中、闘いを見ていたシードは言葉を失っていた…

しかし、ブライト家は…

 

「うわあ、レオン兄えげつないね」

 

「南無…」

 

――こうして大会史上初、10歳の少年が怒涛の快進撃を見せるのである。

 




主人公強すぎるけど…しょうがない。
怒りでリミッターが外れたのだ。
私は悪くない…
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