魔法少女リリカルなのは~優しい嘘~   作:アマネ・リィラ

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第二十九章〝失楽園、終焉の地〟

 

 運命の定義。

 

 それは、抗えないというたった一つの真実。

 

 しかし、運命にいかほどの価値があるのか。

 

 未来など――人間にはわからないのだから。

 

 戦いの意味。

 

 戦いの理由。

 

 全てを内包し、世界は震える。

 

 終焉か、存続か。

 

 ――深淵に座し、キミを待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――◇ ◇ ◇――――

 

 

 

 

 

 

 数多の剣戟が、世界を揺らす。

 常人には視認さえ困難な速度で繰り広げられる、世界最強同士の戦い。

 それは概念と化し、滅びることは有り得ない世界さえをも軋ませる。

 

「…………!」

 

 視線が交錯。

 戦いが始まってから、約三日の時間が流れている。テンリュウの魔力はこの世界に貯蔵された『死』そのものであるが故に、理論上限界はない。万を超える人間の命をどうやって崩すというのか。そんな方法は存在しない。

 ――『唯一人からなる無敵の軍勢』。

 人の形をした軍勢に、個人が勝てる道理はない。

 

「流石は我が師。しかし……その身は最早、師の残滓に過ぎない。なればこそ、我が刃を持って終わらせましょう」

 

 収束する魔力。技も何もない。

 ただ渾身の力を込めた、全力の一撃。

 終わりには、それが相応しい。

 技という技を、魔法という魔法をぶつけ合った先に待つのは、純然たる力の勝負。

 

「参る」

 

 ――轟音。

 テンリュウが蹴り飛ばした地面が凄まじい音を立て、爆散する。対し、ロードも応じる構え。

 そして。

 二人は、激突する。

 ……結果は。

 

《視えてた結末とはいっても、ね。やっぱり……後味悪いわ》

 

 デバイスたる『桜花』が、苦笑混じりに言う。

 その刃は、深々とロードを貫いていた。

 

 ――ポタリ。

 

『桜花』を伝い、血がテンリュウの手に触れる。生暖かい血。

 それは、この人が生きている証。

 されど。

 意志を奪われた者は、生きていると言えるのか。

 

 

「――見事」

 

 

 不意に、声が聞こえた。テンリュウは、弾かれたように顔を上げる。

 そこにあるのは、ロードの顔。

 しかし、それは何もない、意志さえない人形のものではなく。

 掠れ、風化しようとしていた記憶の彼方にある……『あの方』の笑顔。

 

「一人でやっていけるのかと心配していたが……杞憂だったようだ。私を超えてくれた。師として、先達として、これ以上のことはない」

「師……本当に、あなたは……」

 

 テンリュウの瞳には戸惑いがある。ロードは微笑んだ。

 

「何の奇跡か、それとも因果か……。理由はわからない。されど、私はこの僅かな時間だけは……私でいられる」

「あ……ああっ……師、師っ……」

 

 テンリュウの、『桜花』を握る手から力が抜ける。今にも取り落としそうになる。

 それを――

 

「――手を離すな、『神道天龍』」

 

 ロードが、鋭い声音で遮った。彼は、血を吐き出しながら言葉を紡ぐ。

 

「この世界は理不尽の塊だ。だからこそ目を逸らしてはならない。お前の歩んだ道を、否定するな」

 

 ロードはそう言葉を紡ぐと、苦笑する。

 

「泣くな、全く。泣かぬ為に、お前は私から引き継いだのだろう? 涙もろいところは、成長せぬか?」

「師……私は……」

「この結果を後悔しているのか? 大丈夫だ。私は死した身。何の冗談か意識なき中でお前と戦い、こうして意識を取り戻した。だが、死んだ身なのだよ私は。死者は二度死なない。お前は、私を殺したわけではない」

 

 優しげな笑み。ロードは、テンリュウ、と呟くように自らの後継者の名を呼ぶ。

 

「見事。強くなったな。誇りに思う」

 

 ――――。

 

 音もなく、ロードの体が崩れていく。その身が徐々に砂になり、サラサラと砕けていく。

 別れの時。

 そもそもが存在しないはずの人物だ。その偽りの生が終わると共に消え逝くのは道理である。

 

「二度、弟子に――後継者に看取ってもらうのは、僥倖なのかもしれん」

 

 ロードは微笑む。満足だ、と。

 その先の終わりを、受け入れて。

 テンリュウは、師、と必死に言葉を紡ぐ。

 

 

「――ありがとうございました」

 

 

 その言葉を。

 ずっとずっと、それだけを言いたかった。

 膨大な魔力を持って生を受けたために忌み嫌われ、奴隷として売られた幼少時代。

 正直――明日など、見えやしなかった。

 そこから、師が救い出してくれた。

 そして、一人で生き抜く術を教えてくれた。

 なのに、伝えられなかったから。

 泣き叫ぶばかりで何一つ、伝えられなかったから。

 

「あなたのおかげで、私はここまでこれました。本当に、本当にありがとうございます。……伝えたかった。これだけを、たったこれだけを」

 

 ロードは、呆気に取られたような表情を見せ。

 そして、微笑みを浮かべる。

 

「礼を言うのは、こちらもだ。……テンリュウ。お前は、自分の名を覚えているか?」

 

 砕けていく体。そちらには少しも気を払うことなく、ロードは問いかけてくる。テンリュウは首を左右に振った。

 そんな彼女の様子を見、ロードはそうか、と呟く。

 

「……師として、最後の教えを送る。自らの名を、思い出せ。世界の鎖を引き千切るために」

 

 ロードは微笑む。微笑み、天を仰ぎ見た。

 

「随分と長く、我らという存在は生きてきた。……そろそろ、終わるべきかもしれん」

 

 呟くように、そう言って。

 ロードは、ではな、と言葉を紡ぐ。

 最早……首から上しか、残っていない。

 

「先に、地獄で待っている。なに、すぐだ。待つのは膨大な未来がお前を押し潰すまでの、ほんの僅かな時間に過ぎん」

 

 そして、その姿が塵と消える。

 後に残るのは、紅の血。

 そこにいた、証。

 本来ここにいるはずがない男は、骨さえ残さず、消え去った。

 まるで――最初から存在しなかったかのように。

 ――そして。

 不意に、あらゆる『神道天龍』を見てきた存在が言葉を紡いだ。

 

《泣き叫ぶと思ったけど、ね。泣かないの?》

 

 テンリュウの瞳から、涙は消えていた。

 むしろその瞳には、凄まじいまでの意志が宿っている。

 燃えるように激しい、意志が。

 

《泣いてもいいのに。待ち望んだ奇跡が、本当に奇跡みたいに叶って、嬉しさと虚しさでいっぱいのくせに》

「……そうですね」

《どうせ、あたししかいないんだよ? 泣いちゃいなよ》

 

『桜花』は言う。茶化した調子で、優しく。

 テンリュウは、微笑んだ。

 

「そうしたいところですが、それはできません。今、涙すれば……立ち上がれなくなる。それはできない。私には、やらなければならないことが残っています」

 

『桜花』を振るう。血が飛び散り、世界が歪む。

 そう……まだだ。

 泣くのは、まだ。

 

「初めてです。――心の底から、誰かを殺したいなどと思ったのは」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 ――轟音が、空間を支配した。放たれる衝撃波が、壁にひびを入れる。

 地面に突き立てられた『血桜』を抜き放ち、テンリュウは前を見る。

 そこにいるのは、二人の敵。

 クライム。

 グリス・エリカラン。

 一時は味方と受け入れたが、今は違う。

 

「クライム。グリス・エリカラン」

 

 圧倒的な密度を纏った魔力が吹き荒れる。展開されるのは、命を使う術式――オリヴェント式。

 テンリュウ自身の魔力は、ほとんど使ってしまっている。回復を待たねばならない。

 ――だが、それがどうしたというのか?

 彼女の宿す『世界』には、万を超える命が貯蔵されている。

 それがそのまま『神道天龍の命』であり、『力』だ。

 限界など、ありはしない。

 

「私は、あなたたちを許さない」

 

 騙されていたこと、利用されていたこと――それも腹立たしいが、それよりも。

 あの方を。誰よりも尊敬するあの方を辱めたことだけは、許さない。

『最強』を――『神道天龍』を侮ったこと、後悔させる。

 

「その死をもって償いなさい。――あなたたちには、手向けの言葉さえも必要ない」

 

 そして、刃が振るわれる。

 目指すは――クライムの首!!

『桜花』を右腕で。『血桜』を左腕で振るう。挟み込むように狙った一撃。必殺のそれはしかし、結果を見せない。

 

「…………ッ!?」

 

 ピタリと、そんな擬音が相応しいような形で、刃が止まった。

 意志に反し、体が。

 まるで、それを拒否するように。

 

「――普段の冷静なキミならば、戻ったその時に気付いただろう。だが、気付かなかった。それが敗因だ」

 

 クライムの右手が、テンリュウの眼前に翳される。

 ――閃光。

 放たれた一撃は、テンリュウを吹き飛ばした。……大したダメージはない。しかし――

 

「私はキミが加わると聞いた時、真っ先に考えた。『最強』の力は頼りになる。だが、キミはいつか必ず私に刃を向けるのがわかっていた。ならば、どうするか。……そう、『ここ』だ。この場所が――この失われた楽園こそが、解答だ」

 

 クライムの陰から、一人の少女が歩み出る。

 アリア・シュヒテンダーク・オリヴェント。

『神道天龍』が守るべき『聖人』であり、『失楽園シャングリラ』の主。

 

「正確には『聖人の末裔』こそが答えだが……さして変わることではない。いずれにせよキミは、この場所では奴隷に過ぎん」

「…………アリアに、アリアに何をしたのです!?」

 

 テンリュウが吠える。アリア――人見知りをするその少女は、決して明るい性格ではない。

 しかし。

 あんな、死んだ目をするような子供でもなかった。

 

「キャハハ♪ お侍さん、あなたがそれを聞くの?」

 

 笑い声。あまりにも不快なそれを発する人物は、クスクスと笑い続ける。

 

「ボクを誰だと思ってるの? グリス・エリカラン。人の心なんて、ボクにとっては玩具と変わらない。まあ、流石に苦労したけど……やれやれ、『先代』然り『聖人』然り、どうして化け物はこんなに扱い辛いんだろうねぇ?」

 

 肩を竦め、ケラケラとグリスは笑う。

 

「あなたは……どこまで……ッ!!」

 

 テンリュウはグリスを狙い、刀を振るう。

 しかし、再び……止まる。

 ――『隷属』。

『失楽園シャングリラ』の内部において、『神道天龍』は何があっても『聖人』に逆らえない。『聖人』が殺すなと命じれば、何があっても殺すことはできない。

 そう、たとえ相手がどれほど憎かろうと。

 ――それが、制約。

 力の代償として背負うことになった、鎖だ。

 

「いい表情。キャハハ♪ いいねぇ、ホント楽しい♪」

 

 グリスから、魔法による砲撃を受ける。

 ダメージはない、ないが……これでは。

 

「アルハザードでさえ文献でしか見ることができない力、『運命改変』……破格の力だ。『刃が振るわれる』という運命をねじ曲げ、『刃が止まる』という運命に帰結させる。キミを縛るこの力は、確かに人には許されん力だ」

 

 だが扱う者が未熟に過ぎると、クライムは肩を竦めてそう言った。

 

「ウィル・ガーデンズ……彼が死んだと告げただけで、心を閉ざした。哀れなものだ」

「なっ!? あ、あなたは……あなたは本当に人なのですか!?」

「人だよ。いっそ人外であったならば……私は、こんな風にはならなかっただろう。憂うことさえ、なかったかもしれん」

 

 クライムは左右に首を振る。

 テンリュウは、再び跳ねた。

 ――しかし、届かない。

 幾度刃を振るおうと、その刃は届かない。

 撃ち込まれる何発もの魔法。それはダメージこそ大したことはないが、心を削り取っていく。

 そして、遂に。

 

「――――」

 

 カラン、と音が響いた。

 テンリュウの手から、『桜花』と『血桜』が滑り落ちる。

 その身体は、鈍く輝く鎖に繋がれていた。

 

「キミにはまだ仕事がある。なに、大したことではない。中枢を守ってもらうだけだ」

 

 運命――世界の一部であるテンリュウは、本来ならそれとは切り離された存在だ。

 しかし、このように例外はある。

 打つ手は、ない。

 

「恨むのであれば、恨むがいい。だが、その刃が私たちに届くことはない」

「キャハハ♪ 残念無念~、ってね♪」

 

 二人はアリアを連れ、出て行く。テンリュウは、必死に言葉を紡いだ。

 

「卑怯な……!! あなたたちには人としての誇りすらないのですか!?」

「キミのように強いのであれば、誇りで己を律する必要があるかもしれん。だが、我々は弱者だ。弱者に誇りなど、求めるものではない」

「あなたたちが弱者など、そのような戯れ言を誰が信じるのです!? 私と戦いなさい!! 今ここで!!」

 

 テンリュウの叫びは、しかし、届かない。

 

「その必要はない。――さらばだ、誇り高き侍。ここがキミの終着点だ。キミの主に代わり、私が言葉を贈ろう」

 

 クライムは笑みを浮かべ、言い放つ。

 

「――大儀であった」

 

 そして、二人が立ち去り。

 テンリュウを縛っていた鎖が、消え失せる。

 

「ああ、あっ……!!」

 

 怒りと、やるせなさと、虚しさと。

 ぐちゃぐちゃになった感情が、爆発する。

 

「あああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 墓地。

 荒れる世界においても、ここだけは静かなままだ。人の姿はなく、時が止まったかのような錯覚さえ受ける。

 

「…………」

 

 八神はやて准将。

 第108魔導旅団兵団長。

 今や管理局の要の一人となったその人物は、そこに佇んでいた。

 

「はやてさん……いえ、八神兵団長」

 

 その背に、声がかけられる。

 ファイム・ララウェイ。

 管理局一佐相当執務官。

 地上においてエースと謳われる、英雄。

 この二人がその身に纏うのは、いつもの制服よりも威圧感を纏った……軍服。

 

「指令です。第108魔導旅団は、あの巨大な浮遊要塞――『失楽園シャングリラ』を制圧、破壊せよと」

「軽く言うてくれるなぁ……。あんなとこに、どうやって行けばええんや」

 

 はやては苦笑する。ファイムは、一応、と言葉を紡いだ。

 

「はやてさんの艦……『ヴォルフラム』は使用許可が下りました。逆に言えば、それしか許可は下りていません」

 

 はやての艦である、『ヴォルフラム』――次元航行艦としては確かに優秀な艦だが、いかんせん規模がそこまで大きくはない。

 旅団全員を運ぶことは、おそらくできないだろう。

 

「運べて半分、ってとこやろね。……まあ、元々守りに残さなアカンかったさかい、変わらへん」

「そうですね」

 

 ファイムは頷く。仕事の上で、二人は上司と部下である。その辺りの節度は守らなければならない。

 お互いのためにも。

 

「報告は以上です。……急ぎましょう。タイムリミットまで、あと20時間しかありません」

「うん。せやけど……少しだけ、待ってくれへんかな?」

 

 ファイムに背を向けながら、はやては言った。ファイムは、はやての隣に立つ。

 そうして――言葉を紡いだ。

 

「墓標、ですか」

「うん。名も無き者たちへの手向けや。……無意味、と思う?」

「いえ」

 

 ファイムは首を振る。名も無き墓標――それは、敵の戦闘機人たちが眠る場所だ。

 先の戦いにおける被害は、互いに甚大だった。

 死者も負傷者も、凄まじい数を数えることになる。

 そんな中、誰に言われたわけでもなく、いつの間にか戦闘機人たちを皆が供養していた。

 道具として生み出され、道具として使い捨てにされた彼ら。

 そして、命を落とした一人の復讐者もまた、ここに眠っている。

 

「人って、変な生き物やね。自分たちのことで精一杯のはずやのに、こんな風に敵だったはずの相手を弔ってる」

「そのどうしようもない甘さが、人が人である所以でしょう」

「うん。……愛情も、憎悪も、人であるからこそや。だから、受け止めよう、って思って」

 

 はやては墓標に手を触れ、呟くように言う。

 

「エレンな。わたしを、最後まで恨んでたんやって。うん、やっぱり……少しだけ、辛いかな?」

「そうでしょうね。憎悪というのは深い感情です。消えるようなものではありません」

 

 エレン・ローグ……いや、リストリア。

 スバル・ナカジマと戦い、敗北。その後、自殺したという。

 管理局を裏切り、八神はやてに復讐をしようとした彼女は死を選ぶ瞬間、言ったらしい。

 

 ――『絶対に許さない』。

 

 そんな、八神はやてに対する憎悪のみを残し。

 彼女は、死んだ。

 償いの機会は、永遠に失われた。

 ファイムは、言葉を紡ぐ。

 

「……しかし、あなたは生きています。生きているならば、前に進まなければならない。あなた自身のためにも、立ち止まってはなりません」

「――うん。わかってる。わたしには、背負うものがある。立ち止まるのは、今やない」

 

 バサッ、とマントを翻す。そうしてから、はやては言葉を紡いだ。

 

「行こう、ファイムくん。こんな悪夢、いい加減終わらせなアカン」

 

 はやては、遥か遠くにありながらも圧倒的な存在感を放つ『それ』を見据えた。

 失楽園、シャングリラ。

 運命などという途方もないものを操る、絶対的な存在。

 しかし、そんなもの――『運命』など、なんのことはない。

 

「運命だのなんだの、ややこしい御託を並べたところで恐れなんか抱く必要もあらへん。未来はわからへんのや。始めからわからないのなら、変わろうとどうなろうと関係あらへん」

 

 それに、とはやては言った。

 それに――

 

「運命を、未来を創るのはわたしたちの役目や。あんな……過去の異物の役目やない」

 

 そして、はやては宣言する。

 

「――世界を、救うよ」

「了解しました」

 

 ファイムは敬礼する。

 賽は投げられた。どんな結末かはわからない。わからないが。

 

 ――もう、戻れないのは確かだった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

『この過てし世界に生きる諸君。また会うことができて光栄だ。

 そう、私だ。

 先の戦いは、よく持ちこたえたと褒めておこう。しかし、その代償は大きい。残念だ。結果として、かの『英雄』をも討つことになるとは。

 だが、これで我々の覚悟はわかってもらえたと思う。そして、その覚悟の成就のために用意した最大にして最後の切り札が、キミたちが今目にしているものだ。

 ――失楽園シャングリラ。

 運命を変える力を持つ、古代ベルカのロストロギアだ。『聖王のゆりかご』が最強の質量兵器ならば、こちらは『最悪の兵器』。

 しかし、我々は一方的な戦いを望まない。キミたちにも主張があるだろう。だから、我々は戦いを申し出る。

 今より48時間後――ミッドチルダに三発の核兵器が落ちる手筈になっている。その威力については、説明も必要ないだろう?

 ――ミッドチルダは、消滅する。

 止めたければ、ここに来い。ここに至れ。

 失楽園シャングリラを破壊すれば、核兵器も作動しない。

 さあ……決戦だ』

 

 ――プツッ。

 20時間以上も前に電波ジャックによって流された映像を切り、クロノはため息を吐いた。彼は今、彼が指揮するXV級次元航行艦『クラウディア』に乗り、ミッドチルダに向かっている。

 

「……動き出すまでに、20時間以上もかかるとは……」

 

 腕を組み、クロノは苦々しく呟く。どうしようもない、本当に。

 これだけの緊急事態でありながら、本局の対応は呆れるほどに遅かった。はやてたち旅団が先行して『失楽園シャングリラ』に向かうこと、ミッドチルダの住民を避難させること……それを決めるだけで、一日以上はかかっている。

 先行、という言い方をしたが、実質向かえるのははやてたちだけだろう。あまりにも時間が無さ過ぎる。

 

「会議は踊るか……言いたくはないが、今の僕はお前と同じ気持ちだよカグラ」

 

 行方不明となった友へ、言葉を紡ぐ。

 あの男が大人しく行方不明に甘んじているとは思えない。それが意味するのは――

 

「……だが、言っても仕方がない。――頼むぞ、みんな」

 

 管理局への不信は置き去りに。

 クロノ・ハラオウンは呟いた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「『失楽園シャングリラ』に突入するんは第一連隊と第一砲兵隊を中心に、ララウェイ隊長、高町隊長、ヴィータ隊長たちAAランク以上の精鋭や。……本来なら全員で突入したいところやけど、そうもいかへん」

 

 大画面が展開される。そこに映るのは、無数の黒い影がこちらに向かって飛来してきている光景だ。

 戦闘機人と、JS事件の時に現れたガジェットとはまた違う形の機械兵器たち。

 圧倒的な軍勢が、こちらへと進軍してきている。

 

「首都防衛にも手を回さなアカン。そのために一時的に第二大隊と第三大隊を統合、ゲンヤ・ナカジマ参謀官に指揮を任せます。第二、第三砲兵隊は参謀官の指揮下で援護を。ハラオウン隊長の飛行隊は前線の切り込みや。できるだけ、敵を首都の前で食い止める」

 

 はやては決戦前に指示を出す。出しつつも、後手に回っていると歯噛みしていた。

 だが、そもそも全員を運ぶことは叶わないのだ。ならば若干突入の方に戦力を分けた上で、痺れを切らしたかのようにこちらに向かってくる敵の団体の相手をしなければならない。

 

「わかっとるとは思うけど、この戦いでこの世界の存亡が決まる。全員、心して戦うんや」

 

 その場に集う部下たちの顔が引き締まる。

 思っていたよりこの旅団を率いる時間は長くなかった。しかし、戦争など案外そんなものだ。

 むしろ、ここまでついてきてくれた彼らに礼を言いたい。

 

「――ここまで、よくついてきてくれました」

 

 ――頭を下げる。

 俄に、場がざわめいた。

 

「わたしは未熟者や。一人では張り子の虎に過ぎひん。せやけど、みんなが支えてくれたからわたしはこの場所にいる。……そして、そのわたしたちを支えてくれてるのは、わたしたちが守らなアカン人たちや」

 

 顔を上げ、はやては言う。

 

「管理局が間違ってるかどうかなんてわからへんし、興味もあらへん。せやけど、わたしにも、わたしなんかでもこれだけはわかる。……わたしたちを支えてくれてる人たちは、宝や。わたしたちが戦わなアカン相手は、そのみんなの『笑顔』を偽りと呼んだ。それが――わたしは許せへん」

 

 そう、それだけが。

 ずっと、引っかかっていたことだ。

 何が、虚偽だ。何が、偽りの平穏だ。

 この世界に溢れる笑顔は、嘘ではない。

 

「良い世の中、ってなんや? 進歩だけしてる世界か? そのために戦争を認める世界か?――違う。そうやない。誰だって平和がええに決まってる。みんなが笑える世界。誰もが日常の、ほんの一コマで笑っていられる世の中。わたしたちが目指すべきは進歩やない。そんな世の中や」

 

 その訴えは、当たり前のことで。

 しかし、誰も言わなかったこと。

 

「良き世を目指すんや。守るんや。行こう、みんな。――世界を、救おう」

「「「おおおっ!!!!!!」」」

 

 天を突き破るかのような声。

 そして。

 ――決戦へ。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 ミッドチルダ上空。海上に浮かぶ、圧倒的な威圧感を纏う巨大な建造物へ、それは向かっていく。

 

「……つまり、古代ベルカの『聖人』が創ったロストロギアなんやな?」

『うん。伝承ではそうなってるね。ただ、要領を得ない説明ばかりで詳しいことはわからない。わかってるのは、『運命操作』を行う『聖人』の手足であり、それ単体で『完結した』場所だってことぐらいだ』

「運命操作……さっきはああ言うたけど、破格の力やねんな?」

『そのはずだよ。『聖王のゆりかご』でさえ封印が限界だった。……あくまで伝承だけど、『聖王』と『覇王』が同時に戦ってようやく『聖人』を止めることができたっていうくらいだ』

「…………」

 

 ユーノの言葉に、はやては表情を曇らせる。

『聖王』と『覇王』。物語に登場するような英雄。それが力を合わせなければ、討つことなどできなかった相手。

『運命操作』――その言葉から想像できる力は、おそらく圧倒的だ。

 運命……そんなものを相手に、どれだけのことができるのか。

 そんな風に、はやてが考えていると。

 

『……憶測、推測は必要ですが……それで打つ手を見失っては意味がありません』

 

 冷静な言葉が聞こえた。言葉を紡いでいるのはファイムだ。現在、ファイムとユーノは別の部屋にいる。はやての予測が正しければ、『失楽園シャングリラ』に辿り着く前に一つ衝突がある。それをどうにかするためだ。

 ちなみに『ヴォルフラム』の操縦をしているのはルキノ・ロウランという、JS事件の際には『アースラ』を操縦していた女性である。

 

『やることは二つ。敵の制圧と、中枢の破壊。たとえ何が来ようとねじ伏せる――それができるはずです』

「……うん。そうやね。わからんもんは仕方あらへん。――ええか、みんな。相手は正体不明のロストロギアや。警戒も覚悟も注意も、し過ぎて損するようなことはあらへん」

 

 はやては、艦全体に聞こえるように言葉を紡いだ。その隣に立つなのはが、ポツリと言葉を紡ぐ。

 

「……フェイトちゃんたち、大丈夫かな?」

 

 防衛線で最前線に立つ友人を想い、なのはは呟いた。

 その呟きに、シグナムが苦笑しながら応じる。

 

「相変わらず心配性だな。テスタロッサが信用できんか?」

「そ、そういうわけじゃありませんけど……」

「なら信じろよ。大体、あたしたちは誰かの心配してる場合じゃねーだろ」

 

 ヴィータが呆れたように言う。確かにその通りだ。

 ――先代『エース・オブ・エース』、ホムラ・イルハート。

 砲撃魔導師の基礎を構築した純然たる天才を筆頭に、相手には油断できない魔導師たちが揃っているのだ。確かに他人の心配をしている余裕はない。

 

「どちらにせよ、ここで戦いは終わる」

 

 はやてが呟く。

 あくまで、ひとまずだ。

 勝てば、また新たな戦いが始まるだけ。

 負ければ――ここで終わりだが。

 その時。

 

「――魔力反応! 砲撃が来ます!」

 

 シャーリーが声を上げた。来たか、とはやては呟く。

 現在、『ヴォルフラム』は『失楽園シャングリラ』の上空を目指している。その自艦目掛けて何らかの妨害があるのは予測していた通りだった。ヴィータがちっ、と舌打ちを零す。

 

「あんだけ挑発しといてこれかよ」

「この程度も回避できないようなら戦う必要がないということだろう。私たちがしているのは戦争だ。スポーツではない」

「そうやな。……まあ、問題あらへんよ。この艦にはあの二人がいる」

 

 モニターが切り替わる。無数のモニターやパネルに囲まれ、何らかの準備を進めるユーノと。

『ヴォルフラム』の外に、堕天の翼を纏って立つファイム。

 その二人が、映し出される。

 

「わたしたちを、影からずっと守ってきた人と。地上を、傷つきながらたった一人で守り続けてきた人。管理局に、『守り』においてあの二人に敵う人はおらへん」

 

 アラートが鳴り響く。はやては、微笑んだ。

 

「ホンマに……格好ええなぁ」

「うん。だって――私たちが、選んだ人だもん」

 

 なのはも微笑む。

 前哨戦――開幕。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 ――閃光。

 高密度の魔力砲撃――いや、違う。これはレーザー砲だ。純粋な質量兵器による一撃。

 

『一、三、四番結界起動!! 安全装置解除!!』

 

 轟音。展開された結界に着弾し、『ヴォルフラム』が大きく揺れる。

 

『結界出力66%低下!!』

『スクライア司書長により安全装置解除!! 司書長によるマニュアル操作開始!!』

『浮遊結界展開!!』

 

 耳につけた通信機から聞こえてくる報告に耳を傾けながら、ファイムは目を閉じ、佇んでいた。

 吹き抜ける風。通常ならば簡単に吹き飛ばされてしまうような状況だが、それは『ヴォルフラム』を包む結界が補助してくれる。

 キリキリと、軋むような音が聞こえた。ファイムを中心に、限界まで展開されたワイヤーがあらゆる場所に巻き付き、形を成している。

 

『ファイムくん!!――抜けさせるよ、いいね!?』

「了解」

 

 ファイムが呟くと同時に、悲鳴のような報告。

 

『第二射きます!!』

 

 ――閃光。

 放たれた一撃は、障壁に直撃。それを食い破る。だが。

 

「リンネ」

《Yes,my master》

 

 リンネが応じると同時に、ファイムは杖――ナイトメアを左手で回転させる。

 直撃。

 ファイムが構築した結界に、敵の閃光が衝突する。ビキッ、という音が右腕から響いてきた。限界までワイヤーを展開した右腕が悲鳴を上げている。痛みが走った。だがそれを堪え、ファイムは更なる一手を打つ。

 

「カートリッジロード!!」

《Yes,drive!!》

 

 ――ドパッ!!

 

 思わず耳を塞ぎたくなるような轟音が響き渡った。閃光が逸れ、空へと流れる。

 ファイムが相手のレーザー砲撃を受け流したのだ。

 何も正面から捻じ伏せる必要はない。というより、ファイムにそんな芸道はできない。ならば、どうするか。

 逸らせばいい。それは、ファイムが戦うために至った結論でもある。そもそも彼のスタイルは敵の攻撃をできるだけ逸らし、受け流し、それでいて確実な一撃を叩き込むというスタイルだ。格好悪い戦い方である。力比べなど、してはならない。できやしない。

 しかし、これがファイム・ララウェイだ。

 如何なる強敵であろうと苦境であろうと、己の最大限を持って戦う魔導師。

 故にこそ、彼は『エース』とそう呼ばれる。

 

「来るよ、リンネ」

 

 蒸気を吐き出す右腕を携えながら、ファイムは言う。

 ファイムは弱い。故に、戦いにおける思考は酷くシンプルだ。

 まず、勝利条件を明確にする。その上で勝てないと判断したなら、生き残ることを優先する。

 いつだって、天秤にかける。

 そして――今は。

 ここを命を懸けて守り切ることが、勝利条件だ。

 一手選択を誤れば、死。

 そんな戦いが、幕を上げる。

 

 ――そして。

 放たれた閃光が、『ヴォルフラム』を僅かに掠めた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

『ヴォルフラム』が、急激に浮力を失い、墜落していく。

 

「総員!! どこかに掴まるんや!!」

 

 はやてが叫ぶ。ユーノとファイムは奮闘した。しかし、『ヴォルフラム』の下部に向かって放たれた砲撃を防ぎきることができず、動力を一時的にやられたのだ。

 

「墜落します!! 推定落下地点は――『失楽園シャングリラ』上部!!」

 

 シャーリーの声。『ヴォルフラム』から窺える世界に広がるのは、緑と青。広がる森林と、溢れ出る水源。

 しかし、どこか現実味のないそこへ、『ヴォルフラム』が落ちていく。

 ――轟音。

 森林を削り、大地を砕きながら『ヴォルフラム』は進んでいく。そして。

 

「止まっ……た……?」

 

 誰かが、ポツリと呟いた。『ヴォルフラム』のシステムが落ち、内部が暗くなってしまっている。

 そこに非常電源が灯ると、声が聞こえた。ファイムの声だ。

 

『こちらララウェイ。……現在、外にいます。敵の気配はありません』

「ん、そっちは無事か?」

『特に怪我はありません。自分も中へ入りましょうか?』

「いや、そのまま外で警戒を続けといてくれるか? こっちからも何人か送るさかい」

『了解』

 

 ファイムが応じる。はやてはさて、と言葉を紡いだ。

 

「万事完璧、とはいかへんかったけどとりあえず乗り込むことはできた。気を引き締めるで。ここはもう戦場や。しかも制限時間まである。……まずは現状把握や。シャーリーはマリーさんのところへ行って、『ヴォルフラム』の状態を確認。他のメンバーは負傷者の確認や。ああ、シグナムは何人か部下を連れてファイムくんと一緒に見張りに――」

 

 指示を出すはやて。しかし、その指示が終わる前に。

 

『緊急事態です!! 敵影を確認!! 戦闘機人の部隊です!! 率いているのは――エリア・カリア!!』

 

 切羽詰まったファイムの声。なんやて、とはやては外を見る。

 遥か遠くに黒い点がいくつも見えた。おそらくあれだろう。ファイムの右目は戦闘機人のそれだ。その気になればあの程度の距離、問題なく視認できる。

 

「シャーリー!」

「はい! 敵が到着するまで約十分! 数は約五千!」

「早いな……こっちに準備もさせへん気か」

 

 はやては呟く。呟くと、すぐさま動いた。

 

「第一連隊、第一砲兵隊、出撃や。シグナムはエリア・カリアの相手をお願い。……指揮はわたしが執る」

 

 艦全体へと言葉を紡ぎながら、はやては続ける。

 

「今から呼ぶメンバーは別行動で敵の中枢を制圧してもらう。……本当は連隊で制圧するつもりやったけど、そうも言ってられへん」

 

 本来ならばそれは最後の策だ。少数精鋭による制圧。それはあまりにも危険度が高い。

 だが、今は信じるしかない。管理局を支える『エース』たちを。

 

「高町なのは。八神ヴィータ。スバル・ナカジマ。エリオ・モンディアル。……ファイム・ララウェイ」

 

 一騎当千。この場に集う魔導師たちの中で間違いなくトップクラスの実力を有する彼らに、はやては指示を出す。

 

「まずはこの五人に先行してもらう。……急ぐんや。時間があらへん」

 

 動き出す。はやてもその身にバリアジャケットを纏い、宣言する。

 

「もう一度言うよ、みんな。――世界を、救おう」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 失楽園シャングリラ上空。そこで相対するのは、二人の騎士と一つの融合騎。

 

「やはり、あなたとの戦いは運命だったようだ」

「決着が着かなかったこれまでの戦い、清算するとしよう。――アギト」

「おう!」

 

 シグナムの言葉に、アギトが頷く。そして。

 

「「ユニゾン・イン!!」」

 

 ユニゾンと共に立ち上る火柱。エリアもまた、応じるように氷を纏う。

 共にその口元には笑みが浮かんでいる。尊敬できる敵との戦いは、心躍るものであるが故に。

 

「主はやてが指揮を引き受けてくださった。私に憂いはない。ただ全力で、お前を討つだけでいい」

「同感だ。我が刃、我が氷刃にも一片の曇りもない。行くぞ!!」

 

 開戦。

 現代の騎士と古代の騎士。――決着の刻。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「総員踏ん張るんや!! 砲兵隊前へ!!」

 

 はやての指示が飛ぶ。『ヴォルフラム』を中心に、戦場は激戦の模様を見せ始めていた。その最中、各所で様々な声が飛び交う。

 

「さっさと行きなさいバカスバル! ここはあたしたちが何とかするから、あんたはあんたのすべきことをしなさい!」

「ティ、ティア、死なないでね――痛っ!?」

「縁起でもないこと言わないで。……死なないわよ、誰も。誰一人、死なせやしない」

 

 だから行きなさい、とティアナは言い。

 スバルは――頷いた。

 青きストライカーは、己が信じた道を駆けていく。

 

 

「無理しちゃダメだよ、キャロ、フリード」

「エリオ君も」

「ギャウ」

「うん。大丈夫。じゃあ、行ってくる」

 

 多くの言葉は必要ない。

 若き騎士は、駆けていく。

 彼が信じる、未来のために。

 

 

「行ってくるね、ユーノくん」

「うん。……ごめんね、一緒に行けなくて。一緒に戦おう、って思ったんだけど」

「ううん。ユーノくんが背中を守ってくれるから、私は戦えるんだよ。それに――」

「うん?」

「帰ってきたら、うんと甘えちゃうんだから」

 

 そして、『エース・オブ・エース』は空を舞う。

 気高く、熱く。

 管理局の誇りを背負い。

 空を――駆け抜ける。

 

 

「ヴィータ、無理したらアカンよ?」

「はやても、無理しちゃダメだよ?」

「大丈夫。防衛戦の方が消耗が少ないんや。それやったら、ヴィータたちの方が心配。……ちゃんと、元気な姿で帰ってくるんやで?」

「うん!」

 

 ヴィータが笑顔を浮かべる。そうしてから、二人の視線は一人の青年へと向けられた。

 その青年は、微笑みを浮かべている。

 

「……行ってきます」

「……うん」

 

 長い会話は必要なかった。

 ただ、それだけで十分で。

 

 走る。

 走り出す。

 

 ――世界が終わるまで、後、18時間。

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