魔法少女リリカルなのは~優しい嘘~   作:アマネ・リィラ

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第三十三章〝戦場の申し子〟

 

 戦争に狂わされたのか。

 戦争に狂ったのか。

 どちらであろうと、今更関係のないことだ。

 

 生きるために。生きていくために。

 そのために、狂気を得た。

 

 戦いに狂うのではなく。

 戦争にこそ――狂う。

 

 

 それが、俺の生き方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――◇ ◇ ◇――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空を彩る金色の軌跡は、世界でも数えるほどしかいない亜音速の域にまで到達する魔導師が描くモノ。

『金色の死神』――フェイト・T・ハラオウン。

 対するは、その金色の軌跡を掻き消さんとする血塗られた傭兵。

 ――ギレン・リー。

 しかし、傭兵とはいえ矜持の一つでもあったはずの彼はただ哄笑を撒き散らし、吠えるだけの存在と成り果てている。

 カグラ・ランバードに敗れたと、フェイトは聞いていた。

 しかし、彼は戦場に復帰してきた。そしてソラ・ウィンガードと殺し合い、その際に『時間切れ』という言葉を口にし、撤退したとも。

 

『俺は確かに悪だろう! だが、テメェらも悪だ!』

 

 かつて彼に叩き付けられた言葉をフェイトは思い出す。ギレン・リー。戦争の被害者。

 彼に同情するわけではない。無論、同情の余地はある。あるが……だからといって、認めるわけにはいかない。そんなことではできない。

 たとえ、ままならない世界に翻弄されたのだとしても。

 不条理で理不尽な世界に絶望したのだとしても。

 

 それでも人は、生きていけるのだ。

 フェイト・T・という女性は、それを誰よりも知っている。

 かつて彼女自身が、その絶望から立ち上がった人だから。

 

「吹き飛びやがれッッッ!!」

 

 轟音。一際威力の大きい砲撃が放たれる。以前とは、根本から威力が違っていた。

 顔の右半分を覆うマスクのような機械仕掛けの装置や、右腕を呑み込むようにして顕現する異様な右腕。

 人と機械の融合。ファイムや戦闘機人のようなスマートさはない。あるのは、異質というその一点。

 文字通りの融合だ。機械をただ、くっつけたような。そんな、印象。

 あまりにも歪な敵が、迫り来る。

 

「くっ――」

 

 フェイトは速度を上げる。ギレンがどんな手法を用いてここまでの魔法を行使しているのかはわからない。いや、予測はできる。あの機械が補助の役割を果たしているのだろう。

 しかし、機械で魔法を強化できるという話は聞いたことがない。質量兵器と魔導は別物である。事実、JS事件においてもジェイル・スカリエッティはロストロギアを使用し、『聖王の器』たるヴィヴィオを強化し、戦闘機人たちを強化していた。ガジェットにしても同様だ。

 だが、ギレンからはロストロギアの反応がない。どういうことか。

 

(考えても仕方ない)

 

 ギュッ、とフェイトはバルディッシュを握る手に力を込める。いつまでもギレンに手間取っている場合ではない。核兵器の発動まで、時間がないのだ。

 

「バルディッシュ!」

《yes,sir》

 

 相棒が応じてくれる。バルディッシュの形状が変化し、大剣へと姿を変える。

 

《Jet Zanber》

 

 放たれるは金色の閃光。煌めく一閃が狙い違わずギレンを穿つ。

 対し、ギレンもただ攻撃を待つわけではない。その速度から回避は困難と判断。その右腕の砲身を前に向ける。

 

 ――衝突。

 

 先に光が世界を覆い。

 続いて、轟音が大気を震わせた。

 

 海上で戦っていた二人の余波により、津波が発生。しかし、今の二人にとってはそれさえも意識の外。

 

《Foton Lancer》

《Silver Bullet》

 

「「オーバーリミット!!」」

 

 同時に紡がれる言葉。通常、魔法の弾丸というのはSランク魔導師であっても同時に放てるのは精々百を数える程度である。そこに細かい操作が入るとなれば更に半分以下になる。あの高町なのはでさえ精緻なコントロールは通常、68発が限界と断言している程だ(これはこれで異常な数字だが)。

 しかし、今の二人はフルドライブ発動による魔力強化の恩恵と、自身が持つデバイスのサポートを全面的に受けることによって同時に五百を数える魔力弾を放っている。

 速射限界突破――フェイトは自身の有する儀式魔法によって1000発を数える弾丸を放てるが、あれは秒間毎に限れば一度の発動数はそこまで多くない。

 しかし――今。

 二人は、同時に500の弾丸を放っている。

 

 轟音。世界が数多の光で明滅する。

 

 この数になれば精緻な操作など不可能である。互いに『敵を撃て』という命令しかしてしない。圧倒的な速度で迫る弾幕は、全て一人の魔導師を討つためだけのもの。

 世界の頂点たる戦いが、激化する。

 そして。

 

「「――――ッ!!」」

 

 二人は、同時に目を見開いた。そもそも精緻なコントロールをしていない魔法弾である。撃ち合えば互いに相殺することなく撃ち漏らしたものが出てくるのは道理。

 フェイトとギレン。互いに迫る弾丸の雨の数は――200。

 

 閃光が、世界を包み込んだ。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 世界を呪うようになったのは、いつだったのか。

 世界を呪うことが馬鹿らしくなったのも、いつだったのか。

 もう思い出せないし、思い出す必要もない。

 

 生まれた時に、人生は決定されていた。運命は決定されていた。

 ――死。

 それも、馬鹿馬鹿しいことに神とやらのために死ねという。

 

 聖戦?――馬鹿らしい。

 殺し合いなんて血生臭いことをしている時点で、そこに救いも安息もありはしない。

 

 しかし――そんなことさえ、疑問に思うことさえ、許されはしなかった。

 疑問を抱けば、死んでいく。

 戦場とは、そういうものだ。

 

 幼い時分にそれを知ったのは、不幸かはたまた幸福か。

 ……何にせよ。

 そこで、終わったはずだった。

 

 それでも、今、生きている。

 何故なのか?

 

 真理、という言葉を知った。

 それは、世界に定められたルールだという。

 この残酷で不条理で理不尽な世界に定められたルールだと。

 

 理解した。

 力が、ルールだ。

 

 何と、単純なルールか。

 食物連鎖。弱肉強食。

 俺は強かったから、生きてきた。

 ならば、何を求める?

 こんな体になってまで、俺は、何を。

 

 ――俺は何を、求めていた?

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 轟音。ブラックアウトしそうになる意識を何とかギリギリで保つ。凄まじい威力だ。五体満足なのは――非殺傷設定のおかげか。本当に、甘いものだ。

 管理局の魔導師とは、どこまでも甘い。

 

「ぐっ……!?」

 

 右腕に激痛が走った。見れば、右腕の砲身が大破してしまっている。右の頬も痛むが……おそらく、これは顔に着けていたマスク型の補助装置がやられているのだろう。

 無様だな、とギレンは吐き捨てた。

 先程のあれは走馬灯だろうか?――いや、今はそんなことはどうでもいい。

 

 ――ザアッ。

 

 微かに聞こえた、風の音。そして、紫電が瞬く弱い音。

 風が渦を巻く。位置は――背後。

 

 

「オーバードライブ。真・ソニックフォーム」

 

 

 その言葉は、死神の言葉に聞こえた。

 

 ――一閃。

 

 思い切り叩き付けられた一撃は、狙い違わずギレンの体を叩き、吹き飛ばす。

 凄まじい音を立て、海へと叩き落されるギレン。彼は水中からその姿を眺めていた。

 

(……防御を捨てて、速度の一点特化を目指した姿か)

 

 先程まで羽織っていたマントはなくなり、全体的に露出が増えている。無駄なものを全て――いや、必要なものさえすべて排除して、速さに懸けたというのか。

 

(――上等ッ!!)

 

 水飛沫が視界に映る。濡れた髪が肌に触れ、流れる風が体を冷やす。

 高速で空へと上がり、ギレンは得物を構える。見れば、フェイトも少なからず傷を負っていた。あの圧倒的なスピードで避けようとしたのだろうが、数が数だ。避け切れなかったのだろう。

 もっとも、ギレンに比べれば随分と軽傷だが。

 

「……降伏してください」

 

 不意に、フェイトが口を開いた。ギレンは、くくっ、と笑う。

 

「冗談じゃねぇ。どうせ死刑だろ?」

「そんなことは――」

「詭弁はやめろよ執務官」

 

 ギレンは、吐き捨てるようにそう言った。

 

「どうせろくな結末なんざ待っちゃいねぇんだ。だったらとことんまで殺し合おうぜ」

「……そんなことはない。あなたが望めば、いくらでも未来は変えられる」

 

 フェイトは、言う。

 かつて、何度も何度も彼女に呼びかけてくれた人がいた。

 暗闇に囚われていた自分を、闇に繋がれていた自分を救い出してくれた親友。

 私も、その人のように。

 

「どうしようもないと思っても、それでも、変わっていける。変われるんだ。まだ、始まってすらいない。だったら、いくらでも」

 

 ――本当の自分を始めるために。

 かつて告げられたその言葉を、フェイトはギレンに紡ぐ。

 未来は不確定であり、未だ形を成さない。

 だから、いくらでも変わっていけると。

 

「――変わる必要なんてねぇんだよ」

 

 しかし、ギレンは振り払う。魔力を集中させ、全てを。

 

「俺は、俺に納得してる。このぶっ壊れた体と心にな。変わるってことは、否定することだ。俺は選んだ。俺を、俺自身を。俺という存在は始まってる。これからも続いていく!!」

 

 大気が、吠える。

 凄まじい魔力がギレンの右腕――破損した砲身に集中していく。

 生き方を変えること。それは、素晴らしいことだけではない。

 変わるということは、今までを否定することだ。

 ここまで、こんな様に成り果てるまで歩んできた道を、ギレンは否定しない。できるわけがない。

 なればこそ――

 狙うは世界。フェイトを点で捉えたところで、避けられるのは目に見えている。

 ――ならば、面で捉える。

 

「吹き飛びやがれェェェッッッ!!」

 

 準備の隙など与えない、全力の砲撃。凄まじい魔力が奔流となり、世界を焼く。

 グリスが用意した機械は、人工的にリンカーコアを強化する装置だ。寿命を削るほどの生命力を魔力に強引に変換するためのもの。

 放たれた一撃は、世界を喰らう。

 対し、フェイトは前に出る。退こうがどうしようが、逃げることはできない。

 二振りの剣を合わせると、バルディッシュは巨大な大剣へと姿を変える。それをフェイトは全身全霊で振り下ろした。

 

 ――轟音。世界が揺れる。

 

 二人は歯を食い縛り、この永遠のように永い一瞬の攻防に全神経を集中させる。少しでも気を抜けば墜ちるのは自分だと双方が理解していた。

 そして、決着の時が迫る。

 

「ぐっ!?」

 

 呻き声を漏らしたのは、ギレンだった。その砲撃が徐々に切り裂かれ、また、切り裂かれる速度が上がっていく。

 単純な結果である。

 面の攻撃と、一点突破を目的とした点の攻撃。その相性だ。

 

 ……砲撃は、切り裂かれる。

 

「…………ちっ」

 

 振り下ろされた一撃が、ギレンを叩き落とした。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 フェイトは、大きく息を吐いた。その体には、所々傷がある。

 

(……もう少し耐えられてたら、私が落とされていた)

 

 その想像をし、ゾッとする。凄まじい強さだった。本当に。

 だが、勝利したのはフェイトだ。後はギレンを捕縛すればいい。そう思い、ギレンを追おうとした瞬間。

 

《サー、あの男の反応が消えました》

「えっ?」

 

 バルディッシュの言葉に、フェイトは目を見開く。確かに、ギレンの反応が消えていた。

 

「逃げた?」

《そのようです。……転移先は、『あそこ』ですね》

「……『失楽園シャングリラ』」

 

 フェイトは空に浮かぶそれを見上げる。要塞と呼ぶには強大過ぎる、あの『聖王のゆりかご』よりも巨大な存在。ある種の神秘性さえ感じさせるそれは、あまりにも圧倒的過ぎる。

 ――史上最悪の概念兵器。

 ユーノ・スクライアが話していたその言葉を思い出す。何でも通常のロストロギアとはあまりにも成り立ちが違い過ぎるため、常識が通用しないのだとか。

 概念兵器……物体として世界に存在するのではなく、固有の『理由』によって存在するロストロギア。そうであるが故に『聖王のゆりかご』は物理的に『失楽園シャングリラ』を破壊することが許されず、封印するに留まるしかなかった。

 ユーノによればその『理由』を排除すれば消滅するらしいが……。

 

「……バルディッシュ」

《yes,sir》

 

 多くの言葉は必要ない。彼女の愛機は、すぐさま応じる。

 地上の戦闘も心配だ。しかし、それよりも。

 

(予告の時間まで、10時間……!)

 

 残された僅かな時間の方が心配だった。何、心配の必要はない。地上には、頼れる仲間たちがいる。

 ならば、今の自分がすべきことは――

 

 ――雷光の死神が、空を舞う。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 失楽園シャングリラ、奥部。

『最強』が座すその場所に、その男は現れた。テンリュウ・シンドウはその姿を一瞥すると、視線を外して吐き捨てる。

 

「少々、虫の居所が悪いのです。あなたの相手をする気はありません。傷を負っているなら、早急に下がるべきではありませんか?」

 

 吐き捨てるような言葉。男――ギレン・リーは、くくっ、と笑う。

 

「そいつぁ、できねぇ、相談だ。俺は……テメェに用がある」

 

 息も切れ切れに、ギレンは言う。その体からは血が滴り落ち、満身創痍なのは隠しようもない。

 フェイトの一撃によってその右腕は大破し、ほとんど原形を留めていない。全身もボロボロで、意識を保っているのが不思議なくらいの有様である。

 そんな状態で、ギレンはここに来た。

 ――『理由』のために。

 彼にしかわからない、想いのために。

 

「俺ぁ、昔、世界の真理……ルールってもんに気付いた」

 

 ピクリと、テンリュウが反応する。ギレンを視界から外していたその瞳が、再びギレンを映す。

 凄まじいまでの威圧感。しかし、ギレンは怯まない。

 

「弱肉強食、食物連鎖……人間もその輪の中にいる。力が、絶対だってな」

 

 強いものが勝ち、弱いものが負ける。

 戦いとは――単純だ。

 生きることは戦い、とはよく言ったものである。

 力があれば、生きていける。

 

「別に、暴力だけじゃねぇ……力ってのは、いくらでもある。だが、俺は、俺には、暴力しかねぇんだ」

 

 権力でも、知力でも、『力』と名のつくものは無数にある。それがあれば生きていけるというのは、間違っていない。

 どう使うかは、また別の話だが……。

 

「俺は、一人でいい。一人で生きていく。だから、暴力だ。俺は――『最強』になる」

 

 ギレンの瞳は僅かに揺れている。おそらく意識が朦朧としているのだろうとテンリュウは判断した。

 しかし、その想いに嘘はない。

 ――走馬灯。

 夢の欠片。

 置き去りにしてきたあらゆるものの中で、唯一、自分にしがみついていたものがある。

 それが、これだ。

 

 生きるために。

 生きていくために。

 ただ、『最強』であれ。

 

 ギレンはそのボロボロの体で、崩壊した砲身をテンリュウに向ける。

 

「最強……くれよ」

 

 テンリュウは、その幽鬼のような姿を一瞥する。

 妄執に囚われた亡霊。幾何の命も残されていないだろうに、ギレンは目指す。

 それこそが、彼を世界に縛り付ける『理由』であるが故に。

 

「……愚かな」

 

 一言、テンリュウは呟き。

 そして――

 

 

 …………。

 ……………………。

 ………………………………。

 

 

 惨劇。

 その場に顕現したものは、そう表現するに相応しかった。

 無数の刀。テンリュウが収集した、文字通り無銘の刀を全身に突き刺し、まるで剣山のようになった姿のギレンはその原形を留めていない。文字通り――バラバラだ。

 テンリュウ自身はここまでするつもりはなかった。投げた刀の一撃で心臓を穿ち、それで終わらせたはずだったのだ。

 しかし、ギレンは刀を突き刺したままで直進してきた。テンリュウはその体を押し留めるため、更に数本、体に突き刺した。壁に縫い止めるために放ったそれを、ギレンは自身の手足を捨ててまで前に進もうとした。

 結果、『血桜』が煌めき、その胴体が両断される。ギレンに最早魔力は残っていなかった。しかし、そうでもしなければ止まらなかっただろう。

 ――いや、そこまでしても止まらなかった。

 上半身だけの姿で、それでもギレンはその砲撃をテンリュウに放とうとしていた。凄まじい執念である。

 それでも、結果は無常。

 テンリュウは無数の刀をギレン目掛けて投擲。結果、ギレンは絶命した。

 

「……『最強』、ですか」

 

 ポツリと、テンリュウは呟く。

 ここまでしなければならないほどに、ギレンは『それ』を渇望した。

 生きるために。

 ――死にに来た。

 

「……かつて私に挑戦してきた彼らは、どうだったのでしょうか……」

 

 テンリュウ・シンドウは『最強』である。表舞台ではなく、裏側にこそその名は広く知れ渡っている存在だ。現代に限らず、過去の『神道天龍』も数多の猛者に果し合いを申し込まれ、その全てを屠ってきた。

 殺すことも、殺さないこともあった。

 挑んできたその全員が『最強』を目指した者たちである。それほどまでに、この『最強』というのは魅力的なのだろうか。

 

「力など……振るうべき時に行使できねば、ただの枷だというのに」

 

 ここではない、異空間へと誘われた青年をテンリュウは思い浮かべる。

 あの青年は強い。戦闘という面に関して言えばそれこそテンリュウにとっては足元にも及ばない。それでもテンリュウが迎え撃つ際に『桜花』と『血桜』の両方を手にするのは、ひとえにあの青年が持つその圧倒的なまでの心の強さ故だ。

 あそこまで折れず、前進する人間をテンリュウは見たことがない。長い長い『神道天龍』の歴史の中でさえだ。

 自分自身の命を顧みないどころか、否定までして。

 そうまでして、ここに来た。

 

「…………」

 

 ここは相応しくない、というのは嘘だ。確かに実力は不十分。しかし、それを補って余りあるものがある。

 覚悟と、理由。

 英雄というのは、ああいう人物のことを示すのではないだろうか。

 テンリュウは、天井を見上げる。

 

 ――籠の鳥。

 ふと、そんなフレーズが脳裏を過ぎった。

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