というわけで、どうにかこうにか完結いたしました。作者のアマネです。
『魔法少女リリカルなのは~優しい嘘~』……如何でしたでしょうか?
元々のコンセプトとして『弱い主人公』をテーマとして書き始めたこの作品。少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。
……あまり感想を頂けなかったので、楽しんで頂けたのかどうかは物凄く不安ですが……。
閑話休題。
元々は「にじふぁん」に掲載させていただいていたこの作品。というわけで思い出語りも含めて、各キャラクターのテーマなどを交えて語ってみたいと思います。私は作品のキャラクターを描く時、必ずそのキャラクターのテーマを定めます。私なりのやり方ですが。それを語って行こうかと。
そして、ただ語るのも味気ないので……主人公であるファイム・ララウェイとの対話形式にしようと思います。
ファイム「よろしくお願いします」
ではでは、レッツゴ~♪
・ファイム・ララウェイについて
まあ、語る必要があるのか。本作品の主人公です。でも実は当初の予定では彼が主人公というわけではなかったという。
ファイム「そうなんですか?」
元々は後で書きますがソラ・ウィンガードが最初に考えた主人公だったんですよね。でも、それじゃあ書いていて面白くありませんし……何より、強い主人公は他にもたくさんいたので。ならばその逆に走ってみようと。
ファイム「成程、それで僕のような精々Aランク程度という主人公に」
私個人として『リリカルなのは』におけるAランク魔導師は『訓練で到達できる領域』だと思ったんです。『sts』の新人四人は才能があるという認識で、最終的にAAランクになっているようですし。そういう意味で、Aランク魔導師というのは一つの境界なのかなー、と。
ファイム「そんな僕のテーマは、『凡人』と……『勝てない主人公』?」
作品を読んで頂ければお分かりかと思いますが、ファイム・ララウェイという主人公はグリス・エリカラン以外の敵に勝利することはなく、一対一の勝利は二度、そのうちの片方――最終決戦はなのはの手を借りた上での勝利のみです。テンリュウはまだ戦えましたし、その他の戦いでもファイムは負けっぱなし。
けれど、それでも戦う主人公。その理由と歪み、そんなものがテーマでした。
ファイム「最後に帰って来れたのはテンリュウさんのおかげですしね」
ホムラ・イルハートやエリア・カリアと一緒に失楽園シャングリラから救出してくれたのがテンリュウですね。同時に彼女は時間を止めるロストロギアをファイムと共に探し出し、それによってファイムの時を止めることで寿命を延ばしています。理論的には永遠に生きることさえ可能なのですが……
ファイム「流れる時の中に生きる人の側に居たら、どうしてもその影響を受けてしまいます。僕の命は、きっともう長くないです」
八神はやてと共にいることを選んだからこそ、ファイムの寿命は結局残り僅かとなってしまった。精神論では覆せない、どうしようもない現実。そして、ほんの少しの奇跡。
それもまた、ファイム・ララウェイのテーマです。
ファイム「ほんのわずかな時でも、共に生きられるなら」
最後のファイムとはやての会話。あれこそが、この作品の全てでした。
・八神はやてについて
まあ、原作キャラクターなのですが……彼女の場合、作品を見ていて作者個人に思うところが多々ありまして。それが今作における『八神はやて』という女性です。
ファイム「闇の書とその物語における闇の部分、ですね」
はやては原作で全くと言っていいほど弱音を吐かない女性です。ですが、彼女は九歳の頃から罪を負い、更に言えばその罪も巻き込まれただけのものなんです。立場からして風当たりも強いでしょう。そんな彼女が負の感情を抱いていないはずがない……そういう部分が確かにありました。
ファイム「その象徴が闇の書の再生とエレン・リストリア(ローグ)ですね」
ご都合主義は嫌いではありませんし、なのは二期は良作だと思います。大好きですし。
ですが、それがイコールで闇の部分が消えるということにはならないと思うわけで。そういう意味ではやてには色々と弱音を吐いていただきました。
まあ、それでも彼女の優しさと強さは消えていない……はず。
ファイム「すれ違いも多かったですが……」
あんたら二人があの状況でラブラブできるわけがない。性格的に。
・高町なのはについて
原作主人公。無敵のエース・オブ・エース。彼女のキャラクターと強さは大好きなので、この作品でも大いに活躍していただきました。何気に作品内で『最強』を明言されるテンリュウと正面から互角に渡り合えたのはなのは様だけだという。
といっても、長期戦になれば流石に不利です。魔力の貯蔵量が違い過ぎるので。
ファイム「なのはさんにはお世話になりました」
まあ、正直語ることはあんまりないという。彼女に限らずフェイトやシグナム、ヴィータやユーノ、ストライカー陣など、原作キャラクターの活躍場面は頑張って用意したつもりですが……次回作はもう少しその辺を頑張りたいなぁ、と。
ちなみに作者が一番好きなのはシグナム姐さんです。一択です。異論は認めます。
ファイム「僕ははやてさんですね」
オチをありがとうございます。
・カグラ・ランバードについて
この人は最期の戦いが全てです。テーマは『英雄のその後』と『後継者に託す』というもの。
ファイム「託されたものは、僕たちの中にあります」
個人的に一番好きなキャラクターでした。動かしやすいし、彼がいると物凄く話が進みやすい。ホムラとの会話には満足しています。実は一番重いものを背負っていたのではないかなー、と。
ファイム「トモエさんのことなど、色々なことがカグラさんにはありましたしね」
エリアとの会話などもしてみたかった……けれど、彼はあの結末に満足しているはずです。高町なのはという自分の後継者に託すことができたのですから。
また、その後継者がファイムではないという点もこの作品のテーマ故にです。
・テンリュウ・シンドウについて
この人のテーマは『絶対に負けない心弱き最強』。ファイムとの対比です。何気に友人の中では一番の人気キャラクター。
ファイム「強い人でした。何度死を覚悟したか……」
それでもファイムを殺せなかったのは、テンリュウの心の弱さから。純粋な戦闘では高町なのはであろうと誰であろうと凌駕できる彼女ですが、強過ぎるが故に色々と迷いが多いです。
ちなみに『神道天龍』とは古代ベルカに存在した侍の名前で、当初はその技術は高くとも魔力はそこまで高くない侍に過ぎませんでした。しかし、『聖人』の無意識のうちに行われた『運命操作』によって色々と捻じ曲げられ、『最強』と呼ばれるに至ったという経緯があります。
ファイム「オリヴェント式については……」
オリジナル術式であるオリヴェント式は、いわばドーピング。テンリュウの場合彼女の中に呑み込んだ命が馬鹿げた量で存在しているので、それをオリヴェント式で変換して使用してきます。文字通り一人で軍隊級の力を発揮するので、まず突破は不可能。
……それを倒した『覇王』はどんだけ凄いんだっていう。
ファイム「ただ、恩人ではありますし……お世話になった人です」
礼儀、礼節。彼女を描く時に一番注意したものでした。
最強キャラが最強のままというのは私の作品の特色。如何でしたでしょうか?
・ホムラ・イルハートについて
彼はカグラの対比としてのキャラクターでした。カグラが耐えた者なら、彼は『耐えられなかった者』。ですが、見苦しいわけではありません。たった一人の家族を理不尽に奪われたのですから。
ファイム「僕の言葉も届きませんでしたしね……」
力なき説得に意味はない――それを表現したかったのがファイムとホムラの対話ですね。正直、説得程度で耳を傾けるような相手は色々な意味で情けないです。普通は覚悟を決めたならとことんやるでしょう。彼はそういう意味で最後まで説得には耳を貸さず、また、高町なのはに敗北しても自らの行いを後悔するということをしませんでした。
とはいえ、一部ではシスコンとも呼ばれていた彼。彼は最後にエリアと心を通じ合わせることができて良かったかな、と。
……ちなみにあの二人は所謂『肌を重ねる関係』でありながら恋人同士ではなかったというややこしい間柄です。まあ、続編では二人のことについてももうちょっと触れたいですね。
ファイム「今はもう管理局を憎んではいても復讐に動くつもりはないようですしね」
現行の管理局と彼の和解は有り得ません。そういう意味で最後まで一本筋が通ったキャラクターだったのではないかな、と。
・エリア・カリアについて
この人のテーマは至極単純。『騎士』です。近代ベルカVS古代ベルカをやってみたかったのと、第二期におけるヴォルケンリッターとは違う形で『過ちと知りながら突き進む騎士』というものを描いてみたかったので。
ファイム「僕とは戦ってないんですよね……ソラは負けたみたいだけど」
まあ、一応実力はユニゾン状態のシグナムと戦えるレベルなので。なのはやホムラより若干下、というところでしょうか。まあ、戦い方が違うので一概には言えませんが。
また、彼女が氷の魔法を使うのはシグナム戦で『エターナル・コフィン』をぜひとも使わせたかったからです。闇の書を打ち破った魔法を闇の書によって親友を奪われ、愛する人の道行きを歪められてしまった彼女が使う……ありきたりですが、それがやりたかった。
ファイム「そんなエリアさんは最後に視力を失ったんですよね……」
それだけの戦いだったという過酷な現実を表現したかったので。ちなみに、一応治療は行われていますが目は朧気に見えるだけで、視力の全快は有り得ません。
カグラがそうであったように、後遺症というのはどうしても残ってしまうものだと思っているので。
そんな彼女も、最後はホムラに想いを告げることが出来ました。そこで一つの終わりと受け取って頂ければ。
・リューイ・エンドブロムとミリアム・エンドブロムについて
この二人は当初、ファイムの友人というポジションであると同時に『ファイムが救った存在の象徴』という役割がありました。ファイムは破滅的に突き進んでいきますが、そんな彼にも救ったもの、救えたものがあるという象徴ですね。
ファイム「僕自身にはそんな自覚はありませんが……」
まあ、そうはいってもファイムの数少ない日常成分です。色々と重宝しました。
ちなみにリューイのテーマは『善行を正義とする青二才』であり、ミリアムは『負い目を感じながらも前を向こうとする若者』です。二人の始まりは非常に重いものであり、下手をすればファイムと同じような立場に立っていた可能性さえもある。それでも笑っているのは、その姿勢の違いから。
ウェンディとティアナの二人との絡みはお気に入り。ああいうことができるキャラクターがほかにいないので……。
ファイム「ちなみにリューイはエピローグ後、救助隊へ入隊するために勉強中です」
ミリアムは執務官補佐の勉強中。予定ではウェンディと共にティアナの補佐に付くつもりだったり。
・ソラ・ウィンガードについて
最初の構想段階における主人公。今作品オリキャラ天才ランキング一位。テーマは『本気を出せない天才』。
彼にとって戦いとは『勝てる』という結果が前提にあってこそやるものであり、命を懸けてするものではありません。また余程のことがなければ早々にリタイアし、戦場から逃げるという困ったこともやらかしてくれます。
ファイム「カグラさんが『正真正銘の天才』と認める、次世代のエース・オブ・エース候補なんだけど……」
才能があり過ぎたせいで本気を出す必要がなく、また、目立つのが嫌だったが故に手加減をする癖がついてしまった。相棒である『ヴィクトリア』が度々嫌味を口にしていたのはその辺の部分ですね。彼は本気を出さないのではなく、出せないという。
また、彼は自分自身のためには頑張れない人間でもあります。いい意味で大人ではありますが、同時に一歩間違えれば『社会不適合者』になる可能性さえ秘めているという。
ファイム「そんなソラもクライムを倒してアリアを引き取って……変わりましたね」
実は本質そのものはあんまり変わってなかったり。というか、彼は結局色んな意味でそのままです。アリアについても知ってしまったから、というきっかけが理由。
無気力少年でありながら、才能は超一流。勿体ないことこの上ない。それが彼です。
・ウィル・ガーデンズについて
結論から言うと、彼は『狭い視野』というテーマ。これに終始します。
ファイム「世界を憎んで、憎み続けて……それしか見えなくなっていたんでしたか」
色々と事情はありますが、彼の死の理由は結局そこです。一応、生き残れる可能性はありました。一度目のエリオとの戦闘。あそこで何らかのものを得ていれば、彼は変わっただろうと思います。
しかし、遅すぎた。そんな彼の最期は、敵わないとわかっていながらもリヴァイアスに挑むというもの。
そしてソラに、一つの想いを託して散った。
ファイム「彼はまだ、生きられた道もあったはずなんですがね……」
それを選べなかったこと。また、遅すぎたこと。
そういう『現実』も、この作品のテーマです。
・アリア・シュヒテンダーク・オリヴェント
今回の作品の根幹。『聖人』ご本人。テーマは『自らの事さえ知らぬままに生きる少女』。彼女は唯一、この作品において『答え』というものを出していません。知らぬまま、流されるまま……そういった人間の行き先を彼女で表現したかったので。
ファイム「繰り返している、っていってもね……子供だし……」
その『子供である』ということさえも許さなかったのが『優しい嘘』という作品です。無茶苦茶ですが。
・リヴァイアス・バルトマカリ
色々と吹っ飛んだ御方。何気に人気キャラクター。テーマは『戦争狂い』、この一点に尽きます。戦闘狂ではありません。
ファイム「実を言うとこの作品で一番裏表がなかった人なんですよね……」
最後の最後まで戦場を求め続けた彼は、物語の根幹にかかわる『管理局の闇』の人間でありながら政治的な面では一切絡んできませんでした。
戦争でしか生きられない男。それがリヴァイアスです。
……戦闘能力の高さは理不尽そのものでしたが。
ただ、一番純粋であり真っ直ぐだったのも彼です。
・ギレン・リー
実は敵キャラで一番最初に出てきたお人。テーマは『拒絶』。
リヴァイアスとはまた違った方向で戦争、戦場を求めた人ですね。
ファイム「最強を求めて散ったんですよね……」
彼のようなキャラクターは多くのメディアにおいて大概が説得に耳を貸します。しかし、私はそれがどうにも納得できませんでした。それがフェイトとギレン・リーの対話です。
あそこまで行き着いて、それで説得に応じるなんてただのご都合主義。行き着くところまで行き着く、それが普通です。
「最強、くれよ」――この台詞が、ギレンの全てを現していたのではないかと。
・エレン・リストリア(ローグ)
当初はデバイス技師として登場した彼女。彼女のテーマは『憎悪に人生を歪められた人』です。
ファイム「前半の登場はあまり出番がなく、また、一度は僕も腕のことについて相談をしたことがありましたね……」
あまり姿を見せないようにしていたのはわざとです。元々裏方の上に、彼女ははやてに憎悪を抱いている身。いつそのボロが出るかわからないので、極力人と関わることを避けていました。
ちなみにファイムに協力したのはファイム・ララウェイという元犯罪者に対して思うことがあっても、ファイム個人には思うことがなかったからですね。
彼女は八神はやての闇、という部分で活躍していただきました。同時に彼女を看取ったのがスバルであり、はやてへの復讐は果たされなかったわけですが……それは一つの『現実』ということでどうか一つ。
復讐というものの決着、人生の決着が必ず仇の前で果たせるわけではない。それだけです。
・クライムについて
というわけで、諸悪の根源その一。ラスボスかと思いきや、実はそうではなかったというお人。
ファイム「僕との戦いはありませんでしたね。マジシャンに扮したこの人との会話はありましたが」
元々クライムはラスボスにする予定ではなく、ファイムを主人公に置いた時にラスボスとなるのはテンリュウとグリスだと考えていました。クライムは確かに諸悪の根源ではありますが、彼は『英雄』に倒されなければならない敵だという考えがありまして。
ファイム「だけど倒したのはカグラさんではなく、ソラですよね?」
そこがポイント。短編で出しますが、カグラとクライムという二人の戦いは一度終わったものなのです。そういう意味もあって、クライムはソラと戦ってもらいました。英雄候補たる存在と戦い、最後はホムラに送られる。そこに主人公は一切絡まない。そういう、不条理というか理不尽というか……そんなものを描きたかったので。
そんなクライムのテーマは『エゴ』。
彼の論理は結局、彼自身の中で完結してしまうものです。そういう意味でのエゴであり、だからこそ彼は最期をあんな形で迎えたのでしょう。
・グリス・エリカランについて
諸悪の根源その二。というかむしろこいつが全ての元凶かと思えるくらいに清々しい悪人っぷりを発揮してくれた御方。おそらく『優しい嘘』では一番の外道。
ファイム「正直、いい思い出はないですね……」
そして堂々のラスボス。そんな彼のテーマは『狂気』。しかもその狂気の方向性が自分自身の欲求を満たすためという鬼畜っぷり。……本当にどうにかならなかったのか。
まあ、敵としてはいい仕事をしてくれたのではないかと。個人的にはお気に入り。
ファイム「僕は嫌いですが」
何気にファイムが明確な敵意を向けたのはグリスぐらいという。一時とはいえこれを制御してたのですからクライムも意外とやるものかと。
そして、最後のファイムとグリスのやり取り。アレはこの作品のテーマです。
どちらが正しいか、というと実はグリスの方が正しい気さえしてきます。しかし、勝者はファイム。そして管理局。ならば正しいのはファイムの側である――そんな、『勝者が正義』という論理そのものがテーマの一つでした。
・作品について
もともとは「にじふぁん」の方で連載をさせていただいておりましたこの作品。思ったよりも反響がよく、大きく成長させていただいた作品でした。
ファイムとはやて、そして多くのキャラクターたち。彼らの道行き、如何でしたか?
さて、今後ですが……現在作者である私『アマネ』は「小説家になろう」さんの方で『アマネ・リィラ』という名前でオリジナル小説を執筆中です。『英雄譚―名も亡き墓標―』というタイトルなのですが、シリアス風味のロボット戦記という作品です。良ければ是非、読んでみてください。
ロボットといいつつ、あくまで主役は人間関係なのですが……楽しんで頂ければと思って書いております。
そして、『優しい嘘』ですが、続編を『ハーメルン』と『アットノベルズ』に載せて行こうと考えています。まあ、就職活動などもあるので少し先になるのですが……。
ではでは、長々とお付き合いいただいてありがとうございました。
この後ですが、三話ほど番外編と、続編の宣伝を乗せる予定です。感想、もしくは「小説家になろう」における『アマネ・リィラ』にメッセージでも頂ければ幸いです。
文章の一節、一言でもあなたの心に残るものがありますように。
ありがとうございました。
平成25年3月4日 アマネ