多くの因果と因縁が、一つの終わりを迎えた戦い――楽園戦役。
その首謀者の多くは死に、多くの犠牲の果てに解決を迎えた。
「平和なんてのは十年持てば御の字程度の脆いもんだ。二十年持てば驚きで、三十年も持てば奇跡だ」
英雄たちが命を懸け、繋いだ〝明日〟という日々。
運命に抗い、その全てを擲ってでも未来を掴んだ青年が望んだ――未来。
「何を守りたいのか、守るべきなのか。教科書通りの答えなんていりませんからねー。自覚してないんなら、自覚させる。それが俺の教導ですよ」
しかし、平和な日常であっても全てが幸福なわけではない。
幸いな事件もあれば、不幸な事件も起こり得る。
「だって……だって、嬉しかったから……私を見つけてくれて……本当に……」
「インターミドル……ですか? 成程、スポーツ格闘。アリアもそれに参加すると?」
「殴り合いが娯楽として受け要られるのは、平和である証拠だよ。その平和を守るためにあるのが管理局。それでいいんじゃないかな?」
ただただ平和を享受することは、決して正しいことではない。
大切なのは、その平和を維持するために努力すること。
「最近、思うようになったんだ。生きていられる……それは、本当に幸福なことなんだって」
「お互いノータッチで行こうや管理局。触れて得することなんてあらへんやろ?」
「僕が教えられるのは、〝負けない方法〟だけです。それでいいなら、教えます」
伝えたいもの。託したいもの。
その全てを果たすには、あまりに時間が短くて。
「往くぞオラァ!! 根性見せろ!! 当たって砕けるために来たんだろうが!!」
「これが管理局だよ、後輩たち。この布陣と壁が、キミたちの越えるべき壁だ」
「逆転の可能性は一つ……! 凡人には凡人だ! ファイム・ララウェイを倒すにはそれしかない……!」
だから、ぶつかる。
伝えたいことを、伝えるために。
「僕は幸せになっても……いいのかな?」
「当たり前だ。お前が幸せになることに、誰も反対はしない」
優しい日々。ようやく手にした平凡な、だからこそ誰よりも望んだ日々。
――――――けれど。
世界は、それさえも許してはくれなかった――――…………
「ごめん、本当にごめん……!! 僕たちのせいで、僕たちが弱かったから……!!」
「何故だ!? 何故奴ばかりが!! 奴ばかりがこんな目に遭わねばならんのだ!?」
「ファイムは頑張っただろ!? 誰よりも傷ついて!! ずっとずっと一人で頑張っただろ!? なのになんで……何でこんなことになってんだ!?」
「……もう、戻れぬところまで来てしまったのだな……」
果てしない慟哭が、日常を汚していき。
ゆっくりと、〝世界〟という名の歯車が壊れていく。
「わ、わかった! 人質――人質を取られてるんだよね!? なら何か、協力できるかも――」
「違うよ。ぜぇんぶ、私が選んだんだよ」
その答えは、あまりにも残酷で。
振り下ろされる刃は――血に濡れていた。
「世界なんてのは、いつだって残酷や。あの小僧はそれに踏み潰されただけやろ?」
「その言葉で諦められるほど、人間できちゃいねぇんだよ……!!」
「諦めるも何も、これが現実だ」
そして。
「いつまで俯いているのです? 立ちなさい、堕天の主。あの人が愛したあなたは――あの人を愛すると誓ったあなたは。こんなところで倒れる程に弱くはないでしょう?」
最悪の結末が、訪れる。
「第108機甲旅団に命じます。管理局を――制圧せよ」
哀しみの連鎖は、やはり断ち切れないのか。
魔法戦記リリカルなのは―最後の魔法―
「………………どうして……あなたが、そこにおるん…………?」
もし、何か一つ願いを叶えてくれると言われたならば。
あなたは、何を差し出しますか?