夜天を照らす王の雷   作:オパール

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クリア戦後からブラゴ戦までの3ヶ月を妄想してみたら思いの外しっくり来た


LEVEL.0 ようこそ海鳴へ

海沿いの線路を走る電車の中

窓際に座る、学生服を着込んだ少年と、濃紺のマントに身を包んだ幼い少年

 

高嶺清麿(たかみねきよまろ)とガッシュ・ベルの二人であった

 

「ヌォォォォォ!清麿!海だ!海が見えたぞ清麿ー!!」

「やかましい!少しは静かにできないのかお前は!」

「しかし清麿、このようなキレイな海は見たことがないのだぞ!?」

「……まぁ、確かにな。太平洋やニュージーランドの海も中々だと思ったけど、正直それどころじゃなかったからなぁ……」

 

言いながら、清麿は手元に纏めてあるファイルに視線を落とす

 

そこに書かれていた地名は、特にこれといった特徴も無く、土地柄も至って平凡な場所

だが、ニュースで何度か見た、怪奇現象じみた異変も起こる場所

 

 

 

「海鳴市、か……」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

魔界

人間界とは別の次元に存在する、魔物と呼ばれるものたちの世界

そこでは千年に一度、魔界の王を決めるための「神の試練」と呼ばれる、100人の魔物の子供達による戦いが行われている

 

現魔界の王の息子であるガッシュもまたその一人であり、彼と共に戦うパートナー、清麿とは強い絆で結ばれた、無二の親友同士でもある

 

魔物の数も残すは二人

強大な敵、クリア・ノートとの決戦を終えた今、清麿とガッシュは清麿の冬休みの課題である「地方の小さな町についてのレポート」のために、地元から遠く離れた海鳴市へと足を運んでいた

 

「到着、っと」

「ヌォォ……ここからでも海の匂いがするのだー!」

「あんまり走り回るなよ?」

「向こうに行ってみるぞ清麿ー!!」

「待てと言っとるだろうがァ!!」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「この……待てって……言って……!」

「清麿!清麿ー!!」

「……ガッシュ!後ろ!!」

「ヌゥッ!?」

「きゃっ!」

 

子供特有の好奇心と無邪気さ

端から見れば微笑ましいが、それは時として余計な被害を周囲にもたらしてしまうこともある

結果、清麿に手を振りながら走り回っていたガッシュは、後ろにいた車椅子の少女と、それを押す女性に気付かず、衝突してしまった

 

「このバカ!……すみません、連れが……ほら、ちゃんと謝れ」

「ウヌゥ……すまぬのだ……」

「い、いえ。わたし達も注意しとらんかったから……」

「主、大丈夫ですか?」

「うん。シグナムがちゃんと支えてくれたからなー」

 

ガッシュに非があるにも関わらず、少女の方が申し訳無さそうにしている

茶色のショートカットヘアに、赤と黄色の髪留めをつけている少女

後ろの、桃色のポニーテールの女性はどこか警戒するような面持ちだった

 

「んー……お兄さんたち、この辺りじゃあんまり見ない顔ですね」

「わかるもんなのか?」

「はい」

 

独特なイントネーション……関西弁で話す少女

他人とのコミュニケーションが楽しいのか、短い会話でもコロコロと表情が変わっていく

 

「……主はやて、そろそろ」

「あ、せやな。ほな、さいなら~」

「あ、あぁ……」

「さよならなのだ~!」

 

手を振り、女性に車を押されながら去っていった少女

後に残された清麿といつまでも手を振り続けるガッシュ

 

「……さて。そろそろ行くぞ、ガッシュ」

「ウヌ!うみなり探検に出発なのだ!」

「探検じゃないと言うに!!」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「……どうした、ヴィータ?」

「いや、なーんかきな臭ぇ感じがしてさ」

「お前もか」

「お前も、ってことは、ザフィーラも感じてたのか?」

「ああ。我らのような存在とも、かといって魔導師や魔法生物とも違う、妙な存在を感じる」

「……調べてみっか?」

「派手な動きはするなよ。管理局が絡んできている以上、面倒は避けたい」

「わーってるって。……でも」

 

「怪しいようなら、即潰す」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「ああ、そうなんだよ。思った以上に珍しいものばかりでさ。でも、もうそろそろ切り上げて帰るから、心配すんなって。じゃ、そろそろ切るな、お袋」

 

時刻は既に夜

あれから海鳴市を歩き回り、色んなものをみた

 

市外にまで名を轟かせる喫茶店のスイーツ

海を臨む広い公園

どこか、普通のそれよりも神聖な雰囲気を漂わせる神社

 

物珍しさから方々を足で回っていた清麿とガッシュも、既にかなり疲れきった様子だった

 

「ウヌ……きよまろ、私はもうねむく……」

「ほら頑張れ、もうすぐ駅だから」

「うぬぅ……」

「……いい町だな、ここは。人当たりもいいし、何より海が近いのもあるのか、子供達も元気だし」

 

船を漕ぎつつあるガッシュの手を引き、駅への道を歩く清麿

喫茶店で親身に海鳴について教えてくれた夫婦や、その娘と思われる少女とその友人達

歴史や名所などは自分で調べたものの、ここに住む人達の暖かさに、清麿の心は晴れやかになっていた

 

「……しかし、こんな時間になるとさすがに人通りも少なくなるんだな。結構歩いてるのに人っ子一人……」

 

そこまで口にして、清麿はふと気付く

 

先ほどから、同じような景色ばかりが続いていることに

 

「……?」

 

そして、あまりにも静かすぎる

人はともかく、車の一台も走っていないというのは、流石に異常だった

 

「……なんだ?一体、何が……ガッシュ。ガッシュ!」

「うぬ……どうしたのだ、きよまろ……?」

「気をつけろ……何か、様子が変だ」

「ヌ……?」

 

清麿の警告に、眠気を一瞬にして振り払い、ガッシュの目に光が宿る

足を止め、周囲を見回す二人

 

あまりにも静かすぎる空間、清麿がバッグの中にある物に手を伸ばした瞬間

 

 

 

『テオァァァァァァァァァッ!!!』

 

 

 

「!?」

「清麿ー!」

 

耳をつんざくような、鋭い雄叫び

ガッシュに手を引かれ、その場から離れた清麿がいた位置に、大きな爪痕が残された

 

「くっ……ガッシュ!」

「大丈夫か、清麿!?」

「ああ、なんとかな……来るぞ!」

「ヌッ!」

 

突然の襲撃者は、その蒼い毛並みを揺らしながら一気に清麿達に肉薄する

しなやかな四肢とその先の爪

鋭い牙を携えたその襲撃者……狼のような生物は、真っ直ぐに吶喊していた

 

「な、なんなのだあれは!?」

「わからない……だが!」

 

バッグから一冊の赤い本を取り出す清麿

そのページを開くと同時、本が強く、紅く光り輝いた

 

「襲ってきたなら、迎え撃つまでだ!やるぞガッシュ!」

「ウヌゥ!!」

 

「セット!!」

 

握り拳だった右手の人差し指と中指を伸ばし、眼前の狼へと向ける

ガッシュもそれに倣い、視線をまっすぐ狼へと向けた

 

「第一の術……!」

 

本が、更に大きく光を放つ

意識の途切れたガッシュの口に、強く、迸るように電流が集まっていく

 

雷のベル

それが、ガッシュの血統を表す言葉

 

父の願い、母の祈り、兄の想い

全てを受け継いだガッシュの、その力

 

 

 

「『ザケル』!!」

 

 

 

清麿が叫び、奔流が放たれた

巨大、あまりにも強大なその雷は、真っ直ぐ狼へと走り

 

その身体を、あっけなく飲み込んだ

 

「……やったのか、清麿?」

「いや、まだだ。……気を抜くなよ、ガッシュ」

 

「こいつは……強い!」

 

煙が晴れ、そこにいたのは

 

正面に、幾何学的な文字を記した、白い三角形の紋章を展開している、狼の姿だった

 

「……なんだか知らねえがな」

 

力強く、決して退かぬという意志をその瞳にこめ、清麿とガッシュは眼前の敵を見る

 

「来るなら来やがれ!行け、ガーーーーッシュ!!」

「オオオオオオオオオッ!!!」

 

 

 

夜天を照らす王の雷

 

LEVEL.0 ようこそ海鳴へ




以上
反省は多少してる

ていうかガッシュの後日談があるとかいうどうぶつの国の六巻が見つからない……
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