恋雨~重装護衛艦『倭』~   作:CFA-44

13 / 54
短編です。長文を期待された方、申し訳ありません。これは短編です。(大事な事なので2回言いまs(ry
台本形式で進めるので『だが断る』という方はブラウザバック推奨です。
※倭が普通に寝起きしていても『番外編だから仕方あるまい』と思ってください。
※時系列的には雨月編入後です。





演習編
演習その1


 

 

‐倭side‐

「演習、ねぇ・・・」

 

自分の艦内に弾薬と食料、衣類(予備の制服)等を積み込みながら俺は1人呟いていた。提督に呼び出されて執務室に行くと「対空演習に行くメンバーが1人欠員しているので代役として出て頂戴。」などと言われてしまった。勿論命令である為引き受けなければならないのだが、正直気が重かった。

幾ら白露達に任せているとはいえ流石に風邪を引いて寝込んでいる時雨の容態が少し気がかりだった。大丈夫だとは思うが全ての事を押し付けて演習に行くのはかなり気が引けた。

 

摩耶「兄貴、準備できてんのか?あたしはもう準備出来たぞ。」

 

倭「こちらも後少しで終わる。どうせすぐに追い付くから先に出港してても構わんぞ。」

 

摩耶「いや大丈夫さ。先に行ってもやる事無いしな。」

 

倭「しかし、演習相手が酷くないか?真っ先に俺が狙われる感じが凄いんだが。」

 

摩耶「あーそりゃ空母連中も兄貴を先に潰さないと演習にならないって考えてるだろ。」

 

倭「せめて天龍か龍田、最悪木曾が居てくれれば少しは楽が出来たのに・・・・・・まぁ無いもの強請りしても仕方ないか。」ハァ

 

摩耶「だな。」ハハハ

 

予定通りに出港して泊地正面海域へ移動し、空母陣が到着するのを待つ。こちらの陣容は俺を旗艦に、摩耶、秋月、照月の防空編成。向こうは赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴の6空母。何と南雲機動艦隊が相手になっている。

 当然想定される攻撃は摩耶達にとって苛烈なものだろう。尤も、俺は対超兵器用戦艦なので超兵器や周辺基地に配備されていたジェット機を相手にしてきた分、レシプロ機にはどう対処すれば良いか位は分かる。超重力弾や対空ミサイル、調整中のあの砲弾は反則過ぎるので使用は控えるが、その分は速射性と機動性で補えるのでまだ良いだろう。因みに速力も60ktへ、電探探知距離も100km圏内に抑えている為、俺自身の被弾率はそこそこ上がっている。

 どうやら演習の設定として俺達は小規模艦隊で奇襲を試みる敵艦隊役でそれを赤城達が迎撃するという設定らしい。

 

倭「旗艦より各艦へ通達。空襲は何時来るか分からんが、取り敢えず個艦防空を優先して良いぞ。秋月、照月は主に艦爆隊に集中。摩耶は第一派攻撃の時は艦攻隊に集中して第二派攻撃からは秋月達に加われ。俺は牽制射撃で弾幕の回廊を作って主砲等で攻撃する。」

 

摩耶『了解。陣形はどうする?』

 

倭「摩耶が後方に居てくれ。俺が撃ち漏らした敵機の始末を頼みたい。その両翼に秋月と照月を配置する。」

 

秋月『倭さんの両用砲は射角的には何処まで対処出来ますか?』

 

倭「主砲で最大50度。副砲と両用砲はそれぞれ50度と55度までが限界だ。機銃に関しては35mmCIWSで最大85度、40mm4連機銃なら80度だ。」

 

照月『流石に直角は狙えないんですね。』

 

倭「普通直角で爆撃してくる奴は・・・・・・確か艦長の親友にトンデモスツーカ乗りに居たな。なんでもほぼ直角に降下して帝国軍の戦艦を30隻程度、戦車に関しては1000台 以上スクラップにしたらしい。しかし真上って言ったらやっぱしハウニヴーの誘導爆弾が厄介だったな。」

 

摩耶『何だその魔王っぷり・・・・・・』

 

秋月『誘導爆弾って何ですか?』

 

倭「簡単な話、爆弾そのものが自分を操って精確に俺達の上に落ちてくると言う事だ。俺は良くそれで機銃座と両用砲が吹っ飛ばされた事がある。」

 

照月『じゃあ私達の艦橋や魚雷に落ちて来るって事ですか?!』

 

倭「まあギリギリ引き付けてから急旋回や急加速すれば簡単に避けれるんだけどな。」

 

摩耶『んな事言えんのって兄貴だけだろ・・・・・・』

 

誘導爆弾はこの世界の駆逐艦や軽巡洋艦にとってはこの上ない脅威となるのは確かだ。最悪CIWSで早爆させれば被害は減らせるんだが、兎に角爆撃は回避しないと戦艦である俺にとっても痛手となる。尤も、250kg爆弾如きではカスダメにもならないので気にしていないが。

 話を演習に戻すが、倭達は旗艦の大破か全艦撃沈判定を出されたら敗北。逆に赤城達は全航空機の撃墜判定が出た場合に敗北が決まる。(要するに航空機の無い空母はただの的であると言う事だ。)

 だからこそ綿密な防空網を張り巡らせて損害を防ぐ事を意識する必要性が高まる。勿論使用弾はペイント弾を使うので演習終了後は掃除程度で済むのはありがたい。

 

大淀『それでは演習を開始します。』ピー

 

観測役の大淀の指示の元演習が開始された。これから6空母から繰り出される攻撃を潜り抜けて空母側に打撃を与えても良いが『波状攻撃2回分の敵性航空機の全滅』がこちらの勝利条件の為、航空機だけに意識を集中しなくてはならない。

 因みに秋月と照月は魚雷と爆弾1発ずつ、摩耶は魚雷・爆弾共に3発当たれば撃沈判定が出る。俺はそれぞれ20発(福本との演習で受けた実弾頭魚雷の数が20本だった為)で撃沈判定が出るらしい。

 あの演習の時に態々欺瞞工作をしたツケが今になって来るとは思ってもいなかったがどう足掻いても言い訳にしかならないので何も言わなかったが。

 と、早速電探に敵影を捕捉。機数は3機。多分彩雲を飛ばして位置を確認しに来たのだろう。どの道制空権は向こうに握られているのだから差ほど気にする事でも無いが。

 

倭「旗艦より艦隊各艦に通達。我敵偵察機捕捉。方位069、距離8万、機数は3機。このまま接近させて敵機を連れてこさせよう。そうしないとダメだからな。」

 

『『『了解!!』』』

 

さて、6空母の実力の程を見せてもらおうか。期待外れでないと良いが・・・まぁその時はその時か。

 

 

 

 

‐飛龍side‐

翔鶴『全航空隊、発艦始め!』

 

瑞鶴『第一次攻撃隊。稼動機全機発艦!』

 

赤城『第一次攻撃隊、発艦してください!』

 

加賀『ここは譲れません。』

 

蒼龍『攻撃隊、発艦始めっ!』

 

飛龍「第一次攻撃隊、発艦っ!」

 

演習開始の合図と共に続々と私達から攻撃隊が出発していく。目標は言うまでも無く敵艦隊役の倭達。九九式艦爆や九七式艦攻に天山が飛び立って編隊に合流する。

ちょっと可哀想かな~なんて思ったけど、相手は『数的劣勢を質で磨り潰す』を具現化したような艦。何より赤城さんや加賀さんの事を『大した事無い』って言える実力の持ち主だ。こんな相手は滅多に合えないし早々居やしない。あの超兵器って言うのは論外だけどさ・・・・・・

そんな超兵器対抗用の戦艦に自分達の力が何処まで通用するのか知りたい。私達の力を知って欲しい、なんて考えで参加しているのは私だけかも知れないけど。

 

赤城『彼相手に何処まで通用するのでしょうね・・・・・・』

 

加賀『それは分かりません。ですが格上の相手の力を知る為にこういった演習はありがたいものです。』

 

瑞鶴『彩雲の報告じゃ敵艦隊の編成は倭が前衛で後衛に摩耶。摩耶の両翼に秋月と照月を付けてるみたい。』

 

倭本人が前衛で仲間を後ろに控えさせているのは多分撃ち漏らしを処理させるためかもしれない。なら第二次攻撃隊も雷爆連合主体にしよう。福本の艦隊でも当てられたんだから私達にもきっと出来るはず。

 だが、あの演習を直接見た者はトラック泊地に居る3隻の駆逐艦娘達のみ。そして攻撃を受けた本人が偽装工作をして自らの防御性に関して秘匿しようとささやかな努力をして大本営や軍令部を誤魔化していた事は本人以外知らないのだが。

 

 

 

 

‐攻撃隊side‐

『あ゛~帰りてぇ~』

 

『オイオイオイ何言ってやがる?!演習始まってまだ10分しか経ってねーんだぞ?!』

 

『だってよぅ・・・・・・相手はあの『怪物戦艦』だぜ?勝てっこねぇよぉ・・・・・・』

 

『寝言は加賀さんと瑞鶴さんの耳元で言いな。そしたら良い所(地獄の猛訓練)に逝けるぜ。』

 

『ちょ?!それ一番アカンやんけ?!ちゅーかそないな事ゆーたらワイ等も甲板長と飛行長から爆撃されるん決定やで堪忍してくれや!』

 

「心配すんな。やらかしたら後で俺がシバキ倒しとく。つーかこの演習終わったらシバく。あ、2人には報告しとく。」

 

『あざーす飛行長。』

 

『グダグダ言ってねーでちゃんと周辺警戒してくれよ・・・・・・もうそろそろ目標が・・・・・・居た!情報通りの編成だ。』

 

相変わらず瑞鶴所属《ウチ》の連中は見つけるのが早いな。今見ても雲の下に隠れちまって見えないってのに・・・・・・成程そういう事か。ほんの僅かに空いた雲の切れ間から鉄の島が、いやアレは島というより要塞だ。

大和型を上回る巨砲とゾッとするくらいに積まれた対空兵装。こんな怪物を相手にした深海棲艦の連中の気持ちは分かる。幾多の深海棲艦を爆撃してきた俺でも近付きたくは無い。かと言って遠距離雷撃ではまず当たらない。爆撃しようにも辿り着く前に落とされる確率が高い。打撃艦隊からの砲撃は・・・・・・多分弾かれる云々の前にあの大砲で叩き潰されちまう。ようやく見つけたと思った瞬間、編隊の中央で赤い塗料が撒き散らされた。畜生、もう見つかったか!

 

『何だ?!もう撃ってきたのか?!』

 

『クソ!どんだけ精確に撃てるんだ!殆ど編隊の中央で爆発したぞ!』

 

「全機散開!このまま接近すれば全滅するぞ!」

 

目標を見れば、巨砲がこちらを狙っている事に気付き、僚機に知らせつつ散開する。分散する意図に気付けなかった数機が三式弾のペイントを浴びて撃墜判定を下される。

 

『うげっ!俺狙われてねーか?!』

 

『いや、俺も狙われてるみてーだ!』

 

『ダメだ・・・・・・負ける未来しか見えねぇ・・・・・・』

 

『諦めるの早えーなオイ?!』

 

『やるっきゃねーぞ!こんな演習、他じゃ出来ねえんだからな!』

 

高性能な電探を積んでると聞いていたから予めこちらの動きは予測してきていると見て良いな。って何だこの対空砲火?!抜けられる隙間が殆ど無いだと?!

 

『何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁ?!』

 

『スゲー弾幕だ!負けてらんねー!』

 

『ちょ!これ何て無理ゲー?!』

 

次から次へと雷撃の為に降下していく艦攻隊は俺達艦爆隊と分かれるが、既にペイント弾の猛射を浴びて10機以上の九七艦攻や天山が撃墜判定を喰らっている。それは艦爆隊の俺達も似たようなもので、こちらは10・・・いや新たに15機近く撃墜判定を受けた。

 

『数的劣勢を質で磨り潰す、か。本当にその通りだな。』

 

『チッ!喰らっちまった!離脱する!』

 

『俺もだ!飛行長、後は任せます!』

 

「ああ・・・お前等の分までやって来る。」

 

かつてアメリカ海軍が使用したVT信管でも使っているのか分からないがあちらこちらで炸裂して僚機に色を付ける対空砲弾は兎に角厄介だ。おかげで目標の上空に辿り着くまでに展開された濃密な弾幕によって第一次攻撃隊は出撃時の114機から30機余りまで大きく減らされていた。

九七艦攻と天山達の艦攻隊に攻撃が集中している分、俺達艦爆隊への攻撃は大分減ったが、それでも厄介なのがまだまだ居る。真上から攻撃しようとする俺達を阻止せんと両翼に展開している秋月型の2隻による弾幕が形成され、それに伴って摩耶からも対空砲火が飛んで・・・来なかった。摩耶は普通に艦攻隊を狙って弾幕を張っている。

 何とか弾幕を潜ってきた所で素早く急降下姿勢を取って青いペイント入りの25番投下用意。辛うじて俺は突入できたが、続こうとした大半の僚機が白い繭みたいな物体から飛んでくる弾幕に掴まって離脱を余儀無くされる。

 

「これで、どうだ!!」

 

 投下された25番は寸分の狂いも無く命中ーーーーーしなかった。倭がとんでもない速度で前進していった為に25番は目標に当たる事無く、海中へ消えた。

 この時、倭が実行たのはただの急加速。“通常の艦船”なら出来るわけが無いのだが、倭は“通常ではない艦船”だからこそ普通ではない回避機動を行えた。尤も、倭が急加速で爆撃を回避する、という事は摩耶達には知らされていたのであまり動揺はしなかったが。

 

「非常識も程々にしてくれよ・・・・・・」

 

瑞鶴艦爆隊飛行長妖精の呟きはこの場に居た全員の思いを代弁していた。何とか機体を持ち直した瞬間、機首と主翼付近へ盛大に赤いペイントが付着した。撃墜判定を受けてしまった事で戦線離脱し、母艦への帰投を余儀無くされるが、第二次攻撃の際に乗り換えての出撃は許可されている。つまりリベンジの機会がある、という事だ。だが、その前に全滅判定を受けない事を祈るしかなかった。

 

 

 

 

‐照月side‐

 

第一派は予定通りに倭さんと摩耶さんが艦攻隊を迎撃している間は私と秋月姉さんで艦爆隊を迎撃。来襲した114機の攻撃隊のうち、約90機以上に撃墜判定を与える事が出来た。

 

摩耶『やったな兄貴。』

 

倭『何とか上手くいったな。即席にしては良い合わせ方だ。・・・・・・第二次攻撃隊か。』

 

照月「もう来たんですか?!」

 

倭『いや、さっき暗号文を送ったのを確認した。ついでに解読も済ませて内容が手に取る様に分かる。まあ油断は出来んがな。』フフフ

 

摩耶・秋月・照月(((悪魔が居る・・・・・・)))

 

素早く情報分析を終えた倭さんの手際の良さに、彼が味方であって良かったと安堵した。もし敵に回っていたら今頃私達は間違いなく海の藻屑だろう。

 それにしても倭さんは艦隊の指揮を執るのが少し苦手みたい。その所為か、時々説明不足な所があって聞き直さなくちゃいけない事がある。摩耶さんが言うには、今まであまり艦隊を組んで戦った事が無かったみたいだから仕方ないって言われた。

 

倭『第二次攻撃隊が発艦してきたか・・・機数140・・・会敵まで後20分。今の内に戦闘糧食を配っておけ。』

 

 懐中時計を見れば時間は既に一二〇〇に差し掛かっている。それを見越して戦闘糧食を配るように言ってきた辺りひょっとすると倭さんは小腹が空いてきたんじゃないのかな?

 

倭『想像以上に弱いなあいつ等。もうちょっと遊んでやるか。各艦、本艦からの指示が届き次第艦爆隊に対して探照灯を照射せよ。』

 

摩耶『んな事やって大丈夫なのか?(汗)』

 

倭『ああ。これは許容範囲内だから心配しなくていい。攻撃隊からすれば非常識だろうが俺にとってこれくらいは遊びだ。もっと苛烈なものかと思っていたが・・・これで演習というには温過ぎる。』

 

 演習を『遊び』、『温過ぎる』と言える人物が今まで何人居ただろうか。ここへ来る前の世界で先程以上に激しい空襲を潜り抜けてきたから言える言葉だけどこの人から見れば南雲機動艦隊からの攻撃は低レベルにしか見えないのだろうか。

空母から発進した第二次攻撃隊が雲を利用して接近している事を察知した倭さんの主砲が再び三式弾を撃ち出し遥か高空で大輪の華を咲かせ、今度は20機以上が離脱する羽目になった。艦爆が多数接近している事を知ると、散開指示が下され、私達は艦隊幅を大きく広げて迎撃態勢に移る。

 艦爆隊が急降下体勢に入った瞬間、

 

倭『照射始め!』

 

 指示通りに探照灯を艦爆隊目掛けて照射。艦爆隊は突然照射された為にバランスを崩して投弾のタイミングを逸し、続けざまに撃ち出された高角砲の猛射を受けて離脱機を続出させる。

その後、艦攻隊に超低空で接近されたものの、倭さんにしっかり迎撃されて全機が撃墜を受ける憂き目にあった。

 

 

494

 

‐摩耶side‐

 第二波を退けた直後、休む間も無く次の攻撃隊の迎撃に集中していたが、まさか赤城さん達稼動機全機を艦爆と艦攻だけに載せ変えてきてるんじゃねーよな?でなけりゃこんなに空が艦爆と艦攻で埋め尽くせるわけがねぇ!

 

倭『摩耶、集中しろ。気を抜くのは感心出来んぞ。』ドドドドドドドドド

 

摩耶「分かってるって!兄貴が余裕過ぎなだけだよ!」ダダダダダダダダダ

 

 ひたすら艦爆隊と艦攻隊から逃げ回る際、戦艦より小さい艦は多少小回りが効いて逃げ易いなんて言う奴も居たが、実際はそんなに甘くない。相手の腕が良ければ回避中に当てられる事だってあるし、下手すりゃ轟沈だ。

今でこそ防空巡洋艦とか洋上の対空要塞とか言われちゃいるがそれまでに何度死に掛けて入渠する度に何度自分が情けないと思った事か。やり過ぎて鳥海や皆に止められるまで、改二改装っつーのが出来る練度になるまで『改二が来ねぇ、改二が来ねぇ。』ってぼやく天龍と一緒に対空戦の演習やら夜戦の演習やらひたすらやり続けた。

 もう何回演習中に倒れたか覚えてねーくらい必死こいたお陰であたしは改二改装可能な練度まで到達し、晴れて『摩耶改二』になれた日は1人で飛び上がって喜んだもんさ。対空に重点を置いた重巡洋艦として強くなった気で居た。そりゃ秋月達に比べりゃ色々劣っちまうけど負ける気なんて無かった。

だけど上には上が居た。丁度その上に居る奴はあたしの前で駆逐艦と同じくらいの回避運動を行って悠然と攻撃をかわしてきっちり撃墜判定を叩き出してやがる。

 本当にあたしより対空要塞が似合いそうだが本人は対超兵器戦艦を自負して譲らないだろうからあまり言わない方が良いけど。

 

見張妖精A「左舷敵機3!雷撃高度で接近!」

 

見張妖精B「右舷敵機2機直上!」

 

摩耶「艦爆は高角砲、艦攻には1番、2番主砲で対応!取舵一杯!」

 

操舵妖精『とーりかーじ、いっぱーい!』

 

 爆撃から逃れると共に雷撃に対して横腹を見せない様に艦首を左へ振りながら対空砲火を張って牽制を続ける。艦攻隊の3機が被弾する前に魚雷を3本投下。辛うじて2本はかわしたものの、残った1本が2番主砲左舷側の艦底を通過して行く。クソ、被雷しちまった!

 

摩耶「悪りぃ、1本喰らっちまった。」

 

倭『1本くらい喰らっても重巡だからどうと言う事は無いだろう?それにしても空母連中は第3波目で何としても決着をつけたいらしいな。』

 

秋月『でもこのままじゃジリ貧です!』ダダダダダダダダダ

 

倭『それは向こうも同じだ。俺が居る以上連中は俺に攻撃を絞るかお前等を先に離脱させるかの二択しかない。兎に角お前等は無駄撃ちするな。ただでさえ貧弱な火力が更に低下するぞ。』

 

照月『そ、そんな事言われてもこんな数無理ですよぉ~』ダァン!ダァン!

 

倭『照月、焦るな。無理に複数目標を同時に撃墜しなくても良い。摩耶の援護に徹しろ。』

 

摩耶「大丈夫だって!この摩耶様が魚雷1本でくたばってたまるか!」

 

 魚雷1本で離脱させられるほどあたしゃ弱かない。と言っても240機近い艦攻や艦爆の編隊相手にしても動じてねー上にバタバタ撃墜判定出しまくる兄貴の方が規格外だっつーの。

 

摩耶「ん?アイツで最後か?」

 

倭『秋月、そちらに艦爆が1機接近中。射撃補助用にデータリンクを行う。最後の1機だ、しっかり決めてやれ。』

 

秋月『はいっ!』ダァン! ダァン!

 

 最後の艦爆が秋月の真上に接近し、爆撃体勢に入ろうとした瞬間、兄貴の高性能電探と秋月自身の13号電探の組み合わせによって飛んできた10cm砲弾が赤い花を咲かせた。

 

 

 

 

‐瑞鶴side‐

瑞鶴「ごめんもう一回言って。」

 

飛行妖精s『ゴメンナサイ全滅判定受ケチャイマシタ。』

 

瑞鶴「」orz

 

攻撃隊が全滅判定を受けた事を聞いた瑞鶴がその場でorz状態になったのは言うまでもないが、その他の5空母でも同じ様にorz状態になっていたとは露ほども知らなかった。

 

瑞鶴(ハハハ・・・強いなぁアイツ・・・まあ超兵器なんてバケモノを潰す為に生まれたんだから格が違うのも無理ないか・・・・・・)ハァ

 

四派の空襲を終えた時点で既に稼動機全てがペイント塗れという事でこちらの敗北。仮に私達の撃沈判定が必要だとしたらどう足掻いてもアイツの遠距離砲撃でタコ殴りにされて負けるのは見えている。

 

瑞鶴「負けた腹いせに雨月でも爆撃しようかな・・・・・・」

 

副長「そんな事したら倭に投げ倒されますよ。」

 

瑞鶴「デスヨネー」

 

 演習終了に伴って戻って来る倭達と合流すると、摩耶が魚雷1本の命中を受けた事以外の被害が何も無い事を知らされ、更に空母sが落ち込んだのは言うまでも無い。

 

 

 

 

‐時雨side‐

 

 やぁ。突然で申し訳ないのだけど僕は風邪をひいてしまった。しかも演習の日に。代わりは誰が出たのか聞いてないけど、白露達の看病と的確に薬を処方してくれた軍医長のお陰で大分良くなって来ている。

 演習は近くに居る大淀さんを中継して映像が食堂で見られるから倭に見て欲しかったんだけどこのザマだよ。その肝心の倭も白露達に僕の看病を任せると同時に何処かへ行っちゃうし・・・・・・ま、まさか僕以外の娘と逢引きしてるとか?!・・・何て事が無い様に祈りたい。本当に。

 

時雨「ゲホッ・・・昨日無理して夜中まで起きてたのが不味かったな・・・・・・」ハァ

 

倭「何の為に夜中まで起きてたんだ?」

 

時雨「うわぁ?!戻って来たならノックぐらいしておくれよ?!」

 

倭「そうかすまない(ノックしたんだけど変事が無いから入ったんだけどな)」

 

 尤も、倭が心の中で思った事を実行した所為で数回時雨から顔面コースのグーパンが飛んで来ているとは本人が全く理解していないので意味は無くなっているが。

 

時雨「そ、それで?今日は何処に言ってたんだい?」アセアセ

 

倭「いや君の代理で対空演習に参加してたんだが。」

 

時雨「え?ぼ、僕の代わり?」

 

倭「提督から頼まれてな。悪いと思ったんだが白露達と軍医長に君の看病と薬の処方を頼んでおいたんだ。もう治りそうか?」

 

時雨(そう、だったんだ・・・・・・だから村雨が『愛されてるわねぇ~』ってニヤつきながら言ってたのか・・・・・・でも多分倭の事だから純粋に心配してくれたんだよね?///)

 

 時雨の顔が少しずつ赤くなっていく事に気付いた倭が熱を測ろうと顔を近づけたが、それを手で制して何とか気持ちに気付かれまいと目を合わせないようにしていた。倭は何故か目を見るだけで考えている事や過去のトラウマ等が解るらしい。

 今の僕の気持ちに気付かれたら今後、非っ常に不味い事になる。主に夕立や山城等の艦娘達に僕が○されかねない。

 そういう意味でも目を見て話されるのを避ける艦娘は僕を含めて多い。純粋な子は普通に目を見て話しているけど。

 結局、むぅ、と呟いた倭が林檎の差し入れをくれた事で何とか考え事を悟られるのを防げた。僕の気持ちをまだぶつけるには早いかも知れないし、倭が抱えている負の面を何とか片付けてからでも十分間に合う、と思う。

 ふと外を見るともう星が見えるほど暗くなっていた。風邪が治ったら倭とあの展望台に行ってみたい。と倭にお願いしてみると彼も、じゃあ行ってみるかと乗ってくれた。さて、早く風邪を治す為にもう寝るとするよ。 おやすみなさい・・・・・・・・・・

 




 まさかの風邪引き時雨ちゃん参上です。そして空母達と笹川提督(の胃)はボコボコに。誰か提督に胃薬をダース単位で送って頂けますか?(笑)←更なる資材消費の嵐フラグ

 時雨が夜中まで起きていて風邪を引いた最大の原因が、夜は冷えるという事を忘れてお風呂上りで薄めのパジャマ姿で倭の寝顔鑑賞をしていたからです。そりゃあきませんて時雨サン!

では今後とも本作を宜しくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。