超兵器側から偶には無双したいと連絡が来たので要望通りに無双させてあげました。その後できっちり殴られてもらいますが。
では、本編スタートです
横須賀艦隊に対してシュトゥルムヴィントが強襲を開始した頃、衣笠、名取、村雨、春雨、風雲、高波に囲まれながら泊地へと戻っていた倭達は本土方面からの大量の電波を傍受した。
その5分後、倭のみ艦隊を離れて本土方面へ針路を変更し、艦隊から十分離れた位置で応急修理を実施。そのまま全速航行で八丈島近海を目指す。
間に合わないのは十分承知しているが、超兵器が暴虐の限りを尽くし、帰投の途中を狙う事くらいは出来る。ただ、弾薬をかなり消耗している為、超兵器の撃沈は困難とされ、超兵器の出撃に支障が出る程度の被害を加えるだけに留める事に決定した。
「さて、敵さんがどう動くか、ですな。」
「どう動こうと完全に後手に回った時点で打つべき手は限定されている。どう足掻いても横須賀艦隊の壊滅は免れん。生き残りがいるかすら怪しいがな。」
「生き残り、居ますかね?余程運が良くないと・・・・・・」
「運もそうだが本人の意地次第だろうな。」
俺自身も数々の超兵器戦において何度『死んで堪るか』と思った事か・・・・・・数えればキリが無いが。
「航海長、
『了解。針路270。』
122.8ktを発揮して海原を切り裂きながら本土を目指すが、本土からの電波が疎らになっている事を感じ取り、無理を承知で連続急加速を掛ける。εタービンと共に推進装置内の圧縮ポンプが唸り、限界まで圧縮した海水を後方へ一気に噴射し、8万トンもの巨艦の艦首が少し浮き上がるほどの推力を叩き出す。
4秒間だけ急加速を掛けて進み、4秒間のインターバルを置いて再び加速を行って倭は超兵器を目指してひた走るのだった。
(いくらなんでも弱過ぎんだろ・・・・・・)
自慢の神速で横須賀艦隊を瞬殺したシュトゥルムヴィントだったが、あまりの呆気無さに艦娘達への興味が急速に薄れて行った。
「真正面から来たから歓迎してやったのにアッサリ壊滅かよ。雑魚過ぎて話しにならねぇ。」
『文句を言うな。威力偵察をしているわけでは無いんだぞ。』
俺をもっと楽しませてくれる奴は居ないのかねぇ・・・・・・居るとしたら
「ん?・・・・・・へぇ・・・・・・ゴミの分際でのこのこやって来たのか。」
『どうした。新手か?』
「深海棲艦とかいうあのゴミ共が来ただけだ。」
『ふむ。規模は?』
「ざっと10個艦隊かそこらだ。主に戦艦と巡洋艦を中心に構成された打撃艦隊って所か。空母はそんなに居ないみたいだが暇潰しにもならんな。」
『貴様の神速の前には彼奴等は有象無象に過ぎぬよ。一匹残らず狩り尽くせ。』
「OKだ。喰らい尽す。」
そう言うと同時に身体が先に動き出し、
小笠原諸島父島より北東へ約800km沖において超兵器シュトゥルムヴィントと大規模な深海打撃艦隊の紛争が始まり、51cm75口径3連装主砲と多弾頭ミサイルを乱射しながら90ktで深海打撃艦隊の真正面に突っ込む、と見せ掛けていきなり右90度へ急回頭。回頭しながら手近に居た駆逐ニ級と軽巡ツ級数隻を艦首で叩き割り、25.4cm75口径連装両用砲と
瞬く間に3個艦隊を葬り、残った艦隊にも同様の戦法で襲い掛かる。深海側が数の差で反撃しようとしても、90ktで走るシュトゥルムヴィントを捉える事が出来ない。事実、倭も捉える事が出来ずに翻弄された事があったのだ。
(あの時はまさか体当たりで脚を殺されるとは思っちゃ居なかったな・・・・・・あの時、倭が急回頭して来なかったら勝機はあった・・・・・・いや、もう忘れよう。過去は過去。今は今だからな。)
倭と対峙した当時を思い返していたシュトゥルムヴィントは意識を現実に戻すが、どうしても倭と深海棲艦達を比べてしまう。
(それにしても、オーバーテクノロジーとも言える超兵器技術を300m級の戦艦に突っ込んだ日本の技術陣も大概だな・・・・・・いや、いつもの
そう思いながら、無限に補給される弾薬のおかげでこちらは弾切れの心配が無く、遠慮なくばら撒ける。無駄撃ちをした所で怒られる訳でもない。
「おろ?当ててくるとはやるな。」
余計な事を考えていた所為で被弾してしまった。被弾箇所は・・・・・・何だ舷側の上に当たっただけか。560mmの装甲によって弾かれたが、超兵器に一撃でも当てた事で、深海棲艦達に僅かながら希望を齎した。
――尤も、その希望はすぐさま絶望へと急落したのだが。
「・・・・・・ゴミ相手に出すの面倒だったけど・・・・・・ちょっと本気、出すか。」
『無理はするなよ。お前はまだ“不完全”なのだからな。』
「分かってる。パパッとゴミ掃除して偵察任務に戻るさ。不完全のままじゃ不味いしな。」
シュトゥルムヴィント本来の速力を発揮すべく超兵器機関は『平常出力』から原子炉εを持ってしても辿り着けないほどの高出力を叩き出す『戦闘出力』に切り替わり、急加減速制御装置と水流補助推進装置Ⅱの手助けによって180ktへの道のりを容易にする。
――95kt この時点で深海棲艦達の兵装類は旋回が追い付かず、5隻のネ級がシュトゥルムヴィントの餌食になる。
――120kt 倭と同クラスの速力。シュトゥルムヴィントを捉えきれていない深海側の攻撃が当たる訳が無く、空母艦載機からの攻撃も悉く回避される。
――150kt 離れた位置から砲撃を仕掛けてきたレ級4隻の砲弾が着弾するまでに予測位置より離れ、お返しにゲイボルグを3発ずつぶち込んで海の藻屑にする。
――180kt 最早捕捉不可能となり、深海打撃艦隊はシュトゥルムヴィントから逃れる事は出来なくなった。
180ktで疾走する全長520m、全幅130mの巨艦は深海棲艦の逃走を許さず、ガリガリと戦力を抉り取っていく。
どちらに避けようとしてもゲイボルグ、多弾頭ミサイル、51cm砲弾、βレーザーⅢが絶え間なく襲い掛かってくる為、逃げる事も出来ない。だからと言って縮こまってしまうと体当たりを受けて船体がへし折られる。攻撃しようにも味方艦が射線に入ってしまう為、迂闊に攻撃できない。どちらに転んでも地獄でしかないのだ。
そもそも、深海打撃艦隊の目的は日本本土の横須賀鎮守府とその周辺にある市街地攻撃にあった。だが、眼前に超兵器が現れた事、大和型を多数ぶつけられても逆に蹴散らせるだけの質と量を揃えていた事で、横須賀攻撃という目的を達成する前に超兵器も圧倒的物量で押し潰してしまえば勝てるという根拠の無い理由で超兵器に挑んでしまった。
以前にもサマール島沖強襲、ルンガ泊地強襲、沖ノ鳥島沖空襲等、圧倒的物量で押していた筈なのに倭単艦に引っくり返されるという重要な経験をしているにも関わらず同じ轍を踏んでしまったのは、太平洋のどこかにあるとされる深海棲艦達の巣窟でただ報告を聞いて指示を出すだけの深海軍幹部と【如何に質が高くとも物量の前では無用の長物】という考えの下に生きている中枢棲姫が【倭であろうと超兵器であろうと我等の長所である数で圧倒すれば何の問題も無い。】と指示を出し、深海軍内で幅を利かせている機動艦隊派はそれを妄信し、肩身の狭い打撃艦隊派が多くの戦力を犠牲にしながら無茶な作戦を遂行させられていた為だった。
そんな深海側の事情など知った事かと言わんばかりにシュトゥルムヴィントは深海棲艦達を撃沈し続けていく。ル級やレ級が次々葬られていく最中、随伴していたヲ級達から発艦した艦載機がシュトゥルムヴィントに爆撃を開始した。
「はっ!ンな石ころが効く訳ねーんだよ!」
対艦用1t爆弾搭載機の速度低下を見越して空高く振り上げられた25.4cm両用砲と対空パルスレーザー砲が精確な射撃を始め、鉛色の空を炎と煙で汚していく。
猛烈な対空砲火により、空中で粉微塵にされるならまだ良い方で、中には主翼が吹き飛んで操縦出来なくなった敵機が味方駆逐艦や巡洋艦の搭載していた魚雷の上に落ち、味方毎爆散する機もいた。
雷撃機も低空ギリギリへ降下して弾幕を回避しようとしたが、今度は51cm砲から撃ち出された特殊炸裂弾頭が雷撃隊の眼前で炸裂し、近くで行動不能に陥っていたル級も巨大な火球で巻き込み、消滅させる。
「艦娘といい深海棲艦といい、雑魚過ぎて相手になんねぇ!レ級ってのも大して強くねぇ・・・・・・数押し程度で
シュトゥルムヴィントの苛立ちは限界に達しようとしていた。【深海棲艦は質も量も桁違いで姫級や鬼級も居るからから手強い(※鹵獲艦娘談)】と聞いていたが、数は多いが脆い上に大して強くない(※超兵器基準)上に反撃に転じるのも遅い。
これなら前の世界の解放軍の方が戦う意思があった。数は少なくてもそれなりに強かったし積極的に反撃を行ってきた。だが目の前の奴等はどうだ?まるで烏合の衆そのものじゃないか。これではちっとも楽しくない。
シュトゥルムヴィントの最大速力は180kt。時速換算で約333km。読者諸氏の世界の物に例えれば500系新幹線が300kmとちょっとで海を走っているのと同じだ。流石に仏のTGVには追い付かないが。そんな速力に対応出来る艦は人類側にも極僅かであり、深海側には存在しない。それ故、反撃も間々ならずに撃沈されていたのだ。
巡洋戦艦と言うより高速戦艦に分類される性能を持つシュトゥルムヴィントだが、
【ヴィント級は連続攻撃を受けると機関部の緊急停止装置が作動する】
という数少ない、いやとんでもない欠陥を抱えていた。ヴィルベルヴィント戦没時に回収された記録からこの欠陥が判明し、建造中だったシュトゥルムヴィントも改良を受け、転位前の戦闘でも最初の内は倭を圧倒していた。しかし、倭による体当たりと密着砲撃の連撃を受け、貫通弾によってタービンが破損。
速力が大きく低下し、身動きが取れなくなった状態で畳み掛けられ、反撃しようにも自分の巨体が仇となり、一方的に叩き潰されて轟沈した。
もう二度と同じ轍は踏むまいと改良に改良を重ねたタービンを搭載し、倭との再戦に備えた。だがまだ完全じゃない。アイツを葬る為にもっと火力の強化が必要だ。
そんな事を考えながら、深海棲艦の艦隊を葬っていくと、数機の敵艦載機が日本本土へ向かって行った。此処から向かうとしても艦娘達が待ち構えているのは間違い無く、容易く全滅させられるだろう。それに、日本がどうなろうと俺の知った事じゃない。人間共が死のうが生きようが絶滅しようが俺には関係の無い事だ。
深海打撃艦隊は大きく数を減らし、ル級5隻とタ級1隻、ヲ級1隻(甲板大破)とヌ級1隻(甲板大破)、ネ級4隻とリ級3隻(大破)しか残っておらず、駆逐艦に到っては全滅。潜水艦も居たが、そいつ等は主砲の対潜弾で葬ってやった。
レーダーに視線を向けると、日本本土からこれまた大規模な艦隊がこちらに向かっていた。超兵器相手に数で攻めるのは愚の骨頂だと何でわからんのかね。
そろそろトンズラする頃合いか。どうせ
「播磨ぁ!悪いがトンズラするぜ!コイツ等弱過ぎてもう飽きちまった!」
『了解だ。』
「・・・・・・そこのゴミ共、もし逃げ延びられたら、テメェ等のボスに伝えときな。『テメェ等のカスみてぇな物差で俺達超兵器を計ってんじゃねぇ』って言っとけ。アディオス。」
急反転で針路を南へ向けて全速力で
それにさっきも言ったとおり、【飽きた】んだ。あんまりにも手応えが無さ過ぎて欠伸が出ちまう。
あっという間に深海打撃艦隊から遠ざかった所で、東南東から接近する不鮮明な影が一瞬だけ薄っすらとレーダーに映った。
(来たか・・・・・・あれだけ遊んでたら流石にバレるよな・・・・・・・)
単独、高速、レーダーにほとんど映らない。これらが導き出した答えは―――
「来たな・・・・・・倭!」
「距離90km、超兵器ノイズ検知!ノイズの規模からシュトゥルムヴィントと推定!」
「全門射撃準備完了。」
「電磁防壁、最大出力。複合変電装置の作動状態、極めて良好。」
連続急加速で急行した甲斐あって、父島南方120km沖合いに到着し、シュトゥルムヴィントの捕捉に成功。厳しい賭けだったが、上手く行って良かった。
「超兵器の針路は分かるか?」
「針路は・・・・・・南方に向かっている模様。」
南となると、その方角に根城があると推測出来る。流石に超兵器といえど、母港が必要になるのだ。恐らくは人類がほとんど訪れない南極に基地があるのだろう。問題はどうやって来たのか、だが。
「ふむ・・・・・・」
「主砲射程圏内ですが・・・!目標、本艦に対して砲撃開始!」
「流石に早いな。赤外線でも捉えられたか?」
「ありうるな。1番主砲に徹甲炸裂焼夷弾。2番主砲に通常弾を装填。射撃準備急げ。」
『主砲、徹甲炸裂焼夷及び通常弾装填了解。』
36.6mという長さの砲身が持ち上がり、61cm砲2基が超兵器へ向けて射撃準備を整える。
「主砲、準備良し。」
「よろしい。てー!」
轟、と砲音を響かせながら6発の巨弾が超兵器目掛けて飛翔していく。シュトゥルムヴィントも倭に向けて舵を切り、お互いに全速力で突っ走りながらの砲撃戦に突入した。
倭とシュトゥルムヴィント、お互いの姿を視界に納めたのは同時、いや倭の熟練見張員の方がコンマ数秒早かった。倭が放った主砲弾は5発がシュトゥルムヴィントの後方に着弾し、1発は後部艦橋のマストを引き千切って海に飛び込んだだけだった。
互いの距離は既に15kmまで狭まっていたが構う事無く再度61cm砲が咆えた、直後、シュトゥルムヴィントの51cm砲が発砲。今度は外す事無くお互いの砲弾が命中。
倭は3発被弾し、右舷両用砲3基と1番副砲を吹き飛ばされ、40mm機銃が全滅。35mmCIWSも3基が吹き飛び、残りの2基のうち後部艦橋側の1基が破損により使用不能。更に1発が右舷前部対潜ミサイルVLSに直撃し、内部で発射を待っていたミサイルを誘爆させた。幸い、発射機を包む形の装甲が張られていた為、発射機そのものが壊れただけで済んだ。だが、次も同じ攻撃を受ければ装甲は破られてしまう。
次の1発は主砲装甲が弾き飛ばしてくれたが、最後の1発は前部艦橋中段、つまりSPY-1Dに直撃。そのまま艦橋を貫通して海面に着水した。レーダーの一部がダウンし、迎撃兵装が半分も破壊されたままだが、砲火力が低下しているわけでは無いので戦闘は継続する。
同じく被弾したシュトゥルムヴィントも無事では済まず、2番主砲が消滅し、倭と同じく右舷側の兵装が全滅。煙突の片側を破壊され、機関出力の低下を招いた。更に徹甲炸裂焼夷弾3発が艦内に突入し、破片と燃焼剤を撒き散らしてシュトゥルムヴィントの艦内に火災を発生させる。
改三式弾も超重力弾もこの距離で撃てば自爆してしまうだけなので、使う事が出来ない。だが、それは特殊砲弾に限った事で、通常弾や徹甲弾系の残弾はまだ余っており、これは超兵器にぶつけても自爆するわけでは無い為、使い切るつもりで叩き込んでいた。
お互い避ける気など無いが、300m級の倭より巨大な520m級のシュトゥルムヴィントは被害が増える一方であり、次第に速力を低下させていた。一見倭が有利なように思えるが、倭も弾薬不足に悩み出していた。この場で超兵器を撃沈する事も可能だが、泊地に戻るまでに深海棲艦と遭遇しないとも限らない。
(弾薬がもう無い・・・・・・横須賀に寄った方が早いな・・・・・・見逃すと後で後悔するかも知れないが・・・・・・深追いは避けるべき、だな。)
「針路、横須賀へ。当海域を離脱する。」
「艦長!敵はまだ戦闘態勢を取っています!ここは撃沈すべきです!」
「・・・・・・副長、艦長の言う通りにしましょう。残弾がほとんどありません。」
「イースタン島にぶち込み過ぎたか?」
「副長、そう急くな。俺達は撃退に来ただけだ。撃沈など何時だって出来る、という事だけ分からせてやれば良い。」
「後でどうなっても知りませんよ?」
副長の意見通り、超兵器はブチ殺してやりたい。だが、最初の目的を【撃退】と定めたのは俺自身だ。シュトゥルムヴィントも撤退を優先したらしく、全残存火力をこちらに向けて威嚇しつつ、黒煙を噴き出しながら次第に速力を上げて海域を離れて行った。
「応急修理、しますか?」
「ああ。これで弾薬も回復してくれたら言う事無いんだが・・・・・・」
「ですねぇ・・・(んな事出来たら一気にヌルゲーになって誰も鋼鉄の咆哮やらなくなっちゃいますよ・・・・・・無限装填装置とか160cm砲とかはアカンぜよ・・・・・・)」
(今副長からメタ発言が出た気が・・・・・・気のせいだろう・・・・・・)
針路を横須賀に向けつつ、シュトゥルムヴィントへの警戒を解いた後、俺はついつい艦長席に座り込んだ。立つ事すら困難なレベルの疲労が今になって押し寄せてきたと考えるべきか。
副長に簡単な指示を飛ばし、倭は横須賀到着まで休憩を取る事にした。考えてみれば、2日間弾薬の補給をせずに超兵器2隻を撃沈し、1隻を今しがた撃退したところ。疲れないわけが無かった。寝る事は出来ないが、ベッドに横になるだけでも大分体力は回復するのだ。取り敢えず総長に連絡だけしておこう・・・・・・
‐30分後‐
「状況は?」
「お休みの所申し訳ありません。救援信号の発信源のすぐ傍まで来ているんですが・・・・・・見当たりませんね。」
休憩して30分ほど経った頃、第1艦橋から救援信号を受信したと報告を受けて戻ってきた。体力もそれなりに回復したから問題は無い。
どうやら救援信号は駆逐艦か軽巡洋艦のものらしく、それも横須賀への針路上に居る為、こちらが対処に当たることとなったが・・・・・・中々見つからない。
『方位075に多数の漂流物あり!』
「人か?」
『判別不能です。』
「・・・・・・航海長。航海灯を点けろ。航海灯点灯の後、微速航行にて漂流物に接近。」
「了解。」
何というか、時雨を助けた時に似ている気もする。クソ冷たい海水で泳ぐのはもう勘弁して欲しいが。航海灯を点けた後、接近していくと少量の漂流物が見えてきた。その中に、スイカのような丸いモノが浮遊するのを俺は見逃さなかった。
「俺だ。人影を確認した。救助班は内火艇で出動せよ。」
『了解であります。』
内火艇が海面に降ろされ、人影の元へ向かい、無事に救助に成功して戻ってきた。どうやら艦娘だったらしく、種別は秋月型防空駆逐艦と判明。幸い意識はあり、治療も済んだと報告があった。
「無事で良かったですね。」
「ああ。正直救えるとは思っていなかったがな。他には見つけられたか?」
『いえ・・・残念ながら・・・・・・他の艦娘の遺体は深海棲艦が根こそぎ回収したみたいですね。』
深海棲艦は回収した艦娘の遺体に残った憎しみや悲しみといった負のエネルギーを利用して仲間を生産しているという説があり、中には鹵獲した艦娘を苗床にして生産しているのではないかという説すらある。
前者は大規模海戦の時に艦娘が多数撃沈される事が前提となるが大体合っている気もする。しかし、後者は何というか想像するだけで吐き気を催すものを想像してしまった・・・・・・これ以上は止めておこう。
『おい待て!何処へ行く気だ!』
『ここか・・・・・・』
「ん?」
「何ですかね?」
艦橋に通じている扉の向こうが騒がしくなった、と思いきや扉を壊さん勢いでブチ開けた者が居た。駆逐艦にしては軽巡に近い身長、犬耳のように跳ね上がった髪が特徴の少女が立っていた。
「僕は秋月型防空駆逐艦4番艦初月だ。救助、感謝する。お前が倭か?」
「ああ。俺が倭型重装護衛艦1番艦倭だ。何か用か?」
「・・・・・・」
初月は何も言わず倭に近付き―――
「ッ!!」バキッ!
「・・・・・・」
「艦長!」
―――全力で殴った。
殴られたといっても彼女は駆逐艦であり、倭は戦艦。防御・出力共に彼女が及ばないのは誰が見ても明らかだ。別によろけた訳ではなかったが、彼女はその目に行き場の無い怒りと悲しみを湛えていた事を倭は見逃していなかった。この子も似ている、と。
「・・・どうして・・・・・・どうしてもっと早く来てくれなかったんだ!姉さん達が・・・・・・
「・・・・・・」
俺は何も出来ない。対超兵器戦艦でありながら超兵器に蹂躙される仲間を助けられなかった事を悔やむしかない。あの世界でもそうだった。助けを求める仲間を見殺しにしてまで超兵器を倒す事に固執するしかなかった。そうしなければならなかったといえばそれまでだが、許される事では無い。
(何が護衛だ。何が対超兵器用戦艦だ。結局何も護れず、周りを傷付けているだけで全く成長していないじゃないか。俺の力は力無き者を護る為にあるというのに・・・・・・)
無力さを感じながら、出発を命じて、横須賀へと倭は進んでいった。横須賀鎮守府に到着すると補給艦が横付けして補給艦妖精達が砲弾を補給し始める。勿論、特殊砲弾は人目に触れぬよう別途搭載した。初月は横須賀第5艦隊所属という事で離艦させたが、その顔はどこか暗い顔であった。
「艦長、殴られた場所はまだ痛みますか?」
「・・・・・・痛みは感じていない。日用品の補給が済み次第出港する。」
「了解。後2時間あれば積み込みは終わります。」
「分かった。各員、出港30分前までは各自自由時間を与える。」
『了解。』
既に日は沈み、夜の軍港の光が倭を照らす。そのマストには赤地に黒い十六条旭日が描かれた不気味な軍艦旗が取り付けられていた事に気付いた者は誰一人居なかった。
シュトゥルムヴィント(以降:シュと表記)「オイ!もっとかっこ良く書いてくれよ!」
え~だってどの道ボコられるの確定してた君をかっこ良くは書けないナァ~
シュ「後で覚えとけよ・・・・・・」
フヒヒwwwサーセンwww
シュ「あ、画面の前の皆!この恋雨に投稿されているコラボ編だが、妖鵞夜雨氏の承諾を得て、本編に組み込まれる事になったぞ!軽く編集したら続投するらしいから待っててくれよ!」
次回『珍客』