あ、春風が腹筋崩壊していますが、そちらが素の春風です。此処から『何時までも堅苦しい言葉なんて使ってらんねぇ!』とばかりにぶっ壊れさせます。
では、本編スタート
夜雨side
「・・・・・・はぁ・・・・・・」
どうしよう。悩んでみても答えはそれだけしか出てこない。先程執務室で渡された書類を何度見ても結果が変わる事は無く、無慈悲に書かれた文面が悩みの種を存在させていた。
今の私の悩み。それはどう足掻いても逃れる事の出来ない演習への(強制)参加指令書。いや最初から分かってはいた。そう、 (よりによって)倭と演習しなければならない事も。
「主砲の射程が推定100km以上、副砲・両用砲が30~20km辺り、機銃類は大体10km程度かと・・・・・・」
「ミサイル類は対空用しか無いみたいだし神電Ⅱなら問題無く振り切れるだろうけど最大の問題は防御力、かな・・・・・・」
私自身の
それに私の榴弾砲ではどう足掻いても抜けない上に対して効果が得られそうに無い。その上、倭の長大な射程と超火力が脅威になってくる。尤も、電化装甲でもある超重力電磁防壁を使えばある程度防げるけど、それでも1発1発の威力を完全に防ぎきれる訳ではないので依然として脅威度は下がらない。
「ですね。自艦の主砲弾に耐えられる装甲かそれ以上を想定しても良いでしょう。後は主砲弾に当たらない様に気を付けないとダメですね。当たれば一瞬で持って行かれかねません。まああれだけ超大口径なら発砲遅延装置を使っても散布界は広いままでしょうし、向こうの射程に入る前に(世代差と)AGSで艦上構造物を(ボッコボコに)叩いて射撃困難な状態に追い込んでミサイルとαレーザーと榴弾砲の連射で完封出来ると思うのでそこまで警戒しなくても大丈夫ですよ。」
「幾ら世代差があるとは言っても経験豊富な相手に私達の戦い方や常識が通じるかは分かりませんよ?」
そう、一番警戒すべきは此処が私達の居た世界ではなく、倭達の世界だという事。衛星が飛んでいるかも怪しい上に、見た目に反して高性能な倭が居る時点でこちらの世界の常識が何処まで通用するか分からない。最悪何もさせてもらえず強制終了させられる可能性がある。
「そこで凪紗ちゃんに倭を攻撃してもらおうかと思うのですが。」
「・・・・・・艦載機は着弾観測のみだそうです。」
「マジ?」
「はい。」
演習の詳細は、
・1対1
・艦載機は着弾観測のみとするが、相手側艦載機を模擬撃墜しても良い。
・相対距離200kmより演習開始。
・使用弾は演習用通常弾、演習用徹甲弾、演習用対空弾のみとし、特殊砲弾は演習用への改造を施し、提督と明石に提出し、承諾を得なければ使用を禁ずる。
・勝利条件は【どちらかに轟沈判定が出るまで】で、【大破撤退とか絶対にありえん(笑)】なので、判定が出るまでおまいらは【超死に物狂いの超全力で足掻くよーに】(←ココ重要)。
・この演習は【対超兵器戦】における単独戦闘を想定したものであり、どれだけ【素早く敵超兵器を捕捉・撃h…
・後ペイント弾使うから演習後は風呂入って十分に休養を取る事。あ、倭と鉢合わせたら一緒に入っても大丈夫よ!(←ココも重要)
・いじょ!
「・・・・・・・・・龍奈さん。」
「・・・・・・・・・後半はダメです。」
「ダメみたいですね。」
何とも酷い文章を見た。本当に酷い文章を見た。多分倭の方は普通だと思う。笹川提督ってこんな人なのかな・・・・・・何というか、若干フリーダムな気がしなくも無い。でも何とかしてこの泊地に早く馴染めるように色々動いてくれている様で嬉しくもある。
スペック上、倭が格上である事に変わりは無い。それでも相手になってくれるというのなら自分の力が何処まで通用するのか知る良い勉強の機会だ。
倭side
「・・・貴女方は何を血迷っているのですか?痴話喧嘩如きで壁に穴を開けるのは止めて頂けませんか?隣が
「・・・・・・(僕は何もしてないのに・・・)」
「・・・・・・(うぅ・・・何で私まで・・・)」
「・・・・・・(倭の布団で寝てたのが不味かったわね・・・)」
「wwwwww」ケラケラ
未だに駆逐艦寮にある自室に戻ってみれば時雨、大鯨、山城の3人が不知火に正座させられていた。しかもご丁寧に壁に穴が開いて不知火が居る陽炎型の部屋が見えている。そして春風、腹を抱えて笑うな。パンツが見えてしまうし不知火が物凄い勢いで睨んでるぞ。
話を聞くと、俺の布団で寝ていた山城(何で俺の布団で寝ていたのかは不明)を起こそうと近付いた大鯨が躓いてお盆に乗せていたお茶を山城の顔面にブチ撒け、盛大な悲鳴と共に飛び起きてしまい、顔を拭いてあげようと近付いていた大鯨に突っ掛かり、言い争いへ発展。それを仲介する為にやって来た時雨に『何時も春風と一緒に倭(さん)を抱き枕(※添い寝をしてるだけ)にしてる時雨(さん)に言われたくない(です!)!』と言われて瞬時に両名を手刀で捻じ伏せたそうだ。
壁の穴は手刀を喰らった山城が後ろへ倒れて頭を壁にぶつけて出来たそうだ。・・・・・・あれ?これ時雨に非は無いような・・・・・・寧ろ突っ掛かる依然に俺の布団で寝ていた山城や(ワザとではないとはいえ)躓いて(何故か淹れていた)お茶をブチ撒けた大鯨に責任が向きそうなんだが・・・・・・
「不知火、もう良い。壁は俺の工作班を呼んで塞いでもらう。」
「ですが・・・・・・」
「・・・・・・3人には俺が言っておく。第3者より部屋の主が言った方が効き目がある。」
「分かりました。そこまで倭さんがそこまで仰るのでしたら不知火はこれにて下がらせてもらいます。」
不知火が部屋を出て行くと、陽炎が穴を塞ぐ為にポスターを取り付けている最中だったので、こちらからはカレンダーを貼り付けて応急処置を施した。未だに正座したままで居た3人に楽にして良いぞと告げると足を崩し、グッタリしていた。
「山城、もう相手に突っ掛かるのは止めておけ。今回は大鯨や時雨、不知火で済んだだけマシだと思うんだ。」
「あのねぇ、顔に熱湯を掛けられたら誰でも怒るでしょうが!」
「それは誰でも怒るが大鯨もワザと躓いたわけでは無いと言ったと思うが。瑞鶴みたいに誰彼構わず突っ掛かるのは止めろと言っただけだ。」
「うぐぐ・・・」
山城の怒る気持ちは分からなくは無い。誰だって熱湯を顔面に掛けられたらブチ切れる(多分)。まあ今回は誰に非があるわけでも無さそうだが・・・不慮の事故で済ませてしまうか。
「一つ聞くが、何故山城が俺の布団で寝ていたのか理由を聞いておこうか。俺も死にたくは無いからな。」ヤレヤレ
「・・・・・・・・・・・・」ニ゛ゴリ゛←顔は笑っていても目は笑っていない状態の時雨
「こ、ここは日当たりが良かったし疲れてたからつい・・・それに良い匂いがしたし・・・・・・」ゴニョゴニョ
「もうダメwww笑い過ぎてお腹痛いwwwwww」ケラケラ
「だから笑うなって。パンツ見えてるぞ。」
「見ないで下さいよ~wwただでさえ倭はドスケベなんですから~ww」
「・・・・・・」
良く分からんがここは確かに日当たりが良いから昼寝には最適だからつい寝転がったら疲労が出てきてそのまま寝てしまっただけらしい。人間は疲れた状態なら昼寝したくなるというから今回の件は致し方ないという事だろう。これ以上俺が言っても何の進展も無さそうなので窓際の壁にもたれながら執務室で受け取った演習に関する書類に目を通す。
・1対1
・艦載機は着弾観測のみとするが、相手側艦載機を模擬撃墜しても良い
・相対距離200kmより演習開始
・使用弾は演習用通常弾、演習用徹甲弾、演習用対空弾のみとし、特殊砲弾は演習用への改造を施し、提督と明石に提出し、承諾を得なければ使用を禁ずる。
・勝利条件は【どちらかに轟沈判定が出るまで】で、判定が出るまでおまいらは【超死に物狂いの超全力で足掻くよーに】(←ココ重要)。
・この演習は【対超兵器戦】における単独戦闘を想定したものであり、どれだけ【素早く敵超兵器を捕捉・撃h…
・後ペイント弾使うから演習後は風呂入って十分に休養を取る事。
・いじょ!
ふざけてるのかそれとも只のバカなのか。この世の何処にこんなふざけた文面を作る提督など世界中何処を探してもここの笹川提督しかいなさそうだ。全く何を考えてやがる・・・・・・仕方ない。
「霧島、俺だ。マスブレの使用制限を解除する。」
『・・・分かりました。司令が何かやったんですね。では今からお仕置きに向かわせてもらいますね・・・・・・』
提督の性格は死んで転生しても直らなさそうだと思いながらふと視線を布団があった場所に向けると既に布団は撤去され、時雨がこちらに背を向けて畳を拭いていた。どうやら畳にまで染み込んでしまった様だ。
「済まん。本来は俺が片付けるべきだったな。」
「気にしなくて良いよ。僕が好きでやっているだけだから。」
「そうか。大鯨と山城はどうした?」
「2人共布団を洗いに行ったよ。お昼はどうするの?」
「む、もうそんな時間か。食堂は・・・遠いから面倒だな。加えて外は雨、か。仕方あるまい。艦で食べるとしよう。」
「じゃあ僕が作るよ。まだまだ勉強したい事もあるからね。」
「分かった。」
演習は明日の朝からである為、それまでにやらねばならない事が腐るほどある。正直面倒だが、やらないと演習に出られないので余計に面倒な事になる。これ以上考えても無駄と判断し、外套を羽織リ、時雨にも同じ素材の外套を渡す。少なくともこの外套を着ていれば雨風に悩まされる事は無い。
「それで?夜雨さん、を倒す算段はあるのかい?」
「・・・・・・火力、防御、速力共に俺が勝っているが、向こうは遠距離攻撃が得意だが対する俺は苦手(出来ないとは言っていない)だ。恐らく開始直後からミサイルの嵐かもしれん。取り敢えず向こうのペースに乗せられない様に戦うしかない。」
「・・・・・・それって何時も通りに【絶対に避けられない距離まで近付いてぶっ殺す作戦】じゃないか。」
「艦上構造物でもとりわけ脆いのは艦橋だ。第三次ソロモン海戦の比叡が良い例だ。アイツは艦橋をボコボコに撃たれて指揮系統にダメージを受けてた筈だ。」
倭が言った通り、WW2の第三次ソロモン海戦において戦艦比叡は探照灯を照射した為、敵の集中砲火を受けて艦橋や船体に損害が発生。艦内電話が不通となり、発砲電路が切断されて主砲の一斉射撃が出来なくなり、無力化された。
WW2時代の戦艦は砲撃距離が遠くなるにつれて船体が巨大化し、艦橋も高くなる傾向があり、そういった戦艦の艦橋には装甲が施せなかった。艦橋、それも高い位置にある構造物にまで装甲を付けると重心が高くなって不安定となってしまう。それを防ぐ為、艦橋に装甲が施せない。更に比叡の例もある上に夜雨には280mmAGSと呼ばれる速射砲が搭載されている為、倭はこれを一番警戒していた。
倭も見た目だけならWW2時代の戦艦であり、艦橋も細部が違うとはいえ、大和型そのものである事に変わりは無い。変わりは無いのだが・・・倭は艦橋に310mmの装甲を施していた。他の装甲と比べれば見劣りするが、小・中口径砲弾での被害を少しでも減らすべく取られた措置でもある。当然重心が高くなって不安定になるのだが、あくまで第二艦橋までしか施されていない為、然したる問題では無かった。余談ながら、第二艦橋から上の第一艦橋などは200mmしかない為、真っ先に吹っ飛ぶのは目に見えている。
「戦艦としての常識を覆しまくってる倭に言われてもね・・・何とも言えないよ。」トオイメ
「そんな事したか?」
「うん。演習の度に目の前で180度回頭して突っ込まれて震え上がらされる僕等の身にもなったらどうだい?」
「超兵器にもいきなり急旋回かまして来る奴が居るんだが。」
「真横なら兎も角、君の場合は180度、つまり真後ろに進行方向を変えるじゃないか。危険極まりないよ。」
「む、手厳しいな。」
「何時もの事さ。」クスクス
そう言って笑う時雨を横目で見ながら艦へ入り、外套を脱いで軽く振って水を落とす。近くに待機していた生活班の妖精に2人分の外套を渡して艦長室に持って行ってもらう。その間に食堂へ行くと、副長と砲術長、航海長などの幹部達が食事にあり付いていた。
「あ、艦長。この後ちょっと演習の件でお話がありますが宜しいですか?」
「ああ。対策会議はやっておいて損では無いからな。十三三〇までに幹部は司令塔へ全員集合だ。」
『了解。』
各々が好きな食事を取り、腹を満たしていく。俺は何時ものカレーを、時雨は鯖の味噌煮定食を受け取り、手早く食事を済ませようとして、時雨が若干浮かない顔をしている事に気付いた。
「どうした?」
「何でも無いよ・・・とは言えないかな。君には隠し事は出来ないからね・・・・・・こんな事を言うのは凄く失礼だけど僕は『君が夜雨さんに勝てないかもしれない』って思ってるんだ。」
「・・・・・・」
「君は今まで沢山の深海棲艦や超兵器を捻じ伏せてきたよね。でも今回は勝手が違う。火力、装甲、速力で勝っていても世代差がある。向こうが遥かに最先端だからそう思っちゃったんだ。ごめんよ。」
確かに【世代差】はある。だがそれと同じくらい重要な事を彼女は忘れている。俺が転位前に積み重ねてきた超兵器戦や等の【経験の差】だけは夜雨に負けているとは思わない。それに夜雨はまだ『本当の大量殺戮や超兵器戦に慣れていない』目をしていた。
だから策は少ししか練らない。艦隊行動が前提の彼女と違って俺は艦隊行動など度外視された
世代差がある為にハイテクシステムに頼る事が悪いとは言わない。だが夜雨達は頼り過ぎているように思える。まぁ向こうからすれば俺は相当な旧世代戦艦だろう。自衛兵装が機銃と少ない両用砲だけしか無い上に命中率の低い超大口径砲を載せた役立たずと思われているかもしれない。
だがそれで良い。そう思って誰か1人でも慢心してくれれば多少はこちらが付け入る隙が生まれる。対処困難なまでの想定外の事が起きてくれればその隙は更に大きくなり、一気に追い込みを掛けられる。その分リスクも高いが特殊砲弾を使わない場合、これ以外にアウトレンジ戦法を使う相手に勝つ方法が無い(多分)
「世代差なんて経験で補えば何とでもなる。何世代進もうが経験を積まず、使いこなせないなら只のガラクタに過ぎない。それに加えて【超大口径砲は火力はあるが命中率が悪い】と思い込んでいる可能性は十分あり得る。」
「・・・やっぱり何時も通りだね、君は。」
「俺はそれしか出来ないだけさ。それ以上でもそれ以下でも無い・・・いや、それで十分なんだ。」
夜雨side
夜が明け、朝焼けが目の前の海原を明るく染め始める。演習開始の合図を待つ私の甲板を潮風が撫で、艤装の間を通り抜けていく。今頃倭は私から200km離れた地点に到着する頃だろう。それにしてもこの胸騒ぎは何だろう・・・嫌な感じね・・・
「というわけで凪紗さんには索敵と着弾観測をお願いしますね。」
「何がというわけでなのさ。変に端折ると碌な事起きないよ~?」
早速メタ発言が・・・・・・そういう事は
「ま、いっちょやりますか!」
「あ、互いの艦載機は撃ち落としても良いらしいので無いとは思いますけど敵機には十分気を付けて下さいね。」
「うぃーっす」
「深淵はどうします?」
「う~ん、今の所は待機で良いんじゃね?幾ら広いといってもヘリポートのど真ん中は狙えないと思うし。」
それフラグのような気が・・・・・・まぁ気にしないでおきましょう。と、そうこうしている内に通信が入ってきた。どうやら笹川提督直々のようだ。
『あ、夜雨さん。後1分後に演習開始よ。準備は出来てる?』
「はい。準備は出来てます。何時でも良いですよ。」
『・・・なら良いわね。後、倭に攻撃する時に一言助言させてもらうわ。』
「はい?何でしょうか?」
『倭から100km圏内には絶対に入らない事。これさえ守れば完封出来ない事は無いわ。』
この言葉はある種の警告と取っても良いのだろうか。まるで倭から100km圏内に入ったら即座に私が負けると言っている様に聞こえる。
「・・・・・・出来ない事は無い、という時点で倭を完封させてもらえない感が凄まじいのですが・・・」
『ま、やるだけやりなさい。戦えば嫌でも結果は出るわ。貴女が【殺し殺される覚悟】と【大罪を背負って生き続ける覚悟】を持っているのなら、ね。』
「・・・・・・」
『要するに気持ちの問題っていう奴ね。倭や超兵器を相手にするにはそれくらい必要なのよ。アイツは途方も無い代償を払って今を生きてるから・・・・・・』
「はぁ・・・」
『あ、ゴメンね。つい変な事言っちゃったわね・・・・・・分からないなら分からなくても構わないわ。後、30秒で開始するから自分でカウントしてね。それじゃあ今日頑張ってね!』プチッ
「・・・・・・」
今の言葉がこの演習に必要?分からない。この泊地の人達の言う事がいまいち理解出来ない。根性論というか精神論というか・・・・・・悪く言えば勘に頼っていい加減な面が目立つ。倭に至っては殆どの艦娘達とコミュニケーションすら取らず、協調性が皆無だ・・・・・・前者は兎も角後者は倭の素性や日常生活を知らないから出た意見なのだけど。
きっちり30秒経った瞬間、演習開始のブザーが鳴り響き、ヘリポートから神電Ⅱが素早く飛び立っていく。
『こちらナイトメア。これから倭を探すねー。っていうかGPSが作動してないからちょっとヤバイかも。』
「了解。こちらのGPSも反応が無い。辛うじて海図があるから何とかなる。見つけ次第、位置をお願いします。」
『ナイトメア了解。さぁ~て、手っ取り早く見つけてサーチ&デストローイ!』
こういう時、神電Ⅱが居てくれるだけで大分状況は変わる。
位置がわかり次第、繚乱2型/63式<対艦ミサイル>を叩き込んでレーダー類等、人間で言う目を潰す、と言いたいがGPSが使えない今、手元の端末や方位計測類の一部等の大半の位置情報を使用する機器が使えなくなっている。
その上神電Ⅱの帰投システムも使えないと思う。
超大口径砲を搭載する戦艦にとって超遠距離攻撃を行う為にはレーダー照準射撃が必要であり、そのレーダーが潰されれば命中精度は大幅に下がり、脅威度も格段に下がる。勿論相手の土俵で戦うなんて事はしない。下手をすればこちらがやられるからだ。
「繚乱2型、63式の発射準備。目標を見つけ次第発射。神電Ⅱに誘導してもらいます。」
だからこそ遠距離から安全かつ相手が不利になる状況を作り出して先に仕留める。所謂【First look First shot First kill(先に見つけ、先に射ち、先に撃墜する)】を実行する。尤も周囲に味方艦が居ないからやり辛いと言えばやり辛いかもしれない。倭とは違ってこちらは艦隊行動が前提なのだから。
「これで凪紗ちゃんが見つけてくれたらワンチャンありますね。」
「・・・・・・まだ分かりません。AGS攻撃準備。起動をお願いします。」
「了解・・・およ?」
「ん?どうしたの?」
「分かりません・・・システムエラー・・・。これは・・・・GPS信号が受信できていないみたいですね。」
「もしかしてこの世界には人工衛星が飛んでいないんじゃ無いでしょうか・・・・・・」
可能性としては大いに有り得る。GPSが反応しないという事は人工衛星が居ない事も意味している。事前に調べる間も無く始まった演習の所為だと嘆きたいがそうも言っていられない。
「GPSが無くてもINS(慣性航法装置)だけでも射撃は出来ます。精度はガタ落ちしますけど・・・・・・」
「こうなるとαレーザーでの攻撃に切り替えた方が良いですね。」
龍奈さんの意見にそうですねと答えようとした時、神電Ⅱからの無線が入った。
『こちらナイトメア。聞こえる?現在位置より方位270、距離120kmに目標を発見したよ。現在同航戦ね。』
ようやく届いた発見の報告に少しホッとし、ミサイルの嵐を叩き込もうとした瞬間、凪紗がとんでもない報告を寄越してきた。
『あ、それと倭の主砲が動いてるよ。撃つ気だね。』
「やっぱり射程は120kmか・・・っ?!」
既に射程内に居ると教えられた瞬間、凄まじい衝撃が夜雨を揺さぶった。外部モニターを確認してみると衝撃で砂嵐になっていて様子が窺えない。
『艦橋見張りよりCIC艦橋!左舷20mに水柱!恐らく敵弾です!』
「はい? 神電Ⅱ、敵艦の発砲は確認したか?!」
『してないよ。てか被害は?』
「左舷中央部から約20m地点に至近弾!以上!」
この時、夜雨達や倭高高度上空に居座る凪紗は分からなかったが、倭が撃ったのは1発だけであり、1番主砲中央の砲身を下げて次弾装填中。残り2門が夜雨を睨んでいる状態だった。
2、3、4番主砲も演習用の通常徹甲弾と通常弾を装填して夜雨を待っている。
そして、轟音と共に1番主砲から2発の通常弾が撃ち出され、120km離れた夜雨に向かってすっ飛んでいくが、その発砲炎は何時もの倭を知る者なら違和感を覚えるほど巨大だった。
『主砲発砲!数2!』
「取舵20!全速前進!敵艦の射程から離れる!」
「取舵20よーそろー!全速前進!」
推定でも後5分はしないとこちらには届かない。だからその間に離れてミサイルを叩き込む。
神電Ⅱが倭の位置を特定し、私は倭に向けてレーダー照射を開始する。
「繚乱2型、63式、発射!」
「発射!」
VLSハッチが開き、繚乱2型と63式が一斉に倭目掛けて飛翔していく。
「αレーザー、演習出力で照射、始め!」
αレーザーⅢが倭を捉える寸前、衝撃音が轟き、艦首と艦尾が赤いペイントで彩られた。
倭の布団はどうだったかな山城ちゃん?←全ての元凶
山城「アンタの所為でエライ目にあったんだけど。」
で?良い匂いでもしたかなぁ?
山城「そりゃ・・・良い匂いだったけど・・・・・・」ゴニョゴニョ
何ぃ~?聞こえんなぁ~?さぁ大きな声で言ってみましょうか!せーの!
山城「うるさいわよぉぉぉぉぉぉ!//////」E.ヒュージキャノン
【不明ナユニットガ接続サレマシタ システムニ深刻ナ障害ガ発生シテイマス 直チニ使用ヲ停止シテクダサイ】(マギーver.)
ちょ、おまwwwwそれ主任砲wwww
山城「不幸だわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!//////」ドーン
※作 ☆ 者 ☆ 消 ☆ 滅 ☆
※倭の外套
普通の黒いコートではあるが、レインコートや防弾コートとしての機能も兼ね備えている。雨に濡れてもバサバサ振ってやればものの数秒で完全に乾き、油系を掛けられない限り燃える事も無い。
特殊素材を利用している為、重機関銃程度なら弾くほどに頑丈ではあるが、非常に軽い為、兆弾などで外套の下からの攻撃には弱いなどの欠点もある。
また、外套内にフランキ・スパス程度の銃火器類を隠せる為、人目を気にせず武器を持ち歩く事が可能。
誤字脱字等ありましたら報告の程願います。
次話:性能差と経験差
あくまでタイトル通りになるとは限りませんのでご了承ください(シネ)