をしてしまったCFA-44です、はい。ちょっとニコニコ動画でACfaの関連動画でとある方の第8艦隊襲撃シーンを見ていたら唐突にやりたくなったので中編なんて突っ込みました。本当にすいません(棒読み)
では本編へごー!
夜雨side
検討会を途中で切り上げて立ち去る際に倭が置いていった分厚い書類の束。その一番上には簡素に、
「超兵器との交戦情報」
と書かれていた。超兵器にも種別が幾つもあるのは知っているが、数枚程度か電子媒体で収めれば良いものを何で数センチのサイズになるまで書き連ねたのか。そんなに超兵器は存在し無い筈。
だけど、目を通す度に異様さが目立った。倭の命中率と比例するかのように被弾率が高い。あの速力と火力ならアウトレンジで一方的に叩けるはずなのにどうしてこうも被弾率が高いのか。
更に言うと、倭と超兵器の彼我距離が近過ぎる。同航戦と反航戦を僅か50m足らずの彼我距離で撃ち合い。互いの全力を叩き込むだけの無謀とも蛮勇とも取れる危険極まりない戦闘。一緒に見ていた凪沙は一瞬にして興味を無くし、目を通さなくなったけど。
でも、私は何となく気が付いた。彼は常に目立つ位置取りをする。自前のステルス能力を活かせば良いのにそれを使わない。あくまで推測に過ぎないけど“出来うる限り被害を自分だけに集中させようと”戦っている。被害が1隻に集中する代わりに他艦への被害は抑えられるというリスキーすぎる戦法。
その影響か、超兵器と交戦する度に中・大破レベルの損傷を繰り返しているようだ。作戦成功の為なら命すら投げ出しそう・・・・・・それを今でも彼は変えようとしていない事が文面からも見て取れる。そこから先は本人に聞かないと分からないだろうけど。
「艦長!レーダーにマリアナ方面より飛来したと思われる敵航空機4機を捕捉!距離500km!」
「了解。春風からの指示は?」
「・・・・・・『取り敢えず航海灯は消してねおバカさん。』と・・・・・・」
「えぇ・・・・・・」
航海灯つけてないと
「倭より対空ミサイル4発発射を確認!」
「春風より加命!『全艦60ktへ増速。全周警戒を厳に。』以上!」
「両舷増速。60ktを維持してください。」
倭、私、春風の順を維持しつつ30ktから60ktへ増速。不思議な事にジグザグ航行をするのではなく単調な直線航行を続けたままだ。CICのモニターを見ると、倭の主砲が全て左舷側、つまりマリアナ諸島方面を向いている。
夜間の空襲を想定しての行動なのか、と思うがしばらく進むと元の位置へ戻していた。と、いきなり倭が速力を落として春風の横へ移動し始めた。慌てて舵を切って回避したから良かったものの、乗員からは危険だと批判の声が挙がっていた。まあ無理も無いと思う。事前連絡も無しに行動してくるのだから。
倭は春風を自分に乗艦させてさっさと敵の索敵網から抜け出したいようで、春風を回収すると私を追い越して先に進んでいく。
「・・・・・・あの戦艦、自分勝手過ぎません?」
「それは分からなくも無いけど・・・・・・」
『観測班よりCIC。倭より発光信号を確認!『最大戦速ニテ敵索敵圏外ヘ離脱スル。』以上!』
(やっぱり索敵圏内をウロウロしたくないですよね・・・・・・敵に居場所がバレて居るから尚更でしょうけど。)
そう思いつつ機関出力を上げて91.5ktを発揮。倭は付かず離れずの距離を保つように100kt前後で前方を進んでいた。
倭side
「まもなく敵索敵圏外から離脱します。」
「離脱後も速力に変更は無し。このまま単冠湾鎮守府に向かいましょう。」
「そうだな。発光信号で夜雨にも伝えておけ。」
「了解しました。」
P38の全滅を確認した後、さっさと離脱にかかったのは余計な交戦を避け、早めに単冠湾鎮守府ヘ着きたかったからだ。普段から弾薬を節約しろと言われるから余分な弾薬を使う意味など無い。グアムで戦っている連中には悪いが、マリアナ基地攻撃は加命されていない為、全力でスルーさせてもらう。
そもそもの話、今の上層部(総長や一部の提督達は除く)が無能なのも相俟って提督達一人一人への負担が一方的に増え続け、膨大な数の艦船を本来の用途以外に使用する事が恒例になり始めている所だってある。
俺はまだマシな方(艦隊戦、超兵器戦、潜水艦隊支援、輸送任務が割り当てられているくらい)で他所だともっと過酷な状態なんだとか。特に駆逐艦と潜水艦は休み無く出撃を繰り返して大規模作戦の為の資材確保に走り、それでも足りない資材は不要と判断された艦や建造で出来た同一艦を解体して得ているらしい。中には資材の横流し、或いは裏ルート等で高値で売り捌く事で賄っている鎮守府もあるとか。
で、何故こんな話をしているかというと、回収した初月から本土鎮守府のお寒い懐事情を聞いていたからだ。
それもそうか。本土組は近海の哨戒任務か迎撃任務、護衛任務等が主流になっているから大型艦は中~大規模の攻勢作戦以外に出張る事が無い状況で、最低6個艦隊程度なら軽く捻り潰してしまう超兵器という存在も増えて三つ巴状態になったのだ。
深海棲艦相手に勝利を収めてくれれば取り敢えず何も言わんが、超兵器戦にまで参加しないでくれと思う。寧ろ足手纏いにしかならないから来るなと言いたい。久遠総長からも超兵器戦への対応は
(前例があるってのに何故分からんのか・・・・・・出世欲に塗れた連中が武功でも立てたがっているのか、それとも俺達を有する笹川提督を妬んでいるのか・・・・・・妬みはありそうだな。数少ない女性提督で、親父さんの友人のツテで提督になった、とか言ってたし。)
こんな所で話すのはどうかと思うが、笹川提督のご両親は既に他界されている。父親は深海棲艦との戦闘で。母親は持病の心筋梗塞で。親戚からも見放されて盥回しにされていた幼い笹川提督の近況を知った父親の
見放された辺りは俺とちょっと似ている気もする。それと、引き取ってくれた厳慈大将には今でも頭が上がらないみたいだ。
因みに言うと彼女が最も嫌いなのは航空機による機銃掃射。父親の戦死理由が機銃掃射だから、と山城が言っていた。山城と扶桑は笹川提督の父親の代からトラック泊地で戦い続けた古参で第一艦隊旗艦も長門達と交互に務め、常に最前線に在り続け、42回目の旗艦任務時にその最期を看取った。それ以来、漂流兵への機銃掃射を禁じているそうだ。尤も、地上基地への機銃掃射は普通にやらせているらしいが。
一直線に単冠湾へ向けて北上を続け、五日程で単冠湾鎮守府近海に到着。出迎えには数隻の駆逐艦・・・・・・いやこれは占守型と択捉型、海防艦か。こういう地域でも海防艦は必要になるのか。
「艦長、単冠湾鎮守府より通信が入っています。」
「・・・・・・開け。」
『こちら単冠湾鎮守府司令の坂東だ。ようこそ、とは言うほどの施設は無いが作戦完了までよろしく頼む。』
「・・・・・・こちらトラック艦隊、倭だ。こちらもよろしく頼む。」
海防艦3隻に囲まれ、港湾施設ーーーと言っても一部が木造の桟橋周辺は浅過ぎて接舷出来ないーーーの周辺へ投錨。俺の右舷側に夜雨も投錨し、出迎えに来ていた海防艦に移乗して桟橋へ向かう準備を整えていた。
俺の出迎えに来たのは海防艦『占守』で、中々暖かそうな服装をしている。俺達の冬服デザインに取り入れても良さそうだ。
「単冠湾鎮守府所属の占守型海防艦1番艦占守っす!よろしくっす!」ケイレイ
「トラック泊地第二艦隊所属、倭型重装護衛艦1番艦倭だ。」ケイレイ
先に挨拶をしようと思っていたが、先を越された。占守が何となく緊張しているように見える為、ふと階級章の存在を思い出した。
(こんなもん今は会ってない様なもの、で良いか。)
そう思いながら階級章を取り外してポケットにしまう。それを見た占守が「?」となっている間に俺に移乗していた艦娘数名(時雨・龍鳳・春風・摩耶・初月・弥生)も『占守』ヘ乗り込んでいく。
夜雨の方には択捉が向かったようで、既に和気藹々とした雰囲気で桟橋に向かっている。正直ああいう女性特有の雰囲気は好きになれない。どうも居心地が悪く、自分は場違いだと感じてしまう。向こうにそんな気は無くても、俺が華の中に居ない方が盛り上がるだろう。寧ろ居たら邪魔扱いされそうだ。
ようやく動き出した占守の甲板でそんな事を考えていたが、居心地の悪さを奴等に指摘される等、この時の俺は微塵も想定していなかったーーー同時に、自分の心の闇が更に肥大化していく事さえ知らないままーーー
弥生side
久し振りに倭さんに乗せてもらった。以前と変わらない倭さんの艦内の雰囲気。規律に縛られたりする私達とは違って戦闘直前まではダラダラしていて、いざという時は研ぎ澄まされた雰囲気にパッと切り替わる所が私は気に入っている。
トラック泊地で移乗前に『夜雨さんの方に乗らないの?うーちゃんなら乗るぴょん。倭さんは狭過ぎて息苦しいぴょん。』って卯月に言われた・・・・・・確かに見学させてもらった時は内装とかそういうのは倭さんの数倍は良いけど・・・・・・駆逐艦や潜水艦の娘達みたいに居住空間が狭い倭さんの方が私は落ち着く。広過ぎるのに慣れていないのもあるだろうけど。
卯月の言う息苦しいっていうのは卯月が倭さんに苦手意識を持っているから。下手に悪戯を仕掛けて怒らせると怖い雰囲気を持っているのは分かるけど。
(やっぱり、落ち着きます・・・・・・)
倭さんに気付かれない様に時雨とそっと横に居るけど不安が全部消し飛びそう無くらい安心出来る。袖を引っ張ってみると私達に気付いた倭さんは慣れた手つきで私達の頭を撫でてくれた。
子供扱いはしないで欲しいと思う反面、もう少しこの至福の時間を味わっていたいと思っている自分。今回の任務に参加しているのは単に数合わせだけじゃなくて、偶には倭さんと組ませて欲しいという我侭を提督が認めてくれたから。
予定では1日だけここに泊まって、そのままアッツ・キスカ島への攻撃に向かう事になっていた・・・・・・筈。何も無かったらそのままトラック泊地へ帰れるみたいだけど・・・・・・絶対何か起きる気がする・・・・・・
夜雨side
単冠湾鎮守府に到着し、ここで一日だけ御世話になる事に。まだ秋にもなってないのに何でここは寒いんですかね?
一先ずここの提督さんに挨拶に行く事になり、移乗させていた艦娘の皆さんと一緒に迎えの海防艦に乗り込む事になった・・・・・・のは良かったんです。
高雄「ここは何時も通り冷えますわね。」ドンッ
潮「そうですね・・・」ドドンッ
秋月「こ、このくらい、秋月はなんとか・・・・・・」ポヨン
照月「あ、秋月姉?震えてるけど無理してない?」ボヨン
能代「高雄さんは袖があるだけマシですよ。私と矢矧なんて袖無しなんですから・・・・・・ってアレ?矢矧だけ何でそんな外套着てるの?」ボイン
矢矧「これ?倭に言ったら貸してくれたわ。凄く暖かくて心が落ち着くわ。」ボイン
何で私に乗ってきた艦娘の皆さんは出る所出てるんですかね?ただの嫌がらせの為の人選に思えるんですが。龍奈さんはブツブツ言いながら部屋に篭っちゃうし・・・・・・下を見たら私はつま先が見え・・・・・・悲しくなってきました。
(改装とかで大きくなれば倭に気付いて貰え・・・って私また倭の事を//////)
桟橋へ降りた所で倭の方へ行っていた占守さんも丁度桟橋に着いた所だった。倭達と合流し、択捉さんの案内(占守さんはこれから哨戒任務という事で付いて来なかった)を受けて鎮守府の執務室へ通された。
「ようこそ、単冠湾鎮守府ヘ。私が当鎮守府司令官の坂東だ。作戦完了までよろしく頼む。」ケイレイ
それに対して全員が敬礼。ただ、倭はラフに敬礼していたけど。坂東提督は渋い声とは違って相当なイケメン。
(倭と比べたら・・・・・・勝らずとも劣らず、ですね。ってまた私はぁぁぁぁ!)
「何か質問とかあるかな?」
「では一つ頼みたいが宜しいかな?」
「何だろう?」
「ここの艦隊の実力が知りたい。少々手合わせがしたいのだが構わないか?」
まさかここで演習を申し込むとは思わなかった。そして倭の顔は不敵に笑っているようにも見える。もしかしたら暇潰し、でしょうか?
「ふむ、択捉。主力艦隊を演習に出しても問題は無いかな?」
「はい。皆さん万全の状態で待機しています。演習程度なら問題は「言っておくがお前にも出てもらうぞ。」え?」
ここに来て倭が演習に出る人選を指定した。よりによって海防艦の択捉さん。あまりにも絶望的な戦力差でも見せ付ける気なんですかね。
「択捉まで?」
「そうだ。面白そうだからな。」
「はぁ・・・で艦船状態での演習で良いのかね?」
面白そう、だけで演習に組み込むなんて・・・・・・
「いや、艦船状態だと簡単に勝負が付くからつまらんし、多少のハンデも必要だろう。こちらは特殊機関砲とその他兵装のみで戦わせて貰う。主砲を使う気は無いしな。それと、全速で駆け回る。」
「・・・・・・」
開いた口が塞がらないとはこの事なのか。単艦で、しかも機関砲とその他兵装のみで演習をするなんて舐めているのかと言われてもおかしくなさそうですね。現に坂東提督と択捉さんは本当にポカーンとしています。
その後、演習の時間を決めてから執務室を後にして宛がわれた部屋に移動。私達はゆっくりしているけど倭は自艦に戻って何やら作業をしている。
「・・・・・・春風、倭の言ってた事だけど、本当に出来るの?機関砲とその他だけで。」
「何を今更。倭の簡易兵装は少し弄ってやればあっという間に
え、大口径ガトリング砲って88mmバルカン砲以外は発射レート低すぎて使えなくないですか?正直88mmバルカンも実射程とかの差異で使えないから特殊機銃って要らない気が・・・・・・あんな産廃使うよりミサイルとAGSを使えば・・・・・・
「特殊機銃?」
「ええ。単発火力は大口径砲には劣りますが多砲身とガトリング機構で通常砲を上回る瞬間火力を叩き出す事が可能な特殊兵器です。それなりに普及したのは57mm、88mm、127mm、155mm、203mm、254mm、356mm、381mm、406mmで、最大でも510mmガトリング砲までが開発されていて、それぞれが単装・連装・三連装とかなりの種類があります。私達が居た世界は大航海時代並に接近戦が多い戦争でしたから大口径ガトリング砲は重宝されていました。特に88mmバルカン砲は超兵器戦争時に劣勢に立たされていた解放軍に貢献した特殊機銃です。取り回しの良さと巡洋艦程度なら瞬殺出来る安定した瞬間火力で搭載する艦は多かったです。一時期倭にも搭載案がありましたが搭載するスペースが無かったのと既に57mmバルカン砲を多数搭載していたので見送られました。」
「へぇ・・・・・・」
「帝国側は超兵器という巨大なプラットフォームがあったので381mmや406mmの大口径ガトリングを連装や三連装にして搭載していました。」
聞いているだけでも超兵器に88mmだけ盛っておけば良いじゃんと思ってしまった。大口径ガトリングの発射レートは凄まじいまでに低いし、スペースを無駄に食うのが嫌かな。
「まあ正式に採用されたのは406mm連装ガトリングまでですね。帝国が406mm三連装ガトリングの開発に躍起になっているのを聞きつけた解放軍の変態技師達が510mm五連装ガトリングを試作してましたけど。」
『510mm五連装?!』
510mm五連装ガトリング・・・・・・重過ぎてサイズ的にも双胴戦艦にしか載せられない兵器ですね・・・・・・恐らく完成していても旋回力が無さ過ぎて即産廃でしょうけど。
「私の世界の特殊機銃は発射レートが低いからほとんど使われてませんでしたね。一部じゃ産廃扱いされてましたよ。というか機銃積むならCIWSで良いんじゃないんですか?」
「それに関しては開発陣営とリアル設計者に文句を言わなきゃなんともなりませんね。そもそも世代が違いますから。」
開発陣営に文句を言った所でなんともならないのですがそれは・・・ってサラリとメタイ事を・・・・・・というより倭に関していくつか聞きたい事があるんだった。帰ってから聞くより今居る内に聞いておかないと。
「春風さん、でしたね。幾つか聞きたいんですが良いですか?」
「何ですか?」
「倭は、どういう戦艦なんですか?書類を見る限りでは単艦での戦闘行動が目立ちますけど。」
「・・・・・・倭は『重装護衛艦』なんて大層な名前が着いてますけど解放軍時の書類では『対超兵器用超高速戦艦』として書き直されています。これは敵制空・制海権下へ単艦で侵入し、敵勢力を殲滅しながら超兵器と至近距離で殴り合う事を重視した結果なんです。つまり超兵器と同じ様に『一対多の戦闘を前提とした戦艦』と言えるでしょう。おかげで重火力・重装甲・高機動とバランス良く高水準に纏められた性能に仕上がりました・・・が、やはり弊害は出るもので、貴女達も経験した様に主兵装や補助兵装の為に居住空間は徹底的に削られています。WWⅡ時代の潜水艦より酷い場所もありますからね。」
単艦で敵勢力圏内へ侵入して殲滅しながら超兵器と至近距離で殴り合うという時点で艦隊行動を度外視している事が分かる。
遠距離から相手の数を減らして多少の安全を確保してから突っ込むなら分からなくもない。春風の言うような『一対多の戦闘を前提』は設計ミスとしか言えない。
「超兵器戦を重視している以上、通常戦艦との共同作戦はほとんど考慮されていません。」
「僚艦との共同作戦をほとんど考慮していないって不味くないですか?対超兵器に特化しているなら仕方ないでしょうけど単独行動は自殺行為じゃないですか?」
「確かに考慮されていないのは不味いかもしれませんね。でもそれをしてしまうと艦隊を組んだ際に倭の大きな足枷になる上に僚艦にも負担を強いる事になるんですよ。」
(足枷と負担を強いる?どういう事?確かに倭との性能差は大きいけどそこは目を瞑れば良いんじゃ・・・・・・)
「ぶっちゃけると『倭も超兵器と同類』なんですよ。本人もある程度自覚はしているでしょうけど。扱いにくい上に広域多量破壊兵器を複数搭載する以上、解放軍で煙たがられていましたから間接護衛を就けて倭は単艦で戦闘海域に突入させる方法を取っていました。・・・・・・何が起きても独りで沈んで良い様に仕向けられた、といっても良いでしょう・・・・・・『
(イエローモンキー?白人優越主義がまだまだ残っているようですね。もしこの世界でもあったら論破してやりましょうか。)
というか聞いている限りこっちの世界だけじゃなくて前の世界の解放軍でも肩身が狭い思いをしていたのが分かる。
「あの戦争で帝国が行った侵略行為は到底許されるわけではありません。ですが、解放軍も『帝国の蛮行を止める』と言う大層な正義の旗の下に解放を頑なに拒んだ地域に対しての大量虐殺任務を平気で倭や私達に遂行させましたから・・・・・・映像は後日見せますが、戦争の真実を隠す為に超兵器達の一部は歴史の闇に葬られていきました。それ故にあの世界の歴史に記載された超兵器はほんの一握りだけなんです。」
「・・・・・・」
侵略されたから同じ目に遭わせてやるとでも考えてたんですかね?これはちゃんと頭の中を洗浄してあげなきゃいけませんね。別世界の事とはいえ、非常に腹立たしい。自分達の
「・・・・・・さっき『超兵器達の一部は歴史の闇に葬られていった。』って言ってましたけどそれって・・・・・・」
私の想像が正しければ超兵器の一部というのは帝国側の事では無いのかもしれない。そう、勝った側にも超兵器がいるのだからその者の歴史を葬ってしまえばあたかも超兵器無しで帝国を打ち破った事になる。
「ええ。それが“倭”の事です。倭の情報はほぼ全て削除されて日本国内では閲覧すら不可能になっています。全て、向こうの世界の
「・・・・・・」
「倭は生まれて日本を発ってから数回だけしか日本の領海内に入った事はありません。自国製の原子力戦艦が領海内に入る事に激しく抗議されたのですが、帝国の夜襲艦隊と対馬沖に現れた超兵器を迎撃する為に日本政府の声を無視する形で呉と佐世保、各自衛隊、在日米軍の協力の下で領海内に進入し帝国軍を迎撃しています。その後は領海内どころかEEZ外への退去を余儀無くされましたけどね・・・・・・」
そう言った春風は視線を虚空で彷徨わせていた。解放軍で肩身の狭い思いをさせられた挙句、沈んだ後に製造元の国に存在すら抹消される事があって良いわけが無い。まして
核へのアレルギーが凄まじいとはいえ、命懸けで帝国の占領から解放する為に尽力した者への仕打ちとしてはあんまりだ。そう思った直後、春風はとんでも無い事を口走った。
「だから倭が人間を憎悪しているのは至極当たり前の事でしょう。特にアジア系は完全にアウトです。今は時雨ちゃんがストッパーになってるから助かってますけど。」
人間を憎悪?つまり人間であれば等しく憎しみの対象、という事?だとすれば元人間で現艦娘の私も対象に入ってしまうのかしら?この世界ではWW2の時に沈んだ艦船の魂が妖精によって呼び出され、人間の姿を模したのが艦娘、という事らしいのでギリギリ該当しないのかもしれない。
そう思うと何故か胸が締め付けられる感覚に襲われた。何故だろう、倭の事ばかり考えてしまう自分が不思議だ。良く分からない。
倭side
両手に持った特殊機銃と肩に背負った特殊機銃の調整は済んだ。機関の調子も問題は無い。オールグリーン。既に向こうも準備は出来ているらしく、それなりの規模で展開してきている様で、戦艦と空母を中核とした輪形陣に加えて改装された艦娘達による濃密な防御陣が出来上がっている。
・戦艦:長門改二・陸奥改・金剛改二・比叡改二・榛名改二・霧島改二
・空母:加賀改・蒼龍改二・飛龍改二・大鳳改・翔鶴改二・瑞鶴改二・龍驤改二・隼鷹改二・千歳航改二・千代田航改二・大鷹改二
・重巡洋艦:高雄改、愛宕改、摩耶改二、鳥海改二、妙高改二、那智改二、足柄改二、羽黒改二、古鷹改二、加古改二
・軽巡洋艦:阿賀野改、能代改、矢矧改、酒匂改、北上改二、大井改二、木曾改二、鬼怒改二、由良改二、阿武隈改二、川内改二、神通改二
・駆逐艦:吹雪型・綾波型・白露型・朝潮型・陽炎型・夕雲型全艦(実装済みの艦のみ。これ以上は多過ぎるので割愛。てか描写無しが多数。)
・潜水艦:伊8改、伊13改、伊14改、伊19改、伊26改、伊58改、伊168改、伊401改、呂500改
・海防艦:択捉改
勝利条件:倭の撃沈判定若しくは主力艦の8割撃沈判定
勿論この艦隊以上との戦闘は転位前の世界で十分経験してきている。ある種の総力戦とでも言う気だろうか・・・・・・慢心は禁物だ。態々全戦力(この鎮守府は辺境なので大和型配備の対象外だそうだ)をぶつけて来るんだ、それなりに自信はあるのだろう。
『155mm、203mmガトリング砲共ニ異常無シ。動作テスト結果、良好。』
頭の中に響渡る無機質なシステム音声がやけに遠く聞こえる。規模はたいした事が無いとはいえ久し振りの殲滅戦の感覚を味わえるからか、自分の内に潜む者が高揚しているのだろう。その影響なのか、無意識で少しずつ増速を始めている事に倭自身が気付いていなかった。
(さて、始めるとするか。)
目の前に展開するそれぞれの駆逐隊や水雷戦隊はガトリング砲の掃射で十分だ。急加速と急旋回を多用しながら敵空母部隊を真っ先に黙らせる方が先決。次いで、戦艦若しくは重巡か軽巡を始末。潜水艦は・・・・・・徹底回避か迎撃して弾切れにするか最悪対潜ミサイルで判定を取らせてもらおう。
早速、機関を一杯まで引き上げながら急加速。敵艦隊の正面から突撃を開始。砲撃可能な艦からの一斉砲撃が飛んでくるが着弾より速く駆け抜け、155mm連装ガトリング砲の掃射を駆逐隊に浴びせて4隻ずつ撃沈判定をたたき出す。
「正面から行かせて貰う。それしか能が無いからな。」
そう言うと同時に両手の連装ガトリング砲を両斜め前方に展開する第一水雷戦隊と第三水雷戦隊に指向。肩部の簡易ハンガーユニットに搭載した203mmガトリング砲に被弾しないように注意しつつ、的確に155mm砲弾を大量に浴びさせる。
相手方の集団に飛び込む事で誤射を躊躇わせる。まあ時々機銃弾が当たるがダメージにはならないので、当ててきた奴を中心にガトリングで掃射していく。
『っ!誤射に警戒しろ!』
「その指示は遅すぎだ。」
長門からの指示が飛んできた頃、俺は既に水雷戦隊の網を突破し重巡部隊に穴を開け始めて空母部隊の間近にいた。尤も、切り崩したルートを辿る様に近付いていた択捉の存在を感知しながらだが。
「・・・・・・」ガガガガガガガガガガガ
『きゃあぁぁぁぁ!!』
20.3cm砲で砲撃してくる高雄と鳥海に容赦無くガトリング砲で撃沈判定を与え、空母部隊の懐へたどり着く寸前、
「・・・!」シュガッ
『掠めただけでしたか・・・・・・』
後ろから択捉の砲撃が飛んできた。たかが12cm砲弾、されど12cm砲弾。速度差と距離があるとはいえ、俺の頬を掠めるとは良い腕だ。まあ今は構ってやれんが仕方あるまい。再び急加速と急旋回を繰り返して敵艦載機からの爆撃を横っ飛びや急反転で回避し、大井からの扇状雷撃をCIWSと40mmで全て迎撃しながらガトリング砲で掃射。一応155mmガトリング砲には近接信管付きの三式弾を装填している為、北上と大井と木曾の眼前で炸裂し3隻とも爆散判定が発生。
撃破を確認したと同時に面舵一杯。後方から追撃してきている択捉からの砲撃が先程まで居た場所に6発ほど着弾。回避のついでに空母部隊の護衛に就いていた金剛(の艤装)を急加速と自重を上乗せして壁蹴りでもするかのように蹴りつける。その反動を利用して真正面から榛名に強烈なタックルを喰らわせて大破判定を与える。
しかし、タックルの際に榛名が咄嗟に放った数発の徹甲弾の内、1発が左腕部の155mmガトリング砲の砲身を吹き飛ばす。即座に榛名に叩き付けるようにパージし、ガトリング砲の残骸をクッションにしているが先程金剛にやった事と同様に榛名を蹴りながら離脱。少し後退しつつ各部をチェックしていく。右腕部のガトリング砲も砲塔自体に異常は無いものの、砲身が僅かに歪んだので少し先に居た妙高を殴り飛ばして大破したのを確認してパージ。
「・・・・・・やれやれ、脆いなこのガトリング砲。」
『もちもちっと艤装を大事にしてくださいよ~この後修繕するの
「・・・・・・分かった分かった。もう少し派手に壊してやるよ。」
『勘弁してくださいよ!艦長が今まで何基壊したt』
「じゃあな。」プチッ
工作長の文句と悲鳴を途中で切り捨てると同時にハンガーユニットが稼動して203mm連装ガトリング砲を両腕部に自動で装着してくれた。
現在の状況を簡単に言うと敵艦隊の正面からガトリング砲をバラ撒きつつ一点突破で防御網を溶かしながら空母部隊の懐に到達。さっきから機銃弾を浴びているが痛くも痒くも無い。尚、艦隊の外縁部にはまだ潜水艦が健在しており、また、多数の駆逐隊と戦艦部隊と第二水雷戦隊などの強豪(?)が残っており、これ等を相手にする為に可能な限り急いで空母を始末しなければならない。
頭上を航空機で覆われる前に敵の防御網を突破して最優先に空母を潰す。かなりのゴリ押し戦法だが、もとより『一対多』を前提とした倭にはどうという事は無い。敵旗艦長門と従属している比叡・霧島からの砲撃が飛んで来ても的確に回避しながら大鳳と加賀に照準を合わせてトリガーを引き絞る。
轟音を発しながら203mm砲弾が加賀目掛けて飛翔。しかし、加賀を庇う形で突っ込んできた長門によって加賀の被弾は防がれる。一瞬安堵したような雰囲気になる大鳳だが、もう一基の203mmガトリング砲の照準は無防備になった大鳳をしっかり捉えていた。
それに気付いた金剛が大破しつつも防御の為に動き出すが、それより速くガトリング砲が発砲していた。装甲空母である大鳳は他の空母に比べれば硬いがあくまでこの世界と空母の基準であって、俺からすれば通常の空母より多少硬い程度。単装状態でも203mmガトリング砲なら伊勢型や長門型程度なら容易く沈める瞬間火力を有する。連装型として運用している時点で結果は見えていた。
無防備に晒された舷側を黄色に染められてバランスを崩した所へ更なるガトリング砲の追い撃ちがかかり、飛行甲板とエレベーターに破壊判定が与えられた。
(これで装甲空母は撃破。それにしても・・・・・・さっきから択捉の砲撃が来ていない・・・・・・距離があってもあれ程の腕なら・・・・・・)
そう思った直後、左舷側ギリギリに水柱が5本立ち上がった。恐らくは択捉の砲撃だ。電探上には映っていないが、恐らく敵影で飽和状態になっている電探の隙を突いて上手く味方の影に隠れているのかもしれない。
遠距離用に第二艦橋上部に
空母部隊の壊滅を確認し、そのまま戦艦部隊との戦闘に・・・は持ち込まずに残った重巡艦隊から蹴散らす。それが済めば次は軽巡率いる水雷戦隊を壊滅させる。いきなり戦艦を相手取るより先に周りを片付けてからの方が良いらしい。まあ改三式弾の雨を降らせてやればそんな事はどうでも良くなってしまうが。
(これで敵艦隊の9割は撃沈判定。それでも終了判定が出ない、という事は。)
チラっと後ろを確認すると撃沈判定を受けていない艦娘の間を抜けて最短距離で俺の後方にへばり付いてきた択捉がいる。
(間違いなく択捉がここの主力艦隊本来の旗艦だろう。長門は俺の気を逸らす為の作戦、だったのかもな。仕方ない、あの回避機動で択捉を捕捉するしかないな。)
生き残っている長門と霧島からの砲撃を緩やかな回避行動で避け、反撃のガトリングで両艦に撃沈判定を叩きつける。それでも終了のブザーは鳴らない。それが確実に択捉が主力艦の一員である事を示してくれた。
今までの演習で倭はちょっと遊んでいたに過ぎなかった。だからこそ択捉が砲撃するチャンスを得られていたのだ。が、倭が普段使わない回避機動を使うという事は多少本気になった事の表れでもあった。
(右舷補助推進ポンプ出力最大、艦首右舷水流バウスラスター全開。左舷補助推進ポンプ最大出力で逆噴射開始、左舷水流テールスラスター全開。取舵反転180度。反転完了後、両舷一杯。)
傍から見れば倭がその場で向きを変えたようにしか見えない。それもそうだ。陸上にある履帯を持つ建設機械や戦車等がその場で旋回する『超信地旋回』を海上で、しかも旋回力で駆逐艦よりも劣るはずの戦艦である倭がやってのけたのだ。流石に択捉も驚きを隠せず、僅かながら硬直していた。
択捉が硬直したその僅かな隙を突いて倭は最大戦速で択捉に突撃を開始。総重量8万トン余にもなる大型戦艦の威圧感は択捉に回避機動を強いた。
倭の持つガトリング砲も残弾はあと52発。この量ではコンマ5秒で撃ち尽くしてしまう。少々
ランダムに回避を続ける択捉の兵装射程を考慮しつつ“保険”の射程を維持していく。俺がこれを使う事はもう無いとばかり思っていたが、左腕に時雨達が持っているような手持ちの連装砲サイズの特殊機銃を用意しつつ択捉から見えない位置で保持する。203mmガトリング砲が火を噴くと同時に弾切れとなり自動でパージ。それと同時に択捉は姿勢を低くし、こっちへ“急反転”してきた。
だが、ここに来て俺の保険が功を奏した。
「・・・・・・」
「っ!?」
左手に保持していたのは嘗ての俺が搭載していた57mmバルカン砲。大型艦相手にはてんでダメだが、駆逐艦や輸送船を蜂の巣にするには十分過ぎた。まして駆逐艦より小さい海防艦や魚雷艇を粉砕する為に積んでいたりするのだ。
択捉は倭に次の攻撃手段が残っていた事までは読んでいなかった、否、読んではいたが確信が持てなかった。そう感じた時には択捉の服は黄色のペイント弾で彩られていた。
『そこまで!演習終了!』ビーッ
誤字脱字等ありましたら報告の程願います。
次話:予期せぬ共闘(後編)
あくまでタイトル通りになるとは限りませんのでご了承ください(ヲイ)