恋雨~重装護衛艦『倭』~   作:CFA-44

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改装・開発回です。次回更新は大分先になるかもしれないので気長に読んで待っていただければ作者としては幸いです。




大改装、劇的?ビフォーアフター?(前編)

 

夜雨side

 

倭から改装を提案された三日後、私は執務室に呼ばれた。龍奈さんも連れてこいとの事なので取り敢えず連れてきてますけど……

 

「改装って言ってもまだ図面どころか引き合い(性能決定)も何もしていないんですよね?」

 

「そうですね。多分搭載する武装とかの検討から始まるんじゃないでしょうか……私の扱える物なら良いんですけど……。」

 

何故か俯き加減で暗い表情の龍奈さん。多分前に倭の乗組員達と揉めた事を気にしているのかも……?

倭はその辺りを何も言わないから自ら面倒事を呼び込んでいるのをそろそろ自覚して欲しいのですけど……。

 

(扉を優しく2回叩く音)

 

「失礼します。防空戦艦夜雨、入ります。」

 

「同艦所属 龍奈、入ります。」

 

『開いてるわよー』

 

ちょっと間延びした様な声が聞こえてきた扉を開けると笹川提督が霧島秘書と何やら隣の部屋に運び込んでいた。手伝おうとすると大丈夫、と返されたので取り敢えずソファに座っていると5分もせずに隣の部屋に呼ばれた。

中には既に倭(と倭副長、倭工作長、倭軍医長)が図面を広げて待っていた。

 

「定時より少し遅延してしまい申し訳ありません。」

 

「…………時間通りだ。気にするな。」

 

対面に座ったものの図面が反対だったのでそっと倭の側に座って図面を見ると、私の船体から武装を全て撤去した状態のものだった。正確にはヘリポートや一部の対空火器は残されているのでそこまで細かく変更する訳では無いみたい。

 

「……見たら分かるとは思うが、兵装配置に関しての事はこっちで勝手に決めれん。」

 

「てことで意見貰えないかなと。」

 

「まーそういうこっちゃ。ウチらは大砲屋じゃけん、多少は堪忍してーや。」

 

搭載予定砲に関しての意見書を渡されたので見ていくと…………

 

 

『搭載予定主砲:56cm乃至61cm砲』

 

 

と、書かれていました。見間違いだと思って何度か見直しましたけど見間違いではありませんでした。……まさかと思うけど、炙り出しとかブラックライトで照らす必要があるとかじゃないよね……?ライター持ってないなうなのでその辺があると……。

 

「や、倭?」

 

「ん?」

 

「搭載予定主砲なんですけど……私45口径46cm三連装砲(大和型戦艦の主砲)以上の砲は重すぎて積めませんよ?」

 

そう、私は46cm以上の所謂『超大口径』クラスの大砲を積めない。現状積んでる35.6cm電磁火薬誘導連装榴弾砲で重心等のバランスが取れるように設計されているため、それ以上の重量物を載せると内海の僅かな波程度ですら横転する。もしくは浮力が足りずに海の中に没することになるらしい。

 

龍奈曰くかなり無茶をすれば多分43.2cmの電磁火薬誘導連装榴弾砲は積めるが……とのことだが……。

 

かつて姉t(妖鵞夜雨氏の所に出てくるヤバい女提督)が無理矢理46cm砲を積んだ時、みるみるうちに沈んでドック内で着底してしまった記憶というか、実績?がありまして……

 

と、思い出していたら私の杞憂なんて一蹴してしまう発言が飛び出した。

 

「搭載前に船体強化を施す。それと同時にバルジの増設と可変式砲塔リングへ換装すれば搭載可能だ。」

 

「……まず先に結論から申し上げます。運用を見直すべきです。何故なら本来想定されていた運用から大きくかけ離れる『大口径砲』を搭載する必要が無いです。論外とまでは言いませんが。現状でも対艦攻撃ならミサイルやAGS……はこっちだとGPSとかがダメなので望み薄ですが、光学系統の兵器を多様すれば十分超兵器に対抗可能だと思います。」

 

ここで会話に入り込んできた龍奈さん……ここで止めておけば良かったのかもしれませんけど、ここから不毛?……というか、価値観の違いによる分かり合えない会話が始まってしまった

 

「……そうか。では現状維持のままで良いと?」

 

「春雨型防空戦艦の想定された設計、運用はそもそも『範囲防空艦』。航空機を撃墜する船です。副業が対潜攻撃ですね。こっち(艦これ世界)で言うなら秋月型や90mm単装パスタ高角砲(雑魚共砲)搭載時の摩耶に海防艦を足した軍艦と思っていただければ充分です。

 

貴方みたいな脳筋戦法を使う……うーん。こっちでは該当する船がないから……そうね。『強襲突撃戦艦』と仮称します。その強襲突撃戦艦のように敵の射程内まで突っ込んで中世の兵士の如くノーガードかつインファイトをするような運用は想定されてないの。対物ライフルなり対戦車ライフルなりを持ってるのにわざわざ敵に突っ込む必要は無いのと同じ。ここまで理解出来ました?

 

そして、そもそも『攻勢』の時に使用する兵器では無いものを『攻勢、攻撃』時に使用して結果および成果が出てないとか、『常識という二文字』が分かってないどころか認識すらできてない様子ですね。結論を言うと運用をまず先に見直すべきです。……ここまですべて理解出来ました?」

 

 

……クソ長い説明本当にありがとうございました。

 

 

「防空戦艦であろうと無かろうとここでは特別扱いはしない。転移組は皆一様に『対超兵器』任務に当たる様に通達されている。」

 

「で、あるならば貴方達が攻撃するのが最適解ですね。そもそも役割破綻を起こしてまで無理に攻撃させる必要は無いと思います。更に何故運用を見直す必要があるのかというのを説明するならば資材の消費が激し過ぎるからです。ただえさえ突撃した艦娘が即大破、轟沈する現状、高耐久を活かして態々突撃する必要は全く持って皆無。更に資材消費という点から『アウトレンジ攻撃』を徹底し資材消費や損失、損害を抑えた上で戦った方が遥かに効率的かつ冗長的に戦闘が行えると私は考えます。その点で言うならば倭他はその超射程及び超精度をもって艦橋、兵装類を集中砲火しこれを無力化。その後接近して制圧、拿捕するなり片側に攻撃を集中し横転、撃沈させれば良い話です。」

 

「そう、本来ならば俺もそうしたい。連中の顔なんざ見たくもないくらいだ。」

「何故そうしないのです?」

 

「……そうだな。君と話す場合は、まず前提として『何を根拠に話を進めていくか』をはっきりさせた方が良さそうだな。俺の場合は180ktで航行する520m級巡洋戦艦、小国3つ分の航空戦力を有する巨大空母、そして複数の敵艦隊を圧倒的なまでの航空戦力と艦砲射撃で完封してしまう程度の航空戦艦だ。それとの1対1、そして1対多を想定した上で……の話だ。こいつらを遠距離砲撃で叩き潰すのは俺の技量を持ってしても不可能に近い。ましてや上部構造物と足回りをピンポイントで破壊して動きを止め、拿捕を実行できる可能性の話は……まぁ、するまでも無いな。」

 

え、えっと……180ktの巡洋戦艦…に、小国3つ分…偵察機類も考慮すれば約3000機……多めに見積もっても5000機程度の航空戦力を有する巨大空母……。データベースを漁っても該当する船が無いですね……。性能が近い奴で考えるなら駆逐艦で150kt、潜水艦で200ktオーバーだったかな?あんまりそっちは詳しくないから正確ではないかも……。同盟国の中だったら最速の戦艦が110ktちょい、航空戦艦で100ktチョイだったはず。同盟国との合同演習の時の編成だと私が最遅だったからいつも合わせてもらってたし……。えーっと……次、空母空母……こっちの世界だと最大搭載量がトータル200機弱程度で実用圏内が150機弱。……仮に5000機の艦載機全てに対艦ミサイル4発積めるとした上でその艦載機全てがせーので襲いかかってきたら………

……あ、これ冷静に考えてヤバいやつですよね。空中衝突とかそのへんを考慮しないと普通に攻撃どころか発射点につけないし、こっちの対空ミサイルの射程を考えるならば回避機動すらとる余裕が無いぐらいみっちりと空に並べないと5000機は埋まらない。……防壁でミサイルはシャットアウト出来るから何機落とせるかの的当てゲーム感覚で遊べそうな気がしますが……まぁ倭の話が仮に真であるならばまずそんな母艦には必ず40cm以上の大砲が標準的にくっついてるでしょうね。艦載機が切れたら母艦の体力まかせで死体蹴りでもしに来る流れは倭の行動から考えるに簡単に予想できる。 どうせ防壁も持ってると思うので乗り込んで白兵戦、つまりサイズがでかい&人数が多い方が勝つ大航海時代状態になるからまぁ勝てない。だからでかい大砲でさっさとブッパするのが合理的……。

多分龍奈は『倭の世界はこっちの物理法則や運動法則が全く通じないから倭の話を全く理解出来ずにパニックになってこっちの世界の常識を押し付けてる』状態……そして少し抑え目にして頭数を揃えて数の暴力をする方がはるかに効率が良いとか考えてそうですよね。

頃合いを見て私が話の流れを切って龍奈の頭を冷却してあげなきゃダメですよね……。で、倭が目の前に置いてるこの分厚い紙束はなんですかね。電子化すれば良い物を……。

 

「それに……光学兵器を悉く無力化出来る、所謂『電磁防壁』という対抗装備が存在してるのも大きいな。βクラスかγクラスを超兵器達は標準的に搭載している。γクラスの防壁になれば重量級の大出力光学兵器はおろか、電磁防壁貫通型の特殊光学兵器すら通用しない。夜雨に積まれてるあのちゃちなレーザー砲程度では防壁貫通どころか太陽光が当たっている状態よりもダメージが入らないし、熱量的にも『少し暖かい』程度で終わる。それと、推測だが夜雨が搭載している『防御重力場を発生させる装置(夜雨の装備品を見た時に覚えた)』も当たり前のように搭載しているだろうな。多分それも段違いな性能だろう。そうなれば単純な足の速さによる回避もあわさって尚更遠距離攻撃は得策ではない。そして連中の対空砲火を想定すれば空爆も金と資材と時間のムダという名前の無意味でしかない。」

 

ですよねー。やっぱり試作同然の低出力光学兵器程度じゃ通用しないのは何となく察してたからショックとかは無いけど…。そもそもが対潜水艦、対航空攻撃用のオマケで対艦攻撃に使ってるのが事実ですし……。あ、対艦番長の倭から見れば玩具同然となると、その相手をする側からしても…なるほど。

 

「では質問を変えます。貴方の超射程と超精度は何の為にあるのですか?そこまでインファイトにこだわるなら短砲身の超大口径HEなり超重重量砲弾なりを破砕砲のように使ったほうが適切だと思うので、装備換装をするべきだと私は思うのですが。」

 

ちょっと言い過ぎなんじゃ……。うぅ……周りの空気がやばい感じですしそろそろ止めた方が良さげ……。

 

「超射程・超精度はあくまで副次目標(オマケ)を叩く為、超兵器へ挨拶代わりに一発ぶち込むだけに過ぎない。主目標たる超兵器戦に際して砲塔旋回速度の低下を招くようなモノなんて俺は積みたくない。それに……掘り返すようで悪いがヴィントシュトース(雑魚共)に易々と接近されて一方的にやられていたのは誰だったかな?」

 

……うっ。 それ私です。龍奈はぶっちゃけ戦闘班に全く関係が無い便乗者同然なので……完全にトバッチリ。

 

「冷静に考えて、まず本業でそれをやってる人が仕事をしてないというオチです。夜雨の本業は対空戦闘。対艦はよその管轄ですよね?その管轄は誰ですか?というお話です。ですから同じ結果にならないようにするためには「そうなる前に消されるのがオチだ。それ以上ゴタゴタ言うのは辞めときな。」はぁ?!あんた誰よ!!つか議論の基本すら分かってない奴は議論の場に出てくんじゃねぇ!!」

 

机を掌で強打し冷やかな目で発言者……倭の副長さんを睨みつける。倭副長さんがキレてる…龍奈も臨戦態勢だし…あぁ……終わった………はぁ………。

 

「ウチの艦長はアンタ等()に甘いから言わないみたいだけどさ、ハッキリ言わせてもらう。何回やっても超兵器(オリジナル)どころか量産型の格下(ゴミカス共)にすらにボコられて終わりだよ。だからね…」

 

…副長さん……優しさで言ってくださってるのは分かるんですけど、龍奈には右から左な上、全て私に刺さっていくんですけどぉ……ぐぬぬ……事実なだけに……。

 

「まず、何の為の役割分担か分かってますか?ポケ○ンでも役割論理という物が存在するのは有名な話ですよね?それで言うならば自ら役割破綻を起こして役割破壊状態になれというのは話すまでも無いですよね。恥も良いところです。範囲防空艦としての役割を殺すつもりですか?」

 

「はぁ…(…ポ〇モンって何だ?エスコンなら分かるんだが…)…とりあえず最後まで話を聞けって……こっちは範囲防空艦としての役割を殺さない様に改造出来る自信があるから先に主砲の選定をして細かい事は後で決めるつもりだったから取り敢えず、で聞いただけなんだよ。」

 

「そんな適当な話で誤魔化せるとでも?まず、そんな大事な話なら事前に通達が入るのが基本中の基本。次に役割論理すら理解出来てない人が役割の話をしてる時点でお察し。更にこの鎮守府に存在する資材類、特に貴金属類が少な過ぎる。そして基盤類を作る為の施設が貧弱過ぎる。……その程度のアタマとモノとバショで『改造』するとか腹筋が捩れるを通り越して常識を疑いますね。」

 

 

ーーー何かが私の中で引っかかる。なんだろう、この倭の不敵な笑み(ほぼ無表情にしか見えないけど…)は……。

 

慌てて資料という名前の紙の塊を引っ掴んで適当にペラペラ捲りながら中身を流し見る。

電気回路図や配線図、各部屋への電気線と水パイプ、お風呂用の床暖兼用温水パイプの図面、キッチンからの排気ダクトの図面や……なんだろう……この突起のような金属ボタン(※リベット。夜雨にそんなものは使われてない)……の図面がひたすら並んでいた。そして後の方に電鍍設備(メッキ加工をするやつ)やプリント基板設備とそれを置く無塵部屋、運用マニュアル等必要な物ほぼ全てが記載されていた。

 

「副長さん。それはコレで実現可能なんですよね?」

 

「ちょ、夜雨?!コイツさっきからデタラメしか行ってないですよ!物理法則的にも力学法則的にも流体力学的にも!」

 

「ちょっと龍奈は黙ってて。んで、どうなの?」

 

「勿論。できなかったらウチらもハナっから言ってないよ。」

 

「……具体的な主砲とその火器管制システム、そして船体拡張等のプランを聞かせてください。そして出来れば(艦娘の方の)艤装についてもお願いします。」

 

範囲防空艦としての役割を殺さない様に超大口径砲を搭載する?そんな夢のような事が出来たら私は……

 

 

……倭の隣に……。

 

 

……へ?あ、ぅ……べ、別に倭のこと好きって訳じゃ無いけど……うぅ……。

 

「とりあえず(艦娘の方の)艤装は俺の管轄外だから省かせてもらう。良く分かんねぇしな。船体拡張プランとして取り敢えずバルジを付けて左右のバランス調整。次に主砲を積むための砲塔リングを倭型の可変式砲塔リングに換装。その時に邪魔となる物の移動が必要だがね。それと、場合によっちゃあ、全長を少し……具体的には大体5m~30m程伸ばすかもしれねぇ。まぁそこはやってみなきゃわからんよ。っと、積載砲についてはこっちの資料、そしてこれが詳細図面だ。なるべくしっかり目を通しておいてくれ。これからしばらく世話になる大砲だからよ。」

 

あぁ良かった……バレてない……。とりあえず、もっと揉めるかと思ってましたけどそうはならなくてホントに良かっ……………ドサッて……また分厚い紙束を出してきたし……紙資料って読むのめんどくさいから電子資料にして欲しいのに……。

 

夜雨(艦長)、本当に信用して大丈夫なの?コイツら……」

 

「倭なら、なんか信じられる気がする……かな?って。」

 

一悶着……というか、乱闘1歩手前の沙汰あったものの、笹川提督からの了承を得て改装の準備に取り掛かる事になった。

その改装の為に船本体と艤装をドックに入れることになったのだが、日課の朝ランニングついでに見た時は(春島と夏島に点在する)大型ドック全てが空いていた。

ドックに入れろと提督に指示され、いざドックに船をぶち込もうと空いていたドックをひとつずつ確認していくが『ある1箇所』以外全て船本体が入っている状態になっていた。

……そういえば提督が改装を何人か同時に行うとか行わないとか言ってた気がする……どうだったっけ……?まぁとりあえず空いてるところに入れろとの事なので誘導してさっさと終わらせますかね。

自らの意思で海の上に立ち、レシーバー片手に空いているドックの場所に私(船本体)を誘導していく。

 

「凪紗、鈴奈、聞こえる?もうちょっと船を右に寄せて。」

 

『おっけー。こんぐらいかな?』

 

『……了解……寄せ1……微速……』

 

「もうちょい右、OKそんなもんかな?私からは後ろ見えてないからバックはそっちで頼むよ」

 

『ういーっす。んじゃこっちで誘導する〜。とりあえず鈴奈っちバックよろ〜』

 

『…………左右移動用……水流制御……停止……機関後進……最微速……左右固定……スタビ……オフ…………』

 

『あいあーい。多分この辺〜。』

 

『……了解……機関停止……投錨……ロープ投射…………固定……。』

 

 

倭よりも少し高い艦橋構造物等がガントリークレーンのワイヤー……?電線……?的な物などに引っかかりそうで怖かったがなんとか素直に入ってくれた。

タグボートとかを使わずに海の上から誘導出来ることに関しては艦娘の特権というか、専売特許みたいなものだがそれは艤装の賜物。……こちらの世界では『簡易艤装』と呼ぶらしい。

それもセットで改造、改装するから同じドックに入れなきゃいけないとの事なのでそのままドックに海の上から直行する。

 

「あ、明石さん。船ここで良かったんでしたっけ?後どこから上がれば……?」

 

「あ、大丈夫よ。上がるならそっちのタラップから上がって。それと、艤装は私の後ろの作業台の上に。ところでちゃんと入りました?」

 

「なんとか入りました。かなりギリッギリでしたけど…」

 

「流石に倭型専用ドックでもキツキツか〜。もうちょっとここも拡張しなきゃダメですかね……後で提督にダメ元で申請してみますか……」

 

アレ倭用のドックだったんですね……。道理で他のよりも一回り大きい訳か……。

 

「そういえば倭もメンテナンスだった気がするんですけど……もう終わったんです?」

 

「貴女がサイズ的に他のドックに入れないのを見越して乾ドックで出来ることを早めにやっておいて、上部構造物のメンテナンスは浮ドックでやることに変わってるわよ。ちなみに『貴女の為に』予定を変えて早めに開けてくれたのよ?後でちゃんとお礼言っときなさい。場所はこの地図だとここだから……えーっとちょうどここからだと影になってるけどあっち側ね。」

 

「そんなことがあったんですね……すいません、わざわざありがとうございます。」

 

「いいっていいって。それよりもたっぷり弄らせてね♪」

 

この淫乱ピンクは(過去の行動パターンのログを見るに)何をしでかすかが分からないが、バックに倭が居る安心感は強かった。

 

 

 

 

倭side

 

電探類のメンテナンスの為に浮ドックに移動して来たものの、折り悪く天候が怪しくなってきていた。

スコールにやられる前に錆落としと再塗装をしたかったが、諦めて艦内清掃作業に切り替えることに。

 

「各員、各々の持ち場の清掃作業を始めろ。特に防水布の継ぎ目と床は念入りにな。」

 

『了解!』

 

一部の者はブーたれていたが見なかった事にしよう。アレはアレでしっかり作業してくれるからな。一応艦内巡検はしておかないと細かい報告が中々上がってこない(現場の者がこっそり直したり調整したりしている為)事もある。

 

「副長、艦橋は任せた。俺は艦内巡検に出掛ける。」

 

「了解です。そろそろ昼飯ですし丁度いい頃合でしたな。」

 

「まあそうだな。作業が終了した者から順次昼飯を取るように。」

 

その後、特に何事もなく巡検は終わり、第一艦橋に戻るついでに資料室に立ち寄っていた。

夜雨に渡した搭載予定砲図面は『詳細』とは言ってあるものの、更に細かい図面は俺が保管していた。必要ならば渡すつもりだが、そうでなければこのままお蔵入りしているだけなのだが。

現段階では56cm60口径砲を予定しているが、最終的には61cm60口径砲を予定している。しかし、それでも積載限界数としては2~3基が限界だろう。それにどのような機能を持たせるかはまだ決めていない為、要相談である。

 

 

 

龍鳳side

 

改装(と言ってもほとんど新規建造です)が始まってから別の部屋に案内され、そこで服を新調するために鳳翔さんが採寸してくれました。

搭載兵装や船体等は予め用意されていたようで、想像していたより早く建造は進んでいます。

私の他に、夜雨さん、大和さん、武蔵さん、春風さんの5人が改装を受けているようですが、1番時間が掛かりそうなのは船体から新規建造している私のようです。

 

「龍鳳さん、新調出来ましたよ。」

 

「あ、ありがとうございますっ!」

 

鳳翔さんが新調してくれた制服を着てみました。着るまでは問題は無かったのですが……

 

(……あれ?)ミチ…

 

(あれれ?)ミチミチ…

 

(あれれれ?!)ミチミチミチッ…

 

ブチッ……

 

「ふぇぇ……」

 

胸がちょっと大きくなった(※龍鳳目線)影響なのか、中々閉じてくれない横のファスナーを頑張って閉じようとしたらファスナーの金具が吹き飛びました……大和さんや武蔵さんは笑ってたりしましたけど、夜雨さんは……

 

「……………………」ズーン

 

どんよりとした雰囲気で自分の胸に手を当ててました…………大丈夫でしょうか…………

 

「採寸を間違えるなんて鳳翔にしては珍しいな。」ハッハッハッ

 

「そうですね。」ニガワライ

 

「案外わざと間違えてたりして。」

 

鳳翔さんに限ってそんな事は無いと思うのですが……多分……

取り敢えず鳳翔さんに連絡してすぐサイズを大きくした制服を持ってきてもらうことになりました。

5分くらいで持ってくるそうなので、それまでは待機です…………

 

ー5分後ー

 

扉<誰か来たで

 

ノックされたので誰が来たのかと振り返ればーーー

 

「今鳳翔が手を離せないらしくてな。代わりに持ってきたぞ。」っ龍鳳の制服

 

ーーー倭さんでした。更衣室のドアを何事も無かったかのように開けてくるのは私が大鯨だった頃から全く変わってません。寧ろ変われ、と言われても簡単に変えるような事はしない人ですから……

更に倭さんは私達の裸を見ても反応が薄いので、私達ももう気にする事はなくなっていたので問題は無かったのですが、夜雨さんは真っ赤になりながらロッカーに身体を隠そうとしてました。

 

「持ってきていただいてすみません、倭さん。」

 

「気にするな。俺も龍鳳に用事があっただけの話だ。」

 

私に用事、ですか……一体何でしょうか……

 

「その用事、というのは……」

 

「簡易艤装の事だ。以前より格段に性能が向上しているから扱いには細心の注意を払うようにな。」

 

簡易艤装が高性能化……ですか……上手く扱える様にならないと、ですね。

 

 

 

夜雨side

 

更衣室で着替えるのは良いんです……良いんですけど……

 

大和「龍鳳さん、新しい制服着れそうですか?」ドン

 

武蔵「さっきみたく弾け飛ばんように祈るしかあるまいよ。」ドドン

 

春風「倭に見せ付けるためにやったんじゃないの?(ゲス顔)」ドン

 

龍鳳「そ、そんな事してないですよぉ!」ドドドン

 

確実にスマホが乗るサイズの豊かに実ったスイカが2×4人分、計8個という視覚情報が襲いかかってきた。いや、わ、私だって無じゃないし……無じゃ……うん……

 

何で胸のある人達と同じ更衣室に放り込まれるんですか……つま先が見え……るけど…………ち、ちゃんと育って……る……うん。育ってると信じたい…………ただ、少なくとも他の4人と比べるとほとんど育ってないに等しい変化量しか大きくなってない。……何かがおかしい。

 

(バルジなどを付けたりする大幅改装の副次的効果?副作用?で大きくなるかも?というのは聞いたんですけど…………高望みし過ぎましたね……はぁ………………大きくなったら倭に押し付け………………っ?!///// そ、そんなことし、しなくたってわ、私はキキキキキキス……///// …………はぁ……何意識してるんだか……)

 

少なくともちょっとだけ、ほんのちょっとだけ育った気が……いや、育ってると信じたい。……倭のご飯を食べると大きく育つというのなら私だって…………

龍奈さん、ここに居なくて良かったかも……確実に見たら発狂しかねないですし……

 

「(・∀・)ニヤニヤ」ユサユサ ポヨンポヨン

 

乳風(春風)がこちらを見ながら自分のスイカを強調しだした。絶対肩凝るし引っ張られて筋肉痛になりますよね、アレ。

 

流石にあのサイズは要らないかな。大きいのは羨ましいけど……

 

春風はタダでさえ大きかったのに改装の恩恵(副次的効果)が特に強くでたようで、更に大きくなった。

少なくとも戦艦サイズ、と言うより明らかに武蔵よりちょっとデカい豊かを超えて爆の域に突入したかどうかのスイカ2つを強調してたゆんたゆん揺すっている。

こっちをニヤニヤしながら見てるが正直あのサイズは邪魔にしかならない……はず……

……倭に押し付けるならあれぐらい豊かな方がいいのかな…………べ、別に押し付けたいとは思ってないけど……薄い方がより密着出来るって凪紗が龍奈に言ってたけど、意識させるなら多少豊かな方が……どうなんだろう……

 

……(つま先をチラ見)……………私も育ってるはずなのに……育ってるはずなのに……はぁ……虚しいだけだから諦めよう……

と、更衣室のドアがノックされたので誰かな、と思っていると、

 

「今鳳翔が手を離せないらしくてな。代わりに持ってきたぞ。」っ龍鳳の制服

 

…………………………え?何でココに倭が?

 

倭の姿を視認した瞬間、ロッカーに素早く隠れようとしたのは言うまでもなかった。




今回はどうでしたかね?取り敢えず前後編に分けようとしてますが…………

そして

胸 囲 の 格 差 社 会 再 び

夜雨以外は乳勢っていうお決まりがありましてね……


次回「劇的?ビフォーアフター?(後編)」

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