響になった僕は人の温もりを知る   作:緒兎

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挿し絵描いてみました

【挿絵表示】

思ったより早く挿し絵が描けたのでそのまま投稿します。

久し振りに響を描いたなぁ。


妖精さんとおしゃべり2

 司令官の為にも妖精さんに資材を再利用してくれないかと提案してみる。

 

 「ねぇ、工廠長さん」

 

 「ドウシマシタカ」

 

 「開発に失敗したやつを解体して資源を再利用出来ないかな?」

 

 「アア、ソレハワタシモオモッテマシタガ、イクライッテモキクミミモタナインデスヨ」

 

 「ほんと?」

 

 「ハイ。タメシニイッテミマショウカ?」

 

 と工廠長さんが言ってきたのでお願いすることにする。もしこれらに愛着があったのなら手放せないのも分かるし、まぁ仕方ないかと割りきるしかないけど、そうでないんなら出来れば解体して資源を再利用してもらおう。

 

 「オマエタチ、ソノガラクタヲサッサトカイタイシテシゲンニシロ!」

 

 「エー、ヤダー」

 

 「コウショウチョウソリャナイゼ」

 

 「パワハラダー!」

 

 「サッキマデハキキトシテカイタイシテタダロー!」

 

 「ソレハヒビキチャンガクルッテイウカラ」

 

 「ソウソウ、キニシナイッテイッテクレタカラゼッタイカイタイシナイ」

 

 「グヌヌ・・・」

 

 妖精さん達の散々な物言いに深い溜め息を吐いて振り返りま、こんな感じですと肩を竦める工廠長さん。あくまでも妖精さん達は素直な生き物で、上の命令などあんまり聞いたりしないからその纏め役の工廠長さんは大変そうだ。

 体長崩さないといいけど・・・。

 

 仕方ない。僕からもお願いしてみるかぁ。実際このまま貯め続けても資材はどんどん消費する一方だしそもそもそれらを置くスペースが減ってくる。工廠が失敗品ばかりで埋まってしまったらもうそれは工廠ではなく単なる倉庫になってしまう。

 だからちょっと無理を言うようだけど、妖精さん達には聞いてもらわねば。

 

 「妖精さん、どうしても解体するのは嫌?」

 

 「エ!?」

 

 「出来れば僕の方からもお願いしたいんだけど、このまま工廠を失敗品で圧迫していくともう開発すら出来なくなっちゃうよ?」

 

 「ナッナンデスト!」

 

 「ソレハイヤダ!」

 

 「ヨシ!カイタイシヨー!」

 

 「カイタイカイタイー」

 

 僕のもう開発出来なくなるという発言に慌て出す妖精さん達。開発欲が非常に強い工廠妖精さん達は直ぐに工廠のスペースを半分ほど占領している失敗した装備の解体に取りかかった。

 

 あ、あれ?なんかあっさりとお願いを聞いてくれた。そんなに開発出来なくなるのが嫌なのかなぁ・・・?僕嫌なこと言っちゃったかな・・・。

 

 と自分の言ったことが脅し文句のような発言だったことに、妖精さんに嫌われたかもと落ち込んでると、掌に妖精さんが登ってきた。

 

 「ワレワレハヒビキチャンガスキダカラヒビキチャンノオネガイハナンデモキキマスンデ、コマッタコトガアッタラワレワレヲタヨッテクダサイ」

 

 「え」

 

 「ダカラキニシナクテモイイデス。ヒビキチャンハジジツヲイッタダケデ、ワレワレハタダカイハツガデキナクナルカンキョウニナルノガイヤダッタダケナノデ」

 

 ポンポンと掌を叩いて笑顔を向けてくる妖精さん。

 

 もしかして励ましてくれてるのかな。・・・ふふ。妖精さんは本当にいい子だなぁ。それに可愛い!

 

 撫でると、くすぐったそうに身をよじる妖精さん。するとその様子を見てたのか作業をしていた妖精さん達がワタシモーと寄ってきた。

 ワラワラと次々出てくる妖精さん達を一人づつ撫でていく。撫でられた妖精さんは嬉しそうに作業に戻っていき、後から戻っていく妖精さん達と楽しく会話しながら解体を続けた。

 

 「マッタクコイツラハ」

 

 全員撫で終えると工廠長さんがまた溜め息を吐いていた。やれやれとまるで子供を見るかのような目で作業をしている妖精さん達を見ている。

 まるで親だなぁと感心しながら工廠長さんを眺める。これでも他の妖精さんと見た目が大きく違うわけでもなく僕の目から見たら子供なのだが、その実内面は一番成熟している。

 

 よしっと良いことを思い付いた僕はそーっと工廠長さんの後ろから手を伸ばす。

 

 「ワッ!?」

 

 そして捕まえた工廠長さんをひたすらに撫でまくる。さっき妖精さん達はいっぱい撫でたけど、工廠長さんだけ撫でてなかったのを思い出した僕は大人ぶっている彼女を捕まえてこうやって撫でてあげることにしたんだ。

 

 「ヤ、ヤメテクダサイ。ハズカシイデス」

 

 「フフフ、良いではないかー良いではないかー」

 

 「コウショウチョウタノシソー」

 

 「ヨカッタネコウショウチョウ」

 

 「アハハハ」

 

 「オ、オマエラー!」

 

 騒ぎを聞き付けた妖精さん達がまた一段と楽しそうに話始める。工廠長さんは恥ずかしそうに慌てていて、僕の手から抜け出すと慌てて皆に弁解していた。

 その様子が実に面白くて皆して笑う。そしてそれに釣られたのか工廠長さんも笑いだし、朝の工廠で沢山の笑い声が響いていた。




誤字、脱字等があれば宜しくお願いします。

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