World-Gear   作:そもりす

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13話『八方塞がりのその時は』

時刻は10時近く。昨日の出来事の次の日であったから、宙良はあの道を避けて海南へと向かった。だから思っていたよりも時間がかかってしまった。

 

海南病院は海南に唯一存在する病院で田舎とはいえ割と大きい。それでも機材が難しい手術は守宿の方の大きな病院で行うことが多かった。

 

昨日の救急隊員の話から、宙良は迷うことなく海南病院に向かっていた。ここに来るのは久しぶりだ。

 

ティーダにとっては初めての場所らしく、彼女は宙良の後ろをはぐれないように付いていきながら、好奇心の瞳で病院内の人や物を見ているようだった。

 

病院の受付にどこに『斎藤』と呼ばれる男がいるのかを聞くために、宙良朝早くから3、4人くらいの列に並ぼうとする。

 

すると、前の人間のスーツの男の挙動が気になる。何やら足をくねくねさせて気持ち悪い。どうしたんだと顔を見れば、宙良のよく知る顔なじみだった。

 

「あれ、工藤さんどうしたの」

 

「その声は・・・宙良君じゃないか久しぶり~!大きくなったじゃないか!」

 

「大きくって、この前会った時と半年しか経ってないぞ」

 

「あれ、そうだったっけ?」

 

「おいおい・・・相変わらずあんたって人は」

 

いい年こいて妙に子供っぽい側面を持つ男、工藤は守宿警察署の新米刑事だ。宙良はその男と昔からよく関わっているのである。

 

そして、工藤は宙良の後ろで服の端を持つ1人の少女が視覚に入った。

 

「そちらのめんこい彼女っぽい人はどなたっすか?」

 

「彼女じゃない。こいつはティーダ。親とはぐれちまって今探すの手伝っている最中」

 

「あららそれは可哀想に・・・見つからなさそうなら声かけてください自分手伝うんで!これでも警察してます工藤っす、どうぞよろしく」

 

「どうも」

 

変にハイテンションな工藤をスルーして、ティーダは平常運転で軽く会釈した。宙良は気になる疑問をぶつけた。

 

「それにしろ、なんであんたが病院に、それも仕事着でここにいるんだよ」

 

「いやはや、それがちょっと面倒な事件が起きちまいましてね・・・事件は会議室ではなく海南で起きたのに守宿も関係してくるかもしれない大きなコトになっているといいますか・・・」

 

「例えが微妙でなお分からんわ。もっと端的に話してくれよ」

 

「えっとですねぇ・・・分かりました。剣崎警部には自分が言ったって内緒っすよ?実はこの病院で・・・・・・」

「ちょっと次の方、後がつっかえてますから早くしてくれませんかね?要件は?」

 

宙良と工藤達が話しているその際に、工藤の番が来たようだった。

 

「あ、すみませんっす!ちょっと聞きたいことがありまして、えと、トイレどこっすか?」

 

「あっち」

 

受付の女性は呆れ表情で看板を指差す。看板にはでかでかとトイレへの道筋が記載されている。工藤はあからさまに顔に恥ずかしさを露呈していた。受付のおばさんと知り合いにこんな自分の恥ずかしい所を見られたのだから当然か。

 

「いや~探したのに見つからなかったんすよーよかった~。で、では宙良君また今度会いましょう!」

 

すたこらと逃げるように工藤はトイレへと吸い込まれていった。なんかはぐらかされた気がしたが、宙良は気にせず受付の女性に話しかけた。

 

「あの、斎藤っていう、昨日起きたトラック事故の被害者の男性が入院されてると思うんですけど、何号室の病棟にいらっしゃるか分かります?」

 

「あーあの人ね。あの人なら今朝早くに退院しましたよ」

 

「えぇ!?あの怪我で!!?」

 

宙良は思わず大声を出す。後ろのティーダもびっくりしたようだ。宙良は大声出してすみません、と謝罪すると、受付の女性は語りだす。

 

「あのね、何やら今すぐしないといけないことがあるだの言って出て行っちゃったのよ。後1週間はいないとまずいのに、院長や看護師の説得を無視してねぇ」

 

「あーそうですか・・・。じゃあその今の彼の場所とか分かりますかね。仕事場とか、思い当たる事でもいいんです」

 

「悪いけど、そういった情報は個人情報だから・・・ごめんなさいね」

 

その言葉が出ると、引き下がるほかない。宙良はありがとうと言い、ティーダと共に次の並んでいる人に順番を譲った。ティーダは今まで宙良に付いてきただけで何も聞かなかったが、えらく真面目な態度で宙良がその事を質問していたため何故か知りたくなった。

 

「ねえ、その斎藤っていう人は宙良くんのどういう人なの?」

 

「昨日ちょっと大変な事があってな、それをくぐり抜けるためにその人から借り物をしたんだ。で、返そうとここに来たんだけど、どうやらいないし次の居場所も分からなくて八方塞がりって訳。あーどうしよ、返さないのはまずいしなあ」

 

目的を達成できない事に肩をぐったり落とす宙良。対照的に、ティーダは大丈夫と落ち込んでいる肩に手を置いた。

 

「宙良くん今どうしようもない状況?」

 

「え?あぁ・・・どうしようもない、な」

 

「分かった、どうしようもないんだね。それじゃあ『いい方法』があるよ」

 

ティーダは牛乳を飲んだ時と同じような眩しい笑顔で、宙良に語りかけた。

 

 




今回も長めの2000文字です。これ以上書くと3000を超えるかもということで会話途中でぶつ切りになってしまいました。

ティーダの『いい方法』とは。続きは今週の土曜日に、それではまた。
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