確かにそうだけれど、でも、天国を作れるのだって、人間だけですよね。
「こりゃひどい・・・」
現場へ到着した宙良は、色濃く残る煙を吸い込まないように口と鼻をハンカチで覆う。
自転車を漕いでいる最中に消防署へ連絡を付けたが、どうやらまだ到着していないようだった。
おそらく守宿の中でも海南に近い田舎側だからか、到着に手こずっているのだろう。しかし、幸福な事に、田舎の通りだからこそ、周りの車も住人も通っていなく、家も建っていないので2次被害が発生する危険性はないようだった。
さて、と。状況を飲み込むため、宙良は目を凝らす。延々と燃えているのは、トラックだ。荷台に物品を乗せるタイプで、ガソリンなどの液体を乗せるタイプではないようだ。
横転している上に視界が燃えているせいで悪いトラック内部には、生存者どころか、動いているものがあるのかどうかも分からなかった。
「誰か、いますか!!いるなら返事をしてください!!」
近づくこともままらない、いつ爆発するか危険な状況であったため、宙良は精一杯と思い大声を張る。1人でも生存者がいれば、自分の力の及ぶ範囲内で助けたい。宙良はそういう人間だからだ。
耳を澄ませれば、轟々と燃え盛る炎の音と同時に、微かに人間の声が聞こえる。
「・・・・・・な・・・・・・・・・・・・げろ・・・・・・」
なんて言っているかは分からないが、宙良がいる場所とは真反対の・・・トラックの荷台側から聞こえてくる。男の声だ、かすれて弱々しい。
「待ってろ、今助けてやるからな!」
みんなへのお土産や貴重品を詰め込んでいるリュックを道路の端へ置くと、宙良は火をくぐり抜けて、声の主が待つ場所へ一直線で飛び込んだ。
少々焦げ付いた服の袖を払いながら、宙良は辺りを見渡す。
すると、先ほどの声はより鮮明に、宙良の耳へと届く。
「来るな・・・・・・・・・に、逃げろ・・・・・・・・・・・・」
宙良を呼ぶ声、否。それは宙良を含めた全ての人間に放たれた危険を示す言葉だ。声の主は頭から血を流し、言葉を放つと同時に血を吐く。
吐いた血は唯一宙良以外に立ち上がっている・・・・・・危険と叫ぶ男の前に立っている、モノの足へとかかった。
「ッチ。バッちい。面倒だから殺さないでおこうと思っていたのに、あなたも馬鹿ですねぇ」
見知らぬモノ、それは人間の声を発してはいるものの、その姿はまさに異形であった。化け物や怪人という言葉がしっくりくる。黒く刺々しい表皮と豚のような醜い顔面のそれは、宙良に話しかけているようだった。
緊張か、それとも炎の熱のせいか。宙良の額から、一筋の汗がアスファルトへと落ちた。
後書きを後書きらしく有効活用します(笑)
守宿と海南はお互い市の名前です。海南の方がざ・田舎って感じ。ただしコンビニに徒歩2時間レベルではない。守宿はかーなーりー都会ですが、ただし住宅は古くからの日本ってものが残っています。
それでは4話もお楽しみに。