カミカゼ✩エクスプローラー! 風花ストーリー   作:ノアの方舟

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こういうのは初めてだったりします。
自分は昔に原作を一周プレイしただけなのにわかなので、間違った知識で書くかもしれません。


1話 十数年後

『あの……人違いならごめんなさい、もしかして、転入生の速瀬慶司さん……でしょうか?』

 

 俺は彼女を見た瞬間、言葉を詰まらせる。

 

『す、すみませんっ。人違いだったみたいですね。本当に申し訳ありませんでしたっ』

 

 言葉を詰まらせたのがいけなかったか。

 俺は慌てて弁解する。

 

『よかったぁ……。間違えちゃったかと思いました』

 

 女の子はその大きな胸をそっと撫でおろすと、改まった様子で俺に向きなおる。

 

『ようこそ、澄之江学園へ! 私は姫川風花。速瀬君が転入する2年A組でクラス委員をやっています。よろしくお願いいたしますねっ』

 

 姫川……風花……。

 なんだろう……この不思議な感じ……。

 

「――――くん! ――――いじくん!」

 

 うるさいな……俺は今考え事を――――。

 

「――慶司くん!!」

「うわっ!?」

 

 大声で名前を呼ばれ、俺の意識は覚醒した。

 

「おはよう。慶司くん。座りながら眠ってたけど……よく眠れた?」

「ははは、元々寝るつもりなかったからな……。ちょっとベッドで寝てくる」

 

 俺は立ち上がり、軽く背伸びをしてから目的地(ベッド)へ向かおうとするが……。

 

「だーめ。今から夕飯だから、寝るのはその後ね」

「手厳しいなぁ……」

 

「『手厳しいなぁ……』じゃ、ありません! 仕事中ならともかく、寝ている時ぐらい《アイギス》を解いてってあれほど言ったよね!? 子供たちが入れないって泣きついてきたんだよ?」

 

 《アイギス》は簡単に説明すると、空気を圧縮した目に見えない盾だ。

 大きさはほぼ自由で、目の前だけに展開することもできれば、今みたいに部屋を覆うようにすることもできる。

 空気の壁だから、使いようによっては音まで遮断できるので、集中したい時なんかはよく使っていたりする。

 

「……またやってた?」

「やっちゃってました」

 

 彼女は頬を膨らませ、見るからに怒っている。

 怒る姿も可愛いんだが、何故こんなに怒っているんだろうか?

 

「それに! 私はもう『姫川』じゃありません。慶司くんと結婚して、苗字が『速瀬』になった『速瀬風花』ですっ!」

 

 ああ、こっちが本命か。

 大方、俺が寝言でなんか言ったんだろう。

 

「もう……姫川なんて久しぶりに聞いたよ。寝言だったけど」

 

 そんな風花が愛しく思えてしまい、俺は未だに怒っている風花の唇を強引に奪う……が。

 

「っ!? あ、《アイギス》!!」

「ぶべらっ!?」

 

 すぐに風花の《アイギス》によって、俺は部屋の隅まで飛ばされてしまった。

 おかしい。いつもの風花だったら、いくら唐突でもディープぐらい余裕でするのに……。

 と、思っていたら物凄く赤面していた。可愛い。

 

「だ、だめだよ慶司くん……。私、子供たちの前だからって慶司くんに迫られちゃったら……逆らえないから……それ以上は……ね?」

「子供……たち……?」

 

 俺はゆっくりと風花の後ろにある部屋の扉を見た。

 扉は開きっぱなしにしてあり、部屋の外で二人の男女が何やら叫んでいる。

 

 まさか――――見られた!?

 

 確かにあの二人は俺たちの子供の『界司』と『優花』だ。

 あいつらはまだ幼い……早急に弁解する必要がある。

 

 俺は《アイギス》を解き、子供二人を部屋に入れた。

 《アイギス》は戦車の装甲並の硬さがあると言われているので、二人が俺の部屋に入ってこれないのも当然と言える。

 

「いいか、二人とも。さっきの行為だが――――」

「パパってさ、本当にママの事好きだよねー」

「――っ」

 

 部屋に入るなり、優花は容赦ないなぁ。

 

「父さんさ、しょっちゅう母さんとちゅーしてるよね? バレてないと思った?」

「ぐはっ!」

 

 相変わらずパパママ離れできていない優花はさて置き。界司、貴様はだめだ。

 

「俺、知ってるよ? 父さんと母さんって、週に何回かセッ――――」

「「《アイギス》!!」」

 

 俺は界司に、風花は優花に《アイギス》で囲むように展開する。

 優花に何も聞こえなくするための咄嗟の判断だったが、風花も同じのようだ。

 

 クソッ、界司はまだ十歳だぞ!? なんでそんな言葉知っているんだ!?

 

「はぁぁぁぁぁぁ~~やっぱり慶司くんの子供だ……こういうところまでそっくりだよぉ」

 

 風花さん? どういうことですか?

 

 風花はそれが当然と思っているのか、自分が展開した《アイギス》を早急に解いた。

 俺も不本意ながら《アイギス》を解く。

 

「慶司くん、私先に行くから……」

「お、おう。俺も直ぐに行くよ」

 

 風花はそう言って俺の部屋をそそくさと出て行った。

 優花も風花に連れられて出て行く。

 

 部屋に残されたのは俺と界司。

 界司のこの気持ち悪い笑み……風花が早々に出て行ったのも頷ける。

 こいつと俺がそっくりだって? 俺はこんな気持ち悪い笑みなんてしないぞ。

 

「父さん、一つ聞いていい?」

「な、なんだ……」

 

 俺はつばを呑み込み、界司の質問に身構える。

 

「セックスって……なに?」

「……ふっ」

 

 俺は無言でこの部屋を覆うように《アイギス》を展開する。

 そして――――。

 

「知らねぇのかよぉぉぉぉぉぉ!!!」

「うわっ、急に叫ばないでよ。母さんまた来るよ?」

 

この部屋は《アイギス》によって完全に防音だ。

 どれだけ叫ぼうが風花が来ることはない。

 ていうか、風花との行為中は《アイギス》で防音と侵入対策しているわけだから、こいつは俺にカマをかけたことになる。

 

「いいか界司! その単語は危険な単語だ! 特に家の中では口にするな、わかったか!?」

「え、あ、うん」

 

 こいつはもう手遅れだが、八歳の優花はまだ純潔なはずだ。

 優花まで汚すわけにはいかない。

 

「ああ、それと父さん」

「まだ何かあるのかっ!?」

「そんなに怒鳴らないでよ」

「す、すまない」

 

 息子に呆れられるとは情けない……。

 

「さっきさ、母さんだけ父さんの部屋に普通に入れたんだけど……なんで?」

「前にも言っただろう。お前が『メティスパサー』として覚醒したら教えてやる」

 

 メティスパサー。

 

 メティス……所謂、超能力を扱える者のことを指す。

 俺と風花は勿論その『メティスパサー』であり、《アイギス》はそのメティスだ。

 

 界司も優花も、『メティスパサー』としての素質はあるんだが、未だに開花した様子はない。

 界司の場合、俺たちに隠したりする可能性があるが……。

 

「……?」

「ほら、飯行くぞ」

「うん……?」

 

 《アイギス》を解除して、界司の頭を撫でる。

 反応が全くないな……やはりまだ覚醒してないか。

 

 

◇◇◇

 

 

「そう言えば慶司くん、美汐ちゃんからのメール読んだ?」

「メール?」

 

 夕飯をとっていると、風花がそんなことを聞き出した。

 

「あれ? 元『アルゴノート』の一員へって書いてあったから、慶司くんにも届いてると思っただんけど……」

「あー……そんなメールも届いてたかな……」

 

 正直言って覚えていない。

『アルゴノート』か……懐かしいな。

 こうやって風花と暮らせているのも、『アルゴノート』に入ったからなんだよなぁ。

 転入早々に声をかけてくれた美汐には感謝しきれな――――ちょっと待て。

 俺が美汐からのメールを忘れる? そんなはずは――――。

 

「あ、慶司くん寝てたもんね」

「……」

 

 届いたの最近かよ……。

 しかも俺が寝てる間って……。

 

「なんかね、久しぶりに皆で集まってパーティーでもしましょう。とかそんな内容だったよ」

「へー。同窓会か」

「うんっ。界司と優花も一緒にって……どうする?」

 

 事前に俺に聞くってことは、俺の仕事の進行具合を心配しているんだろう。

 確かに忙しいのにはかわりないが――――。

 

「界司、優花。お前らは行きたいか?」

「「うん!」」

「なら、決まりだな」

 

 俺のそんな一言で界司や優花だけではなく、風花までもが喜んでいた。

 恐らく、俺が行かないと言ったら風花も行かないと言っていただろう。

 自分より他人を優先するところ……変わってないな。

 

「風花、日程はいつ頃なんだ?」

「えっと、確か来週の土日だったかな?」

「泊まり掛けになるのか……よし」

 

 俺は界司と優花に目配りしてから、風花の目を捉える。

 

「今週末に服買いに行くぞ!」

「わかった! 琴羽ちゃんに連絡だね!」

 

 流石風花だ。

 目を合わせただけで俺が言いたいことを理解されてしまった。

 

「そうと決まれば、さっさと仕事に区切りをつけないとな」

「えー……。父さんまた仕事?」

 

 界司、すまないな。

 ぶっちゃけ仕事は1ヶ月先まで終わっている。

 そもそも、仕事なんてしなくてもお前の孫辺りまで面倒をみれる程度の金はあるんだ。

 だがな、この仕事楽しいんだからしょうがないだろ。

 

「ふふっ」

 

 不意に風花が笑った。

 風花のその笑顔はどんな意味が含まれているんだろう。

 俺たちの会話を楽しんでいる笑顔?

 面白い何かを思い出した時の笑顔?

 こんな、なんでもない笑顔が俺にとっては宝物だったりする。

 

 俺は十年以上前、この笑顔を失いかけた。

 結果的に膨大な金が手に入り、風花の笑顔も守れたわけだが、あんなことは二度とあっていいもんじゃない。

 

「お前も、後六年で高校生……か」

「うん?」

 

 界司は俺の言葉の意味を理解しているのだろうか?

 いや、理解できるのは風花だけでいい。

 今も……この先も。

 こいつにはこいつなりの『高校生』をしてもらいたいからな。

 

「気が変わった。界司! 今日一日遊び相手をしてやる!」

「おお! 流石父さん! 太っ腹だぜ!」

「ははは、言葉は正しく使おうなー」

 

 そうだ、こいつはまだ小学生だ。

 そんな先の未来なんかじゃなく、今を考えよう。

 

「俺、父さんとプロレスごっこがしたい! いつも夜中に父さんと母さんがやってるみたいに!」

「ちょっと待て、その表現の仕方は色々とヤバいから!? おい風花! なんで赤面してんだ!?」

 

 俺が考えなくても、自分たちで未来を考えるだろう。

 

「あれ? 本当に父さんと母さんプロレスごっこしてたの? ずるーい」

「お前またカマかけたな!? 誰に言われた!?」

「琴羽ねーちゃん」

「琴羽ぁぁぁぁぁ!!」

 

 こいつらは、俺たちの子供だから――――。

 

「いいだろう……風花としているプロレスとはかけ離れている、本物のプロレスをお見舞いしてやる!」

「へっ、おっさんには負けないよーだ」

「誰がおっさんだ!? 俺はまだ(ギリギリ)二十代だ!」

「二人とも! まだ食事中です!」

「「すみませんでした」」

 

 ――――『カミカゼ』をおこす未来を……築いてくれるはずだ。

 




最初の子供にかけた《アイギス》は『ゴルゴネイオン』と言ったりします。
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