カミカゼ✩エクスプローラー! 風花ストーリー 作:ノアの方舟
これがいつまで続くかは不明です。
俺の親は変だ。
「ねぇ優花。父さん知らない?」
「パパ? 知らないよ」
「そっか」
何が変かっていうと、色々と変だ。
でも、悪い意味じゃない。
「母さん。父さん知らない?」
「慶司くん? 部屋にいるんじゃないの?」
「ううん。部屋にはいなかった」
「うーん、他に慶司くんがいそうな所……あ、ベランダじゃない?」
「わかった」
まず、父さんと母さんは気持ち悪いほど仲がいい。
色々な友達に聞いたけど、ここまで仲がいいのは珍しいらしい。
「父さ――――あれ? いない」
仲がいいだけだったらまだいい。だけど――――。
「お、界司じゃん。どうした?」
「あ、父さん」
――――時々、父さんが宙に浮いているのはどうかと思う。
◇◇◇
「で、どうしたんだよ改まって」
「父さんってさ、いつ頃メティスパサーになったの?」
父さんは少しだけ驚いたけど、直ぐにいつも通りの顔に戻った。
「そうだな……。俺のメティスの力を理解したのは高校二年生だったな」
「それって《アイギス》だよね?」
「んー……まぁ」
父さんはメティスに関しても詳しい。
だけど、父さん自身のメティスはあまり話そうとしない。
母さんと同じ《アイギス》なんだろうけど、どうしてだろう?
「ところで、なんで急にメティスの話を聞きに来たんだ? そんなに《アイギス》の壁を破る方法を知りたいのか?」
「それもあるんだけどさ……。ちょっと先生に言われちゃって」
「ん? 何を?」
「『界司は、両親のような物凄いメティスパサーになれる』って」
そういえばあの先生も、父さんや母さんと同じぐらいの歳だった気がする。
「それで使いたくなってみたと」
「……うん」
父さんはなんでも知っている。
俺の考えていることとか、直ぐにわかってしまう。
「界司のクラスには、何人メティスパサーがいるんだ?」
「メティスパサーはいないけど、使えるって言われてる人は俺合わせて6人だよ」
俺のクラスは特に多くて、四十人中、五人以上のクラスは俺のクラスだけなのだ。
「そっか、意外と多くなったもんだな」
「そうじゃなくってさ――――」
「誰よりも早くメティスパサーになりたい……だろ?」
父さんのこういうところ、たまに苦手だったりする。
父さんは、父さん自身が俺のプレッシャーになっていることを知ってて言っているんだろう。
だから、そんな父さんだからこそ……。
「父さんや母さんがどれだけ凄い人なのか俺にはわからない。だけど、そのせいで俺たちは周りに期待されてる。その意味、父さんならわかるよね?」
俺はハッキリと言う。
父さんなら、その答えも知っているはずだから。
「界司は、俺たちみたいになりたいっていうのか?」
「まぁ、欲を言えば父さんたちを超えたい……かな」
あれ、父さん本気で驚いてる。
と思っていたらデコピンされた。
「いっつ……何するんだよ!」
「調子に乗るなよ? 界司が俺たちを超えるなんぞありえねーよ」
「なっ、これでも学校で一番メティス値高いんだぞ! 一部の先生にだって勝ってるんだからな!」
本当は『メティス値』なんて名前じゃないけど、俺たちはこっちの方が覚えやすいからこう呼んでいる。
そのメティス値が高いとメティスの能力も凄いって先生も言ってた。
戦闘力的なやつって言葉が印象的かな。
確か、メティスパサーの平均が80ぐらいだったから、これなら父さんとも張り合えると思う。
「メティス値……? ああ、MWI値か。界司はどれぐらいなんだ?」
「ふふふ、聞いて驚くなよ? 95だ!」
「おお、覚醒前で95は高いな。見直したわ」
「ふふん。これだったら父さんと張り合えるって思っているからな。俺の実力をなめるな!」
父さんが俺の頭を撫でてくれる。
これは結構好きだ。
「ああ、確かに界司の強さを甘く見ていたよ。すまんな」
「ふっ、やはり父さんでも俺のメティス値には敵わな――――」
「ああ、それはないわ」
「なっ!」
こ、ここで負け惜しみかな?
父さんのメティス値が100とかで、若干俺に勝ってるぐらいだったら大人気ないって馬鹿にするからね?
「じゃ、じゃあ父さんのメティス値はなんなんだよ」
「ん? 380」
……は?
「お、俺は父さんの身長を聞いているんじゃないよ? メティス値だよ?」
「うん、380と聞いて身長だと思うやつ初めて見たわ」
ちょっと待って、380?
あれ、俺の父さんって本物の化け物?
確か、学校で一番高い先生が160で、メティスパサーとしてエリートって聞いたけど。
「言っとくが、風花は400超えてるから」
「……すみませんでした」
父さんたちを超えるとか……無理そう。
こんな話をされたら、誰よりも早くメティスパサーになりたいとか、どうでもよくなってきた。
「ま、お前はまだ小学生だ。メティス以外の楽しいことをたくさん見つけて来い」
「楽しい……こと?」
「ああ、俺が小学生の頃なんて、沖原琴羽という親友を作って色々遊んでたぞ?」
「琴羽ねーちゃんと?」
父さんは一回だけ頷くと、俺の頭をめちゃくちゃに撫でる。
「俺たちを超えたいんだろ? だったら先ずは色んなものを見て、感じてこい。俺以上の冒険をしたって胸を張れるぐらいにな」
「うん……わかった!」
父さんたちを超えれる気はしない。
だけど、父さんたちに近づくことはできる気がする!
俺がベランダを出て行くとき、父さんが嬉しそうな顔で俺を見ていた気がした。
◇◇◇
「慶司くん。コーヒーいる?」
「お、サンキュー」
界司がベランダを後にした数分後、風花が俺のところに訪ねてきた。
「それで、なんでそんなに嬉しそうなのかなぁ?」
「な、なんのことかな?」
「ふふっ、慶司くんが私に隠し事なんて十五年遅いよ」
それだと俺たちが出会う前から隠し事不可能ってことなんですが。
まぁ、風花に見破られるなんて火を見るより明らかなわけだから、別に悔しくもないけどな。
「界司がな、俺たちを超えるってよ」
「そっか」
「俺も歳をとったのかな……。そう言われた時、なんか無性に嬉しくなった」
俺が空を仰いでそんなことを呟いていると、風花が俺の肩に身を預けてきた。
「界司なら……ううん。優花だって、きっと私たちを超えられるよ」
「そうだな……俺もそんな気がする」
「……そろそろ。いいんじゃない?」
風花の質問には主語がない。
だけど、俺はそれだけで何を言いたいのか理解した。
「まだ話す時期じゃない」
「MWI値は言ったんでしょう?」
「まぁ、一応……」
「一応って……なんて言ったの?」
風花は寄せていた身体を起こして、俺に微笑みかけた。
「……380」
「はぁぁぁぁ~~……慶司くんも十分親バカだぁ」
「『も』って言ってるあたり、風花は自覚してるんだな」
「うっ」
確かに、俺も親バカかもしれない。
「いくら子供にやる気を出させるためとは言え、MWI値を偽るのは良くないと思いますっ」
「いや……だってな……」
本当の数値言えばメティスから逃げ出しそうだし。
「慶司くんのMWI値、500超えてたよね? 380って、何年前の数値?」
「俺より高い風花さんが何を言いますか」
「私だったら本当のこと言ってたけどね」
「いや、そんなことしたら逆に怖がるだろ」
風花は自分のコーヒーを飲み干し、背伸びして俺の頭を撫で始めた。
「大丈夫。界司は慶司くんにそっくりだから」
「どういう意味なんでしょうか」
「考え方も。興味も。多分、異性の好みだって。何から何まで慶司くんにそっくりだから」
「だから大丈夫だってか?」
「うんっ」
そんな自信たっぷりに言われてもね……。
風花は俺の頭から手を離すと、今度は自分の頭を差し出してきた。
可愛いやつめ。
俺は優しく風花の頭を撫でる。
「ふふっ、けーじくんっ♪」
「はいはい」
俺にそっくり……か。
確かに、界司なら俺のメティス……《ジョーカー》に近いメティスになりそうな気もするな。
まぁ、それを話せるのは……まだ先になりそうだが。
この小説を書き始めてカミカゼを久しぶりにやりました。
勿論、美汐ルートです。