カミカゼ✩エクスプローラー! 風花ストーリー   作:ノアの方舟

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口調って難しいよね


4話 食事前

「慶司くん、お待たせー」

「おお、服はもう買ったのか?」

「うんっ、このとおり」

 

 風花は手に持っている紙袋を俺に見せつけてきた。

 俺は何も言わずに紙袋を風花から奪う。

 

「あ……。いいのに、これぐらい」

「風花が良くても俺がダメなの。さて、時間も時間だしどこか飯でも食いに行くか」

 

 全く、風花は可愛いなぁ。

 

「やったー! 慶司の奢りだぁ!」

「今日は買い物に付き合ってくれたからな。特別だぞ?」

「マジで!? なんでも言ってみるもんだねぇ」

 

 琴羽は奢られる気満々だな。

 まぁ、あんな笑顔を見ることができたんだ。それの料金だと考えれば安いもんだ。

 

「じー……」

「ん? どうし――――」

「ていっ!」

「痛ぁ!?」

 

 優花さんに足を踏まれた……痛い。特に心が。

 

「浮気は許しませんっ」

「あははは……」

 

 優花さん、私は浮気なんてしてません。ちょっと見惚れていただけです。

 

「大丈夫だよ、優花。慶司くんには私が一番愛されていますからっ」

「出た、謎の自信。高校の時から変わってないよね~風花は」

 

 優花は踏んでいた足をそっとどかし、上目遣いで俺を見てくる。

 

「……本当?」

 

 あぁ、クソっ! 可愛いなぁ!

 

 俺はそんな抱きしめたい気持ちを抑え、優しく微笑みかける。

 

「ああ、本当だよ。俺は風花を誰よりも愛してる」

「……うん、よろしい」

 

 許されたみたいだ。

 

「ささっ、仲直りしたのなら早く行こ! もう私お腹ペコペコ~」

「おまっ、俺の奢りだってこと忘れんなよ!?」

「わかってるわかってる~。さーて、いくら奮発してもらおうかな~?」

「わかってねぇ!!」

 

 俺と琴羽のやりとりは飲食店に着くまで続いた。

 

◇◇◇

 

「慶司……? 慶司か!?」

 

 飲食店に着き、全員の注文を待っていると不意に背後から声をかけられた。

 どこか懐かしさを覚えながら俺は後ろを振り向く。

 

「あ? 俺は確かにけい――――航平?」

「おお! やっぱり慶司か! 愛しの友よ!!」

 

 声をかけてきたのは俺の愛しの友といっても過言ではない――――浜北航平だった。

 そして、航平左薬指には……指輪が嵌めてあった。

 

「お前……まさか――――」

「あら、慶司くんじゃない。お久しぶりね」

 

 俺が航平にとある疑問をぶつけようとした瞬間、またもや懐かしい声がした。

 

「汀……さん?」

「ふふっ、残念。私はもう『汀』じゃなくて『浜北』よ。浜北薫子。よろしくね」

 

 彼女は小さな女の子を連れていた。

 

 ちょっと待て、『浜北薫子』? それって……それって……!?

 

 俺は航平を連れ出す。

 

(おい! お前、まさか汀さんと!?)

(ああ、そのとおりだ! 俺は遂に薫子先生と結婚できたんだ!)

 

 おいおい……マジかよ……。

 あの航平が結婚出来たってだけでも驚きなのに、相手が汀さんだと?

 

(なんて言って脅したんだ?)

(酷くない!?)

「あ、航平先生。こんにちはー」

「おう! 界司も来てたんだな!」

 

 航平……先生……?

 

「誰だお前。俺の息子になに吹き込んでる」

「航平だよ! 浜北航平!! 高校の時ルームメイトだっただろ!?」

「いや、俺の知っている航平は、先生なんて出来るほど頭は良くない」

「酷い!」

 

 おいおい……こいつ変わり過ぎてないか?

 

「みぎ――――薫子さん?」

「はい、どうしました? 慶司くん」

「なんで……その……航平なんかと?」

「ああ、やっぱり気になっちゃうのね」

 

 この答え方は、以前にも聞かれた事がある答え方だ。

 

「えっとね、彼。澄之江学園を卒業した時に私に求婚してきたのよ」

 

 それは俺も知っている。

 恋人をすっとばして求婚だなんて航平らしいと思っていた。

 だが――――。

 

「その時は流石に断ったわ。いくら卒業したとはいえ浜北くんは私の生徒だもの」

 

 そう、航平は玉砕したのだ。

 その後、「旅に出る」とか言ってそれっきりだったな……。

 あの時は航平らしくないと思っていたが……。

 

「でもね、その時に言っちゃったのよ……『教員免許を取ったら考えてあげる』って」

「教員免許……? まさか……!?」

 

 あの時、航平が旅に出た理由って……!

 

「おう! 俺は薫子先生のおっぱいの為に五年前、教員免許を取ったのだ!」

「誰だよお前」

「浜北航平だよ!? いい加減泣くよ!?」

 

 まぁ、変わっていないっちゃ変わってないか。

 こいつ、おっぱいの為なら教員免許まで取るのかよ。正直見直した。

 

「っと、そう言えば慶司は今から飯か? なら同席しないか? 積もる話もあるだろうし」

「いいぜ、俺も聞きたいことは山ほどある……だけど」

「『あの事件』のことは言うな……だろ?」

 

 流石だな。

 俺は本当に良い奴とルームメイトになったよ。

 

「すまないな」

「気にするな! 俺と慶司の仲だろ?」

 

 航平はそう笑って注文を始めた。

 




浜北がキャラ崩壊している気しかしない

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