艦隊これくしょん〜ブラック提督(笑)の奮闘   作:SKYアイス

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演習ってこんな感じかな?


第12話

提督の好物は色々ある。カレーだったり納豆だったり漬物だったり干し肉だったり…、中でも特に好きなのは干し肉や漬物だ。鎮守府にある提督専用の和室でお茶を飲みながら漬物を食べるのが提督の楽しみだったりする。最近は大規模作戦の準備に追われてせいでできないが…

 

「ん?」

「どうしたんだい?司令官」

 

提督が立ち止まった事に気が付いた響が不思議そうに提督を見上げる。提督はそんな響を気にもしないである一点を見つめていた。

何があったのだろうか?と響は思い、提督が見つめる先を見てみた。するとそこには

 

 

 

「クッ………」

 

ちとちよコンビと、何故か龍驤がいた。若干龍驤が涙目なのは気のせいではないだろう。不憫だ、よりにもよってちとちよコンビと龍驤なのだ。何処とは言えないが…不憫だ。

 

そんな龍驤達を見て提督は少し、ほんの少しだけ吹き出しそうになった。それを隣にいた響が見逃す筈も無く

 

「司令官が笑うのを見るのは久しぶりだな。前に鎮守府で夕張がトンデモ兵器を開発して以来かな?」

「よく見てるが、そんな所を見る暇があれば鍛錬に励むんだな」

「それは司令官が決める事じゃないな、私が決める事さ」

 

響は10強の中でも特に癖が強く、命令を自分なりに解釈して行動する癖がある。もっとも大半が良い方向へ向かって行くのだが…それでも提督の計算外の動きは困るものだ。

響の行動すら計算に入れれば特に問題無いが…付き合いが長い提督でも彼女の行動を把握するのは難しい。

 

「響、お前は寮に戻って着替えてこい」

「了解した」

 

今回は素直に言う事を聞いたが、偶に「司令官も一緒においでよ」と言う時がある。そういう時に限って彼女は頑固になってしまう。そんな事があった事から今回素直に言う事を聞いてくれて内心ほっとしていた。

 

「(まぁ、慌てる時じゃない…ふふ)」

 

だから、提督は彼女が黒い笑みを浮かべていた事に気がつかなかった。

 

響を見送った提督は、次に鎮守府に到着しているであろう彼女の元へと向かうのであった

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お帰りー」

「ここはお前の部屋じゃあないんだが…」

 

提督が執務室に入ったら、そこには猫耳カチューシャを付けられている大淀と、マントを羽織る吹雪がいた。

 

「(大方こいつのオモチャにされてたんだろうが…それにしても)」

 

良い眺めだとも思った。あの大淀がオモチャにされている光景…内心大淀に色々とムカつく所もあったので、ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ意地悪しようと考えたが

 

「早かったんだね〜、多分明日になると思ったのに」

「ある意味予想外の事があったんでな…」

「んじゃ予定を早めて今日やっちゃいますかー?演習」

「お前の感娘が来てないだろう?まさかそこにいる飛龍と蒼龍だけでやるつもりか?」

「へーきへーき、もう来てるから」

「なら、問題は無いか…」

 

飛龍と蒼龍だけだったら心許ないと思っていたが、それなら問題無いと提督は思った。

 

「因みに全力だからねー私」

「はっ、全戦力じゃないお前なら怖くないな」

「あ、かっちんと来ましたよー、目にもの見せてやるー」

 

ぷんすこと効果音が聞こえてきそうな顔をしながら怒っている横須賀提督、全く怖くないと思っているのは我らが提督だが…飛龍と蒼龍は涙目で震えていた

 

「く、呉の提督さん!今すぐ謝った方が良いですよ!」

 

飛龍が忠告してくるが、彼女が怒って本気を出してくれないと此方が困ると考えていたのだ。

新人の育成の為にも、有望そうな彼女の為にもこいつを利用してやる…そう考えていた。

 

 

「んー、んじゃあやりますか。演習」

「ああ」

「ま、待って下さい!猫耳カチューシャ取って下さいよ!」

 

涙目で訴えてくるが、提督は無視する。それが横須賀提督との契約でもあったからだ。

 

提督は横須賀提督にもう一つ頼んでいる事があった。客観的に見てこれまでの自分と大淀のどちらが優れているかを判断して欲しいと。もし自分が優れていれば大淀をオモチャにしても良いと。

 

数々の鎮守府の育成を担当した彼女が下した判断に間違いは無い。それぐらい提督は彼女を信頼していた。横須賀提督にこれを付けられているという事は、他でもない彼女が見極めた証という事になる。自分よりも劣っていると

 

と、いう事は大淀に指揮をとらせる訳にはいかない。そして彼女が全戦力ではないといえ全力で来るのなら…

 

「(俺の編成は…)」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

横須賀提督と提督の演習が行われる前、横須賀提督は自らの感娘を集めていた。

 

大和、長門、飛龍、蒼龍、熊野、那智。

彼女達は提督の感娘達の中でも特に強く、燃費が悪い

 

「演習か…呉の提督とは何度もやりあっているが…中でも時雨と響には要注意だな」

「ああ、時雨は純粋に強く…響は動きが全く読めない。フッ、流石は連中のトップ3というべきか」

 

バトルジャンキーな長門と那智がそれぞれ対策を練ってる中、熊野は紅茶を飲みながら横須賀提督に質問していた。

 

「今回提督が予想できる作戦はなんですの?呉提督は感娘も強く、指揮の質も高い…正直まともに挑んだら勝ち目はありませんわ」

「うん、だから…私も本気出す」

「ほう…今回は貴様もやる気を出したか」

「当然、負けるのは嫌だから」

 

今までの怠そうな雰囲気は無くなり、表情は引き締まり多少の殺気も溢れる。演習に殺気はどうかと思うが…提督はそれ程まで強いと知ってるのは彼女でもあった。

 

「海都君は育成用の感娘を一人必ず入れてくる…飛龍と蒼龍がいる時点できっと瑞鶴ちゃんも来るはず」

「瑞鶴が……」

 

瑞鶴。その名前が出ると同時に飛龍と蒼龍の表情が硬くなる。

 

「大丈夫、二人共負けていない」

「…ありがとう、提督」

「だが瑞鶴か…となると時雨や響も来るか?」

 

長門が他の10強が来る可能性を考えるが

 

「それは無い、時雨ちゃんは強すぎるから新人さんの出番が無くなる可能性を海斗君は考える。響ちゃんは彼女の動きに対応できる経験がないと混乱するから除外。でも海斗君は私達を舐めてないから…おそらく霧島か青葉が来ると思う」

 

「漣ちゃんが来る事は…」

「こっちには飛龍と蒼龍がいる事を知ってるから漣ちゃんは来ない。漣ちゃんは航空戦にめっぽう強いから、新人さんの育成に向かないと思う」

「という事は…」

「瑞鶴ちゃんで私達の艦載機をなるべく減らして、新人さんに落とさせる…かな」

「…随分と舐めてくれますわね」

 

艦載機の相手を新人にさせる。その事に熊野は少なからず怒りを抱いていた。

 

「まぁあくまで予想、多分海斗君は私達の予想を超えてくると思う…新人の育成なら神通が来る可能性もあるしね」

「な、成る程…」

 

大和は彼女の予想について行くので精一杯だった。だがそんな大和はふと思った。

 

「(あれ?もしも瑞鶴ちゃんが来なかったら…どうなるんだろう)」

 

 

そんな不安が大和の中に生まれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良い加減あだ名で呼んだらどうですの?私達の前ではダーリンとかあくあんとか」

「それ以上は駄目だよぉ!」

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「提督、僕の出番は…」

「時雨は無しだ、強すぎるから朝潮の経験が不足する」

「僕だって加減できるさ」

「加減した状態で夕立とタイマンできたお前が言うか?」

 

演習の目的は新人の育成。なので朝潮は外せない、そして相手には飛龍と蒼龍がいる…

 

「それにしても驚いたよ、いきなり帰ってきて放送で演習するなんて…」

「性分なんだよ」

「むぅ…」

 

ほっぺを膨らます彼女に少し微笑ましくなるが、直ぐに頭を切り替える。

蒼龍、飛龍のコンビは強い。瑞鶴でも二人同時はキツイ位には…相手の最強の空母だから仕方ないが…ここにもし赤城や翔鶴が来たら航空戦は負ける可能性が出てくる…故に瑞鶴は外せない…と考えていた。

 

だがそれは読まれる可能性がある。なら…

 

「編成はこうだ…旗艦を朝潮とし、僚艦を神通、大井、日向、漣、吹雪」

「なっ!?朝潮を旗艦って!」

「あいつには10強を僚艦とした旗艦経験が無い。どの道今回で積ませる予定だった、あいつの対応能力の強化に役立つ」

「でも、相手は横須賀の提督だよ?せめて旗艦は神通か吹雪にした方が…」

 

確かに神通、吹雪は10強顔負けの指揮力と対応力があるが、それでは駄目だ。才能は埋もれていたらそのまま出てこないかもしれない。緩い戦場じゃなおさらだ…ならば例え相手が何枚も上手でも、経験が詰められれば…それで良い。

 

念の為に日向も入れておいた、あいつは瑞雲に妙な拘りがあるせいか、瑞雲を運用すれば化ける。神通と吹雪にフォローさせれば朝潮もパニックには陥らない。漣が航空機を撃ち落とし、大井が奇襲をかければ相手を逆に混乱させる事もできるはずだ。それに…

 

「(吹雪がいれば、負けは無い)」

 

 

 

 

 

 

 




次は演習戦です

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