艦隊これくしょん〜ブラック提督(笑)の奮闘   作:SKYアイス

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書いてて思ったけど、別に大淀が嫌いな訳じゃないよ?
ただ設定的に動かしやすいだけで…本当だよ!?


第21話

 

 

『これより深海棲艦レ級、フラグシップの追撃を行う。第一艦隊、第二艦隊に選出された感想は直ちに出撃準備を整えるように』

 

提督は鎮守府内に放送を使い呼びかけた。側には横須賀の提督と作戦補佐の大淀がいる。

提督と大淀の間に不穏な空気が流れてるのを感じ取った横須賀の提督は、事前に胃薬を飲んでいた

 

そんな空気の中、提督は手元にとある資料が無い事に気が付いた。それは鎮守府内に現在いる感娘の資料だ。

出撃に12隻も出撃させるので、これが無いと正確な数を把握する事ができないと思い

 

「悪いな、資料を取ってくる」

 

と、席を立って部屋を出て行った。

それを見た横須賀の提督と大淀は、あの提督が忘れ物を…?と、違和感を感じたが、間近に迫る作戦に備える為に提督をそのまま見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが、この鎮守府始まって以来の大事件に繋がるとも知らずに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、第一艦隊の旗艦は時雨、第二艦隊の旗艦は神通って提督は言ってた。僕に教えてくれた簡単な作戦をみんなに説明するね」

 

時雨は提督が率いる感娘全員に告げた、提督の作戦の一つを。

 

「先ずレ級を沈めるのは考えるな。これは後一週間位で来る大規模作戦に備えて戦力を補充しているから。

レ級のせいで僕達が沈んで作戦に支障が出るのは誰も望んでないからね」

 

レ級はあくまで前哨戦だと提督は考えていた。確かにレ級が合流するのは危険だが…それは合流したらの話。ならば合流させなければ良い。

 

そしてそいつを撃退したとして、いずれはレ級と決着を付ける必要もある。今回の戦闘でなるべく情報を得る必要もある。

そして万が一の保険も用意している。それが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二艦隊に配属された彼女、名を雪風

 

 

不沈艦として後世に名を馳せた彼女。

 

そして

 

呉の提督の切り札の一人

 

 

そんな彼女は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もっきゅ、もっきゅ、もっきゅ」

 

 

瑞鶴から貰ったカロリー○イトを美味しそうに頬張っていた。

 

「聞いてるかい?雪風…というか瑞鶴も渡さないでよ」

 

時雨が瑞鶴を叱るが瑞鶴は苦笑いするだけで、反省をしてるようには見えなかった。

それを見た時雨は少しいらついて、瑞鶴にぺしぺしとチョップする。

 

「あうぅ」

 

「まったくもう、とにかく朝潮と島風には速さを十二分に活かした戦法の、ラン&ガン戦法で行くんだ。

第二艦隊の陣形は複縦陣形、第一艦隊は単縦陣で行くよ」

 

「後は提督さんからの指示で動くの?」

 

「提督からの指示もあるけど、詳しくは道中で話すね。時間稼ぎがどの位有効になってるかは分からないし」

 

「ええ、分かったわ」

 

こうして感娘達は出撃準備に取り掛かるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「全艦隊出撃完了しました。柳林提督、指示を」

 

「んー…遅いなぁ海色君…」

 

「柳林提督?」

 

「あぁ、ごめんごめん」

 

横須賀の提督は提督が忘れ物を取りに行ってから帰って来ないのを気になっているが、大淀はそんな事はどうでも良いように振舞っていた。

 

横須賀提督の中では彼女は別に提督の事を好いてる訳でもないから気にするほどではないとは考えているが…

 

「ん…よし、取り敢えず第一艦隊はレ級が潜伏されてると思わしき場所付近に辿り着いたら、航空機を出して」

 

『了解です、あの…横須賀の提督さん?私達の提督は』

 

「何か忘れ物をしたみたいで…多分もうすぐ戻ると思うけどね」

 

『分かったわ』

 

やはり提督が直接指示を出して来ないのが気になったのだろう、瑞鶴が不安気な声色で聞いてきた。なるべく安心させる為にそう言ったのだが、それでも横須賀の提督は違和感を拭えなかった。

 

「あら…?」

 

そうこうしている内に、大淀が何かに気がついたように声を上げるが、直ぐに「いえ、気の所為です」と、訂正した。

 

 

(今…一瞬だけ鎮守府にいないはずの12人分の反応があった気が…気の所為でしょうね、彼女達は先程出撃したのだし…)

 

見間違いだと大淀は判断して、海域を移すレーダーの方に視線を集中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がふぅっ………」

 

「この瞬間を待っていた…君は警戒心が高いからね、必ず時雨、瑞鶴、響の何れかはこの鎮守府に残していた。

だから今回のは千載一遇のチャンスだったのさ、君を捕らえる為の…ねぇ!」

 

 

 

バシィ!ドゴォ!

 

 

 

 

 

「何故…貴方が…大佐ァ!」

 

 

 

 

提督は資料室に入った直後に謎の影に襲われ、気を失った。

次に目を覚ましたのは車の中。それも輸送車の中だった。

 

そこにいたのは先日鎮守府に来た上司だった。

 

 

「教育だよ、君は黒を名乗ってる癖に非情になりきれてない、挙げ句の果てに自分が背負いこまなくて良い物を背負い込んでる!それは提督の領分ではないだろう?」

 

「提督の領分はその提督が決める事…そして感娘の領分は戦う事だ!」

 

「違うな、間違ってるよ。前提がさぁ!!!」

 

「ぐぼぉ!?」

 

 

鳩尾に重い一撃が叩き込まれる。その衝撃で込み上げてくる吐き気を堪え、提督は大佐を睨み付ける。

 

「君は甘いんだよ、根本的にさ。兵器一つを休みなく訓練させる。訓練だけだ…それ以外には縛りはない」

 

「それの何が」

 

「監禁させる事もなく、一人一人に恐怖を植え付けて艦娘にする事なく…ありのままの感娘を使う…彼女達が人類に反乱したらどうするんだい?

僕達人類は二つの脅威に挟まれ、滅びるんだよ?」

 

「そうならない為に、私は彼女達が望む最大限の望みを叶えてます!疲労を感じさせないように適度な出撃、出撃がない場合の適度な訓練、それをスケジュール制にして日常として覚えさせる。

最初は辛くとも彼女達は耐えてきた!耐えられるのですよ!彼女達は!不満があるのならそれを解消させましょう!私が嫌なら喜んで代わりを探しましょう!!」

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞いた時、大佐はニヤリと笑った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の所の大淀君は君を憎んでるじゃあないか?ならば代わりを探し、後任を任せられる者に任せたらどうだい?」

 

「ッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

確信を、突く

 

 

反乱なんて今まで無かった。そうならないように最大限の努力をしてきた。

今まで時雨から秘書艦を付けろと言われてもしなかったのは、そうなると必然的に大淀とも関わってしまうから。

 

大淀とは最低限の付き合いしかしない。彼女が自分を嫌ってるのは明白だったから。

理由を聞いても睨まれるだけ、会いに行っても閉め出される。これじゃあ対話のしようがない。

 

だからこそ見ない事にした…してしまった。

 

 

 

 

先日言われた、殺したい程に憎いと…

 

 

前に聞いた時は幻聴だと自分に言い聞かせていた。なのに今回改めて言われて…そして気が付いた。

 

自分がやってきたのは間違ってるのではないかと

だから彼女がどうするのかを見させて貰った。

その時の資料を見たが、確かに敗北は増えてるものの…日常的には何処か余裕があるようにも見えた。

 

自分は訓練付けで余裕があるようには思えない…それは彼女達にとっては大きくストレスになってるのではないか?ならば大淀のやり方こそ、正しいのでは?

 

10強と呼ばれる彼女達も素質が開花されたからだ、自分の中に眠れる素質…それを目覚めさせたのがたまたま自分であって、それは他の誰でも出来るのではないか?

 

 

そう考えると…今まで歩んで来たこの道が酷く醜く思えて、歩みを止めそうになった。

 

 

 

 

だがそれだけは、それだけは駄目だと言い聞かせた。

 

それでは今まで彼女達に無理をさせてきた彼女達に申し訳ないと、最後まで彼女達を導かないと、そう新たに言い聞かせてきた…のに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に大淀だけかな?君を殺したいと憎んでるのは」

 

 

 

 

 

ぐにゃりと、視界が歪む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の所の朝潮だっけ?君に無茶なオーダーをされてさ…恨んでるんじゃないかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝潮の青い顔が、絶望していた彼女の顔が目に浮かぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで彼女は轟沈しないなんて言えないよね?君の切り札の彼女…彼女は運が良ければの話だ、運が彼女に微笑まなかったら…きっと朝潮は恨むだろうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君を殺したい程に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ぁぁぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その為には君はあの鎮守府には相応しくない…後は僕に任せるんだ」

 

 

 

 

 

 

そう言い残して大佐はその場を離れる。護送車が止まったのを感じた。

大佐は護送車の荷台の扉を開けて、閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分はもう、何も考えられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

一人の感娘は、それを見た。

先日来た大佐が自分達の提督を誘拐する所を。

証拠写真もきちんと取れた。一人でも飛び出しそうになる心を懸命に抑えた。

 

そして彼女は初代秘書艦である彼女にそれを伝える。そして彼女はある四人に声をかけた。

 

 

そして彼女達は集う。秘密裏に、そして彼女達は報復する。何に手を出したのかを分からせる為に

 

 

一人は無表情で魚雷の数を確認し、言う

 

「夕張ちゃん考案のフルアーマー漣です、武装が多くて動けない?違いますね…動くんですよ、無理矢理でも…誰のモノに手ェ出したと思ってんですか?連中……………

誰も逃さない。漣はしつこいから」

 

一人は真剣な表情を浮かべ、資料を漁る

 

「やるなら徹底的にです、幸いにもあの大佐のデータは全て揃ってます。裏も表も…交渉するのも報復するのも自由です…が、みなさんの様子だと報復以外考えてませんね。良いでしょう、この霧島…覚悟を決めました」

 

一人はただ空を見上げ、言う。

 

「本当に偶然見つけられて良かったですよ〜、幸運の女神の加護ですかねぇ?ま、大佐の方にとっては死神でしょうねぇ、確実に…ま、言える事は一つです、青葉に見られたからには逃げられないって事ですねぇ」

 

一人は周りを見ながら言う

 

「本っ当に血の気が多いわね貴女達は…まぁイムヤも人の事言えないけどっ!!!………うーん、魚雷の調子はバッチリだ!………で、誰から深海に沈めるの?

イムヤは容赦はしないから」

 

その一人の放った魚雷は、大音量と共に爆発、鎮守府の地面の一部にクレーターを作った。

 

それを見た一人は苦笑いしながら…だがその瞳に光は宿ってないが。そして彼女もまた言う。

 

「あ、阿武隈的には獲物は残しておいて欲しいなって…私の提督を傷付けたのはすっごく。すっっごく!ムカつきましたからね!…………気が付かない内に海の底にいるのって、どんな気持ちなのかなぁ…ふふっ」

 

 

 

 

そんな彼女達の様子を見て、彼女達を集めた少女は言った。

 

「送り出してくれたみんなには感謝しないとね」

 

そう、彼女達は鎮守府の守りは自分達に任せて、提督を助けに行ってほしいと言ったのだ。

この事は横須賀の提督も、大淀も知らない。完全なる隠密作戦

 

先程の爆発音も鎮守府の感娘と妖精さんの協力で作戦司令室には届く事はないだろう…むしろ届いたら提督を攫われて怒り狂った感娘達の八つ当たりの砲撃や魚雷音が絶え間なく流れるだろうが。

 

おかげで鎮守府内は軽い内乱状態である。

 

 

 

 

「さ、行こうみんな…提督が私達を待っている」

 

 

 

 

 

そして最強戦力である彼女達は、提督を取り戻す為に大佐の鎮守府に乗り込む事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日は二面戦。レ級追撃と、提督奪還作戦。

 

何方がどのような展開になるかは、まだ誰も分からない。




大佐は怒らせちゃったねぇ、彼女達の事をねぇ、本気で怒らせちゃったねぇ!

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