艦隊これくしょん〜ブラック提督(笑)の奮闘 作:SKYアイス
今回の戦闘は戦闘してません。理由?まぁ見ればわかります…えぇ
多機能フォームの使い方がようやく理解できた…
とある一室…広くはないが狭くもない、鎮守府の一室のような雰囲気のこの部屋で、二人の男性が会談していた。
「そうか…確かな事だな?」
「はい、雪平エイジ提督は海色海斗提督を誘拐し海色海斗提督の戦力を強奪しようとしました」
「ようやく、尻尾を出した…という事か」
彼等はある鎮守府の提督。二人はある出来事から黒と思わしき鎮守府を徹底的に解体させ、その鎮守府の感娘達を救ってきたエリート中のエリートだ。
憲兵と協力したのも数え切れない程。彼等が黒と睨んだ鎮守府は全てが黒…彼等は軍の汚物を徹底的に排除する特別な存在だ。
海域攻略の際には片方に自分の戦力を貸し出し、もう片方がその際の黒運営を見抜き検挙する。それが彼等のやり方だ
この度は大本営から言い渡されたレ級撃退作戦の際に彼の特別な感娘を狙う者がいるかもしれないとの情報が入っていた、案の定彼は誘拐されエイジ提督の鎮守府に幽閉された。
その際に海色提督の感娘に彼の位置を教え、救出させに行ったのも彼等の仕事だった。
「しかし、海色提督か」
海色提督は非常にグレーな存在。一部では黒、一部では白と呼ばれる彼だが、二人はこれを判断しかねている。
何故なら彼の行っている黒運営…は、黒に限りなく近い白だからだ。
「
「だな、吹雪がもみ消している可能性も否定できない」
海色提督は普段感娘に休み無く訓練を受けさせているとの話…そう、話だ。
そして他に黒と呼べる捨て戦法、身代わり戦法、無謀な出撃…その他諸々の黒と呼べる事はしていない。だが白とも言い切れない微妙なライン
彼の保有する10強もまた、彼が黒と呼ばれる噂に一役買っている。曰く非道な実験で生み出されたのではないか…曰く仲間を犠牲にして得た力ではないか…等の噂。
大本営は否定しているが、大本営も彼の息がかかっているのではないか…そんな噂。
だからこそ二人は困ってる、彼を裁くべきか裁かないべきかを
「彼の鎮守府から直接訴えはありませんしね…」
「もし彼の鎮守府から直接助けが必要、と言われれば…話は別だがな」
その時は他の黒同様裁く。二人は黒に対しては容赦はしない。ありとあらゆる手段を持って潰しにかかる。でなければ全ての感娘と人間が心から協力するのは不可能だからだ
「海色提督、今は様子を見させて貰おう…おい一真」
「どうしました?師匠」
「雪平エイジの引導を渡しに行くぞ、付いて来い」
一真と呼ばれた一人の提督が師匠と呼んだその男は、厳しい目付きでそう言った。
これから行われるのは黒の提督の虐殺シーン。海色提督とこの二人の提督、この三人を敵に回した雪平エイジ提督は、最早助かる術は無いだろう。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
時雨は謎の深海凄艦と激闘を繰り広げていた。謎の多いこの敵との戦闘で時雨は未だに余裕のある表情で砲雷撃戦を繰り広げている。
「そこ」
時雨の一撃は敵深海凄艦の装甲を軽く吹き飛ばし、大きなダメージを与えている。
決定的な一撃は未だに無いものの、彼女との戦闘で深海凄艦は確実に焦っていた。これ程までの実力を持つ者の情報が入っていなかった…ましては駆逐艦では。
「少し予想外だな、みんなが心配だし…ここからは僕も本気で行こう」
「グッ!」
深海凄艦の腕のような砲身から砲撃を放つが、時雨はそれを身体の軸を少しずらすだけで回避する。完全に見切っているのだ。本気で行こうと時雨が言った、今まででも苦戦をしていたのにこれ以上何をどうするのか…?
時雨が本気を出したらマズイと考えた深海凄艦は一気に時雨との距離を詰めた、幾ら強くても相手は駆逐艦…装甲は脆いと考えたのだ。
「遅いよ」
それでも、時雨は上を行った。相手の狙いを理解した時雨は、普段の海を滑るような移動ではなく、海を蹴って移動した。そして時雨は深海凄艦の背後に一瞬で回ったのだ
何が起こったのかは深海凄艦は理解できなかった。ただ分かったのは自らの肉体の一部が吹き飛んだ事だった。
右腕の…右手の一部分が吹き飛ばされ、激しい痛みが彼女を襲った。
あり得ない!感娘だろうが深海凄艦だろうが肉体そのものにダメージは与えられない!その前に轟沈する筈だった。肉体の部分に損傷が出るのはあり得ない。
それらの全てのダメージは服が肩代わりし、それが限界を突破したら轟沈する。それが当たり前
「演習とかじゃ使ってないけど…僕、本気出したらこうなっちゃうんだ」
次に時雨は深海凄艦の右足を吹き飛ばした。文字通り吹き飛ばしたのだ。
太ももから先は何も無く、深海凄艦に分かるのは痛みだけ
「キャアァァァァァァ!!?」
「僕の前に装甲の意味は無い、そう言っておくね」
だが深海凄艦は反撃した。背後にいるならば自分の砲撃が充分届く距離。
「オノレェェェ!カンムスゥゥゥ!!」
左腕が時雨を強引に掴む。
「シズメェェェ!!!」
そして時雨に深海凄艦の一撃が…………………
入らなかった。
「ァァァァァァ!?」
艦載機による一撃が、それも無数の一撃が怯ませたのだ。
「アウトレンジで見事に決めたね、瑞鶴」
「ド、ドコカラ」
周囲を見渡すも何もいない、艦載機による一撃が可能ならば視認できる距離にいる筈だ、それくらい彼女の目は良かった…なのに何処にもいない。
「瑞鶴には艦載機の距離も数も関係無い、瑞鶴は文字通り無限の射程と無数の数の艦載機があるんだ」
「アリエナイ!」
理不尽な強さ…これではまるで我らが同胞ではないかーーー
「それが10強、それが僕達…特に僕と響と瑞鶴と阿武隈は、そういう存在なんだ…君に教えてあげるよ、それを」
「ッ!?」
時雨には策は無い。策を練る必要は無い。時雨の火力は別に駆逐艦と変わりは無い。ならば何故深海凄艦の装甲を容易く貫くのか?
提督ならば誰もが考えただろう。相手の装甲が硬すぎる…と、戦艦の火力でも足りない時はあるだろう。ならもしもそれが無視できたら?
例を挙げよう。ただの爪楊枝一本…それが文字通りなんでも貫く爪楊枝だったら?
車だろうが飛行機だろうが何でも良い、硬いもの…それらをたった一刺しで貫くなら?それを何度も何度も刺せば?
爪楊枝なら少し刺しても痛いだけ、穴が開いただけで済むかもしれない…だがこれは砲撃だ。全てを貫く砲撃に、人体はどうなる?
そこには何も無い、そこにいた深海凄艦は跡形も無い。沈んではいない…文字通り消え去った。海の底に沈む暇も無いほどに
これが時雨、これが10強最強。防御力は関係無い攻撃、装甲貫通攻撃。彼女が最強たる所以がここにあった。艤装ではなくそれを操る肉体を失えば、深海凄艦は赤子同然だった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
深海凄艦を沈めた時雨は、海色提督の艦隊と合流していた。彼女達の話を聞く限りではまだレ級は本気を出してないとの話だ
「すまない時雨、私のミスだ」
申し訳無さそうに俯きながら時雨に謝るが、時雨はそれを慌てて止めた。
「ううん、響達は頑張ってくれたよ…それよりも提督と連絡はまだつかないのかい?」
「そうなのデース、ちょっと変だと思わないデスか?」
提督とこれ程に連絡がつかないのは初めてのケースだった。逸れた長門達とも連絡は付かずに…どういう事なのだろうと一同は考えていた。
『た、大変!大変だよ!』
そこへようやく連絡が来たが、何やら慌てた様子の声色だった。この声は横須賀の提督だろう。
「落ち着いて、どうしたの?」
『さ、佐世保の提督から連絡が入って、海色君が誘拐されたって!!』
「なっ!?」
日向、朝潮、霧島、島風、木曾、神通、金剛、比叡は酷く驚いた。提督が誘拐されたのは初めての経験だったからだ。
「ななななな!?」
「
酷く慌てた様子の艦隊だったが、その中で冷静?な雪風が代わりに通話し始めた。
「えっと、横須賀のしれぇ…佐世保のしれぇは何て言ってるんですか?」
『さ、佐世保の提督は弟子と一緒にこれからそこの鎮守府に行くって言ってるんだけど…な、長門達は?』
「長門さん達はまだ逸れてますけど」
そういえば長門達とは作戦が始まって逸れてから見ていない、良い加減合流しても良い頃だとは思う…と雪風が思った瞬間
『そ、そんな!柳林提督!これを!』
酷く慌てた様子の声が聞こえた、恐らく大淀だろう。
『……やってくれたね、小物』
瞬間横須賀の提督の様子が変貌した。声だけでも分かった、彼女が怒った事が
『この瞬間だけで良い、私の指示に従え…海色海斗を救うのだろう?』
確か提督から横須賀の提督は三種類モードがあるも教わっていた。のほほんモードと真面目モードと激怒モード、恐らく今回のは激怒モードだろう。少し怖い…だが
「当然さ、僕達の提督に手を出した…その意味を教えなくちゃならない」
『ああ、私も私の
彼女の言い方から推測すると、恐らく長門達の事だろう。その敵は提督だけではなく彼女の感娘にも手を掛けたのだ。
「なら行きましょう…1分1秒でもそいつらがいるのが気に食わないわ」
大井の言葉に一部の感娘が頷く。そして彼女達は鎮守府へ帰投した。余談だが時雨、雪風、瑞鶴、大井、響の瞳に光が宿ってなかったらしい。
まぁ戦闘というより無双ですよねぇ…最強の名は伊達じゃない。
大佐はこれで計4つの鎮守府を敵にしちゃいました。彼ははたして生き残れるのだろうか?
新キャラは佐世保の提督とその弟子です。呉があるなら佐世保も出さないとねぇ?