艦隊これくしょん〜ブラック提督(笑)の奮闘   作:SKYアイス

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バトル回です。


第7話

吹雪が改ニになった際に新たに装備されたのが手で持つタイプの主砲だ。改以下の時には持ってなかったこの装備を利用する事で、人間で言うハンドガンタイプの装備となった事だ。

 

そして、吹雪はそれを使い相手の深海棲艦を一体一体確実に仕留めて行く。昼戦にも関わらずにだ

本来駆逐艦は夜戦で真価を発揮する艦だ。だが艦隊10強に入る駆逐艦…漣、時雨はその常識を超えた戦闘力を持っている。駆逐艦なのに昼戦で戦艦級を落とす彼女達は駆逐艦の姿をした戦艦や!と駆逐艦と良く間違われる軽空母が言っていた。

 

だが吹雪は10強には入っていない。なのに何故そんな芸当が可能なのか?それは彼女が誰よりも戦場を駆け抜けた初代感娘だからである。

 

故に10強でないにも関わらずに、10強と同クラスの戦闘力を発揮できる…

 

「うわぁ!?」

「ッ!!」

 

しかしそんな吹雪でも、数の暴力には敵わない。

10体20体敵を倒した所で、それは相手の艦隊の一部にすぎないからだ。

 

 

 

 

そんな光景を提督は見ていた。そして同時に左手でモニターを、右手で書類にペンを走らせる

 

左手のモニターで作戦を纏め、右手のペンでその状況の一つ一つを記録していき、敵の情報をまとめていく。大淀は提督から下された指示を元に残弾、燃料を確認していくのだ。

 

「提督、吹雪さんが無茶をしすぎたようです。他の皆さんに比べて弾薬と燃料が足りていません。他の皆さんもこのままでは…」

「想定範囲内だ」

 

提督は大淀の報告を受け、即座に左手を伸ばした。

それは第二艦隊の枠。そこに余った感娘を投入した。

島風…40ノットの速力を出す彼女を

 

「島風、出番だ…予定通り資材と弾薬を入れたドラム缶を持たせる。現地で補給させろ」

「そんなっ!?いくら何でも無茶苦茶です!」

 

遠征でドラム缶を使用して普段より多めの資材を持ち帰る…それが本来の役割なのに、現地補給の為にドラム缶を持たせる…装備も何も無いというのに

 

「第一ドラム缶に資材を入れたら機動力が!いくら島風ちゃんでも」

「島風には速度がある…相手の砲撃なんぞ幾らでも回避できる」

「なっ!?」

 

提督は言った。幾らでも回避できると

それは、暗に提督はこう言ってるのだ。回避できなかったら、そのまま戦場で散れと

役立たずはいらない…と

 

「駄目です!これは偵察なんですよ!?こんなリスクが高い戦法なんて」

「黙れ、指図は受け入れん」

「いいえ!言わせて貰いますがー」

「行け、島風」

「だっ、駄目です島風ちゃーーー」

 

 

 

 

大淀が止める前に、猛スピードで島風が出撃した。

止められなかった…こんな無謀とも言える作戦を…

 

「提督…今回ばかりは許せませんよ」

「何を言う?今まで俺の作戦を身近で見てきたお前が言う言葉か?」

「だからこそ、信じられないし…許せないと思います…この事は上層部に報告させていただきますからね」

「…好きにしろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

島風が装備しているのはドラム缶一個と照明弾と、連装砲である。

今回提督から事前に貰っていた指示は、交戦している海域の少し離れた場所…そこで

 

 

「ここだね」

 

照明弾を上げる。

 

それは、ある場所への合図。到着したという合図を空へ上げる。

そしてそれは、敵艦へと自分の位置を知らせる行為。

野戦ではないが、照明弾は目立つのには十分すぎる光量を放つ

 

案の定、吹雪達と戦っている深海棲艦を援護しようとした敵艦が島風に向かっていった。その数およそ15…だが

 

 

 

 

 

「提督の狙い通りですね」

 

 

その深海棲艦を狙い撃ちにする艦隊がいた。

 

 

第二艦隊…空母機動部隊

 

彼女達の艦載機は、全ての敵艦に向け魚雷を発射し、瞬く間に敵を殲滅する。

そして残ったのは…深海棲艦の残骸だった。

 

「やりました」

「うん…上々ね」

「やっぱ違うねぇ、軽空母と正規空母はさ」

「そんな事は無いですよ?隼鷹さんと龍驤さんも、私と加賀さんが撃ち漏らした敵艦を見事轟沈させたので…助かりました」

「そんな褒めんといてやー」

 

そして、彼女達に近づく影がいる。

その影は、青葉達第四艦隊だった

 

 

「おー、また派手にやってますねぇ」

「あ、青葉!おっそーい!!」

「厳しいですねぇ島風ちゃん、はい。これは私の燃料と弾薬です」

「作戦は成功したのね?」

「勿論ですよ、そのおかげで敵の資材がザックザク!ドラム缶を使えば第一艦隊の補給もできますよー」

「なら…タイミング的にそろそろかしら?」

「そうですね、そろそろ第三艦隊の奇襲部隊と入れ替わる頃じゃないでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「…………」

「よし、第三艦隊と交代しろ。第一艦隊は島風と第四艦隊の青葉の持つドラム缶から資材と弾薬を補給しろ。補給が済み次第、第三艦隊と合流し、残存する深海棲艦を殲滅し、速やかに離脱せよ。この際に第二艦隊は決して敵を第一艦隊と第四艦隊に近づけるな」

 

完全に予想外の展開だった。

第四艦隊を敵の補給路攻略戦に向かわせる…そして制圧が済み次第、彼女達に敵の資材を回収させ、それをドラム缶用員の島風と青葉に補給させる…

第二艦隊が二つの部隊を援護して、第三艦隊が奇襲、殲滅を行う。

 

第四艦隊の編成を見たが、その編成を見て二度驚いた。恐らく万が一の事を考えてだろう…第四艦隊には最強と言える感娘を投入していた。

10強のうちのトップ3、その全員を編成に組み込んでいたのだ。

 

「どうだ?大淀」

「…何を勝ち誇ってるんですか?今回は完全に運が良かっただけでしょう」

 

そう。この作戦は運が良かったから勝てたと大淀は考えていた。

もし制圧に時間がかかってたら?もし援護が間に合わなかったら?もし相手に姫級がいたら?考えられる要素は幾らでもある

 

「確かに運が良かったから勝てたってのはあるかもしれん。だがその運を勝ち取るために俺は最善を尽くしたつもりだ」

「後になったら幾らでも言えます」

「ふん…」

 

提督はギロリと大淀を睨むが、大淀もまた提督を睨み返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めて言っておきます提督…私は貴方が嫌いです。殺したい程に」

「その怒気を俺じゃなく、深海棲艦にぶつけるんだな大淀」

 

 

 

 

こうして、大規模な海域偵察作戦は無事成功した。




ブラック提督が感娘に嫌われるのは当然です


艦娘なら別でしょうが…

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