艦隊これくしょん〜ブラック提督(笑)の奮闘   作:SKYアイス

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タグにヤンデレを付けるべきか迷ってるこの頃


第8話

「大淀」

「何ですか?」

 

自分の立てた作戦は自分が思いつく限り最善を尽くした…なのに大淀が散々駄目出ししてきたので内心結構ショックを受けていた。そんな事から提督はある事を考えた。

 

彼女の言ったことは『もしも』を想定した物ばかり…そんな事に対して一々手を回していたら、資材が幾らあっても足りないし、何より一つ一つの海域にかける時間が増えて、全体の攻略が遅れてしまう。

 

石橋を叩いて渡るのは良いが、叩きすぎても結局遅れるだけ…そう考えた結果攻略する海域には万が一を考えていつの間にか呼ばれるようになった感娘10強のうち2名を編成に入れるようにしている。10強ならばレ級クラスと交戦しても艦隊を生き残らせる可能性が高いからだ。それを2名も編成している時点で過保護かもしれないが…

 

そして、データ上で最も最強の感娘も今回編成しておいた。大規模な作戦は何が起こるか分からないし、幾ら最強の感娘であっても燃料や弾薬が尽きたら戦えないので、島風と青葉に補給させる戦法を取った。そして確保した補給路に今天龍を筆頭とした遠征部隊を向かわせている。

 

後の事も考えた作戦に不満があるというのなら…仕方がないと提督は考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前…俺の代わりをしろ」

「…は?」

 

 

大淀は唖然とした。手にしていたワッフルを思わずおとしてしまうくらいに…驚いた

彼女は理解できなかった。彼が何を言ったのか

 

「俺に文句を言うのなら、お前は相当できるんだな?俺以上の戦果を…上げられるのだな?」

「えっ?えっ?」

「本来感娘にはそういう仕事はさせたくないのだが…お前が俺以上に提督業に向いているのなら、話は別だ」

 

提督はこう考える。大淀は提督がやる仕事を知らないから難癖を付けてきたのだと…まぁやらせなかったのは自分だが

 

だからこの際大淀には提督業を押し付けてみて、彼女がどうするのかを見てみたくなった。

そして本当に彼女が提督に向いているのならば、そのまま彼女に提督として着任させるのも悪くはないとも考える。

優秀な人間が上に立つべき…提督は常にそう考えているのだから

 

 

「お前がどうするのかを見させてもらうぞ大淀」

 

 

 

そう言い残して、提督は執務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「冗談ですよ…ね」

 

 

 

 

執務室にいる大淀の表情は、後悔と絶望に包まれていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「いきなり収集命令なんて…どうしたんでしょう?」

「きっと雷に頼りたいけど、二人きりだと頼れないからこんな大舞台にしたのね?司令官ったら照れ屋さんなんだから♪」

「それはあり得ないと思います。データ的に考えて」

「ヒェー」

「まーた比叡が鳴いてるネー」

「ヒェー!?」

「そのヒェーヒェー言うの飽きないっぽい?」

「夕立がぽいぽい言うのと同じだよ」

「睦月ちゃんがにゃしにゃし言うのと同じっぽい?」

「そうそう」

「勝手に睦月のキャラを解説しないで欲しいな!?」

「睦月ちゃん素になってるよ」

 

感娘達は本来自由時間には、全員が部隊内の演習や特訓、相手がどんな体勢で来る時や予想外の事態に対してのイメトレや話し合いを、それぞれ行っている。勿論それは提督の命令だからだ。

 

提督は自由な時間があればそれを利用して学ぶべきだと考えているため、彼女達が出撃や遠征に出ていなければそうさせている。

その為普段出撃しない感娘でも練度が上がり、出撃部隊が何らかの事情で出撃できなくなっても代役を務められる。それも十分な程に

 

そんな自由時間を削ってまで提督から一言ある…そんな事は大規模な作戦がある位だ。

しかしその作戦はまだ先の予定…ならば一体なんなのか?

そんな事を話の種にして感娘達はワイワイとしていた。

 

「そんな事よりより効率的な戦術やあらゆる敵に対しての経験を積む方が先です。五航戦の子には負けたくないので」

「それ瑞鶴ちゃんだけやん、翔鶴さんおらへんし」

「てか、加賀さん見事に負けてるしぃ〜」

「非常に頭に来ました」

「う、うーちゃんをどうする気なんだぴょん!?」

「撃ちます」

「ねっのひっだよー♪」

「唐突な子日に漣草不可避ですよーこれ」

 

 

「はぁ…キャラに飽きちゃいました」

「比叡はそれが一番ネー」

「飽きるの早いですね!?」

「今誰か早いって」

「島風ちゃん落ち着いてよー」

 

 

雑談に花が咲いてきた所に

 

 

 

 

 

 

 

「諸君、集まっているな?」

 

提督と大淀が現れた。

 

それだけで、艦隊の空気が凍った。先程のワイワイとした空気が凍ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(え?何で大淀と一緒に出てきたんだい提督?秘書艦は付けないんじゃないのかい?僕ですら一度もなってないのに)」

「(ほう…これは酷いな…色々と…)」

「(………へえ)」

「(あら?何ですか?誰ですか隣の人?死にますか?あ、大淀さんですねあの人…酸素魚雷ぶち込みましょうか)」

「(………阿武隈…ちょっとイラついてきちゃいました)」

「(気が付いたらご主人様が寝取られてた件について)」

「(暑さで視界がやられたか…?これは瑞雲を整備しなければ…)」

「(あら〜スキャンダルどころの騒ぎじゃないですね〜…………埋めちゃいましょうかねぇ)」

「(大淀さん…100m位の深海に…案内しましょうか?)」

「(てっ、提督…そんなっ!?計算上ツンデレ気質のあの提督がっ!?…これでは提督☆ハーレム計画がおじゃんに!?)」

 

10強の内8名程の目に光が灯ってなかったが、それに気がつく者は一人もいなかった。

 

そんな感娘の状況なんて知らずに、提督は宣言した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより3日間、俺は鎮守府を留守にする。代わりに大淀を提督代理とする!よってこれまでの俺の方針は取り止めとし、彼女の方針に従う事!以上だ!」

 

 

 

 

更に、空気が凍った。

 

「では大淀、後は頼む」

「ちょっ!?待てよお前!」

「天龍…お前はやめろと言った筈だが?」

「ぐっ…て、提督!どういう事か説明しろ!」

 

天龍の疑問は最も…そしてその疑問は感娘全員…いや、一人を除いてそう考えていた。

提督が理由も告げずに鎮守府を留守にする。今まで大本営や他の鎮守府に赴く事はあっても、提督代理は決して作らなかった彼がだ。

 

「理由か…それは簡単だ。大淀が俺より優秀な指揮を取れると言ったのでな、それを見極める為に3日間留守にし、3日後に改めてまた来る事にした。その間俺は大本営で作戦の立案でもしている」

「なっ……!」

 

天龍は…いや、一人を除いた感娘達は全員更に驚愕する。そして…

 

 

「あんた、私達を見捨てる気?」

「あんたじゃないぞ?曙、それに見捨てる気は無い。現に彼女が有能だった場合にはお前達をより扱えるという事だ。それを確かめる為の3日間だ」

「クソ提督より優秀?そんな保証はどこにあるの?」

「クソは付けるなと何度言わせる…それに保証はある。先日の俺の作戦に訂正を求めた程だ。相当できる筈だ彼女は」

「ふぅん…」

 

提督の説明で曙は納得したのか、それ以上追求はしなかった。だが彼女は依然難しい表情のまま佇んでいる。

 

「俺の方針を取りやめるため、普段の演習や訓練も無しにする。ただし大淀がそれを行うと判断すれば行って良いが…な」

 

そう言いながらチラリと大淀の方を見るが、大淀は提督の視線に気が付くとギロリと睨み返してきた。

 

「元気が良いのはなによりだな。ではこれより解散とする。これからは大淀提督に従う事。それが俺の最後の命令になるかもな」

「了解です、司令官」

「ふっ…」

 

提督の最後の命令…それに対して了解ですと応えたのは、吹雪だけだった。

それを見た提督は満足そうに去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、提督が去った直後に大淀は顔から血の気が引くのを感じた。

提督の事を嫌っているのは事実だが…彼よりも優秀と彼自身から言われ、いきなり代わりを任される事になった…まさかこんな事態になるとは思っていなかった。

非常に、非常に…後悔していた。

 

 

 

「ではご命令を、司令官」

 

吹雪がそう言ってくれるのが、何よりの救いだった。だが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうね…とりあえず何か指示をちょうだい?クソ提督代理さん」

「そうですね、提督代理」

「チッ………」

「天龍ちゃん?ちゃんと提督代理の言う事は聞くのよ〜?」

「わかってるよ!」

 

思ったより、前途多難だと大淀は思った。




10強でバレバレなのが約一名程いますねぇ

地味に強さ順で並べてる10強の心理状況でした。これからどうなる大淀ちゃん

因みに猫被り睦月は睦月語使用して、アニメ版睦月が素な我が艦隊の睦月ちゃんでした

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