「貴様は一体誰だ?」
そう言って、私はトレーズに似た少年に話しかけた。
なぜ私が話しかけたのか、理由は、彼がトレーズだと云う確信が欲しかったのかもしれない。少年は、整備の手を止め道具を床に置き私の前に立ち、こう言った。
「僕ですか?僕の名前はトレーズ・クリシュナーダです」
やはり彼はトレーズだった。しかし、目の前にいるトレーズからは、彼独特の雰囲気を感じない。一体どういう事だ。そんな事を考えていると、
「大丈夫ですか?」
「心配いらん、作業の手を休ませてしまって済まなかったな」
「ちょうど休憩しようとしていたので、謝らなくて良いですよ」
優しく微笑み彼は道具を片付け始めた。どうやら時間も時間なので私もここから部屋に戻り明日に備える事にした。
「さらばだ、トレーズ」
私はそう言って整備室から出た。
「また会おう、ミリアルド」
この声は誰にも届く事はなかった。
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翌日、入学式では生徒会長による挨拶そして新入生代表トレーズ・クリシュナーダによる挨拶により、無事に入学式は終わりそれぞれのクラスに振り分けられたのだが...........
右隣には顔色の悪い東洋人が、そして左斜め前にはトレーズが座っている。一時間目の授業はクラス全員に自己紹介をすると言うもの。
「織斑くん、織斑一夏くん」
「は、はい」
「あっ、あの、お、大声出してごめんね?お、怒ってる?怒ってるかな?ゴメンね!で、でもね、自己紹介『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。だからごめんね?自己紹介してくれるかな?だ、ダメかな?」
「は、はいわかりました」
どうやらこの東洋人は織斑一夏と名前らしい。織斑?何処かで聞いた事が........
「俺の名前は、織斑一夏よろしく」
クラス全体が彼の次の一言を聞くために物音一つ立たなくなったが、それは彼が椅子に座る音によってその静寂はなくなる。
バシッッッ!!!
何かが織斑を叩いた音がした。隣に目をやるとそこには、出席簿を持った織斑千冬が居た。
「痛いってば、千冬姉」
バシッッッ!!二度目の出席簿による一撃
「ここでは織斑先生と呼べ、わかったな」
「は、はい!!」
威勢良く織斑一夏は返事をする。
そうか、この織斑一夏は織斑千冬の弟か。しかし、あまり似ていない姉弟だな。何か来る!!
ガシッ!!強い衝撃が両腕を襲う。腕を十字にして防いだのは、織斑千冬が、持っていた出席簿
「ほう、今のを防ぐとはなかなかやるな、だが次は無いぞ。」
織斑千冬は少しだけ表情を柔らかくし、教壇の前に移動した。
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五歳を十六歳までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
再びこの言葉でクラス全体が静まり返ったと思った瞬間だった。
「「「「「「キャー!!!」」」」」」
「千冬様に憧れて入学しました!!」
「ずっとファンでした!!」
「IS学園に入学してよかった。」
どうやら彼女はトレーズに通ずるものがあるらしい、これだけのカリスマ性を持ちながらどうして教師などをしているのだろうか。
「毎年毎年、よくも馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。たまには、まともな連中がいても良いんじゃ無いのか」
「キャーお姉様!!」
「もっと叱って!!」
どうやら、私の運も尽きたようだ。ここから先は思い出したくも無い。
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長い長い自己紹介が終わり休み時間に入る。
すると私の後ろにいた金髪縦ロールの髪型をした、イギリスの代表候補生セシリア・オルコットが目の前に現れた。
「ちょっとよろしくて?」
だが、彼女が立っているのは、私と織斑一夏とのちょうど真ん中の位置に立っており、私と織斑のどっちに言っているのかが非常に分かりづらい。
「私はお二人に聞いているのです」
「今疲れてるから、後にしてくれないか?」
織斑がそう言うと、
「まぁ! わたくしが話し掛けられるだけでも光栄なのですからそれ相応の態度というのがあるのではなくて?」
セシリアがそう言うと、
「煩いな、後にしてくれって言ってるだろ!」
織斑がそう言うと、
「何ですの、全く態度を改めることすらできないのですね」
さらにヒートアップすると思った矢先チャイムがなった。
「ふん、チャイムに救われたようですわね」
髪を揺らしながら、後ろの席に戻るセシリア・オルコット
「何なんだあいつは・・・」
疲労困憊の織斑。私の二つ席の前で殺意に満ち溢れているドクター束の妹。まさに三者三様である。
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「今からクラス代表に推薦または立候補したいものは挙手をしろ」
織斑千冬の一言により、再びクラスは騒がしくなる。
「織斑くんが良いと思います!!」
「私はゼクス君が良いと思います。」
「私はあえてトレーズ君を!!」
女子が言い合いになっていると。後ろからバン!!と机を叩くと同時にセシリアが立ち上がった。
「実力からいけばわたくしが代表になるのは必然。それを物珍しいという理由だけで男にされては困ります! わたくしがこのような島国に来たのはサーカスをするためではなくてISの修練のためですわ!」
多分彼女は今頭に血が上っているのだろう。私は止めようとした時には既にトレーズが彼女の前に立っていた。
「これ以上はやめた方が良いよ、セシリアさん、今の君は冷静じゃ無い。ホントみんなゴメン、彼女も悪気があったわけじゃ無いんだ。」
必死に頭をさげるトレーズ。
渋々セシリアも謝り国際問題にはならなかったようだ。
「落ち着いたか?どうだ、平等を記してトーナメント制で決めようでは無いか。」
織斑千冬の一言により突然、クラス代表を決める戦いの火蓋が落とされた。