東京喰種- Dream and reality - 作:diaboli
東京喰種という石田スイ様が描かれている漫画がとても興味深い内容でしたので二次創作という事で提示させて頂きました。
なるべく原作の設定を崩さないように気をつけていますが、何分文才能力が皆無ですので誤字・脱字等が多々あるかと思いますが、随時ご報告をお願い致します。
その際は直ちにその箇所を調べ、間違ってるか確認をとります。
ディアボリを宜しくお願いします。
強い失踪癖が私にはありますので、不定期更新という事をタグ、そしてこの場で申し上げます。
なるべくそうならないように善処します。
では、長い前書き失礼しました。
どうぞ、本編の方をご覧下さい。
*東京・20区*
「……あぁ、疲れた。」
とある快晴の下、裏路地に存在するゴシックレストラン『フルーリ・ドゥ・サン』でダージリンを飲みながらぼぅっと外の景色を眺めている少女がいた。
歳は10代になったばかりだろうか。
少女には大きすぎるフリルの付いた漆黒のフードから時折覗く艶のある絹のような紫紺色の髪が特徴的だ。
袖が長く、指先が微かに出ているその姿はまさに着せられているという表現が一番似合う。
しかし、その指先の肌はきめ細かく、まるで磁器のような白さで透明感のある美しさだ。
そんな少女の艶やかな唇から漏れ出すのは、鈴の音のような繊細な声とは裏腹に「疲れた」と言うばかりであった。
「…こんな事ならまだ
少女はそう言いつつ、眼前のゴシック調のテーブルに置かれた紅茶のカップを指で弄ぶ。
カップの中に入った紅茶は指の動きと同調するかのようにゆらゆらと波をうつ。
「…あ、そうだ……この鞄の中…まだ見てなかった。」
少女はハッっと思い出したような顔をして肩から掛けていた大きな飾り布やフリルが付いたショルダーバッグを開けた。
「…………まぁ、慌ててたし。当然か……」
少女はそんな言葉と共に大きなため息をつきながら鞄を閉じた。
めぼしい物がなかったのだろう。
実はこの少女、家出をしたのだ。
両親や召使いから窮屈な生活を強いられ、日々ストレスを溜めていた。
そんなある日、ついに限界がきた少女は両親が寝静まった頃、夜逃げをするかのように家を出たのだ。
外に出た事などこれまで一度もなかった少女は見慣れない景色に胸が高鳴ると共に不安も感じていた。
一日中歩き回り、夜も更け、へとへとになってたどり着いたのが今少女のいるこの店だった。
この店『フルーリ・ドゥ・サン』は通常の店とは全く違った。
人目のつかない裏路地にひっそりと存在し、女性であれば来る者拒まずどのような女性でも招き入れる。
そう、
例え事情を聞かざるを得ないような格好等をしていたとしても、決して口を挟まない。
それがこの店のルールだ。
少女は運良くか弱き女児であり、身なりだけは家で叩き込まれた事もあり、この店と相性があっていた。
尚且つ、東京の街中では目立つ少女のゴシックロリータの服も、この店に入るならば当たり前の格好だった。
偶然が偶然に重なり、少女は今安堵の息をもらせるのだ。
しかし、先程確認したショルダーバッグには慌てていたせいか、ある物が少なかった。
誰もが普段持ち歩き、生きていくためには必ず必要になる物。
金だ。
少女には金がなかった。
カードならばあるのだが、少女は自分の両親の性格を知っていた。
自分達の都合のためならばどんな事でもする。
家出をした少女の事は事故で亡くなった等と言っておけばいい。
無論そうなれば少女の持ち物は捨てるだろう。
勿論カードの口座もなくなる。
少女はそれを察していた。
だからこそ、現金がいるのだ。
もうカードは使えなくなっているだろう。
ならば今この手に持っているという確認がいつでもとれる現金がいる。
しかし出掛ける事がなかった少女は鞄に現金を入れておく等といった概念が存在しない。
万が一のためと召使いが入れておいた雀の涙程の現金しかバッグには入っていなかった。
雀の涙といっても少女からしたらだが。
金銭感覚がおかしい少女。
今飲んでいるこの紅茶がどれほどのお金がいるのか分からない。
物を食べたり、飲んだり、買ったりするとお金がいるのは知っていた。
だからこそ、この紅茶が一体どれだけの値段なのか分かっていなかった。
机の端にある鴉の絵を模したメニュー表を見れば値段などすぐに分かる。
しかも紅茶一杯に何百万等かかるわけがない。
だが少女はそれすらも分からない。
メニュー表の値段の見方なんて分からないし、そもそも端にあるのがメニュー表とすら分からないだろう。
完全に詰んでいた。
家でも殆ど対話という事をしなかった少女。
外で全くの見ず知らずの人に「飲んだはいいがどうすればお金を払える?」なんて聞けるはずがない。
だからこそ、少女は「夢の世界にいたら」と言ったのだ。
あの家の中。
鳥籠という名の夢の世界ならば、自分がただ言われた事をしていればよかったのだ。
これほど不安になる事なんて絶対なかった。
しかし少女は外に出たかった。
外に出て世界の広さを知りたかった。
だからこそ鳥籠から抜け出し、弱い翼を羽ばたかせ自由を手に入れた。
その幸福と比べればこの不安なんてものは対価にもなっていない。
そう少女は割り切った。
「……でも、だからといって僕はどうすれば…」
『僕』という言葉は少女が意図的に使っている言葉だ。
家では『私』というように言われていた。
だが外に出ても私のままでは囚われてままのような気がした。
だから僕と自分を言うようにしたのだ。
「これから……どうすればいいかな…」
お先真っ暗だった―――
*after a few hours*
「…ハァ、ハァ…ハァ……」
月明かりに照らされている大通りとは違い、闇に溶け込んでいる路地裏で一人の少女が走っていた。
少女の顔には汗が出ていた。
上気した顔についた汗が艶かしく見え、ひどく官能的にうつっているが、そんな状況とは全く違う事を少女の後ろの光景が物語っていた。
少女の後ろからは、尾てい骨付近から赤い触手のようなものを生やした男が狂気の顔で追いかけていた。
暗い夜の中でもはっきり分かる赤い目。
本来白である部分が黒く、本来黒である部分が赤くなっているその眼球は化物と言いざるを得ないものだった。
薄汚いフードを被り、涎を醜く垂らしながら追いかけるその姿はまるで獣。
そんな男から逃げる少女。
先程までは店で落ち着けたのだ。
なのに外に出たらこんな事になるなんて。
少女は自分の運の悪さを恨みながら、必死に男から逃げていた。
しかし、男はとても人間とは思えないスピードで少女を捕まえる。
尾てい骨から出たその触手で少女の柔らかい腹を貫く。
その瞬間少女は自分の死を悟った。
だが、いつまでたってもその死がやってこない。
少女はいつの間にか閉じていた瞼をゆっくり開けた。
そこには自分に馬乗りになっていた男が何かに怯えていた。
もしかしたら今なら逃げられるかもしれないと思った少女は全力で男を突き飛ばした。
その瞬間男は腰の抜けたそのおぼつかない足で逃げていった。
少女は唖然となった。
それはそうだ。
先程自分を襲おうとしていた男が急に怯えて逃げていったのだから。
少女は周りを見た。
しかし、周りには誰もいないし、何もいない。
あるのはただの壁のみ。
何をあそこまで怯えさせていたのだろうかと思った時だった。
自分の後ろに何か気配があり振り向いた。
するとそこには黒い靄がかかった人影のようなものがふわふわと力なく浮いていた。
少女は驚きのあまり硬直した。
なんだこれは。
混乱が混乱を招き、どんどん頭の整理が追いつかなくなっていった。
するとその影がフッっと少女の中へと消えていった。
少女は一瞬身構えたが、その後一切何もなかった。
なんだったのだろうと思い、あの影の姿が頭に過ぎった瞬間、少女の目の前に影がまた現れた。
急に現れた影に対して、少女は慌てる事もなく、今度はゆっくりと深呼吸をした。
すると影がまた少女の中へと吸い込まれるように消えていった。
少女はこの影は自分がつくったのだと確信した。
自分の気持ち次第でこの影が出現するのが分かった。
少女は一旦近くの廃ビルで休む事にした。
今日は一日中理解出来ない事が沢山あって整理できていないが、睡魔が限界まできていた。
明日また整理し直そうと決めた少女は、睡魔に身をゆだねたのだった―――――
*after a few hours*
「―――ん……」
少女は寒気と身体中の痛みで目が覚めた。
夜を廃ビルで過ごしたせいか身体中が凍えるように寒かった。
さらに端で小さく丸くなるようにして眠ったせいか、身体の節々が痛い。
少女は痛みを無視して廃ビルの窓から外を見た。
眼前に広がる景色は夜が明けたばかりで朝日も登っていなかった。
ひとまず外に出ようと少女は廃ビルを後にした。
路地裏に出た少女は昨日の事を思い出し、整理する事にした。
ある程度混乱はなくなったが、整理できていないのは未だそのままだ。
ある男はなんだったのか、靄がかかったようなあの影はなんなのか。
そしてあの影は何故自分の中へ入って消えたのだろうか。
いろいろな疑問がある。
まずはあの男についてだ。
そもそもあの男の姿が異常だった。
どこに赤い触手を生やす男がいる。
そんなものが一般人としていたなら女も変わらず化物となり、人間としての種族が否定されるではないか。
つまり、あの男は特殊な存在。
人間とは似ているが、人間の皮を被った何かだ。
暫くはどこかに住める場所を探してひっそりと暮らしたほうが良さそうだ。
特に夜は危険だ。
次にあの影だ。
あの靄がかかったような人影。
あれは自分があの影をイメージすれば出現した。
つまり自分の意識とリンクしている可能性が高い。
もっと言えば意識とリンクしているのならばあの影を自由自在に使える事も可能かもしれない。
とりあえず今後の方針としては住処を探しつつあの影をある程度自在に操れるようにする事だろう。
でないとまたあの化物に襲われたらたまったもんじゃない。
あの影についても、あの化物についてももっと知る必要がある。
……これは今までで一番過酷そうだ。
家に居た方が何倍もマシだったかもしれない。
でもそれだけは勘弁だ。
あんな窮屈で人間の欲望と欲望が溶け合ったドロドロの空気を吸いながら過ごすなら死んだ方がまだいい。
少女はそう思いながら、あまり人目がなく、静かに過ごせそうな場所を探した。
*Tens of minutes after*
暫く歩き、とある家を見つけた。
見た目は普通の家だ。
一軒家としては少し小さいかもしれないが十分な家だった。
しかし黒いワゴン車が草まみれなのと一切の人気がないことから、空家だという事が分かった。
「……ここなら…」
大通りから少し遠いが、歩いて5分程度の距離にファーストフード店もある。
少女はこの家に決めたのか、門を開けて玄関に入っていった。
*After a few hours*
「……こんなものかな」
この家に入った当初、中は様々な物が散乱しており、奥の部屋に行く事すら難しかったが少女が片っ端から綺麗にして人が住んでいてもおかしくない家になった。
少女は汚くなった自分の服を洗濯機に入れ洗う。
この家は床下倉庫があったらしく、そこにいろいろな物が保管されていた。
そこにこの家の家具の取扱説明書や前の家主の使わなくなったものであろう家具等がしまってあった。
少女はそこから使い方を覚えたのだ。
服を洗っている間、少女は裸のままでいるわけにもいかなく、しかしだからといって誰が使ったかも分からないような服も使うわけにもいかない。
ひとまず掃除の察に洗っておいたシーツにくるまりながら、床下倉庫にあった型が古いWindows7というノート型PCを机に置き、いろんな情報を調べた。
幸い、家にいた頃にもPCはあったのだ。
ただ使う頻度が少なかったのと、ネットに繋がらなかっただけで。
このPCはネットに繋がるかもと思い立ち上げ、ブラウザを起動した。
しかし、現れるのは見た事のあるネットに繋がっていないという趣旨が書かれたページ。
それもそうだ。
空家という時点で電気供給はないだろう。
少女はそんな事もしらない。
結局情報はなしかと思い落ち込みかけた時、デスクトップの画面に気になるものがあった。
それはテキストファイル。
名前は『ネットの繋げ方(忘れた用)』と記入されていた。
どうやら前の家主は忘れやすいタイプだったようだ。
だからこそこうやっていろんなものを保管しておいて、万が一忘れても大丈夫なようにしていたのだろう。
少女にとってそれは好都合だった。
早速そのテキストファイルを開け、中身に書かれているやり方と同じように行った。
途中外にでなければいけない事も書かれていたので、困ったと思ったら、ちょうどよく洗濯も終わったらしく、洗って乾燥したての服を着て続きを行った。
本当はテキストファイルに書かれていたネットの繋げ方は違法なのだ。
前の家主の頃から既に電気供給は断たれていたのだ。
だから外に出て、隣の家のルーターと呼ばれる機械に自分のPCを近づけて電波をもらうというやり方が書いてあった。
本来ルーターにはパスワードなるものがかかっており、電波等はもらえないのだが、隣の家主は何故かパスワードを外した状態にしていたのだ。
だからこその方法ができるのだ。
少女は違法とは知らずにその方法に従いネットを繋げた。
家に帰ってきた少女は早速ネットを開き、様々な情報を調べる。
日常的な事からこの東京について、あの化物の事、あの影の事、とにかく何から何まで全て調べた。
少女は記憶力と思考力だけは異常な程高かった。
その頭をフル活動させた結果、丸三日である程度の常識から世間の出来事等の事を覚えた。
覚え終わった瞬間、少女は倒れるように意識を失った―――――
*One day after*
「―――……」
始めに壁にかかった時計を見た。
……どうやら一日中寝てたようだ。
少女は身支度を軽く整え、ある場所へ向かった。
電気局と水道局だ。
どちらにも向かって、料金を払うので電気、水道の供給を頼むと言いに行ったのだ。
どれくらいか経った後、家に戻ってきた少女。
本来すぐには供給されないのだが、大量のお金を見て驚いたのか、すぐに供給をしてくれた。
そして少女が真っ先に向かったのは浴室だった。
疲れた身体を流すのだろう。
暫くすると浴室が開き、中から少女が出てきた。
身体をきちんと拭いているおかげで濡れている部分は一切ないが全裸で寝室に向かい、クローゼットを開ける。
中には紳士用の服がいくつか入っていた。
正直誰が着ていたのかも分からない服は嫌だ。
しかし、全裸はもっと最悪だ。
だからしょうがないと割り切って少女は一番地味な服を選んでそれを着込んだ。
着てみるとブカブカだったがそんな事は覚悟していたので別にどうというわけでもなかった。
その姿でPCに向かい合うと、今度はネットショッピングをし始めた。
自分の持っているお金はどうやら一般で言うととんでもない量のお金らしく、暫く遊んで暮らせる程だった。
そのお金でまずこの家にあるものを全て新しいものに交換するという事が頭に浮かび、早速実行したのだ。
数日後、少女が住み始めた家は当初の風景がまるでなかったかのように変化していた。
ベッドからカップまで、何からなにまで全て新しく、自分の好みに交換し、足りないものは購入し、いらないものは売り、完全に少女の家になった。
服も新しく何着か購入して、満足していた。
さらにはあの影と化物についてもいろいろ分かったのだ。
まずあの化物は喰種といって人を喰らい生きている化物。
喰種にも二種類いるらしく、人をなるべく殺さないようにして静かに生きるタイプと暴れまくって人間を物と思っている、家畜と思っているタイプだ。
どちらかと言えば大人しい喰種とだけに出会いたい。
万が一出合わせた場合でも優しく、静かにする喰種は大丈夫だが好戦的な喰種の場合は戦わなくてはならない。
戦闘はあまりできなり少女にとってそれはどうしてもさけなければならな危険だ。
喰種は通常の人間とは違い、とても身体能力が高く、人間じゃ太刀打ち出来ない。
そしてあの触手。
あれは赫子といってRc細胞(喰種の体内に存在する特殊な細胞)により構成されている喰種の武器であり捕食器官でもあるものだ。
赫包と呼ばれる喰種にのみ存在する臓器でそこにRc細胞を蓄え、その蓄えられた細胞が皮膚を突き破り放出されたものを赫子と呼ぶ事が分かった。
また赫包の位置は喰種により異なっており、複数の赫包を持つ喰種も存在する場合もあるらしい。
この放出されたRc細胞は硬化と軟化を繰り返しており形を自由に変える事が出来る。
その特性から「液状の筋肉」などとも例えられている事が判明。
さらに喰種は治癒能力が高いが、赫子により受けた傷は治癒が遅くなるという特徴があるらしく、赫子には優劣があり相性の悪い赫子から受けた傷は特に治癒しにくいとのこと。
赫子には羽赫、甲赫、鱗赫、尾赫の4種類が存在し、赫包の位置が相性に関係しており、「上のものに強く下のものに弱い」となっていると分かった。
羽赫は肩辺りから出現し、高速攻撃が得意だが、その分持久力がない。
甲赫は肩甲骨下辺りに出現し、随一の硬さを誇るが、その反面重量がありスピードにかける。
鱗赫は腰辺りに出現し、再生力が高く、攻撃力は赫子随一だが、脆いという欠点がある。
尾赫は尾てい骨辺りに出現し、弱点がなくバランスタイプだが、攻撃の決めてがないのが欠点。
以上の事を考えると複数の赫子をもつ喰種は通常の喰種より危険なのが分かる。
正直関わりたくないが、もし万が一好戦的な喰種に出くわした場合は惑わしながら逃げるしかない。
自分にもそれ程の力がある事が分かった。
それはあの靄のような人影。
あれはどうやら少女の意識がイメージとして出現したもののようだ。
自分が意識した通りに動くため、もう一人の自分として操作が可能。
さらには本来自分じゃ持てないような重さの家具等もこの影ならなんなく持てた。
そしてこの影には能力のようなものがある。
それは幻夢操作。
相手に夢と現実の区別がつかないようにして惑わす事が可能。
さらに、相手の夢の中に自分がこの影を媒介にして侵入する事が可能。
この時、相手との距離がどれだけあろうと侵入が可能になる。
夢の中では自らが「主」となるため、全て思い通りにできる。
しかし、相手が夢から目覚めた時に自分が相手に触れていた場合、自分もろとも現実に引っ張られてしまう。
つまり、この能力は夢では最強になり、現実では最弱になるという扱いが難しい能力だ。
だからこそ、まずい時は夢と現実を曖昧にして惑わし、その隙に逃げるという戦法にした方がいい。
専ら逃走専用といった能力だろう。
だがこの能力があるおかげで、自分は喰種に怯える事がなくなる。
それだけでも十分な事だった。
まだ完全には操れていないのかもしれないし、もっと凄い能力があったりするかもしれないが、それは主、つまり自分自身の能力だろう。
そこは妥協しなければいけないだろう。
これから少しずつ練習していけばいいだけなのだ、急ぐ必要はない。
少女はそう思い、今日は寝る事にした。
明日の朝早く、路地裏等を歩き喰種に対して実験する必要がある。
少し怖いがこういうのは早めに判断しておかないと後々になって使えませんでしたじゃ元も子もない。
また明日も忙しくなる―――――
*After a few hours*
人間が寝静まり、動物さえも夢の中にいる夜の世界。
そんな中で夢姫が準備をしていた。
漆黒のゴシックロリータに身を包み、不気味な程に紅い飴玉を食べている。
肩から掛けたショルダーバッグには一般人では普段持ち歩かないような高額な量のお金と小物類が入っていた。
夜の中でも艶めいている新品のブーツが少女の足にはまる。
玄関にある鏡で自分の姿を確認し、外に出た。
冷たい夜風が肌に当たる。
少女はどこを目指しているわけでもなく、漂うように暗い夜道を歩き出す。
コツコツとブーツ音が闇に溶けていった―――――
*After a few minutes*
案外思っていたより早く喰種と出会った。
これで基本的に喰種は夜に捕食行動が多いというのが分かった。
「喰わせろ……その上手い身体を喰わせろォ!」
そう言って肩甲骨辺りから赫子を出した男の喰種が少女に襲いかかった。
少女はすかさず例の影を出現させ相手を惑わす。
「!っ……あぁ?どうなってやがる……何で俺ぁこんな…廃墟になった工場…か?」
男は気が付けば廃墟の工場にいた。
先程まで路地裏にいて、獲物を探していた。
そして美味そうな少女を見つけ、襲いかかった瞬間、気が付けばこれだ。
意味が分からなかった。
工場は不気味なほどに赤い光がぼんやりと工場内を照らしていた。
「んだよ……くそっ…腹が減りすぎておかしくなったか?……いや、自我はあるんだ、んなこたぁねぇ。」
喰種は未だ理解が追いつかなかった。
その時だった。
「こんばんわ」
鈴の音のような透き通る、綺麗な声が聞こえた。
喰種がバッっと振り返ると、そこには先程いた少女が立っていた。
「僕を……食べたくないの?」
少女はそう聞いてきた。
自らが食べられると知っているのにわざわざ食べられに来たのだ。
その精神は分からなかったが、探す手間が省けたと喰種は少女に飛びついた。
少女は一切の抵抗を見せず、喰種はその綺麗な首に齧り付く。
柔らかく、抵抗力がない少女の肉は至高とすら思える程美味だった。
男は無我夢中で少女を貪った。
ふと、男が我にかえった頃には少女は骨だけになっていた。
「あぁ……今日は幸せだったな…へへっ」
男は口元を袖で拭い取り、工場の出口を探すために歩き始めた。
*After a few minutes*
男はイライラしていた。
どれだけ歩いても工場内から出られないのだ。
どうなっている。
「あぁっ!くそォ!なんなんだよっ!!」
男は傍にあったドラム缶に八つ当たりをした。
すると。
「幸せの後には不幸が待っているんだよ。」
あの少女の声がした。
男は驚愕し、後ろを振り返るが、誰もいない。
気のせいかと思った、しかし。
「美味しかった?僕の身体。」
違う……気のせいではない。
男はブリキの人形のようにゆっくり、ギリギリと首を正面に向けた。
そこにはあの少女がいた。
だが、あの少女の姿ではなかった。
自らが食べた後の残骸、つまり……骸骨の状態で。
「ここから出たい?……ケタケタ」
血にまみれた骸骨が、工場内の紅い光で照らされ、嗤う。
「うわあああああぁぁぁ!」
男は弾けたように必死で逃げ去る。
ケタケタケタケタケタケタケタケタ
後ろから聞こえる嗤い声が遠ざからない。
むしろ近づいているように聞こえる。
「やめろォ!やめてくれェッ!」
男は必死に逃げる。
逃げて、逃げて、逃げる。
しかしあの嗤い声は消えない。
いや、むしろ消えないどころか、近づいているような気もする。
男は一旦足を止めた。
息も絶え絶えの中、耳を研ぎ澄ます。
「っ!?」
男はその瞬間、全速力で走った。
やばい、やばいやばいやばいやばいやばいっ!
本当なら自分の息切れしている声だけ聞こえればよかった。
だが、違った。
耳元で聞こえたのだ。
ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ
骸骨 の 嗤い 声
どうしてこうなったんだ!
男はとにかく必死で逃げる。
出口なんて分からない。
必死に通路を走った。
その時、視界の隅にある物を捉えた。
そこには大きな部屋があり、その部屋の中央付近には血溜りがあった。
そう、あの少女を食べた場所だ。
回っている。
いや、気づいていた。
本当は気づいていた。
さっきから逃げながら気づいていた。
だが分かっていないと思いたかった。
先程からずっと回っている。
延々と、同じ道を回っている。
いろんな道を逃げている。
だが、ずっと回っているのだ。
それに気づいてしまった男は血の涙を流す。
「うあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
男は永久に紅い工場内を逃げ回る―――――
*東京・20区*
「……成功だ。」
少女は男に対して能力を使った。
結果としては効果は抜群だ。
夢の中にいる喰種は今、少女の目の前で泡を吹きながら倒れている。
寝癖なのか、ジタバタとしている。
まるで必死になにかから逃げているかのように。
少女はクスクスっと嗤った。
そして、自らの住処に戻っていった。
「フンフフンフンフーン♪」
少女はご機嫌な様子で鼻歌を歌う。
その鼻歌は、どこか寂しく、だがどこが狂気的なものだった。
少女は夜の道をゆったり、まるで楽しむかのように歩く。
闇は……夜は少女の……夢姫の時間―――――
どうでしたか?
醜い文章で申し訳ございません。
文才能力が欲しいです。
誤字・脱字以外にもアドバイスや質問等も是非お願い致します。
ただし本編のまだ明かされていない部分をお教えする事は出来ませんが、それでもヒントというような、匂わせるものをお教えしますので、遠慮なくどうぞ。
これからもディアボリを宜しくお願いします。