振り向きへホームラン【完結】   作:puc119

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第23話~振り向きへスタ……~

 

 

 相棒が一生懸命脚へ攻撃してくれたことで倒れたレイアに縦1、縦2、そしてホーム……

 

「あう」

「あっ、ごめん」

 

 大丈夫です。それくらい気にしません。

 彼女の右ぶん回し笛攻撃が当たり、ホームランを出す前に尻餅。笛さんって思った以上に攻撃範囲が広いのね。

 横振り始動でもホームランまでは間に合わないだろうから、SAの維持ができる溜め1、振り上げ攻撃を当て直ぐにローリング。

 むぅ、思っていた以上に戦い難いかもしれない。

 

 彼女が後方攻撃をするのを横目に、もう一度ハンマーを右腰へ構えカチ上げの準備。

 そして、彼女を吹き飛ばさないようレイアの頭へカチ上げ。手にかかるヒットストップ。弾けるスタンエフェクト。ふむふむ、やはり頭が低い位置にあるモンスターは戦い易くて好きだ。

 

 また直ぐにローリングをしてからレイアを見ると、口からは僅かに炎が漏れていた。レイアさんおこです。

 残念ながら回避性能がないとレイアの咆哮はフレーム回避ができない。レイアやレウスは怒り咆哮の後は確定で後ろへ飛ぶ。だから咆哮のフレーム回避から閃光玉を投げることで、飛んだレイアを落とすことができる。

 まぁ、今はそんなことができないんだけどさ。

 

 咆哮が来ることをわかっていても此方は何もできないため、仕方なくレイアの咆哮を受け、耳を塞ぐ。ビリビリと震える空気。飛竜種の咆哮はケチャなんかのそれと比べて、確かに大きく感じた。ああ、もう五月蝿いな。

 そして、レイアは咆哮から後ろへ飛んだ。

 

 その瞬間。目映い光で視界が真っ白に。

 

 相棒が投げたとはちょっと考えにくいから、たぶん彼女が投げたんだろう。緊急回避でもしたのかね。

 閃光にひるみ、落ちてくるレイア。ナイスです。

 

 陸の女王なんて呼ばれているんだしさ、やっぱり地上で戦いましょうや。

 

 右腰へハンマーを構え、倒れたレイアにカチ上げ。そして横振り、縦2、ホームラ……

 

「あう」

「……ごめん」

 

 ……いえ、大丈夫です。

 俺の立ち位置がまずかっただけです。

 

 そうやって俺がまた尻餅をついていると、彼女の後方攻撃からの演奏が頭へ決まりレイアが2度目のスタン。

 

 ああ、俺のスタンが……

 なんて思わなくもなかったけれど、別に文句があるわけではない。スタンは皆のものなのだ。

 

 今度は彼女の攻撃が当たらない場所から、縦1始動でホームランを決める。そのせいかホームランは首に吸われ、あのヒットストップもなく、スタンエフェクトが出ることもなかった。残念。

 

 レイアが起き上がってから直ぐにローリングをして突進を回避。

 右腰へハンマーを構え、溜めながらレイアの後を追う。さらに近づき、前へ滑るように倒れ込んだレイアの尻尾の先で構える。

 

 そして、振り向きへ……振り、振り向きへ……振り向きませんでした。レイアさん彼女へ向かってまた突進しました。

 

 俺だって相棒ほど手数を出せているわけではないから、レイアが此方を全然見てくれない。ほとんどの攻撃が相棒や彼女に向けてのものだ。たま~に、申し訳程度には攻撃をしてくれるけれど、本当にたま~にと言った感じ。

 

 正直に言おう。超戦い難いです。なかなか頭へ行けないせいで、どうにも調子が出ません。

 

 手数は相棒が圧倒的だろうし、俺よりも手数の少ない彼女は演奏のおかげで、レイアさんに向いてもらえている。そして一番大きいのが、彼女が発動している“挑発”スキルだろう。

 

 相棒と2人の時はまだ良かった。狙われるのは俺か相棒の二人だから、相棒の立ち位置を見ながら移動すれば、モンスターの振り向きへ合わせられる。

 けれども3人となってしまえばそれも厳しい。

 

 頭にいけないハンマーとかもう……ね。

 

 こりゃあ予想以上に厳しいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 彼女が俺たちのパーティーへ入ってくれた次の日の朝のこと。

 クエストへ出発する前に一つ提案をした。

 

「あれ? フルフルは行かなくてもいいの?」

「いや、別にフルフルでも良いんだけどさ。氷海って丸々1日かかるって言うから違うのにしようと思ったんだ。それに新しいメンバーも増えたんだし、近い方が良いのかなぁって」

 

 そんな考えです。

 たぶん、フルフルも倒すことはできると思う。だってあの彼女が俺たちのパーティーへ入ってくれたのだから。

 けれども、氷海はちょっと遠い。だから近くの遺跡平原の方が良いのかなぁって思った。そして、どうせだったらレイアと戦ってみよう。と言った感じ。

 

「う~ん、そうだね。初めてだもんね。……うん、じゃあ私はそれでいいよ。貴方は?」

「……私も大丈夫」

 

 うむ、それなら良かった。

 相棒の新しい武器ができるのは今日の夕方。遺跡平原へ行き、帰ってくればちょうど良い時間なはず。そして戦うモンスターはリオレイアに決めている。

 ふふん。レイアは結構戦ってきたから得意なのだ。

 

 まぁ、それもゲームの中のお話なんだけどさ。

 

 

 そして、いつも通りKO術の発動する料理を食べてからクエストへ出発。

 できれば閃光玉を持っていきたいけれど、残念ながら素材がなく調合できません。せめて素材玉くらいは売ってくれても良いのにね。

 

 そんじゃ、行きますか。

 

 

 

 

 遺跡平原へ向かっている途中はいつも通り雑談。

 

「リオレイアかぁ……飛竜かぁ……」

 

 不安気な様子の相棒。

 レイアは今まで戦ってきたモンスターとはちょっと違うもんな。いかにもモンスターと言った感じ。不安になるのも仕方無いかもしれない。

 

「ちょっと橙色のエキスが取り難いけれど、3色集めれば大丈夫。3色集めたらどんどん乗っちゃって良いよ」

 

 3色集めれば咆哮も防げるから、乗りだってかなり成功しやすくなる。期待してます。

 あと、できれば尻尾も斬ってくれれば嬉しいな。俺と彼女の武器が武器なだけに尻尾はちょっとキツイ。まぁ、無理して斬る必要もないんだけどさ。

 

 そんな感じにいつも通り雑談。

 基本は俺と相棒が喋っていたけれど、彼女も会話には参加してくれた。仲も悪くはならなそうだし、思っている以上に良いパーティーかもしれない。

 

 そんなことを思った。

 

 

 

 

 そして、遺跡平原へ到着。

 

「よっしゃー、行くぞー!」

「おおー!」

「お、おおー……」

 

 いつも通り声を出し気合を入れる。それにいつも通りの言葉を返してくれる相棒。そして少々恥ずかしそうだったけれど、彼女も声を出してくれた。

 あっ、でも無理はしなくても良いんだよ? ただ、俺が気合を入れるためにやっているだけだし。

 

 そんな何とも言えないような雰囲気ではあったけれど、できるだけ気にせず、レイアの待つエリア3に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、其処までは良かったんです。

 いや、その後も別に悪いことはなかったんだけどさ……

 

「おっ、おおー倒したー!」

 

 力尽き、倒れもう動くことのない陸の女王。

 残念ながら尻尾を斬れてはいないが、タイムはきっと過去最速だろう。今まではずっとハンマーを使っていただろうに、彼女の笛はかなり上手かった。

 演奏効果を切らすことはなかっただろうし、それでいて手数も出せスタンも取れる。追加演奏からスタンをとった時など、鳥肌が立った。

 実は何処かで練習していたのかもね。てか、そうであってほしい。初めてでアレだけ上手いとかなるとバケモノみたいだし。

 

 そう、レイアは問題なく倒すことができた。

 倒すことはできたんだけど……

 

「おーい、剥ぎ取らないの?」

「あっ、うん。剥ぎ取ります」

 

 レイアからせっせと剥ぎ取っている彼女をチラリと横目で確認。

 いつも通りの表情。何を考えているのかはわからない。

 

 

「ありがとう。いただきました」

 

 

 しっかりと3回剥ぎ取りを終えた後は感謝の言葉を一つ。使うかどうかはわからないけれど、大切にします。

 

「ん~……何だか元気がないみたいだけど、どうかしたの?」

「いや、別にそんなことはないと思うけど」

 

 嘘です。

 滅茶苦茶凹んでいます。

 

 今回のクエストでわかったことは沢山ある。彼女の実力だったり、このパーティーにおけるモンスターの動きだったり……

 けれども、そんなわかったことの中で、かなりショックだったこともある。

 

「そかそか、それなら良かった。それじゃ帰ろうよ。帰って打ち上げやろ! 打ち上げ!」

「おう、そうだな。パーっとやるか」

「ま、また飲むの……?」

 

 この彼女は上手い。俺よりは確実に。

 今回のクエストで俺はほとんどダメージを稼げてはいないだろう。別に自分が上手いとは思っていなかったけれど、それがわかるだけになかなかショックだった。

 俺の立ち回りが原因で何度も彼女の攻撃で転かされてしまったし、モンスターが此方を向いてくれないせいで、頭へ行くこともできなかった。

 

 

「……スタンも取れないハンマーか」

 

 

 独り言が落ちる。

 頭へ全く攻撃できなかったわけではないけれど、流石に今回は酷い。そんなハンマーは意味があるのかね?

 

「ねぇ、ねぇ、ちゃんと私の乗り攻撃見てた?」

「うん? ああ、失敗したときは見てたよ」

 

 ま、良いさ。

 上手くいかないことくらいわかっていたんだ。それに彼女が加わってくれたことに、マイナスは何もない。

 

「どうしてその時だけ見てるのさ!」

「いや、だって成功したっぽいときは研いでたし」

 

 ただ俺が上手くなれば良いだけ。

 今までは我が儘に戦いすぎただけ。

 

 大丈夫、何も難しくなんてない。それに、こんな状況は負けず嫌いな俺に合っている。焦る気持ちもあるけれど、焦ったことろでどう仕様も無い。

 

 ホント、つくづく使い難い武器だと思う。

 SAもなければ、火力もない。動きは遅いし、ガードもできない。

 

 それでも俺はハンマーが好き。

 

 意地張って、胸張って……我武者羅にハンマーを振り回せば良いだけ。

 おっし、頑張ろう。

 

 少しでも力になれるように。

 

 

 






レイアの咆哮って回避性能無しでもフレーム回避できましたっけ?
できないって書いちゃいましたが、間違えているかもしれません


と、言うことで第23話でした
レイアさんには申し訳ありませんが、直ぐ終わらせました
サマソの文字すら出てきませんでしたね(´・ω・`)スマヌ

ジンオウガの彼女さんが加わりなかなか強いパーティーとなりました
主人公がちょいと情けないですが、これから頑張ってくれると私は信じています

次話は……フルフルでしょうか?
まだ決めていません
では、次話でお会いしましょう

感想・質問なんでもお待ちしております


~単語説明~

すっかり忘れていました

~ヒットストップ~
敵へ攻撃をした時、モーションにディレイがかかることがあります
それをヒットストップと呼んでいます
このヒットストップは、例外もありますが、武器の斬れ味と攻撃した部位の肉質で決まります
斬れ味が良く、攻撃した部位が柔らかいと文字通り攻撃が止まるような感覚となります
ヒットストップを感じたい方はゲリョスの尻尾へ大剣ので斬ってみたり、双剣で空中回転乱舞をやると良くわかるかと思います
そしてこのヒットストップですが、ハンター側に良いことは何もありません
ヒットストップがすごければそれだけモーションが遅くなるためDPSは落ちます
ですので、麻痺双剣などを使う方は斬れ味をわざと伸ばさなかったりすることもあります
双剣でヒットストップがすごい部位へ攻撃すると、もうなんかコマ送りみたいになります
ただ、このヒットストップがやみつきになるハンターは多いのでは?
大剣使いやハンマー使いなんか特に
私もヒットストップの感覚は好きですし

はい、以上です
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