「着いたー」
馬車に揺られること数時間。遺跡平原へ到着。
うむうむ、やはり遺跡平原は近くて好きだ。全部これくらい近かったら楽だったのにね。暑くもなく、寒くもない丁度良い気温。
支給品ボックスから地図と松明を取り出し出発。
今回は時間いっぱいまで採取するつもりだし、もうベースキャンプへ帰ってくることもないと思う。
「そんじゃ、行くか」
「おおー!」
今回は本当に何かをやる予定なんてなかったから、相棒と雑談をしながらピッケルや採取。鉄鉱石や大地の結晶、ハチミツが美味しい。
上位になったら流石に回復薬グレートがないとやってられないし、今のうちにコツコツと集めねば。
そんなことをしているところにひょこひょこと現れたアルセルタス。けれども、まぁ、直ぐに倒すことができました。
「あ、あれ? もう倒しちゃった」
前に戦った時よりも武器も強くなったし、腕だって上手くなったはず。火力で言うと2倍くらいは上がってそうだ。そりゃあ直ぐに倒すことくらいできる。
最初は結構苦労したんだけどなぁ。良いことではあると思うけれど、何故か変な寂しさを感じた。それが成長したってことなのかね?
倒れたのにも関わらず、ヒクヒクと脚が動いているアルセルタスから剥ぎ取り。
ありがとう。いただきました。
遺跡平原も一周し、ピッケルポイントもなくなった。それでも時間は余っていたからネコの住処へ行って釣り。もう後は時間いっぱいまで釣りでもしよう。お金にもなるし丁度良い。
俺が糸を垂らしている間、相棒は松明を持ってアイルーたちと一緒に踊っていた。楽しそうではあるけれど、何やってんだろうか……
サシミウオなどは早々に10匹以上釣れてしまうため、余ったそれらは全て相棒と一緒に踊っているネコたちにあげた。
松明を持って踊るハンターと、そのハンターを中心に踊るネコたち。そんなネコたちへ俺が魚をあげるせいで、テンションは更に高くなる。まさにお祭り状態。
もうなんか異様な光景だった。
まぁ、たまにはこう言う日も良いのかな。なんて思い、そんなお祭りを横目に時間が来るまで俺は糸を垂らし続けた。
結局、クエストが終わる時間が来るまで相棒はネコと遊んでいたし、俺は釣りを続けていた。
黄金魚と小金魚は10匹以上も釣ることができ満足。これでとうぶんお金に困ることもなさそうだ。うむ、これだけでも来た意味はあったと考えて良いはず。
「今日は楽しかったね!」
「うん、そうだな。たまには良いかもしれない」
馬車に乗り込みながら落とした相棒の言葉に同意。
この相棒はずっと遊んでいたけど、もしかしていつものクエストより疲れているんじゃないだろうか。
……いや、流石にそれはないか。ないと信じている。信じているぞ相棒。
「ん~……なんかいつもより疲れた気がする」
……お前にはガッカリだよ。
いや、別に悪いことではないんだけどさ。
遺跡平原からの帰り道。疲れたと言っていたのに、珍しく相棒は直ぐには寝なかった。明日もあるのだし、今は寝た方が良い気がするけど。
そして、何故かじっと此方を見ている。なんなんでしょうか?
その相棒の表情は何時もよりも少しだけ真剣そうに見えた。
「どしたの?」
見られていると、どうにも心がざわつくため堪らず聞いた。
「……私は今、楽しいよ。すごく」
あ~……うん?
そりゃあ、良いことだ。良いことなんだけど……えと、何が言いたいのだろうか。
普段から何を考えているのかわかり難い奴ではあるけれど、今回は本当にわからない。俺だって察しの良い性格ではないのだし、ちゃんと言葉にしてもらわないと伝わらない。
「……君がさ。どんな人なのか私にはわからない」
ああ、なるほど。
ふむ……そう言うお話ですか。
「だけどさ。今が私はすごく楽しい。私がいて、君がいて、笛ちゃんがいるこの生活は楽しい。ずっとこんな生活が続けば良いって思ってる」
この相棒が何を考えているのか、詳しいことはわからない。けれども、思うことは色々とあったのだろう。
まぁ、疑問に感じない方がおかしい気もするんだけどさ。HRだってまだかなり低く、駆け出しハンターの俺。そうだと言うのに、知識だけはやたらと持っている。相棒から見れば、そんな俺なんて異様に見えることだろう。
「だから私からは何も聞かないし、少し寂しいけど喋ってもらわなくてもいいかなって思ってる。でもやっぱり……いつか君のお話も聞きたいです」
そう言ってから彼女は何時ものように笑った。
俺が元の世界へ帰ることができるかなんてわからない。だから話をすることに意味はないのかもしれない。
でも、この相棒は大切な仲間なんだ。だからそれくらいはしてやらないといけないのかな。何時までも不安にさせたままと言うのはあまりよろしくない。
失礼ながら勘違いしていた。この相棒はあまり気にしない方なんじゃないかって。けれども、どうやら一番考えてくれていたのはこの相棒なのかもしれない。
「……うん、いつか話すよ」
それがいつになるのかはわからない。
それでも、いつか、必ず。
「ありがと。……よし、それじゃ、私は寝ます! おやすみ!」
うん、おやすみ。
ちゃんと起こしてあげるから、今はしっかり休んでください。
こんな俺ですが、これからもよろしくお願いします。
―――――――――
あの後、相棒は集会所へ着くまで眠り続けた。
本当に眠っていたのかはわからないけれど、俺も声をかけることはせず、ゆっくりと過ぎいく景色を見ながらてボーっと考えごとをしていた。
色々なことを考えたけれど、何を考えていたのかは忘れました。
集会所へ着く頃には日も落ち始め、夕食には丁度良い時間。
相棒に声をかけてから馬車を降り、俺のアイテムポーチを生臭くしている原因である魚を全部売ってから夕食。いや、別に生臭い匂いがしたわけじゃないんだけど……ほら、気分的に生臭いんだ。
「夕食、笛ちゃんも誘おうよ」
「ああ、そうだね。でも、彼女の家の場所ってわかる? 俺は知らないんだけど」
相棒の様子は特にいつもと変わっているようには見えなかった。
どうやら心の切り替えはなかなか上手いらしい。
「うん、知ってるよ。前に教えてもらったし」
なんと、そうなんですか。俺は教えてもらってないのに……なんだか仲間外れにされたみたいだ。
そんなことで、相棒と一緒に笛の彼女の家へ向かった。
家のある場所は俺たちの住んでいる所から予想以上に近かった。あら、ご近所さんだったんだな。こんなとき、自分の交友関係の狭さを実感させられる。
相棒が笛の彼女の扉をノックし、声をかけ暫くすると彼女が出てきた。見るからに、元気がなかった。まだ今朝のことを引きずっているのだろうか?
どうやら心の切り替えはなかなか下手らしい。
「……どうしたの?」
「これから皆で夕食を食べようと思ってるんだけど、笛ちゃんも一緒に行こうよ」
チラチラと視線を此方に向けてくる彼女。
大丈夫、相棒にあのことは喋ってないし、喋るつもりもありません。てか、其処まで恥ずかしいことではないと思うんだけどなぁ。プーギーの腹をつつくことは俺も良くやっていたし。
ああ、でも俺もあの姿を彼女に見られたときは凹んだか。
「……じゃあ、行く」
お願いだから、明日までには元に戻ってね。君の調子が悪いと戦力が一気に落ちちゃうし。
そんな不安もあったものの、其処は無意識だと思うけれど相棒が一生懸命声をかけてくれたおかげで、笛の彼女もいつもの調子に戻った。
最初に彼女と会ったときは表情の変化が少ないと思っていたけれど、どうやらそうではないらしい。てか、浮き沈みは激しい方かもしれない。フルフルと戦っていた時だって、早々にブチギレてクンチュウを追いかけ回してたし。
うん、そんな彼女の心のケアは相棒に一任しよう。
俺がやったら悪化させそうだ。
例のごとく酒を頼もうとした相棒を止め、未だ不安そうな視線を向ける彼女にアイコンタクトでそんなつもりのないことを伝える。
そんな何とも落ち着かない食事。
相変わらず集会所は騒がしく、ゆっくりなんてできそうにない。
けれども……うん、まぁ、俺も楽しいって思います。
いつまで続くかわからないけれど、もう少しくらいこんな生活が続いてくれると嬉しいです。
明日は初めての原生林で初めて戦う相手。どうにも面倒な相手ではあるけれど、強い敵ではない。それにこのメンバーなら問題なく倒せるはず。
ゆっくりなんてできそうにはないけれど、のんびり進めさせてもらいますか。
なんか良い感じのパーティーですが主人公HRは2です
はよ進んでください
と、言うことで第28話でした
もうこれ、上位ハンターになれる気がしないです
本人たちも楽しそうだし良いのかなぁ……
次話は閑話となります
他の武器も書けと脅さ……アドバイスをいただいたので
時系列的に、このお話とはつながっていませんし、主人公視点にはならない予定です
では、次話でお会いしましょう
感想・質問なんでもお待ちしております