「なんだか最近良い感じだね!」
ガタゴトと揺れる帰り道に元気な声が響いた。
虫棒に笛、そしてハンマー。それは決して組み合わせの良いパーティーではないと思う。まぁ、そう思ってしまうのは全部俺の担いでいる武器が原因なんだろうなぁ……
超火力武器に、優秀なサポート武器。つまり虫棒と笛は良いのだ。けれども、火力もなくサポートに徹することもできないハンマーは……
まぁ、今更この武器を変えようとなんて思いはしないし、このまま行けるとこまでは行くつもりなんだけどさ。
「そうだな。このままなら下位クエストは装備も変えずにクリアできると思う」
それにHRが3となれば天空山へ行くことができる。其処でレビテライト鉱石が手に入れば、相棒の武器は更に強化できるはず。現状、このパーティーで一番火力が出ているのは相棒だ。だから相棒の武器を強化するのがパーティーにとっては一番良い。欲を言えば俺も強化したいところではあるけれど。
「上位かぁ……ちょっと想像つかないや」
別に上位になったからと言って、恐ろしく何かが変わるわけでもないけどね。ちょっとモンスターの体力と攻撃力が増えるくらい。だから下位クエストでしっかり戦えていれば上位だって問題なく戦える。悲観することは何もない。
「……次はどうするの?」
笛の彼女が聞いてきた。
「緊急クエストを受注できるようなら緊急クエスト。無理なら……ザボアかな」
ゲームならザボアもキークエストの一つだった。だから絶対にクリアしなければならないけれど、今ザボアを倒したところで旨味は何もない。アイツの素材を使うこともないし。
そう言うことで、緊急クエストを受注できるようなら受注したい。まぁ、まだわからないんだけどさ。
「ザボア……ちょっと苦手」
まぁ、初見は大変だよね。攻撃力は高いし、なんか膨らむし、膨らんだ巨体をいかして馬鹿みたいに広い範囲の攻撃をしてくるし、膨らむと頭届かないし。俺も得意なモンスターではない。
「どの道、ギルドマスターのじいさんに聞いてからだな」
ゲーム通りに行けば次の緊急クエストはゴア。ちょいと面倒な相手ではあるけれど……
はてさて、どうなることやら。
――――――――
バルバレに帰って来て報酬を受け取ったあと、その日は解散となった。ただ、例のごとくあの酒好きが夕方になったらお酒を飲もうと言ったので、また集まることに。
それまでの間、笛の彼女は加工屋へ。相棒は買い物でもするそうだ。
俺もできれば武器を強化したいところではあるけれど、現在の素材ではたぶん何もできない。もしかしたら、ハァムバド辺りなら作ることはできるかもしれないが、これ以上毒武器が増えても仕方がないだろうしやめておいた。
そして、暇になった俺が向かった先はギルドマスターの所だった。
「ほっほほ。確かにキミたちの実力ならHRを上げても良いとは思うよ」
あら、随分と高評価なんですね。
まぁ、今までクエストに失敗したこともないし、低評価をもらっていないと思ってはいたけど。それに今のパーティーにはあの彼女もいる。このメンバーならダレンだって倒せるだろう。
「でもね、キミたちはHR2となってからまだ7日も経っていない。さても悩ましいところではあるが、もう少し待って欲しい。そうだね……次のクエストが成功したらキミたちのためにクエストを用意しておくよ」
それって、採取ツアーでも良いのかね? いや、流石にダメか。
現時点で戦えるけれどまだ戦ってことのない大型種は、ドスゲネポス・ゲリョス・ババコンガ・サボアザギル・ウルクススくらいか。
その中で一番楽な相手はドスゲネポスだろう。しかし、此処はギルドの期待に応えておいた方が良さそうだ。そうなると……まぁ、ザボアになるのかな。
なるほどねぇ……明確な基準は作られてはいないっぽいけど、一応ギルドも考えてはいるんだな。他のハンターたちはどれくらいの時間をかけてHRを上げていっているのだろうか?
「わかった。それじゃあ、無事クエストが成功したらまた来るわ」
「うん、キミたちには本当に期待しているよ。ほっほほ。ガンバんなさい」
期待ねぇ……約束することはできないけれど、自分にできる限りのことはやるって誓うよ。
そうしてギルドマスターから離れようとしたけれど、何故かその後もギルドマスターは色々な話を聞かせてくれた。どうやらこのじいさんは各地のお伽話を聞くことが好きらしく、そんな話。
正直なところ、俺はそんな話にはさして興味はなかったけれど、じいさんがあまりにも嬉しそうに話すものだから、形だけでも聞くことに。
そしてじいさんから解放されたのは昼の時間を過ぎたくらいだった。
何? あんた暇なの? 別に俺もやりたいことがあったわけではないから文句はないけれど、ギルドマスターとしての仕事は大丈夫なのか疑問に思う。
「それじゃあ、これからも仲間を大切にするんだよ」
ああ、大丈夫。それだけは約束できる。
よくもまぁ、此処まで話を続けられるものだ。一度一緒に酒を飲まないか聞いたことがあったけれど、あの時は断ってくれて助かったかもしれない。お酒なぞ入ったら絶対に止まらなくなる。
「……最近ね。なにやら嫌な空気が流れているんだ。同じようで何かが違う。そんな空気が。だからキミも充分気をつけるんだよ」
……フラグっぽいことを言うのは止めてください。
もしこれがゲームの中なら絶対にこの後、悲惨なイベントが待っているじゃないか。ま、流石に大丈夫か。大丈夫……だよね? ラージャンの乱入とかないよね?
「わかってる。けれども今はアレだけ頼りになる仲間もいるんだ。多少のことくらいなら問題ないよ」
「ほっほほ。流石、期待のハンターだ。うんうん、私もそれで良いと思うよ。それじゃあ行きなさい」
最後にそんな言葉を交わしてからギルドマスターと別れた。
飢餓ジョーやゴリラみたいな奴らが乱入なんてしてきたら流石に無理だろう。けれども、それ以外ならなんとかなるんじゃないかって思う。それくらい今のパーティーを信頼しているのです。
―――――――――
「あっ、お帰りー。随分遅かったけど、何やってたの?」
「……お邪魔してます」
さて、昼飯はどうしようか。なんて考えながらも、とりあえず帰ろうと思い、自分の家へ帰るとその中には何故か、相棒と彼女とプーギーがいた。
……なんでいるんですか。あとプーギーはあった所へ戻してきなさい。ソレは皆の物だ。
「いや、ギルドマスターと話をしていたんだけど……何やってんの?」
此処、俺の家だよね?
別に盗まれる物などないだろうし、盗む奴もいないだろうと思い、鍵はかけていないけれど、これは一度考えた方が良いかもしれない。自分のプライバシーは自分で守るのだ。
「……ガールズトークしてた」
……そりゃあ、楽しそうで何よりだ。
でも俺の家でやる必要はないよね? 隣にある相棒の家でやれば良い気がする。それにどうせガールズトークになぞ、俺は参加させてもらえないだろうし。
「ち、違うよ! お昼に君を誘いに来たんだよ」
ああ、そう言うことだったのか。
えっ、じゃあ、さっきは笛の彼女がボケたってこと? わかりづれーよ。
相変わらず何を考えているのかわからない女性だ。あと可愛いのはわかるけど、良い加減プーギーを放してあげて。
「了解。んじゃ、昼飯食べに行くか」
「もう飲む?」
あ~……確かにもう飲み始めちゃっても良いかも。
「この後って皆は何か予定ある?」
「私はないよー」
「……私も」
一瞬だけ彼女の視線がプーギーへ向いたのは見逃さなかった。たぶん、午後もずっとプーギーで遊んでいるつもりだったのだろう。もしこの先プーギーの姿が消えたら最有力な容疑者は彼女になる。お願いだからそれだけはやめてね。
いつかやると思っていました。以外のコメントが思い浮かばない。
「そんじゃ、もう飲み始めるか。明日も朝早いし」
ぶっちゃけ移動時間が1日もあるのだから、出発直前まで飲んでいても良い気もする……まぁ、流石にそれはやらないけどさ。それにお酒はクエストが終わった後に飲むから美味しいのかもね。
「おおー。ふふん、皆でお酒楽しみだね!」
なんだか、昼からお酒を飲むことに抵抗がなくなってきている気がする。それもこれも全部、この相棒に影響されてだと思う。
良いことなのやら、悪いことなのやら……
「ああ、そう言えば次のクエストをクリアしたら、HRを上げるためのクエストを受注できるってさ」
「えっ? ホントに? 嬉しいことではあるけど……そんなに早く上がっちゃって大丈夫なのかなぁ」
まぁ、大丈夫だろ。他のハンターたちの様子は良くわからないけれど、俺たちだって下手ではないはず。それにHRを上げておいて悪いことは何もない。他人から羨まれるくらいになれば良い。
それに……どうせなら天辺取ったるくらいの気持ちが一番良いのかもしれない。
「……そろそろ、行こ」
笛の彼女が呟いた。
ああ、うん。そだね。
でもその前に、プーギーは戻して来てください。
ザボア飛ばそうとしましたが、まだちょっと早いかなって思いやめておきました
と、言うことで第30話でした
フラグっぽいものはありますが、この先関係するのかはわかりません
私が忘れていなければ関係する……のかなぁ
次話はザボア戦っぽいです
いよいよHR3が見えてきました
では、次話でお会いしましょう
感想・質問何でもお待ちしております
忘れていましたが……
先日、ガララアジャラのロケハンを二人の方に手伝っていただきました
この場をお借りしてお礼を
ありがとうございました