振り向きへホームラン【完結】   作:puc119

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第35話~お祭りの始まり~

 

 

 正直なところ、あの相棒が飛び級をかけたクエストを受けてくれるとは思っていなかった。

 

 俺や笛の彼女は、そもそもこの世界の人間ではないから別にHRが上がったところで、プレッシャーなどは何もないし、上位ハンターになったところで誇らしいとも思わない。俺のいた世界では、下位ハンターよりも上位ハンターの方が絶対に多かったと思う。だから、できるだけ早く上位へ上がりたいと言う気持ちが強かった。

 

 けれども相棒は違う。そんな世界のことを知らないのだから。

 この世界における上位ハンターの価値はやはりよくわからない。けれども、どうやらこの世界ではハンターそのものが尊敬される立場にあるように感じた。そして更に、上位ハンターとなれば周りから受けるプレッシャーと言うのはそうとう大きくなるんだろう。

 

 この世界でハンターは貴重な存在。そしてその貴重な存在の中で更に限られた者のみが上位ハンターとなれる。俺にはその感覚が良くわからないけれど、上位ハンターとはたぶん、そんな認識で良いと思う。

 あの相棒はたった1ヶ月でそんな存在に近づいてしまった。それなら引いてしまうのも仕方無い。だから、今回の提案は断ろうと思っていた。

 早く上位ハンターになることよりも相棒の方がよっぽど大切なんです。

 

 けれども、考えさせてくれと言った次の日。相棒はクエストを受けると言った。何があったのかと思いました。どんな心境の変化があったのかはわからないけれど、まさかこうなるとは……いや、嬉しい誤算ではあるんだけどさ。

 ただ、どうしても相棒が俺たちに気を遣っているんじゃないかと思い、執拗いと怒られるまで何度か聞いてみた。そして、どうやらこれからは本当に上位ハンターを目指すとわかって一安心。

 

 早く上位ハンターとなったところで、俺や彼女が元の世界へ戻れると言うことはない。だから、焦る必要はないんだよなぁ。まぁ、とは言うもののやっぱり強いモンスターと戦いたいし、強い武器を使いたい。

 

 しっかしホント、何があったのやら……

 

 

「君はあの相棒に何があったかわかる?」

 

 そしてそのことが気になったから、一応笛の彼女へ知っているかどうか聞いてみた。

 

 けれども――

 

「さあ? 私も知らない」

 

 と、言うことらしい。

 まぁ、別に悪いことではないから良しとしました。

 いくら考えたってわからないことはあるのだ。

 

 

 そして、相棒の答えを聞いたところで早速集会所へ行き、ギルドマスターからクエストの内容を聞きに向かった。

 

 お願いだから、ブラキとかは勘弁してください。なんて思いながら、相変わらず回りくどい話を聞くと、クエストの内容はダレン・モーランの討伐らしい。

 それはゲームでHR3からHR4へと上がるための緊急クエストの内容と一致する。

 

 そんなクエストの内容を聞いた時は、思わず心の中でガッツポーズ。よっしゃー! 来ましたわ!! みたいな感じで俺の中はお祭り状態。どうにか表情には出さなかったと思うけれど、それほどに嬉しかった。

 今のパーティーは決して弱くない。けれども、俺と相棒は未だにジャギィ一式で、武器だってレア度が2の物を使っている。だからいくら3人とは言え、クエストによってはかなり辛くなるだろうと思っていた。

 

 けれども、ダレンなら話は別だ。アイツが相手なら武器を使わなくても討伐することができる。しかも此方は3人。岩石やタックルのダメージは気になるけれど、よほどのことがない限り負けない。狂竜化ブラキなんかよりはよっぽど戦い易い。

 それに、ダレンは古龍種の中でも一番戦い易い相手じゃないだろうか。

 

「……了解。それで、そのクエストはいつ頃になるんだ?」

 

 未だ俺の中ではお祭り状態が続いていたけれど、どうにかソレを出さないよう気をつけながらギルドマスターに尋ねた。

 

「申し訳ないけれど、あまり時間がないんだ。今直ぐにとは言わないけれど、7日以内には挑んでもらいたいかな」

 

 ああ、なんだ。思ったより時間はあるんだね。

 それなら加工屋へ頼んでいたファッティプッシュもどうにか間に合いそうだ。まぁ、ダレン戦で使うかはわからないんだけどさ。

 

「それじゃ、此方の準備ができ次第また声をかける」

「ほっほほ。期待しているよ」

 

 そんな言葉を交わしてからギルドマスターと別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

「ダレン・モーランってあのすごく大きなモンスターだよね……あんなの本当に3人で大丈夫なのかなぁ」

 

 3人揃い集会所で朝食を食べながら、今後の予定の話し合い。

 普段は騒がしい集会所も朝方は人が少なく、話し合いをするのには困らない。

 

「ん~……確か全長は100m以上だったかな。まぁ、なんとかなるとは思う」

「相変わらず君は余裕なんだね……」

 

 流石にダレンは慣れました。

 てか、もう二度とやるかってぐらい戦ったんです。まぁ、ゲーム通りの行動をしてくれるのかはわからないから、本当に余裕かと聞かれれば答えに詰まる。

 けれども、今までのモンスターの行動を考えるに、その可能性はかなり薄い。

 

「……行動パターンは覚えてる?」

 

 パンに齧りつきながら彼女が聞いてきた。

 ああ、そう言えばこの彼女のおかげで防御力の底上げができるのか。それなら、即乙はなくなりそうだ。うむうむ、俺たちの未来は明るい。

 

「うん、船頭へ来るところまでなら」

 

 ネコのレベルを上げるためや鎧石のため、ダレンとは100回以上戦った。それだけやれば流石に行動くらいは覚える。

 ホント、あの勲章を集めるのは大変だった……ダレンと戦いながら何度寝落ちしたことか。筆頭オトモさえいなければもうちょっと楽だったんだけどなぁ。あの勲章には悪意しか感じない。

 

「えっ? 戦ったことあるの?」

「あ~……実際に戦ったわけじゃないけど、戦っているのを見たことがあるって感じ」

 

 実際に戦っていたのはゲーム画面の向こうにいたハンターなのだし、間違いではないはず。

 そして、正直戦っていて面白い相手ではないと思う。クエストの形式的にそうなってはしまうのは仕方がないけれど、どうしても作業ゲーのようになってしまう。

 

「よくわからないけど……私たちでも倒せそう?」

「それは相手の行動しだいかな。でも、しっかりと作戦を立ててから行けば倒せる相手だとは思うよ」

 

 ゲームとは違い、ひたすらサイドタックルをしてくるとかされると流石に勝つことは難しい。だからその辺りのことは実際に戦ってみないとわからない。

 ただ、3人いるのだしバリスタや大砲だけで倒すことはできるはず。今回はソロじゃないってことが本当に大きい。

 

「大丈夫かなぁ……クエストはいつ受けるの?」

「今、俺の新しい武器を作ってもらっていて、それが完成するのが今日の夕方だから……まぁ、その後の方が嬉しいかな」

 

 やはり新しい武器は楽しみ。

 ドリルと別れてしまうのは寂しいけれど、此処は見た目よりも火力を優先させてもらおう。

 

「んで、皆は何か予定ある?」

「私は特にないよ」

「……私も」

 

 あら、そうなのか。んじゃあ、明日にもクエストを受けることができそうだ。

 そして、そのクエストをクリアすれば晴れて上位ハンターになることができる。本当に大変なのはそこからだよなぁ……上位になり立ては苦労しそうだ。

 

 この装備で上位モンスターと戦うことはできるだろうか……

 

 ま、今はそんな未来のことよりも目の前に見えていることに集中しよう。いくら慣れているとは言え、油断できるような相手ではないのだから。

 

「了解。それじゃあ、明日行くか」

「おおぅ……そうだね。早い方が良いもんね。うん、頑張ります」

「私もがんばる」

 

 ダレンと戦う場所は砂漠だしバルバレからも近いはず。

 だから明日中にはクエストを終わらせることができそうだ。初めての古龍種との戦い。そんなお祭りの時間は短いけれど、精一杯楽しませてもらおうじゃないか。

 

 






~ダメージ計算あれこれ~

今まで、ずっと逃げてきましたが漸く書く決心がついたので書きます
長くなります
本当に長くなります
すっ飛ばしていただいて何の問題もありません

では、始めます

モンハンのダメージ……つまり、攻撃したときどれくらいのダメージが入るのかですが

基本的に (物理ダメージ+属性ダメージ)×全体防御率  で計算されます

物理ダメージですが、剣士とガンナーの場合で計算方法が異なります
今回は剣士の物理ダメージのみを考慮して書いていきます

剣士の物理ダメージの計算式ですが 武器倍率×斬れ味補正×会心率補正×モーション値×物理肉質 となっています

武器倍率・モーション値は以前説明した気がするので、今回は省略します

斬れ味補正は斬れ味が黄色の状態を基準として、斬れ味が黄色より高ければ(緑・青など)威力が上がり、黄色より低ければ(橙・赤)威力が下がります

会心率補正ですが、攻撃したときクリティカルとなる時があります(今作ですとあの赤黒のエフェクトです)
このクリティカルが出るとその攻撃の威力が1.25倍となります
そしてこのクリティカルの出る確率が会心率となります
その会心率を考慮したものが会心補正です

物理肉質は……まぁ、そのままの意味です
ただ、斬撃、打撃、弾撃によってこの物理肉質は変わります

それらの値を打ち込んだものが物理ダメージとなります
今回は実際にハンマーの縦3ホームランをダレン・モーランの前脚(破壊前:肉質は38)に攻撃した時の物理ダメージを計算してみます

なお、力の護符、力の爪、食事効果は考慮しません
武器はファッティプッシュとします
表示攻撃力は624ですが、ハンマーの武器係数は5.2ですので、武器倍率は120となります
斬れ味は緑(補正1.125倍)、会心率は0%です
縦1のモーション値は42
縦2のモーション値は20
ホームランのモーション値が90です

まず、縦1の物理ダメージですが、上記の式へぶち込みますと

120×1.125×0.42×0.38=21.546 となります

因みに、会心率が0%なため会心補正はかかりません
曖昧ですが、確か小数点以下は切り捨てですので、ダレン・モーランの前脚へ縦1をぶち込んだ時の物理ダメージは21です
また、縦2・ホームランの物理ダメージをそれぞれ計算しますと

縦2は10
ホームランは46です

つまり、縦1始動でホームランをした時、合計で77の物理ダメージとなります

そして実際のダメージにはこの値へさらに“全体防御率”と言うものがかかりますので、もう少しダメージは減ります

モンハンでは以上のようにダメージ計算が行われています
長くなってしまいましたので、今回は此処までにします
色々と書きましたが、ようはダメージ計算って面倒くさいねっ思ってもらえれば大丈夫です
次回はDPS算出の問題や、MPFについて書こうかなと思っております


因みにですが、先程計算した77と言うダメージは猫の砲撃術や砲術師などのスキルなしのバリスタの弾一発より低いです
ハンマーが弱いと思うか、バリスタが強いと思うかは人それぞれといったところでしょうか?

間違えていることを書いているかもしれませんので、気がついたら教えていただけると嬉しいです
また、わからないことがあればお気軽にどうぞ

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