ただのゲーマー高校生のハイスクールD×D   作:unat

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Before Story
~プロローグ~ワシは神です


 神様ってのは頭がおかしいんだ。そうに決まってる。でなきゃあんなこと言わねぇ。

あの時の出来事は忘れもしない――

 

     

                    ※ 

 

 

 部屋でネットを見ながら食べるポテチは美味い。 ピコピコ動画を見ながらだとさらに美味い。さて、今日は他の投稿された動画でも見ますかね。

「ん~、やっぱり 旧家月尾(きゅうけつきお)さんのデスボイスはすっげえ。」

「いやいや、そこの 震乱剣酒蛇殷(ふらんけんしゅたいん)とかいう男のスクリームも中々ぢゃ。」

「分かってるねぇ、どうやったらあんな声出せるんだか。」

「長年の修行から出てるんぢゃろう。何事も修行が肝心ぢゃ。」

「だよな~、あんな声ホイホイと出せて……え?」

 

 ふと気づけば俺の隣で呑気に見知らぬじーさんが一緒に動画を見てるではないか!?

「おいおいおいおいおい、自然にいたから気付かなかったがアンタ、誰!?」

「おぅおぅ、そこの二人のヴォイスに聞き惚れて忘れておったわ。」

 

 そう言うとじーさんはエッヘンと胸を張り、杖をつく。おいおい、俺の部屋に泥付いてるじゃん。ってかじーさん外で使ってる杖中で使うなよ! じーさん杖の使い方ボケて忘れてるんじゃないか?

「さて、ワシは神だが質問あるか?」

「ハァ?」

 

 あ、ありのまま今起きたことを話すぜ……!いきなり髭面のじーさんが俺の目の前に現れたかと思ったら変なことを言い始めた。妄言だとかボケたとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ!!もっと恐ろしい片鱗を味わったぜ……。いや、そんなくだらないことはどうでもいい。問題は俺のまでに現れたじーさんだ。

「失礼、そういえば名前を聞いてなかったな」

「その前に色々と聞きたいことがあるんだが」

「なんぢゃ?」

「いや、なんぢゃじゃなくて俺の部屋になんで――って俺の秘蔵本見んなよ!?」

 

 いきなり俺がくつろいでいたかと思えばこれだ。自称神のじーさんが俺の秘蔵本を探知して熱心に読み始めた。

「ほーほー……む、これは中々……」

いやいや、これは中々じゃねーから!? 何考えてるのこのじーさん!? 俺の秘蔵本いきなり読み出して――ってあぁもう! 次はポテチ貪り始めやがった!!

 

「じーさん、アンタ落ち着くって言葉を知らないのか……?」

「バリバリ、そんなことぐりゃいわきゃっておりゅわい」

口に物入れてしゃべんなよ……しかもボロボロこぼしてるし。

 

 ダメだ、こいつ早くなんとかしないと……そう思った俺はさっきまでの荒らげた声をやめ、とりあえず事情を聞くことにした。

「なぁ、じーさんは神とか言ってたな。」

「む、そうぢゃそうぢゃ、忘れておったわい。いかにもワシは神ぢゃ。」

「ほぉ~……”ワシは神ぢゃ”なんて言う神がいるんだな……」

「む、中々に上手い声色使いぢゃな」

「まぁ、伊達に歌ってみたとかで耳を肥やしているわけじゃない。 声も鍛えているんだ。」

「ほぉほぉ、どうりて中々に先程もいいセンスをしておったわけだわい。」

 

 む、やはりこのじーさん超マイナーだけどめちゃくちゃ上手い歌い手さんを見抜いただけのことはある。断言しよう、このじーさん只者じゃない。

「じーさんやっぱり只者じゃないな」

「そうとも、ワシは神だからの」

「伊達に神って自分で言ってる訳じゃないんだな。」

「まぁの、神は色々と万能……じゃなくてそうだお主。」

「ん?なんだなんだ」

「話を曲げるでない、話を」

「誰のせいだと思ってんだコルァ!?」

テメェで話を曲げておいて何が話を曲げるな、だ!? このじーさんやっぱ頭おかしいじーさんだわ、一瞬でも見直した俺が馬鹿だった。

「まぁまぁ、そう怒るでない。 さっきまでのはほんの冗談ぢゃ、これからはまともに話すわい。」

 

 そういうとじーさんはキリッとした表情に戻ったので、俺も真面目に話を聞こう。

「さて、お主に一回助けてもらったのは覚えているか? 早朝のあそこでじゃ」

「あー……早朝、早朝……」

 

確か早朝は珍しく早起きしたから春休みということもありブラブラと朝の空気をすっていて、そこにうだつのあがらないサラリーマンが酔いつぶれていて……

「あん時のリーマン!?」

「いかにも、あの時は色々と大変でな。」

「ふぅん……神様も酔いつぶれるのか」

「まぁの、ピチピチギャルとやらと飲んでいたら財布と共に色々と飲んだ勢いで落としてな。 結構高かった時計とかも無くしてしもうた。」

「いやそれじーさん、アンタ身ぐるみ剥がれたんじゃねーか……」

「なんと!!」

「なんとじゃないからね!? よくもまぁあのまま生きてたなアンタ!?」

 

呆れた。 このバカ神はあろうことか俺に拾われる前に明らかに怪しい女達と飲んで潰れていたというのか。 真面目に助けといて正解だったな、あのままだったらじーさん死んでたわ。神様がそのくらいで死ぬのかどうかは別として。

「しかしともかくぢゃ、ワシはあの時お主に手を差し伸べてもらわなかったら妻に電話すらできなかったわけぢゃ。」

「あぁ、まぁな。 そう考えたら危ないかもな。」

このじーさんがこの世界で生きること自体が死亡フラグだもんな、天界でぬくぬくと老後を過ごしてもらいたいもんだ。 もしこれで神様が死んで世界崩壊とか目も当てられん。

「で、ぢゃ……お主に恩返しとして願い事を叶える事としよう」

「おぉ、マジか」

「願い事をいくつか叶えよう。 ただし不老不死とかそういうのは無しぢゃ」

「俺もそれは願い下げだわ」

不老不死ってあれだろ、死ねないんだろ?どんなに死にたくなるような苦痛を受けても死なないんだろ?だったらせめて不老長寿で満足する、そういう人間なんだ俺は。

「ほぉ、意外に無欲な人間ぢゃな」

「まぁそんなもんでしょ それよりも……願い事を叶える、ねぇ」

あぁそうだ、最近見たアニメの世界でもちょっくら覗いてみてみたいもんだな、期限付きで。

「ほぉほぉ、アニメの世界とな」

「ん、できればその世界に特典を付けてくれよ」

「ほほぅ?」

「いやさ、ちょっとそこのゲームの主人公の能力をアニメの世界に居る時だけに身につけさせてくんないか?」

 

 そう言うと俺は指で棚に積んであるゲームの中の一つを選ぶ。 結構マイナーなのだろうが、面白いと有名な某RPG。 そのゲームなら堕天使やら悪魔に対しても対抗できるだろう。まぁ、対立することはあまりしないだろうが。

「ほぅ、どれどれ……むむむ! お主、中々渋いゲームを選んでるぢゃないか。 ライトユーザーと呼べるような奴ではないな、かと言ってディープユーザーと言うわけでもない。 ふむふむ、やはりお主とは気が合うの。」

「まぁ、悪い気はしないね。」

このじーさんとは何かと気が合うようだ。

「で、期限はいつにするんぢゃ?」

「期限ね……後々決めるってのはダメか?」

 

 よくあるバイキングとかでまだ食ってる時にタイムアップ、とかそういう事が嫌いな人間な俺なのでできる限り思い残すことが無いという時に終わりたいもんなんだ。 まぁ多少のわがままぐらいは許してくれるだろう、寛大なお心を持つ神様のことだ。

「まぁお主がそこまで言うなら構わんが、合言葉はどうする?」

「合言葉とは?」

「ほれ、いきなり帰りたいとか帰りたくないとかうっかり口を滑らしたら大変なことになるでな。」

 

 なるほど、たしかに期限付きじゃそうなるわな。いきなりボッキボキに心が折れて帰りたいとか言うかもしれないから合理的だ。後で後悔しないためにもそうするべきだろう。

「合言葉ね……」

 

 いきなり言われても考えつくわけではない。 何せ合言葉だ、あまり口に出さないでなおかつ強烈なインパクトのあるものがいい。そのほうがよく覚えてるものだし。

「ふむ、それぢゃお主の好きな漫画から抜き出すとするかな……」

「おう、それが名案かもしれん」

いいこと考えてくれるじーさんだ、やはり気が合うだけのことはある。 考えもそっくりだ。

 漫画の名言とかは以外に残ってるものであり、思い出しやすい。 好きなキャラや漫画だとなおさらだ。

「ふむ、ではこれはどうぢゃ?”オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!”に対しての”無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!”」

「いや、俺滑舌悪い方だからパス。」

 老人とJ●JOごっこしている若者が噛んでセリフ間違えるとか考えてみるだけで目も当てられない。そこまでイタイ子ではないのだ、俺は。

 

「あ、ではこれはどうぢゃ?」

「ふむふむ、あ、これならいいや。」

これは思い出しやすいし、面白い。

「ふむ、それでは色々と決まったな。よしそれぢゃお主、一晩ぐっすりと寝ればその世界に入れるぞ」

「ほぉ、一晩か。 で、ゲームのシステムとかその世界に組み込めるように頑張るわけか? 一晩」

「いや、それはもう済ませた。寝たほうが飛ばしやすいんぢゃよ」

ほほぉ、流石は神だ。もう終わらせたらしい。伊達にそんな格好してるわけではなさそうだ。見直した。

「で、帰ってきたとき時間帯はどうなる?」

「ん? ああ、そのまま時間は経っておらん。神様の特権ぢゃよ、時間を操ることなぞちょちょいのちょいぢゃ」

「となると朝起きたら俺は夢を見たようなもんなのか」

「まぁ、実体は向こうにも行くようにしておる。精神で構成されておるが要は只の生身の人間ぢゃから、向こうの世界では死んでもこちらの世界では死なず、目覚めたら汗びっしょりぢゃよ」

「うわそれは地味に嫌だ」

 でもそれでいいかもな、楽しい夢を見たような感じが一番楽だ。嫌な夢でも構わんがそれだと覚えが悪い。嫌な記憶はさっさと消したい人間の悲しい性だな、最初はいい夢でも最後に悪夢で記憶を消そうとしてしまう。

 

「ま、ともかくお主はこのままワシと今の段階ではこういった話をするだけで何もする必要は無いんぢゃ。全ては時間とワシが進める。」

「そうかい、そいつは楽で何よりだ。」

「まぁ、お主に一つ忠告ぢゃ。」

「なんだい?」

「その世界で経験すること、行動したことはれっきとしたお前の経験となる。そこから精神が作られるわけぢゃ。つまりお前がそこで悪行をすると……」

「なるほど、俺の精神は汚れるわけか。」

「まぁ、そこまで酷いことをせんなら大丈夫ぢゃ。問題は犯した罪から逃げることぢゃ。そして自分の良心の呵責というものを無くすでない。」

「まぁ、俺が行く世界は善も悪も良く分からない世界だけどな……」

「あと目的を持つんぢゃ。そうすればその世界で生きる希望となろう。」

「希望……ね」

 

 目的はひとつだけある。誰も傷つかないで堕天使だろうが悪魔だろうが笑っている世界が見たい。偽善だとか無理だと言われようが頑張るさ。天使?ああ、全く知らんからパス。中途半端にアニメを見て好きになってサーセン。原作知らなくったっていくらかは頑張れるさ、キャラへの愛でモブキャラに息を吹き込ませることは何度やってきたことか。

 

 ともかく俺は死ななくても良い好きなキャラを一回助けてそれで満足すれば終わり、いい夢を見たということで良い二次創作のネタになる。

何という美味しい出来事だろうか。情けは人の為ならずとはよく言ったもんだ。

そう思いつつ俺は眠りについた。

 

 ――そう、それが俺の人生で最高で最悪な出来事になるとも知らずにな。

 

 




懐かしいですね……一年ほど前にこの作品が始まりました。やっぱり最初の方ということで文も幼稚なところもあるとは思われますが、温かい目で見守ってやってください。
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