ただのゲーマー高校生のハイスクールD×D   作:unat

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※WARNING! キャラ崩壊が酷いです、お覚悟を。


第11話:酒なんて子供が飲むもんじゃない

 朝、目を覚ますと時間は7時、少し遅いがまぁいい、休日だし。そういえば昨日は夕飯はマトモなものを食べずに寝たから体が食べ物を求めている。肉と米を食おう、後適当に野菜とかも。

 

 そんな訳で朝から野菜炒めとご飯と味噌汁を作り、飯を食うと暇になった。いやぁ、休日だしたまには呑気にピコピコ動画で元気が出る歌とか聞いてやる気を出して明日に備えよう。夕方はオヤジさんの所でバイト……それで今日の平和な日はお終いか。こう言うと短く感じるけどまだ朝の10時、のんびりと夕方に備えよ

 

「やほーケースケ。休みだし遊ぼ!」

「ご主人様、私もお話をしたいと思い……」

 うと思えばピクシーとエンジェルの二人がいきなり飛び出てきた。おいおい、俺の命令なしに自由に出入りできるのかよ……まぁ、今まで大人しくしていたみたいだしこれからも問題がないならいいか。

 

「はいはい、従者を戯れるのも主の務めね、はいはい」

「むー、ケースケは私達と遊ぶの嫌?」

「それは私としても複雑です」

 そういいながら少ししょんぼりとした様子になるエンジェルとピクシー。おいおい、そんな事言わんでくれ。少し寂しくなるだろう。

「いやさ、俺も最近色々とあったからさぁ……」

 

 確かリアス先輩達に拷問されたり何日も眠りこけたりはぐれ悪魔のミーナさんと闘って某高校生張りに救ったり、先輩達と仲直りしたり……うん、色々とあった。これでやっと一週間とは思えないぐらい内容たっぷりの日々だったな。内容が濃すぎて一日を細かく描写したらラノベ一冊分はいけるかもしれん。

 

「じゃあさ、何して遊ぶの?」

「うーん……何するったってねぇ」

 俺がやるゲームは大体一人でやるモノだし、パーティゲームなんぞよりオンラインで世界の皆さんと遊ぶっていう奴が殆どだ。だからゲーム以外でやれるものは……あるか?

 

「ご主人様、チェスはいかがですか?」

 そう言うとエンジェルが小型マグネットの駒とチェス盤を持ってきた。最近使ってないので少し埃がかぶっているな。

 

「あー……チェスね、でも三人でやるもんじゃないぞ」

 俺はあまりチェスは得意ではない。ノートPCの付属ゲームでレベルが10ある内の3でやったら見事にフルボッコにされたので、苛ついて何回もやったら見事に惨敗。もう二度とチェスはやんねぇと俺の心に深く刻みつけられた。まぁどうせ今回も相手が悪魔なので負けるのは確実だし……いいだろう。

 

「じゃあアタシとエンジェルでケースケの相手をするね!」

「別に構わんよ、それじゃあやりますか」

 

 

 

 

                      ※

 

 

 

 

 

 それで、見事に10分後、俺の完敗。いやさぁ、まさか迂闊にルークを進めるだけでチェックメイトになるとは思わなかったんだよ俺も。なんでまたあんな所にビジョップとナイトが置いてあったんだよ、普通気づかねえって。

「キャハハッ、やっぱりケースケはダメダメだねぇ」

「フフッ、ご主人様が見事に罠にかかるのでついつい本気を出してしまいました」

「ふっ……どうせ俺は三流以下の策士ですよ」

 

 策なんてモノよりはその場しのぎと経験とカンとハッタリとカヴァーを使うことしかできない人間ですよ。ルアーとか器用な真似できないしサクリファイスなんて勿体ないから使えないんだよね俺。

「ねーねーケースケ、まだやるって言うならやってもいいよ~?」

「まぁ、ご主人様もあそこまで完封負けしたらさすがに心も折れてしまったでしょうし、他の遊びでも……」

 

 ほほぅ、俺のソウルを甘く見てもらっては困るな。無理ゲーだって心を折らずに皆と協力してクリアし、またクソゲーだって楽しんでいた俺だ、そのソウルの強さを見せてやろう。

「なら俺も少々本気を出さねばならんようだな……」

「あ、ケースケが真面目にやるってー」

「やはり勝負というのは全力を尽くしてこそですね」

 乗り気のお二人さん、後悔するぜ……? ハハハ、むしろ今こそ公開させてやる時だ、苦虫噛み潰させてやる!

 

 

 

                  ※

 

 

 

「はい、チェックメイトです」

 ――――負けた。結論を言おう、負けた、完敗だ、ウンともスンとも言えない。しかも、よりによって、あの”チェスの最速の詰み”をやっちまった。アホでも分かるあの一手で負けるとは……。

 

「キャハハッ。もう、ケースケってば冗談もいいけどもっと頑張ってよ~」

「やはりご主人様は手加減なさってるのですか。流石ですわご主人様!」

 ピクシーが楽しそうに腹を抱えて笑い、エンジェルは何か感動してる。絵としてはかなり可愛いし美しいし素晴らしいけどさ、全然癒されない。ここまでガッチガチに固めた意志を砕かれると泣けてきた。

 

「あーうん、俺今日調子悪くてね……」

 今しがた、気分といっしょに悪くなったばっかりだけどな。

「あら、でしたら気分転換にご主人様の今日の運勢を占って差し上げましょう」

「あー、うん頼む」

 気分の悪い俺に気を利かせてくれたのか、エンジェルが占いをしてくれるようだ。何で今日の運勢なの? そのポイントの絞りようから絶対嫌な予感しかしないが、どうせもう最近は毎日が厄日みたいなもんだ、どうってこともないだろう。

 

「では占います。ご主人様、私の目を見てください」

「いや、目は隠れてんじゃん」

「……この中央の印を見てください」

 あ、何か不機嫌になった。まずいこと言っちゃったか?

「真ん中の印ね……」

 とりあえずエンジェルの目隠しの真ん中のなんの意味があるんだか分からない印だか紋章を見つめる。何か本当にそれっぽい。いや、エンジェルだからそれっぽいというかそうなんだろうけども。

 

「……これは」

 俺の運勢を見てしかめっ面をし、エンジェルが名にやら考えている。どうしたのよ? 何が見えたんだ……? 怖い。

「え? 何何、どうしたのさ」

 

 少し不安になった俺がエンジェルに聞いてみる……やべぇ、滅茶苦茶気になる。もしかしてはぐれ悪魔にもう一回会うとか? それとも小松原が近くを通りかかるとかか?

 

「ご主人様、今日は色々と大変な日です。と言っても日のあるうちはそうではないでしょうけれど……」

 なにそれ、怖い。日が沈めば俺を何かが襲うの? サイレンが鳴り響いちゃうの? 時間限定されてるのがリアルさを引き出していて怖い。

 

「まぁ、ご主人様なら並大抵のことは跳ね除ける事が出来るはずでしょう、私達も居ますから」

「いやまぁ確かにそうだけどさぁ……」

 確かに、今週の俺は何度でも言うが色々と大変な経験をしてきた。だから今の俺は精神的にも強くなったような気もする……そういやレベル上がってるんじゃ?

 

「今のレベルは~……」

 体を集中させて確認する。レベルは――――21か、じゃあ今度は何に振ろうか。

「どうせなら力に振ってみるか、バイトでも筋肉鍛えられるし力は有って困るもんじゃないし」

 そういうことで力に振ったことで6になった。

「んっんー……ステ振りも終わったしやることないし昼飯作るかぁ」

「ケースケ、アタシにも作ってー」

「私も少々お腹が……」

 ふむ、なにやらお腹が空いたというお二人さん。二人とも悪魔だからお腹空かないはずじゃ、とかはいってはいけないお約束なんだろう。特にエンジェルなんて天使なんだから欲求が生まれないとかそういう突っ込みはしないでおこう。

 

「おしおし、ちょっと待ってなさい。俺の絶品料理を振舞ってやろう」

 ということで女の子二人のお腹を満たすために道端料理人の俺が本気を見せようではないか!

 

 

 

              ※

 

 

 

 そんなわけで作ったのはパスタ。あさりとしめじで塩味をつけて、ピクシーのことを考慮してあっさりと食感と食べやすさを重視してみた。

「ほれ、三人前だ、ピクシーのはパスタをカットしてあさりの身は剥いといた」

「わーい、ありがとね」

「ふふふ、ご主人様は手先が器用なのですね」

 そう言われると少し照れるが俺は全般的にこなせるけど特化したものがない。器用貧乏って言う奴か、陸上でも400、高飛び、1500とやってたがどれもそこまでいいわけではないが悪くもない。だから記録に伸び悩んで高校では陸上を続ける気はしなかった。

 

 唯一、趣味の中で優れてたのはFPSのスナイパーという兵科かな、ギリースーツを纏ったとある大尉が俺の人生を変えたと言ってもいいだろう。凸砂、遠距離射撃もなんでもござれで、12倍スコープでしっとりと拠点に篭るスナイパーを通常スコープで頭を一撃とかは楽しかった。

 

「まぁ、そこまで褒められて悪い気はしないなぁ」

「うんうん、ケースケの料理は美味しいよー」

 そういいながらピクシーがチュルチュルとパスタの麺をすする。つまようじしか丁度いい大きさのがなかったのだけれど器用に食べている……ほほえましいな。

 

「それじゃあ俺もパスタを頂きますかね」

 たまにはこういうのんびりとした日常も素晴らしい。

 

 

 

 

                 ※

 

 

 

 

 俺等は昼飯を食べた後、それぞれが呑気に休日をエンジョイし、楽しい時間はあっという間に過ぎて日が傾いてきたのでオヤジさんの所でバイト。久しぶりのバイトということで体も好調、あっという間に最後の配達になった。

 

「おし、じゃあこれが終わったら戻らずに帰っていいぞケースケ」

「了解っす」

 いやぁ、今日は仕事がはかどる。平和な日々万々歳だ。たまにはこういうサクサクとした仕事をして快く一日を終わらせたい。

 

「で、ここの所にワイン届けて終いだ」

「はいー」

 オヤジさんから受け取ったワイン4,5本のケースをチャリに極めて丁寧な動作でぶっこんで指定された所に運んでいく楽な仕事だ、慎重かつ迅速にこなそう。

 チャリンコをこいで、紙に書いてある住所の場所へと向かう。

 

 確かここを曲がってまっすぐ進んでここの教会……? 教会……か、最近廃教会でああいうことが起きたから、どうも嫌な予感がするようなし、何か不穏な感じだな。確かエンジェルが言ってた占いも日が暮れたあとだし……不安だ。

 

 

「もしもーし、三●屋でぇーす、了さんの所の配達に来ましたー」

 教会に着いて、とりあえずドアをノックしてから名乗る。ここまで来たら嫌な予感なんて吹っ飛ばして最後まで仕事をしよう。それで家に帰って夕飯食べてテレビ見て寝よう……今日は平和な日だった。明日もきっと平和に一日が終わるだろう。

 

 そんなことを考えているとドアが開く重い音がしながら教会の中から誰かが出てきた。

 

「どうも有難うございます……ん?」

「毎度ー……お?」

 出てきた人物をマジマジと見つめる。むこうもこっちをマジマジと見つめる……もしや、この大人っぽい雰囲気のこの人は!

 

「あ、あの時俺を助けてくれた人じゃないすか!」

「ほほぉ、あの時のか。ここで会うとは思わなかったぞ」

 そう言いながら優しく懐かしむ顔で微笑んでくれるこの人は天使のようだ。あの時してくれた人助けという素晴らしさをもう一回俺に教えてくれているようにすら感じる。

 

「あ、どうぞどうぞ、注文の品です」

「あぁ、すまないな」

 例の品のケースをこの人に手渡す。いやぁ、嫌な予感なんてなかったんや! 俺は今最高にツイているといってもいいんじゃないか?

 

「ふむ、たしかに受け取った……」

 受け渡した瞬間。さっきまでの優しげな表情が消えて、代わりに殺気というものが目でわかるとしたら間違いなく分かるような顔つきと目になった。

「ど、どうしたんすか怖い目をして……」

「臭う……」

「え?」

 

 臭う? あぁ、汗臭かった、確かに今までずっとせっせと仕事したからな、汗が臭うに決まっとるわな……

「あはは……ちょっと自転車で走ってきたんで汗びっしょりなんすよ」

うん、確かに汗臭いのは誰でも嫌だわな、俺だって嫌だ。

 

「悪魔の臭いがする……それも濃い、濃い臭いだ」

「えっ?」

 悪魔の臭いだって? なんでそんな物が分かるんだ? そもそも悪魔の臭いってどういう感じなんだ? 俺ちゃんと風呂入ってるけどそこまで酷く臭ってるのか……? それともウチで使っているのは悪いボディソープだっただろうか……弱酸性の力でにおいの元を消し去ってくれると思ったんだけど、今度から弱アルカリ性のボディソープにしてみようか。

 

「なるほど、あの時、あそこで捨て置けばよかったか……ふん、下らぬ情けはかけるものではないな」

 何を言ってるんでしょうかこの人は、かなりアレな発言をしているぞ? いや、この口調からしてミーナさんと同じ感じが……?

 

「まぁ、過ぎたことだ。せめて楽にしてやろう」

「あの……あ、そういえば名前聞いてなかったっすね」

 そう俺が戸惑いながら話しかけた瞬間、目の前の人から翼が生えた。何の比喩表現でもなく、そのままの意味で、翼が生えている。

 

 綺麗な、黒い羽根が辺りに舞っていてそれはとても、あの人とこの周りの空間がこの世のものとは思えないくらいに綺麗な光景だ。

 

 ただ――――

 

 どうして目の前の人は見た目が光のような槍を片手に持っているんだろうか。

 

「まぁ、最期なら名前ぐらい教えてやろう、カラワーナだ」

 あぁ、完全に。完全に思い出した……堕天使の、カラワーナさんね……レイナーレさんの部下の一人の。カラワーナさんね……ハハッ。

 

「ハハ……ハハハハハハハッ」

 名前を聞いて思わず俺は笑い出してしまった。ダメだ、頭がもうイカレ始めた、限界だ。もう、おかしくてかしくてたまらない。信じれるか? 今週、俺のバッドな出来事が、しかも命にかかわることが3回も、連続して起こっているんだ。もう、笑わずにはいられない。

 

「……目の前で起きたことに信じられなくなったか」

 哀れむ様な目でこちらを見ているがそんなことはどうでもいい。おもむろに俺は置いてあった注文のワインをケースから取り出す。

 

「……?」

 不審な目で見てくる堕天使さんをよそに俺はワインの封を切る。幸いコルク式ではないので簡単に開けられた。

 

「ハハッ……悪魔に殺されかけた次はこれですか、そうですかそうですか。なるほど? アハ、アハハハ……畜生」

 そう言いつつワインをグビッと一飲み。あぁ、ワインってこういう味なのな、あんま飲んだことないが嫌いじゃない。

 

「……ふぃー。あー、チクショーメ、何が悲しゅうて命なんぞパンピーの俺が狙われなきゃならないんだっつーの……俺、何かフラグ建てたかな? いつの間に俺は命がけの冒険を共にするヒロインと出会って親しくなったんだろ……あ、小猫さん? 小猫さんか! 小猫さんなら確かにそういうことなら頼もしいしいいかな……確か、小猫さんは逆お姫様抱っこできるんだっけ? うん、あれ。アレやってくれるかもしれないなぁ……いやぁ、楽しみだなぁ!楽しみだなぁ……畜生」

 

 ったく、何が悲しゅうてここまで普通に生活するだけで命の危険に晒されなきゃならんのじゃ、酒飲まずにやってられるかってんだ。

 

 そうだ、つまみつまみ、つまみは無いか? 酒の肴が無いとこのままだと胃がアルコールをダイレクトに分解しちまう。あー、ワインにはチーズとかフランスパンっていうのは合うのか? スルメとかはいくらなんでも合わなさそうだが……そうそう焼き鳥が合うって聞いたな、ちょっくら買いに行こうか……コンビニで売ってたはず。

 

「あっくまにマストダァイさせらっれてぇ~♪ 挙句の果てには堕天使にぃ~♪ 命を取られそうになるぅ~♪ わぁかぁばぁーケースケですっと。おっさけの肴を買いに行こぉ~♪」

 

 あー全てがどうにでもなれ、今の俺なら神様にでも絡めるような気がしてきた。ハハハ、そういやじーさんは神様だったなぁ? どうせならじーさんでも呼んで一杯飲ませようか、案外あれで下戸だったら驚きだな。

 

 

「おい、お前人の酒に手を……」

 おもむろに酒のつまみを買いに行こうとすると、件の堕天使が呼び止めてきた、なんじゃいなんじゃい、今の俺は酔拳使うジャッキーさんですぞ?

 

「あ゛ぁ゛ん? お酒はですねぇ、働き者が飲めるくんしょーなんですよくんしょー!英語で言うとプライズ! 直訳すると褒め称える! あれ? なんかおかしい……そんな気がしなくもないけど気のせいだな!」

「呆れた……殺す気すら失せる」

 何か知らないけど呆れてるよこの人、まあいい。そんなことはどうでもいい。大事なことは俺のこの最悪の気分を回復させることだ。酒はたくさんの人と飲んでナンボじゃ、ナンボ!

「へっへぃ、おねーさんも一杯いかがぁ? グラスぐらいなら用意して新しいの開けますよぅ?」

「いいから帰れ、下らん事をするな」

「ふっふっふっへへっへへぇ……そう言うと思いござんしてね、ほら、ここにワインは全てありますぞ?」

 そう言うと俺は注文のワイン全部を片手で持ち上げてみせる。多少重いがこれくらいならバイトで鍛えているのでいくらでもなるし、伊達に今のレベルは20を超えていない。

 

「……チッ、一杯だけだ」

 とうとう俺の饒舌巧みな交渉術に折れたのか、お酒を飲む人が一人増えたぞ! やったね俺!

「ふへへへぇ、やっぱ皆で飲まにゃお酒も寂しいのですぞ? そう、お酒は寂しいと死ぬのです! 無機物だけど、アルコールだけど、物だけど! そんな感じ」

 

 そう言いながらで俺はワインを開け、何処からともなく取り出したグラスに多すぎず少なからず注ぐ。

「……フン、これに付き合ったらすぐ帰れ、お前を殺す価値なぞ微塵もないが殺すぞ?」

「ハイハイハイハイハイ、一つの命を大切にしますよぉっと。マイライフイズオンリーワン」

 そう言うと、最後の最後での脅迫も効かないので諦めたのか、クイッと堕天使さんはグラスを傾ける。雅な姿よねぇー。

 

「このワインも阿保と飲むと薄ぼけた味だな」

「ほーほー、ならつまみだつまみ、おつまみあればイけますよんおねーさん! さぁ、おつまみオアトリート!」

 さり気なくワインのおつまみを要求する俺ってば命知らずぅ!! 出来ればワインのつまみは俺が調達したいんだけどねぇーっ!

 

「いちいち煩い奴だ……チーズでいいな」

「出来れば乳製品とは相性の合うお肉を!!ビーフオアチキンオアポーク! あ、ラムでも可」

 そう言ったら拳骨で殴られた、痛い。しかも割かし力が入っている。

「お酒が入っても痛いものは痛いんですよぉ?局部麻酔打ってるんじゃないんですからぁ。 あ、頭をぶったら脳の細胞がいくつ壊れるか知ってますぅー?」

「…………」

 あ、無視して行っちゃったよイケズゥ!

「 んもー、俺は放置プレイは苦手なんですよぉ?」 

 

「ったく、さっきからゴチャゴチャ誰だっつぅの人が寝てる所をギャーギャー騒ぐ馬鹿は」

 お? 何か新しい絡み相手さんが来たようですなぁ、いいでしょう。今日の俺は最高にハイってやつなんだぜぇ? どんとこいやぁ!

 

「あーアンタ? さっきからギャーギャーうっさいの……ってどこぞの川で浮いてた奴じゃん」

 そう言いながら現れたのは、今頃この都会でもない場所じゃ浮いてるとしか言いようがない、ゴスロリファッションをした、見た目に合わないビ●ッチっぽい言い方をしているのは!

 

「おーおーそういうおじょーちゃんは胸もちっちゃい貧乳っ子でござんすか!」

「なっ……気にしてること言ったなテメェ!? あとウチの名前はミッテルト!!」

「あーはいはい、ミッテルトねミッテルト……ん?」

 ミッテルトか、ミッテルトミッテルト……何処かで聞き覚えのあるような感じだよな、ミッテルト。そう、ミッテルト……そう、あの物理的除霊にも使えるといわれるあの……あの……!

 

「つか何でこんな所でワイン飲んでるわけ? アル中とかマジ勘弁なんですけど」

「ミッテルトミッテルト……テルミット反応? あーそうかそうか、テルミットだよテルミット! そうだ、お前の名前はテルミット反応だったのか!」

 

 そうそう、確か科学の授業でチラッと聞いたテルミット反応っつーのが引っ掛てたんだよ。そうそう、そうだよ、なぜ気付かなかったし。

「っ……!!ウチが気にしてる事を尽く言ってくれるじゃんアンタ!」

 お? 何だなんだ? お怒りモード? スイッチ入っちゃいましたかぃ? 殺る気スイッチが随分入りやすいのは若さ故の至り気という奴か……若いっていいね。振り向かないことが若さなのか。

 

「何何、どうしたのよそんな怒ったお顔で、ほれほれ、お酒を飲んで気分をハッピーにしましょうや」

 そう言うとどこからともなく取り出した新しいグラスちゃんにワインを注いでそこのゴスロリペッタンコテルミット反応に渡す。お酒ってのはこうでなくちゃねぇぇへっへっへっへへへぇ

 

「お? 只のアル中かと思ったけど気が利いてんじゃん」

 そう言うとグラスを素直に受け取って飲み始めるテルミット。どうも飲み方が少女、いや女とも呼べるような飲み方じゃない……おつまみ調達の人とは大違いだな。

 

「いやぁ、だって俺のじゃなくておたくらのワインだもんこれ」

「――――ッ!? ゲホッ、ゲホッ!」

 おーおー、見事に吹き出したねぇ驚きすぎじゃなぁーい? むせちゃってるじゃん。

 

「なっ、テ、テメェ人ん家のワイン勝手に飲んでんじゃねえぞ!?」

 おーおー三白眼で睨まれると怖いなぁ、オジサンゾクゾクして来ちゃったよ。それともそういう趣味を持っているのかい? いやいや、私にはエンジェルとピクシーという家庭があるからお誘いには乗れないんだよぉ~……。

 

「まーまー、これからつまみがやってくるから怒った顔しないでニコニコしましょーぜぃ?」

 そう言うと俺はテルミット反応起こしたテルミットのグラスにまたワインを注ぐ、いやはや今日も元気だワインがうまい!

「チッ……まぁたまにはいっか」

 うんうん、納得してくれたようだ、半分諦めのような気もするが関係ネェッー!

 

 

                 ※

 

 

「いやぁ、それにしてもおつまみ持ってくるっていった当の本人はどうしたんだろーかねー」

「何時までも待たせるなんて酷くないー?」

「そーだそーだ、つまみはないんですかっ!?」

「責任者出てこーい!」

 そんなこんなで叫んでいること約五分。やっとつまみ、もといおつまみ調達班が来たようだ。

 

「喚くな、頭に響く……ミッテルト、お前も居たのか」

「おー? カラワーナ遅いじゃん、さっさと調達してきた物出せぇ!」

「分かったから待て、ほら持ってきたぞ」

 

 そう言うと持ってきたのは魚肉ソーセージとチーズとパン。魚肉ソーセージに着いた一本100円のシールがわびしさを物語っている。

「おーおー、肉っていったら魚肉が出てきたでござるの巻ー」

「うわ、しょっぼ……」

「仕方ないだろう、これぐらいしか今丁度良いのは無かったんだ」

 

 俺等がブーブーとぶーたれるとおつまみさんは子供のわがままを聞くようなお母さんの様な態度で返す。誰が子供じゃ、誰が!

「しゃーないなぁ、俺がいっちょ超絶料理テクを見せてやろうではないか、ナイフさんとフライパンさんと油、その他調味料と皿と食器等々持ってきてよ美人なおねーさん!」

「私を何か使い走りだと勘違いしてないか……?」

「ウチからもお願いするからはやくー。ね? お願いだよぅ~」

 テルミット反応が上目遣いでそう言うと、おつまみさんは渋々重い腰を上げて戻っていき、暫くすると戻ってきた。

 

「ほら、持ってきてやったからにはしっかりと調理しろ、火は無いがな」

「ははは、俺にそんなもんは必要ねー! ほれ、取り出しつかまつるはこの電気!」

 そう言うと俺はジオを唱え、片手に電気の珠を生み出す。電気の珠は俺の手の上を浮くように静止しているので、気分はさながらかっこつけてる手品師さんだ。

 

「ほう……」

「んー? 何何、手品? ま、ウチ等の前じゃあこんなの子供騙しだけどねー!」

「ところがどっこい、これは本物ッ……!」

 そう言って俺は適当に狙いを決めて珠を撃つと、折れた木の枝にあたって見事に焦げ、プスプスという音が似合うような状態になった。

 

「へー、結局火を付けんの失敗してるじゃん」

「チッチッチィ! 甘いなテルミット反応、お嬢ちゃんは胸だけでなく脳みそも詰まってないようだな」

「……ッ! 言ってくれるじゃん、じゃあウチの前であれがどうやったら火がつくのか見せてよ!」

 

 安い挑発にマンマと乗ったな、挑発に乗りやすいとは情けないなテルミット反応。

 

「さぁて、この焦げた枝を燃えやすそうな枯葉と共に包まーす、そしてぶんまわしまーす」

 そうしてブン回す事数十秒、あらあら不思議、煙が枯葉から出てきました。これぞアイヌの人とかマタギとかマサイ族とかが使ってそうな種火を応用したサバイバル技術!

 

「「おぉ……」」

 ふっふっふ、二人とも驚いているようだがまだまだこれからが本番ですよ奥さん!

 

「そのまま振り続けるとなんとなんと、枯葉から炎がぶわっと出てきましたってアッチィ! アチチチチチ……枝、枝を集めてここに放り込んで煙が出ているのでしばし待機。ってかワインで指を冷やさにゃアカン!」

ワインのビンを指に当てるとそこそこひんやりとしているためにキモチイイ。

 

「さぁさぁ、ワインをぶっかけます」

ここでワインを料理人がやるようにビンの入口を親指で蓋しながら微妙なテクニックで火に数滴入れるとゴオッという音がして火が一瞬燃え盛ると火が元に戻り煙が落ち着いた。

 

「さぁさぁ、ここでフライパンに油敷いてあっためた所に魚肉ソーせージをスライスしてぶっこみます」

 スライスした魚肉ソーセージをフライパンに放り込むと、ジューッといい音が聞こえ始めた。辺りにいい匂いが立ち込めて来たところで醤油と刻んだ青ネギを投下し、火が通ったら醤油を加える。

「さぁ、できましたよー戴きましょう」

 

 更に盛り付けるとそこらにあるような居酒屋のつまみが完成!

「これは中々にいい匂いがするな」

「見た目は地味そうだけど匂いは良いじゃん」

 まぁ焦げた醤油の匂いは中毒性があると思えるぐらい素晴らしいからな、日本人の生み出した宝だろ醤油は。

 

「むぐ、いけるぞこれは」

「……お、いけるじゃん!」

「そうかいそうかい、じゃあ俺も一つ食ってワインと合うのかどうか……」

 食べながらワインを飲むとふんふん、噛み締めた時の魚肉ソーセージかた出てきた肉汁と醤油が絡み、そこへワインがやってきて……

「まぁ、悪くはないんじゃない?」

 と、テルミット反応のそこそこに良い評価。

 

「他にも合うものがあるだろう」

 そう言うとカラワーナさんはホイホイと食材調達をしにいった。気づけば俺の休日の夜は終わり、新しい日へと移り変わるのであった……オチはないんじゃよ。




どうも、3日ぶりです。 

 今まで、この小説を少し手直ししている中で恐らく一番悩んだ回です。ホントに悩みました。なぜならこの回は私の深夜テンションで書いた回だからです。勢いを殺すのも駄目ですけど、このまま出すにはとても我慢が出来ない……悩みましたよ、ホント。

 今回、やっと初めて堕天使勢の一部のメンバーと顔合わせが出来ました。全てはお酒の力によるものです。”小説のタグに堕天使ルートって書いてあるのに今まで堕天使勢出て来てんの2話だけじゃねーか!”と思ったそこのアナタ! 大変お待たせしました。これから面白おかしく登場するであろうレイナーレさんやドーナシークさんにご期待ください。

 そして小猫さんや姫島先輩、はたまたリアス先輩や、もしやもしやの木場きゅんルートもあるんじゃないかと思っているそこのアナタ! 乞うご期待!
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