ただのゲーマー高校生のハイスクールD×D   作:unat

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第14話:堕天使だって限界はある

「ただいま戻りましたー……」

 ギィ……という重いドアの音が教会内に響きわたる……おかしい、気配がない。そこら辺に転がっていると思ったテルミット伍長の亡骸も見当たらないな……食ったのか?

 

「あ、あの……どちら様でしょうか」

 と、ここで見知らぬ女の子が出てきた。外見は、黒髪で綺麗な人で俺とタメかそれより一つ上位……でもこんな人いたか? 少なくとも昨日は見た覚えはない。

「あ、俺はここの人とお話なりやることがあるから来んだけどさ……」

「そうですか、でも今此処には誰も……あ、私御影って言います」

「あ、若葉啓介です、どうも」

 適当に自己紹介も済ませ、ここで気まずい静寂の時が流れる……どうする、向こうも少し気まずそうだ。そしてよく見るとおたまを持っている、そうだ何か作ってるのかもしれない。

 

「えっと……今何か作ってたのかな?」

「あ、皆さんのお夕飯を作ってたんです」

 なるほど、給仕さんみたいな感じの人が居たのか、全く知らんかった。よし、ここは一つ気まずい雰囲気を和やかにする為に少し手伝おう。

 

「俺、手伝うよ、こういう事慣れてるしさ」

「いいですよ、私の仕事ですし、迷惑かけちゃいます」

「いやいや、暇だし手伝わせてくれたらありがたいなー……」

「……いいんですか?」

「べっぴんさんのお手伝いができるって素晴らしい」

 

 最近何とか小猫さんとかカラワーナさんとかテルミット伍長(故)とかと話をし続けた結果、慣れてきたので持ち前のトークスキル(笑)でお手伝い&和やかな空気を獲得。いやぁ、年中無表情で営業してる小猫さんよりは話しやすい。

 今のうちに和やかな空気を作らないとレイナーレさんが現れた時に俺の胃がストレスでマッハになるので、ここは後から来るお二人の為にも頑張らねば。

 

「えっと……じゃあお手伝いをお願いします」

「ほいきた」

 俺が野菜炒めの炒めるの担当して御影さんが野菜を切る担当になった。一品作るだけなのに大げさな、とか思っただろうが、ところがどっこい。二人で作ってみましたって、和やかな雰囲気MAXになるじゃないか。つまりはそういう事だ。

 

 とりあえずフライパンに油を注いでスタンバイ、いつでも炒められるようにして肉も取り出しておく。あとは御影さんが野菜を切ってそれを俺が炒める、実に簡単な話だ。

「その、若葉君は、何をしていたんですか?」

 ここで御影さんが話しかけてきた。よし、何とかぎこちない空気は薄れてきた。このまま会話を続けたい……が、野菜を切りながら話しかけているために怪我をしないか少し心配だ。

 

「えっとね、まぁある人を怒らせちゃってね、それでどうするか皆で会議してたんだけどね」

 その瞬間、ザクッ、とネギを切る音が響く。な、なんだ? 一瞬不穏な空気が……?

「そう……ですか」

 そう言った時に、御影さんの目に光彩が宿っていなかったのは気のせいかな? いや、気のせいだな。そういうことにしておこう。

 

「それでさ、結局皆でプレゼント出してきちんと謝ろうってことになったんだけどね……御影さんはここで何を?」

「私ですか?私はここで皆さんに精一杯の料理を振舞う為に来たんです、精一杯の……料理を」

 今一瞬ヤンデレの妹に料理を振舞われて~という病んだドラマCDを思い出したのは気のせいか? いやはや、俺もまだまだ頭がどうかしてるんだな。

 

「ふぅん……料理を食べてもらって美味しいと言われたら嬉しいもんねぇ」

 とりあえず、怖さを表面に出さないように平静を装うことにしよう、何か怖い気がするのは気のせいではないだろうが、流石にそれを表に出したら失礼すぎる。

「はい、ですけど私の味が皆さんの口に合うかどうか……」

 健気に頑張る御影さんは優しいなぁ。こんな感じにいつもこういう所で料理を振舞ってるのだろうか、色々と大変そうだ。

 

「大丈夫大丈夫、きちんと作ったものにダメ出しする人なんて居ないよ」

「そう言っていただけると……嬉しいです」

 そう言ってにっこりと笑顔になる御影さん。うんうん、笑顔になってくれ、その笑顔は数十分後の殺戮と惨劇を回避できるかもしれないんだ。

 

 

 そんな風に野菜炒めを炒めつつ御影さんと楽しくお話をしつつ料理を完成させ、他の料理を適当に見繕った素材から作った。

「あ……ごめんなさい、私、皆さんに会う前に他のお仕事が……」

「いいよいいよ、俺がやっとくし、気にしなくていいよ。他の仕事があるならそっちを優先しなきゃ」

 料理が出来上がり、さぁこれから盛り付けだ。そんなタイミングで他の仕事が近いらしく、持ってきたらしい荷物を持ってお礼をする御影さんを見送ることに。

 

「それじゃ、お仕事お疲れ様です」

 そう言って俺はドアの前で御影さんを見送る。

「お手伝いまでしていただいちゃって……ありがとうございます」

「いやいや、俺も手が開いてたし。別に構わないよ」

 そんなやりとりをすると、御影さんは一回お辞儀をして歩いていった。

 

 一歩、二歩、三歩―――少し歩いた後に、御影さんが何かを思い出したかのように振り向く。

「あ、あの……若葉君」

「ん? なんでございましょうか」

「楽しかったです、またお会いできたら一緒にお料理作りませんか?」

 

 ああ――――畜生、反則すぎる。いきなりニッコリと嬉しそうな顔でこんな事言われて、ドキッとこない男が何処にいる?

「ああ……またね」

 俺はニコニコしながら手を振って教会を離れていく御影さんを見送った。ああ、手を振って返してくれる姿もまぁ可愛い。

「さて、それじゃあいっちょ謝りに行きますか!」

 パシーン! と両手を叩いて気合を入れる。気合い十分、駄目で元々、謝ってスッキリしよう!

 

 

 

                   ※

 

 

「……レイナーレ様はどうだったんだ?」

 ドーナシークさんが、帰ってきた途端に話しかけてきた。余程焦ってたみたいでまた翼を出したまま入ってこようとしてドアに突っ掛っている……なるほど、焦るとどーナシークさんはこういう癖が出るようだ。

「あー、給仕さんしか居ませんでしたよ、誰も」

 

 そういうと、二人とも不思議そうな顔をして、ドーナシークさんが答えた。

「……給仕? うちにはそんな者は居ないが」

 んんんん? あれあれあれれれれ? それじゃあ、あの人……誰?

 

「まぁ、ともかく夕飯の準備が出来てあるのは嬉しい事だ」

「いやいやいやいやいや、嬉しいことだじゃないですよドーナシークさん! あーた、見知らぬ人が作った美料理ですよ? 変なものが入ってたらどうするんですぅぅぅ!?」

「私達は堕天使だからな、死にやしないさ。もっとも人間のお前は死ぬかもしれないからお預けだな」

 カラワーナさんがケロっとした表情でサラッととんでもない言っているが、こっちとしてはハラハラドキドキで怖いわ!

 

「今戻ったわ」

 ここでお奉行様レイナーレ殿のお帰りに俺等三人ですかさず正座し、綺麗にシンクロして頭を下げる。

「「「すいませんでしたレイナーレ様(さん)!」」」

「あら、そう」

 そう言うとスタスタと歩いていった。あれ? 何か怒ってないね、あの怒りの時に出てた独特のオーラが消え失せている。

「夕食の準備はできてるわね? 始めましょうか」

「はぁ……」

 

 ともかく機嫌を損ねることのないようにさっさと箸だの器だのを用意し、食卓に並べる。

「あー、そういえばテルミ……ミッテルトは何処へ?」

「ああ、ミッテルト? あの部屋に放置していたわね」

 俺の質問に対してレイナーレさんがそう言って指で指したのは一室のドア。そうか、軟禁されてただけで食われては居なかったようだ……それともあそこは食糧貯蔵庫か。

「もしもーし、テルミット伍長ー? 援軍だぞー」

 そう言いながらドアを開けるとギィ、という音が部屋の中に響きわたる。んん……暗くてよく見えんな、明かり明かり……これか。

 

「おし、これで視界は万ぜ……んんんんんんんんんんんん!?」

 明かりをつけて見るとそこには……簀巻きにされた上に口枷を付けられたテルミット伍長の姿が!?

「ごごごご、伍長、今助けるぞ!?」

 慌ててテルミット伍長の束縛を解き、口枷を外す。するといきなりミッテルトが泣きじゃくり出した。よほど怖かったんだろう、かわいそうに。

 

「怖かった……と、途中でっ、な、何回もっ!し、死ぬかとっ……思ったぁ……」

「あー、よしよし、怖かったのな、死ぬかと思ったのな、もう大丈夫だからな。ほーら、あそこにカラワーナさんが居るぞぉ」

 とりあえず錯乱状態の伍長を落ち着かせるために話を聞いてやる。そしてカラワーナさんの方を指さすと、とてとてと歩いていった。おいおい、恐怖のあまり幼児化してるぞ? 心無しか一瞬だけ三頭身のちっちゃな子の面影が重なったのは気のせいではない筈。

 

「おいおい、ミッテルト、どうしたんだそんなに泣いて」

「カラワーナぁ……」

 よしよしと慰めるカラワーナさんには母性が丸出しでまぁ、まさに母親といった感じだ。それを何処か優しげな表情で見つめるドーナシークさんまでも父親に見えてきた。家族の愛ってやつを感じるぜ……。

 

「……さーて、夕食だ!」

 なんだかんだひと悶着あったけれど、やっと皆で食卓を囲んでの夕食だ。結局今日も、電話無しでの無断欠席しちゃったし明日からは真面目に行かないと不味い。小松原という人外に何をされるか分かったもんじゃないからな。ある意味ではレイナーレさんを超えた恐怖の存在だからな、奴は。

 

「さーてさて、それじゃあ折角だから俺はこの料理を選ぶ!」

 そう言って御影さんが俺が来る前に作ってたらしい、一番細工がしにくそうなから揚げを箸に取ろうとする所で、ドーナシークさんとカラワーナさんに掠め取られた……ああ、二人とも俺の取ろうとしたのを的確に取ってくるとは。

 

「甘いな、年上にこそ一口目は譲るべきだろう」

「それに毒味だ、毒味。お前が死なない程度の毒なら食わせてやるが……ああダメだ、お前には勿体無―――――?」

 ここで料理を一口含んだドーナシークさんとカラワーナさんの手がピタっと止まり、箸が手から滑り落ちる。二人の顔は真っ青になり、脂汗がじわじわと出てきている……見覚えのある光景のような?

 

 いやな予感がして、ふとお隣に居るテルミット伍長の様子を探ってみると……。

「……………」

 

”だれ かに どく を もられ ”という字が机に手で書かれており、ワインっぽい液体を指に滴らせたまま俯せのまま既に事切れている……不味い、これは非ッッッ常~~~~に不味い。

 

 もしやこの調子だと……そう思い、レイナーレさんの様子を見ると――――。

 

「うん、野菜炒めが中々美味しいじゃない」

 俺の作った野菜炒めを食していたために、毒の被害に遭わなかったようだ。これで俺以外誰もいなくなったとかだったらマジ怖かった……じゃない!

「ちょちょちょちょっと、レイナーレさん!」

「何? 食事中に騒ぐものではないわよ」

「いやいやいやいや、明らかに堕天使三名が致命傷なのか分からないけど、毒か何か盛られてえらいことになってるんですけどぉ!?」

「……アア、ナンデコンナコトニナッタノカシラ」

「棒読みしてる場合じゃないですって、とりあえずベットに寝かせますよ!」

 

 そうは言っても絶対レイナーレさんは手伝わないだろうから、俺一人で伍長とドーナシークさんとカラワーナさんをベットへと運んでいくことにした。

 

「き、気をつけろ……これは、強烈な神経どっ……!」

 ピクピクと翼を痙攣させながらドーナシークさんが何か俺に警告してきたが怖くて聞けない。こえぇよぉ、大抵の毒だったら死なない堕天使がここまで苦しめられるなんてどんな毒なんだよぉ……!?

 

「ハハッ、ケースケ、お前か……? お前と初めて会った時……覚えているか?」

「縁起でもないです、んな昔話はしないでください。ゾンビが出てきそうですから」

 真面目に死に際のセリフを放つカラワーナさんを静止し、ベットに運び込む。やれやれ、あとは伍長だけか。

 

「あ……あぁ……」

 一番重症っぽい伍長はもう呂律が回っていないようだ、これはもう……駄目、かもしれない。優しくベットに寝かせて毛布をかける。出来れば何かしてあげたいが毒を治療できるポズムディを覚えている仲魔は一人もいない。故にどうしようもない……後は三人の体力と堕天使の回復力に頼るしかない。

 

「レ、レイナーレ様への、プレゼント……は、お前に託したぞ」

「分かりました、分かりましたからもう話さないでゆっくり寝てください」

 死に体のドーナシークさんを静止する。これ以上体力を消費すると寝れなくなるかもしれない、寝るのにもある程度体力がいるそうだ。だからもうこれ以上変に体に負担をかけて欲しくない。

 

「……急患を寝かせつけましたよ、レイナーレさん」

 と、運んだことをレイナーレさんに一応報告していると、レイナーレさんは例の料理を口にしようとしていた……ってオイィィ!?

「ちょちょちょ、ストーーーーップ! それだけは、それだけはダメですレイナーレさん、あれ見たでしょう!?」

「別に食べるわけじゃないわ、どれくらいの毒か調べてみただけよ」

 

 そう言うと料理をちょっと齧っただけらしく、すぐにプッと出した。

「まぁ、死にはしないんじゃないかしら。一日寝てれば元気に起き上がるわね」

「そ、そうですか……?」

 口に入れただけで毒の強さが分かるレイナーレさん凄いな……それともそういうのは口にしてみたら分かるもの何だろうか……っと、忘れてた。あの二人が俺に託した遺志を叶えねば。

 

「あ、そういえばレイナーレさん」

「あら? 何かしら」

「実はレイナーレさんに俺等から渡したいものがあるんですよ」

「ふぅん……」

 と、レイナーレさんは口先だけは興味がなさそうだが、何故か少し嬉しそうに見える、なぜだ。

「実はこれなんですけど……」

 そう言いながら綺麗に箱に入れられたチョーカーを見せる。

「……ま、一応受け取っておくわ」

 素っ気なくそう答えている割にはキチンと首にかけてるじゃないですか、とは言わないでおこう。せっかくの機嫌が少しよくなった所を一々茶化すとろくな事にならん。

 

「野菜炒めだけ毒が入っていないみたいだし、食べたら?」

「ああ、はい戴きます……あ、野菜うまく切ってあるから熱も通っててうまい」

「……♪」

「ん?」

 今一瞬、レイナーレさんから嬉しそうな声が聞こえたけど気のせいか。

 

 

                   ※

 

 

「さて、飯食った、片付けも済んだ、やることない、それじゃあ俺は帰ります」

「そう、まぁ悪くはない味付けだったわ」

「そー言って戴けると嬉しいですね」

 こんな感じに簡単なやりとりをすると、俺は家に帰って直ぐに布団へGO。目覚ましもかけて少し早めの21時就寝。今日もいい夢を見たい。




どうも、私です。

正直な話、口調が崩壊してないかと最近かなりハラハラしております。何せ、アニメで見たドーナシークの旦那の顔をもう、まったく覚えていない程度です。かろうじてテルミット反応……もといミッテルトの顔が覚えていられているぐらいなんで。

そもそも”イッセー君と敵対してる勢力がこんなこと言うんだろうか?”的なことが読んでいる皆さんの中に深く植えつけられてるかもしれない上に、コメディ修正が入っているので、すごいことになりそうで怖いんですよねぇ(・ω・`)


さて、もう少しだけ恐らく堕天使ルート開拓は続くと思われます。オカ研ファンの皆さんにとってはつまらないことにならぬよう、そして堕天使勢ファンの皆さんにドン引きされないように頑張る次第でございます。










―――――――まさか、メガテンの仲魔ファンの方はいらっしゃいませんよね?
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